MAiMATE 通信 vol.5:ニュース情報を知る

ニュース情報の活用は受け取り側の手腕次第

第5回目の今回は、AIエージェントが活用するニュース情報に関して触れてみたいと思います。
MAiMATEに関する弊社プレスリリースの中では、以下のようにニュース情報を説明しています。

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AI コアエンジンには強化学習型の AI モデル(A3C:Asynchronous Actor-Critic Agents)を活用し、マーケットのプライス情報や世界有数の金融市場データのプロバイダーであるリフィニティブ(※)の日本法人リフィニティブ・ジャパン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:富田 秀夫)が提供する市場心理指数を通じて得たニュース集約情報サービスを、インヴァスト証券が独自に改良して学習情報として使用します。
※リフィニティブについて
Refinitiv(リフィニティブ)は世界有数の金融市場データのプロバイダーで、190 カ国以上で 4 万社を超える企業・機関にサービスを提供しています。先導的なデータと知見、トレーディング・プラットフォーム、市場データ・インフラストラクチャー、オープン・テクノロジー・プラットフォームを通じて、世界の金融市場コミュニティを相互に接続し、発展を支えます。それによりトレーディング、投資、ウェルスマネジメント、規制およびマーケットデータ管理、企業が抱えるリスク、金融犯罪追跡などの分野において進化をもたらす先駆者としての役割を果たしていく所存です。
詳しくはウェブサイトをご参照下さい。https://www.refinitiv.com/ja
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リフィニティブ社の前身はトムソン・ロイターのファイナンシャル・リスク部門であり、世界から最も信頼されている情報提供機関の1つであると考えています。そして彼らの「トムソン・ロイター市場心理指数(以下、TRMI情報)」の説明は以下のリンク先にあります。
THOMSON REUTERS MARKETPSYCH INDICES(トムソン・ロイター 市場心理指数)

…ですが、私の方でTRMI情報の要点を以下に列挙します。

豊富な参照しているテキスト・ソース

  • 40,000:主なグローバル・ニュース・ソース
  • 7,000:ブログ、株式メッセージボード、ソーシャル・メディア・サイト
  •  1998年~現在:フィード提供期間、過去のアーカイブ保管期間

開発はマーケットサイク社

  • リンク先のリチャード氏がCEOです。長身で親切であり、私がMAiMATEにおけるTRMI情報のデータ加工方針を固めた際、適切な利用になっているかどうかアドバイスが欲しいとお願いしたところ、快く電話での相談に応じてくれました。
  • なお、いつ寝てるのか?というくらいメールへの返信が早いです。

ニュース情報はマーケットサイク社によって「点数化」され、その情報が「毎分ごと」に提供されます。

  • 点数化のポイントは、「ポジティブな情報なのかネガティブな情報なのか」という情報の方向性と、「どのくらいの数のテキスト・ソースから情報を得たのか」という情報の過熱さになります。
  • より多くのテキスト・ソースから情報を得た方が、点数は高くなります。
  • この点数化された情報が、TRMI情報です。

残念ながら、TRMI情報の再配信は禁止されているため、MAiMATEユーザーの皆様には情報提供できませんし、数値を見せることも出来ません。

ざっくりですが、簡単な説明は以上となります。より詳しく知りたい方は、以下のリチャード氏によって執筆された本を読む必要があります。当書は、TRMI情報サービスのマニュアル、とも呼べる一冊になっています。私がTRMI情報の利用を決めた際、この本を読むことを推奨されました。日本語訳版は、「市場心理とトレード」というタイトルのようです。

 

(本の画像はAmazonの該当書籍へのリンクを利用しています)

このTRMI情報を利用する際、最も重要なのは、『TRMI情報は、テクニカル情報のように〇〇であれば買い、△△であれば売り、のようなわかりやすいトレーディング手法に変換されておらず、プレーンな点数情報だけが提供されている』という点です。つまり、この情報をどう活用するかは、受け取り側の分析手腕次第、となります。
私は慎重な分析を通して、MAiMATEにおけるTRMI情報の活用方針を固めましたが、他にも様々な活用方法があろうかと思いますし、常に改善策を模索する必要があると考えています。人によっては、トレーディング手法に変換されていないから困る…と思われる方もいると思いますが、私のような立場の人間にとっては、このようなプレーンな点数情報の方がむしろ扱いやすいです。
また、当TRMI情報は弊社の競合他社も採用しておりますので、MAiMATEにおけるTRMI情報活用の手の内を全て明かすことはできませんが、MAiMATEユーザーの皆様に知っておいて頂くべき範囲の情報は共有させて頂きたいと思います。

