FXに潜む危険性5つ|対策やFX取引で失敗しないコツもわかりやすく説明

FXには、主に為替変動リスク・レバレッジによるリスク・金利変動リスク・流動性リスク・スリッページなどのリスクがあります。

この記事では、各リスクの概要と初心者におすすめの対策、また初心者がFX取引で失敗しないコツを5つ紹介しています。FXにはどのようなリスクがあるのか詳しく知りたい人、またFXに失敗したくない人は、ぜひ参考にしてください。

FXに潜む危険性(リスク)

FXに潜む危険性(リスク)としては、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 為替変動リスク
  • レバレッジによるリスク
  • 金利変動リスク
  • 流動性リスク
  • スリッページ

それぞれの危険性について解説します。

為替変動リスク

FXにおける為替変動リスクとは、為替レートの変動によって、損失や利益が出る可能性のことです。米ドル円の通貨ペアの買いポジションを保有している場合、米ドル円の為替レートが購入時よりも円安になっていれば含み益になり、逆に円高になっていれば含み損になります。

通貨間の為替レートは、米ドル円に限らず絶えず変動しているため、FXでポジションを保有している限り、為替変動リスクにさらされていると言えるでしょう。

為替の主な変動要因としては、以下のようなものがあります。

  • 政策金利
  • 貿易収支
  • 物価
  • 要人発言
  • 重要な経済指標の発表

中でもアメリカの政策金利の発表および重要な経済指標の発表は、内容次第で為替の大きな変動要因になることがあります。

FX初心者におすすめの対策

FX初心者が為替変動リスクを避けるための対策を紹介します。

  • ポジションを翌日に持ち越さない
    その日の取引を終えるときは、保有しているポジションはすべて決済を済ませ、翌日に持ち込まないようにしましょう。
  • 為替変動の激しい時間帯の取引は避ける
    ロンドン市場とニューヨーク市場が両方取引をしている日本時間21:00から24:00くらいまでは、為替変動が激しい時間帯です。初心者のうちはこの時間帯の取引は避けましょう。
  • メジャー通貨で取引をする
    南アフリカランドやメキシコペソといったマイナー通貨は価格変動率が大きく、リスクが高い通貨ペアです。最初は、米ドル円やユーロ円などのメジャー通貨を選びましょう。
  • 取引が閑散としている時間帯は避ける
    取引が閑散としている時間帯は、為替の変動が小さいので利益を出しにくいうえ、FXの実質的なコストであるスプレッドが広い傾向があるので取引は避けましょう。取引が閑散としているのは日本時間5:00から8:00の時間帯です。

レバレッジによるリスク

FXではレバレッジをかけることで、証拠金の最大25倍までの取引ができます。例えば、本来100万円の資金が必要になる取引の場合でも、10倍のレバレッジをかけることで、10万円の証拠金で取引が可能です。ただし仮に米ドル円の通貨ペアでドルを購入し、1円円高になった場合どちらも1万円の損失が発生します。つまり資金に対する損失割合を計算すると、資金100万円で1万円の損失が発生したときは、資金に対して1%の損失、レバレッジ10倍とした場合は資金10万円に対して10%の損失が発生したことになります。

このようにレバレッジ取引はリスクが高いので注意が必要です。

レバレッジを高くするほど取引のリスクは高くなるので、高レバレッジの取引は慎重に行いましょう。

FX初心者におすすめの対策

FX初心者のうちは、高レバレッジの取引は避けましょう。チャートの見方や、テクニカル指標を活用した取引などに慣れて、取引の勝率が上がるまではレバレッジなし(1倍)から高くても5倍くらいにとどめておきましょう。

金利変動リスク

各国の景気や物価、金融政策によって金利が変動することで、為替レートに影響を与えることがあります。

例えばアメリカの政策金利が上昇し、米ドルと円の金利差が拡大すると、円安ドル高に向かう傾向があります。これは、各国の政策金利は銀行の預入金利などに影響を与えるためです。このようにアメリカの政策金利が高くなるほど、金利の低い円資産を持つよりも米ドル資産を増やそうとする人が多くなります。

一方、すでに円資産を持っている人は、円資産を売却して、金利の高い米ドル資産を購入しようとするでしょう。その結果、ドルが買われ、円が売られることになり、円安ドル高をまねくのです。

ここで紹介したのはあくまでも一例ですが、各国の金利変動は為替レートにさまざまな影響を与えます。

FX初心者におすすめの対策

特に大きな影響を与えるのは、アメリカの経済指標や、政策金利の発表です。こうした情報は、日々インターネットやニュース、新聞などでチェックしていると、ある程度の傾向が見えてくるようになります。

FX初心者は、まずは各国の主要な経済指標や政策金利の情報をチェックすることを習慣化しましょう。

流動性リスク

流動性とは、市場における売買相手の見つけやすさを表す言葉です。取引量が多く、売買相手が見つかりやすいことを「流動性がある状態」、取引量相手が少なく、売買相手が見つかりにくいことを「流動性が低い状態」と言います。

