「レンジフォーカス」の通貨ペア選択を解説いたします!

運用実績サマリー(2016年12月12日 日本時間15時時点)

仕掛け名 レンジフォーカス_EA_201612_5k
運用開始日 2016年12月5日(月)
運用開始時点の推奨証拠金 1,488,000円
実現損益(収益率) +22,904円(+1.5%)
評価損 -48,489円
実現損益+評価損(収益率) -25,585円(-1.7%)

 

日に日に寒くなりますが、皆様如何お過ごしでしょうか?トライオートFXプロジェクトチームの栢本(かやもと)です。

12月5日より稼働を開始したレンジフォーカスですが既に多くのお客様にご利用頂いており、お客様への感謝と同時に身が引き締まる思いです。

先週のユーロ豪ドルの価格変動は以下の通りでした。週の前半は好調に買い注文成立⇒利益確定の動きが良いリズムで発生したのですが、後半の下げで7本の買い注文が含み損を抱えている状況です。良く上下に動くことはレンジ系取引にとって望ましいことであり、また、レンジ系取引は含み損を常に一定抱える手法であるため、全く心配していません。

 

さて、本日は「レンジフォーカスの通貨ペアを選ぶ際、どのような理由でユーロ豪ドルが選ばれたのか」をご説明いたします。これは、レンジフォーカスのリスクを考えた際、この通貨ペア選びが何より重要であるためです。

以下、長文でまた社内のマーケティング部には叱られてしまいそうですが、彼らが「3分でわかる」を作ってくれることに期待して私の見解を説明させて頂きます。

 

 

 

 

1.FX

取引のゲームチェンジャーとなる

レンジフォーカスにおけるリスクは単純に、「相場が想定するレンジを外れ、そのまま戻ってこない」ことです。過去3年間の80%の価格を捕捉するようレンジを設定していますので、一定期間価格がレンジを外れることは想定の範囲内です。その間は評価損に耐える待ちの期間となるのですが、そのまま戻ってこないことがリスクとなります。通常のFX取引でイメージされる『短期間で元手を数倍に!』を実現するためには、損小利大でなるべく多くの勝ちを積み上げることが必要ではないかと思います。そのためには、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析など実績ある多くの手法を貪欲に取り込み、精度の良い予測を作り上げる努力が必要となろうかと思います。一方のレンジフォーカスは、年30~50%の収益を目指す自動取引となりますので、気にするべき点は「価格の中心はずれていないか、中心回帰性の強さに変化はないか」という点です。

私が過去多くの機会で取り組んできた企業の破産予測では、予測が外れた際、「あの時この財務指標の変化に注目できていたら見抜けたのに。。。」のように、予測が外れた要因を振り返り、それを今後に生かしていくことが比較的容易でした。しかしインヴァスト証券に入社後、相場の予測に関して私が感じたことは、「過去データを振り返っても、その当時何に注目すれば相場の変化を精度良く予測できたのかはっきりしない」という印象です。U.S.大統領選の際の激しい値動きを予測的中できればそれは大変ステキなことですが、大統領選の数日前時点で、どの指標/どの情報に注目すればあの短期間での激しい値動きを当てられたのか、また以下大事な点ですが、「仮に当てられる情報が見つかったとして、それが未来でも再現されるのか」に確信を持つことはとても難しいです。よって、私は相場予測に対する姿勢を単純化し、自分が得意とする分野で相場と勝負することにいたしました。「価格の中心に大きなズレが生じていないか」「中心回帰性に変化が生じていないか?」これこそが弊社データサイエンス部が常に注意を払っている点であり、日々時間と労力をかけています。

 すでにレンジフォーカスをご利用頂いているお客様は、相場変動への一喜一憂が減ることで心が安定し、コツコツ配信される利確の通知に「♪♪♪」と思い、投機よりは安心、でも投資よりはリスクもあるがリターンもある、という商品性を楽しんで頂けているのではないかと思います。お客様のこの状態の実現を、レンジフォーカスは目指しています。ハイリスク/ハイリターンのイメージが強く、多くのことを勉強しないと勝てないイメージが強いFX取引を、数倍という高いリターンをあきらめる代わりに単純化し、すごくドキドキする取引からワクワクする取引に変えていけたらと思っています。とはいえ、レンジフォーカスにも当然にリスクはあります。リスクが顕在化してきた際どう対応するのか、という行動例の一つは、リアル口座運用を通し私が先頭に立ってお客様に示して行けたらと思っております。

