【図解あり】FXの売り時・買い時の見極め方!具体的なテクニカル分析方法も解説

FXは売り時・買い時が難しいと悩んでいませんか?

FXは現物株式や投資信託とは異なり、価格が下落したときでも利益を出せる点が特徴です。ただしその分、いつ売ったり買ったりして良いのか、タイミングに迷うかも知れません。

この記事では、売り時、買い時をテクニカル指標によって見極める方法について解説します。最後にはおすすめのテクニカル指標の組み合わせも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

FXなら円高・円安でも売り時・買い時になる

円高・円安とは、円以外の通貨に対する相対的な価値のことを表します。つまり、円高なら円1単位で交換できる他通貨の単位数が相対的に多くなる状態、円安なら円1単位で交換できる他通貨の単位数が相対的に少なくなる状態です。

例えば1ドル100円のとき、1万円を米ドルに交換する場合、交換できる米ドルの量は100ドルです。しかし、円高になり1ドル90円となったときは、約111米ドルと交換ができます。逆に円安になり1ドル110円のとき、交換できる米ドルは約90ドルです。

【円安・円高とは?】

米ドル円の為替レート1万円を交換すると何米ドルになる?状態
1ドル100円(変化なし)100米ドル
1ドル90円になった(円高)約111米ドル円1単位で交換できる他通貨の割合が1ドル100円のときよりも多い状態になった
1ドル110円になった(円安)約90米ドル円1単位で交換できる他通貨の割合が1ドル100円のときよりも少ない状態になった

FXは、為替レートの値動きを利用して通貨を売買し、売買益を積み重ねていく投資方法です。例えば米ドル円の通貨ペアで、1ドル100円のときに米ドル1万通貨を売り、1ドル99円まで円高が進んだときに買い戻すと、1万円の利益となります。逆に、米ドル円の通貨ペアで1ドル100円のときにドルを1万通貨購入し、円安で101円になったときに売却をすると、1万円の利益となります。

つまり、FXでは円高・円安どちらになっても利益を狙えます。またこれは米ドル円の通貨ペアに限ったことではありません。全ての通貨ペアで為替レートが上下どちらに動いても、利益を狙えるのがFXの特徴です。

FXは、値上がりしなければ利益が出ない一般的な株式投資や投資信託のような投資よりも、利益を狙えるチャンスが多い取引と言えるでしょう。

ローソク足におけるFXの売り時の見極め方

FXは為替の上下を当てるギャンブルではありません。チャートや経済指標についての知識を高めていけば、売り時や買い時の見極め方がわかり、FX取引の勝率は上がっていくでしょう。

ここではFX取引でよく用いられる分析手法の一つ、ローソク足チャートの一例を紹介します。ローソク足チャートとは、一定期間の始値、終値、高値、安値をローソクのような棒で表し、そのローソクの形や棒の並びで今後の値動きを予測する分析手法です。

ローソクの終値と始値で囲まれた部分のことを実体、実体の上に延びている線を上ヒゲ、下に延びている線を下ヒゲと言います。始値よりも終値の方が高値のローソクを陽線(赤色)※、始値よりも終値の方が安値のローソクを陰線(青色)※と言います。

※陽線や陰線の色はFX会社によって異なります。陽線、陰線の色を任意に変更できる場合もあります。

【大陽線・大陰性】
大陽線は実体部分が大きい陽線のことで、一方的に買いの勢いが続いたことを示しています。下げ相場で大陽線が確認できたときは買いシグナルと考えられます。逆に大陰線は実体部分が大きい陰線で、一方的に売りの勢いが続いたことを表しています。高値圏で大陰線が確認できたときは、売りシグナルと考えられます。

【上影陽線(うわかげようせん)・上影陰線(うわかげいんせん)】
上影陽線とは、実体が短く長い上ヒゲを示した陽線・陰線です。上影陽線は高値圏で表れたら売りシグナル、下値圏で表れたら買いシグナル。上影陰線は高値で表れたら売りシグナルと考えます。

【小陽線・小陰線】
実体部分が短い陽線・陰線のことです。小陽線は微妙に上昇に向かっているものの、相場に迷いが生じていることを示しています。また小陰線は微妙に下落に向かっているものの、相場に迷いが生じていることを示しています。

この他にもローソク足のパターンはありますが、ここではわかりやすいものを紹介しました。ただローソク足チャートのパターンをいくつか覚えただけでは、少し心もとないと感じる方もいるでしょう。一般的にチャート分析は、ローソク足とこれから紹介するテクニカル指標を組み合わせて行います。

テクニカル指標におけるFXの売り時の見極め方

テクニカル指標とは過去の為替レートの値動きなどをチャートで表した指標です。テクニカル指標を頻繁に分析していると、過去にも同じような値動きのパターンが確認できることがあります。こうした過去の値動きに関する経験則から売り時、買い時を見極めることを「テクニカル分析」と言います。