直近の具体例(FRB政策金利発表)を通してTRMI情報を知る

TRMI情報を知るには具体的にデータを見ながら、「なるほどねー」と理解に努めるのが良いと思いますが、あくまで1例でしかない点に留意する必要があります。

では、9月19日午前3時、FRBが「政策金利を0.25%引き下げる」発表をした前後のUSDJPYの価格推移、及び「US、USD」に関する「MAiMATEニュース情報」を確認してみましょう。「MAiMATEニュース情報」は「TRMI情報」をMAiMATE用に独自に改良した情報であり、以下の4種類があります。

1.「マーケット状況」:売られすぎ買われすぎなど現在の市況に関係した情報。
2.「マーケットアナリストの相場予測」:アナリストによる相場見込みは買い売りどちらが優勢なのか等で構成。
3.「ネット上の感情的表現」:ネット上の阿鼻叫喚含む感情的表現を収集。
4.「規制等の外的要因」:ニュース頻度は少ないものの、金利や規制等の為替に影響を与える外的要因情報を集約。

グラフを9月2日より開始しているのは、TRMI情報が通常どのような動きをしているのかを知って頂くためです。3時のFRBの政策金利発表後、USDJPYの価格は一旦上昇し、その後下落をしています。オレンジ色の縦線は、FRB政策金利発表前のMAiMATEシグナル配信が行われた時間帯を指しています。よってAIエージェントは、オレンジ色の縦線より左側部分のTRMI情報をシグナル配信時点で把握しており、トレード判断に活用する機会を得ていたと考えられます。AIエージェントは高度な分析能力を持っていますので、人間には見つけにくい情報の変化や解釈を発見することができるはずです。ですが、ここではAIエージェントの視点ではなく、「我々人間の視点」でMAiMATEニュース情報の動きを目視してみましょう。

(2019年9月24日時点、当社作成)

1.「マーケット状況」:売られすぎ買われすぎなど現在の市況に関係した情報。
オレンジ色の縦線より左側(シグナル配信時点で把握できた情報の中)に、2回ほどネガティブな方向への強い動きが確認できます。特に何も無ければ通常は微小な動きとなることが多いのですが、3時のFRBの政策金利発表に向けて特徴的な動きをしていたようであり、マーケットイベントを捉える情報としてある程度役に立つのではないかと期待できます。この情報をどう活用するのか/しないのか、はAIエージェントの判断に委ねられています。

2.「マーケットアナリストの相場予測」:アナリストによる相場見込みは買い売りどちらが優勢なのか等で構成。
目視では何とも特徴を捉えづらいのですが、オレンジ色の縦線より左側(シグナル配信時点で把握できた情報の中)で一旦下方に動いたものの、その後は上方へと動いている様子が確認できます。よってマーケットアナリストの相場予測は、3時のFRB政策金利発表に向けて方向性が一方向に定まらず揺れ動いていたようです。最近少し気になり始めているのは、この「マーケットアナリストの相場予測」は、「どのくらい将来の予測をしているのか」が良くわからない点です。アナリストによっては「1時間後」のことを言及しているかも知れませんし、ひょっとしたら「1か月間程度の長期の予測」をしているアナリストも居るのかも知れません。いずれ質問をまとめて、マーケットサイク社に聞いてみようと思っています。

3.「ネット上の感情的表現」:ネット上の阿鼻叫喚含む感情的表現を収集。
目視ではほとんどノイズのように見えてしまい何らかの解釈を見出すことが非常に難しいのですが、AIエージェントにとっては有益な情報のようで、「ネット上の感情的表現」を活用したAIエージェントの成績は決して悪くありません。マーケットイベントを特別に捉えるというよりは、「ネット上の感情的表現」は定常的に良く動いているため、マーケットイベントに関する感情は自然に取り込まれていると考えられそうです。非常に興味深いです。