また流動性リスクは、市場の流動性が低くなり、新規注文や決済ができなくなるリスクのことでもあります。

ニューヨーク時間が終了する早朝6:00~7:00や、主要国の祝日、天変地異や戦乱、急激な政策金利の上下があったときなどは、流動性リスクが高くなる時間帯です。

流動性リスクが高まると、為替レートの変動幅が大きくなるほか、スプレッドが拡大したり、取引自体が困難になったりする可能性があります。

FX初心者におすすめの対策

FX初心者は、流通量が少なく為替レートの変動幅が大きいマイナー通貨よりも、米ドル円や、ユーロ円といった流動性の高い通貨ペアを選びましょう。

スリッページ

為替レートは常に変動しているため、注文した価格と実際に約定した価格にズレが生じることがあります。このズレのことをスリッページと言い、スリッページによって、注文した価格よりも不利な価格で約定してしまうリスクがあります。

FX初心者におすすめの対策

スリッページを避けたい人は、指定した為替レートで注文する方法である指値注文を活用するか、相場が動きやすい時間帯や、市場参加者が少なく、値動きが大きい時間帯の取引は避けましょう。

初心者がFX取引で失敗しないコツ

初心者がFX取引で失敗しないためには、以下のことを心がけましょう。

  • 余剰資金で取引する
  • 損切りルールを決める
  • 複数の通貨ペアに分散投資する
  • 少額から取引を始める
  • 証拠金維持率とレバレッジ管理の徹底

余剰資金で取引する

余剰資金とは、当面使う予定がないお金のことです。余剰資金は、以下の式で計算をします。

余剰資金=手取り収入-(日常生活に使う資金※1 +将来のイベントに蓄える資金※2
※1 食費や家賃、光熱費、急な医療費など
※2 車の購入や教育費など

FXは余剰資金で行わないと、損失をどうしても挽回しなければならない、損失を出すわけにはいかないなどの意識が強くなり、取引の判断を狂わせて、損失につながる可能性があります。

損切りルールを決める

損切りとは、取引による含み損を拡大させないために、決済をして損失を確定させることです。新規に買い付ける際は、あらかじめ含み損がいくらになったら損切りをするか決めておきましょう。

損切りルールを決めておかないと、含み損があっても「そのうち価格が上がるかもしれない」など、人間特有の損をしたくないという感情が介入してしまい、かえって損失が拡大する可能性があります。

米ドル円なら、100pips(1円)損失が発生したら損切りをするなど、具体的な数値で決めることがポイントです。

複数の通貨ペアに分散投資する

株式と債券のように、値動きの特徴が異なる資産を両方あわせ持つことで、投資のリスクを抑えられます。

この分散投資の考え方は、FXにも利用できます。米ドル円やユーロドル、ユーロ円など各通貨ペアの価格変動の要因は、一律に同じではありません。1つの通貨ペアを持つだけではなく、複数の値動きの通貨ペアを併せ持つことで、価格変動のリスクをある程度軽減できるようになります。

少額から取引を始める

まだ取引に慣れていない初心者は、少額から取引を始めましょう。FXは1,000通貨単位程度の比較的少ない証拠金で取引を始められます。1,000通貨単位、レバレッジ1倍とした場合、米ドルの為替レートが1ドル145円であれば、取引に必要な証拠金は14万5,000円です。

また1通貨から取引ができるFX会社もあります。この場合、米ドルの為替レートが1ドル145円なら145円あれば取引ができることになります。

少額で取引をすれば、仮に損失が発生したとしても、精神的な負担が少なくて済むかもしれません。

デモトレードで練習する

FX会社によってはデモトレードが用意されています。デモトレードとは仮の証拠金を使って、本番と同等の取引ができる仕組みのことです。すぐに本番の取引をスタートするよりも、ある程度デモトレードで取引の勝率が上がった段階で本番の取引を始めた方が、自己資金を減らすリスクは避けられるでしょう。

証拠金維持率とレバレッジ管理の徹底

証拠金維持率とは、保有しているポジションの証拠金に対する純資産割合のことです。証拠金維持率は以下の計算式を使います。

証拠金維持率=(純資産額-必要証拠金)÷ポジション必要証拠金×100

各FX会社は、証拠金維持率が一定額まで低下すると、アラート(警告)を出し、さらに低下をすると、投資家の損失をこれ以上大きくさせないために、強制的に決済してしまいます。この強制決済の仕組みをロスカットと言います。

含み損が発生しても、「いつか上がるかもしれない」、「いざとなったらスワップポイントで穴埋めできるから大丈夫」と思ってそのままにしていたら、ロスカットになり大きな損失が発生してしまったということが、証拠金維持率を把握していないと起こり得ます。

各FX会社の証拠金維持率は、必ず確認しておきましょう。

関連記事:FX初心者が覚えるべき基礎知識は?まずやることや取引方法について

まとめ

FXのリスクには主に為替変動リスク・レバレッジによるリスク・金利変動リスク・流動性リスク・スリッページの5つがあります。こうしたリスクがあると、初心者はFXを避けてしまいがちですが、どのリスクにも対処する方法はあります。FX初心者は今回紹介した、各リスクの対策や、失敗しないコツを踏まえて取引をしてみましょう。