 

2.なぜ過去3年のデータでレンジを決めたのか

過去3年というデータ観察期間をどのように決定したかを最初に説明いたします。以下は米ドル円の2000年以降の価格推移なのですが、様々な価格のスムージングパターン(滑らか化)により、およそ3年前に「2008年に始まったU.S.サブプライム問題による影響」がひと段落したと考えられます。リーマン・ブラザーズ破綻級のショックを取り込んだレンジ幅を想定する場合レンジ幅が非常に大きくなりすぎるため、まず過去3年間という期間に注目をいたしました。

続いて、主要通貨ペア(米ドル円、ユーロ円、ユーロ米ドル)の過去の値動きをそれぞれ確認しているのが以下のチャートとなります。

過去3年間という期間をユーロ円(上段中央)、ユーロ米ドル(上段右)で観察すると、過去3年でレンジ幅を設定しておけば、自然に過去3年以前の価格も大半が捕捉できていることが確認できます。過去の観察期間をむやみに長期にし、レンジ幅を拡げることはレンジフォーカスの自動売買注文数の増加⇒推奨証拠金の増加につながるため、適度な期間とする必要があります。一方で、レンジ幅は出来る限り長期の値動きをカバーすることが望ましいです。よって、総合的な観点から「過去3年という期間が、レンジフォーカスに適した通貨ペア及びレンジ幅を決定するための観察期間としてふさわしい」と判断いたしました。

 

3.レンジフォーカスは何よりも『良質な中心回帰性』が重要

レンジフォーカスが抱えるリスクを抑制するためには、レンジの中心に戻る力が強い通貨ペアを高く評価する必要があります。このため、過去3年間の価格分布の正規性の検定を行いました。価格の分布がどのくらい正規分布(中心から左右に裾が広い山型な分布)に近いかを評価する、というアイディアです。正規性が良質な通貨ペアTOP5は以下の通りです。

通貨ペア 過去3年間の正規性順位
USDCHF 1位だがスイスショック以前は固定的であったため、実際は評価対象外
AUDJPY 2位
EURAUD 3位
CADJPY 4位
GBPUSD 5位
EURJPY 6位

上記のように、レンジフォーカス推しのユーロ豪ドルは3位と高順位につけていますが、正規性の観点からは豪ドル日本円の方が上位でした。ですが、これだけでは興味の対象である中心回帰性を評価したことにはなりません。下のグラフを見ることで、レンジフォーカスで重要となる「中心の周りを上下に行ったり来たりする」観点ではEURAUDの方が優秀です。

つまり、レンジフォーカス向きの通貨ペアを選ぶためには正規性の評価だけでは不十分であり、その他に幾つか評価項目を設定しています。

 

4.バックテストは大事、でも偶然の結果はなるべく排除したい!

通貨ペア選定の際、当然にバックテストの結果は重要視していますが、その結果を単純に信じることは「たまたまのラッキーヒットを過大評価してしまう」ことに繋がります。レンジフォーカスの収益構造はとてもシンプルです。

①長い距離を動いた方が良い

②レンジ幅は狭い方が良い(=狭い範囲でたくさん上下移動する方が良いため) 

③レンジは左右均等で歪みが無い方が良い

等いくつかの情報でおおよその収益率は予測できます。また、この収益性の評価と前述の正規性評価を組み合わせることで、中心回帰性の評価をより充実させることができます。

私はバックテストの結果をそのまま使うのではなく、バックテスト結果を理論上の収益率を推計する統計モデル作成に利用し、通貨ペアごとに理論上の収益率を算定いたしました。そのTOP5は以下の通りです。

順位 通貨ペア 理論収益率 過去3年間のバックテスト収益率
1 NZDUSD 262% 237%
2 NZDJPY 252% 199%
3 AUDUSD 223% 195%
4 GBPJPY 215% 302%
5 USDCHF 214% 272%
・・・ ・・・ ・・・ ・・・
8 EURAUD 156% 200%

 

 