4.「規制等の外的要因」:ニュース頻度は少ないものの、金利や規制等の為替に影響を与える外的要因情報を集約。
ニュース頻度は少ないものの、3時のFRB政策金利発表前後に2回ほど強い反応が確認できます。AIエージェントにとっては、オレンジ色の縦線より左側(シグナル配信時点で把握できた情報の中)にある最初の1回目の強い反応をどう捉え、活用するのか/しないのか、でトレード判断が分かれたのではないかと考えられます。

なかなか興味深いMAiMATEニュース情報の動きが確認できました。
ここで大事なのは、『MAiMATEでは、ニュース情報というテクニカル情報とは異なる情報をAIエージェントに提供している』という点です。このような情報は「オルタナティブ(代替)データ」と呼ばれており、トレーディングでの活用が進んでいます。AIエージェントは賢く、与えられた情報が有益であれば利用する、無益であれば無視する、という行動を取ることが出来ます。MAiMATEユーザーにとってどの種類のMAiMATEニュース情報を利用するかを決めるのは難しいかも知れませんが、上記具体例が選択の助けとなれば幸いです。ただし上記例はあくまで一例でしかありませんので、今後も同様の情報提供を継続して行きたいと考えています。

続いて、9月6日21時30分にあった米国失業率発表前後のMAiMATEニュース情報も確認しておきたいと思います。FRB政策金利発表と同様に、米国失業率の発表も大きなマーケットイベントの一つであり、外すことが出来ません。なお、9月6日に発表された米国失業率は、前回と同様3.7%で変化ありませんでした。

(2019年9月24日時点、当社作成)

幾つかのMAiMATEニュース情報は、米国失業率発表前に強い反応を示していたことが確認できます。「マーケットアナリストの相場予測」はやや反応が見えづらいですが、予測の方向性が拮抗していたのかも知れません。「規制等の外的要因」が失業率発表前に反応していたのは、「失業率が〇〇であれば、FRBの金融政策に〇〇のような影響が出るだろう」のようなニュースがあったのかも知れません。

TRMI情報はMAiMATEにとって外部サービスであるため、今後も理解を深め適切な利用に努める必要があると考えています。TRMI情報は非常に扱いやすく、マーケットサイク社のリチャード氏も非常に親切です。ですが、彼らから提供される情報はプレーンな数値情報であるがゆえに、利用者側の腕前が試されていると感じます。まだまだ手探りの部分もありますが、しっかりとした分析を行った上でTRMI情報をMAiMATEニュース情報に集約させています。今回の分析を通し、4種類のMAiMATEニュース情報がしっかりそれぞれの個性を出せていることに少し安心をいたしました。引き続き改善を模索していきたいと思います。

以上で今回の記事は終わりとなります。

マーケットイベントとどう向き合うか、は自動売買サービスにとって非常に重要なデザインとなります。別途カレンダー情報を通して「マーケットイベントが近づいている」ことをAIエージェントに伝える、ということも検討しましたがあまり機能しませんでした。マーケットイベント前にはポジションを落とさせる、という選択肢があっても良いかと思いますが、それは「ご主人様からの直接的な指令」によって行われれば十分であり、AIエージェント自体はマーケットイベント自体も収益機会と捉え、貪欲にイベントを乗りこなすための学習をして欲しいと思い、そのようにデザインをしています。もちろん収益の反対側にリスクもありますので、必ず常に上手くイベントを乗りこなすことは出来ないでしょうが、その場合は損切りを早めにするなどダメージを減らす行動を賢く取ってくれることを期待しています。

MAiMATEは非常に新しい、特許出願中の次世代のトレーディングを意識したサービスとなっています。こんなことを聞いてみたい、知りたい、というご要望があれば、配信されるメール内にある「CONTACT」を通して我々にご連絡頂ければと思います。テーマとして必ずすぐに取り上げることのお約束はできませんが、頂いた内容は必ず目を通しています。