上記のように、過去3年間の収益率ナンバーワンは、理論および実績共に優秀な結果を出したニュージーランドドル米ドルとなります。今回レンジフォーカスで推奨しているユーロ豪ドルは8位であり、収益率上の順位はけっして上位ではないことがわかります。なお、ニュージーランドドル米ドルの過去の価格推移は以下の通りです。直近の過去3年はやや価格が下方に集中しており、これが正規性の検定でTop5になれなかった理由ですが、分布自体は悪くない&上下運動が多いため、今後レンジフォーカス向きとなってくる可能性を強く感じます。いつか、ユーロ豪ドルからレンジフォーカスを切り替えていく日が来るのかも知れません。その際、どのようにユーロ豪ドルでの自動売買を止めて切り替えていくのか、というシステム操作はリアルタイム口座運用の中でお客様に説明させて頂きます。

 

5.リスク管理の観点から最大評価損を小さく抑えることがとても大事!

 

上記収益率の評価と同様に、バックテスト結果から理論上の最大評価損%を算出しようとしたのですが、最大評価損は収益と異なり、構造が単純ではないため精度の良い予測モデルを作ることができませんでした。よって、最大評価損に関しては過去3年間のバックテスト結果をそのまま評価しています。最大評価損が少ない優秀な通貨ペアTOP5は以下の通りです。

順位 通貨ペア 過去3年間の最大評価損率(対推奨証拠金)
1 EURAUD -86%
2 EURUSD -140%
3 USDJPY -156%
4 GBPUSD -162%
5 NZDJPY -209%

 

このように、最大評価損率はユーロ豪ドルが非常に優秀です。これも、レンジを外れても一定のところで踏みとどまり、中心に戻り始める良質な中心回帰性を持つと考えられます。なお、上記最大評価損は3年間のある瞬間的な結果であり、レンジフォーカスに常態的に張り付く評価損とは異なる点をご理解下さい。

 

6.やっぱり決済回数は多くコツコツ利確の通知が届いた方が楽しい!

 

最後の評価軸は、お客様データの分析結果に基づいています。お客様の自動取引の継続率を分析すると、利確の通知が多い方が継続率が高いことがわかります。これは、とても自然であり当然のことだと思います。利確回数の多さを評価することは、上下移動の多さを評価することに近いです。これもやはり、中心回帰性と強く関係しています。利確回数はバックテスト結果をそのまま評価し、そのTOP5は以下の通りです。レンジフォーカス推しのユーロ豪ドルは2位につけています。

順位 通貨ペア
1 GBPJPY
2 EURAUD
3 GBPUSD
4 EURJPY
5 CHFJPY

 

7.そして、いよいよ総合評価です!!

 

 これまでの評価軸を、私が重要視する順位で重みを付け、加重平均順位を算出いたしました。その結果の上位TOP5は以下の通りです。正規性に最も大きい0.35の重みをつけています。

評価重み 0.35 0.20 0.25 0.20 1.00
順位 通貨ペア 正規性順位 理論収益率 実績最大評価損率 取引回数 総計
1 EURAUD 3.00 8.00 1.00 2.00 3.30
2 EURJPY 6.00 6.00 6.00 4.00 5.60
3 EURUSD 7.00 9.00 2.00 7.00 6.15
4 AUDJPY 2.00 7.00 11.00 8.00 6.45
5 NZDJPY 9.00 2.00 5.00 9.00 6.60

 

スイスショック以前は固定的であったEURCHF、また今後長期的に一定方向のトレンドが予想されるGBP関連通貨ペアは評価対象外としております。

1位に輝いたユーロ豪ドルは他通貨ペアと比べてとても優秀で、今後の毎月の定期チェックでもしばらくその牙城は崩れないと考えています。ですが、社内にいるアナリストや経験豊富なプロジェクトメンバーと良い議論を重ね、ユーロ豪ドルのレンジが崩れるリスクが懸念される際は、先行して「ユーロ豪ドルレンジフォーカスの停止⇒その時点で優秀な他通貨ペアへ乗り換える」、というシステム操作を実施していくつもりです。そのやり方は、リアル口座運用の中でお客様に説明いたします。 

以上長文となりましたが、我々はお客様に仕組みをしっかり説明し、期待収益とリスクをご理解いただきたいと考えています。今後もお客様に有益な情報を配信し続けて行きます!