以下、代表的なテクニカル指標と、売り時の見極め方について解説します。

移動平均線

移動平均線とは一定期間の終値の平均値を表したグラフのことです。移動平均線が上向きなら上昇トレンド、下向きなら下降トレンド、横ばいならレンジ相場と考えられます。また終値が移動平均線よりも上にあれば上昇相場、下にあれば下落相場と判断します。

移動平均線を使った最もポピュラーな売り時のシグナルはデッドクロスです。デッドクロスとは短期移動平均線が長期移動平均線を上から下に突き抜けることです。逆に短期移動平均線が長期移動平均線を下から上に突き抜けた状態はゴールデンクロスといい、買い時と言われます。

【デッドクロス】
短期移動平均線(10日、25日)が、長期移動平均線(75日)を上から下に突き抜けている。

【ゴールデンクロス】
短期移動平均線(10日、25日)が、長期移動平均線(75日)を下から上に突き抜けている。

移動平均線は過去の値動きを後追いする指標であり、相場の行方を予測するには向いていない点に注意が必要です。

ボリンジャーバンド

米国の投資家、ジョン・ボリンジャーが考案したテクニカル指標です。為替レートは95.45%の確率で2σと-2σの間で収れんするという統計学の考え方を用いており、下のボリンジャーバンドに触れたら反発する可能性が高い(買いシグナル)、上のボリンジャーバンドに触れたら下落する可能性が高くなる(売りシグナル)という見方をします。

【ボリンジャーバンド】

ボリンジャーバンドはレンジ相場に強いテクニカル指標と言われていますが、トレンドが発生するとバンドにそってローソク足が並ぶバンドウォークが起こり、機能しなくなることがあります。

エンベロープ

エンベロープとは、移動平均線から上下に乖離した線を引いたテクニカル指標です。下のバンドに近付くと買いシグナル、上のバンドに近付くと売りシグナルというように、逆張りに使います。また、上下のバンドを上抜けすると買いシグナル、下抜けすると売りシグナルというように、順張りに使うこともあります。

【エンベロープのイメージ】

エンベロープはボリンジャーバンドと同様、強いトレンドが発生するとバンドに張り付いたまま反転が起こらないことがあります。

一目均衡表

ローソク足と、転換線、基準線、先行スパン1,2、遅行スパンの5本の補助線を用いて相場を分析するテクニカル指標です。先行スパン1と2の間を雲といい、ローソク足が雲を下から上に抜けると買いシグナル、雲を上から下に抜けると買いシグナルと言われます。

【一目均衡表のイメージ】
白くなっている部分が一目均衡表の雲です。雲は抵抗帯を表し、雲が厚いほど反転がしにくい傾向があります。

一目均衡表の雲が厚いと、雲を抜けきれずに雲の中で価格が上下するレンジ相場を形成することがあります。また、雲がねじれたときもレンジ相場を形成しやすいため、状況に応じたトレードが求められます。

MACD

MACDは「Moving Average Convergence Divergence」の頭文字をとったもので、「マックディー」と読みます。MACDは、シグナル線(単純移動平均線)とMACD線の二つで構成され、2本の線の位置関係でトレンドや売買タイミングを見極めるテクニカル指標です。MACD線は「短期EMA(指数平準移動平均線)-長期EMA」で表せます。

MACDの中央に引かれている線は、「ゼロライン」と呼ばれます。MACD線がシグナル線を下から上に抜けるゴールデンクロス発生後に、MACD線がゼロラインを上回ると買いシグナル、MACD線がシグナル線を上から下に抜けるデッドクロス発生後に、MACD線がゼロラインを下回ると売りシグナルとなります。

【MACDのイメージ】
ローソク足チャートの下に表示されているのがMACDです。青がMACD、黄色がシグナルを表します。

MACDはトレンド転換を見つけやすいというメリットがある反面、だましに遭いやすい点には注意が必要です。だましについては後の章で解説します。

RSI

RSIは価格の値上がり幅と、値下がり幅から、値動きの強さを数値化したテクニカルチャートです。相場の売られ過ぎ、買われ過ぎを判断する指標で、RSIが30を割り込むと買いシグナル、70を超えると売りシグナルと判断できます。

【RSIのイメージ】
赤い水平線が70ライン、オレンジ色の水平線が30ラインです。

RSIは価格が急騰すると100や0で張り付いたままになり、機能しないことがあるため注意が必要です。

ストキャスティクス

ストキャスティクスは、一定期間の高値と安値から相場の売られ過ぎ、買われ過ぎを判断する指標です。20%ラインより下で%Kが%Dを下から上に抜けると買シグナル、80%ラインより上で%Kが%Dを上から下に抜けると売りシグナルになります。

またストキャスティクスは価格が上昇しているにもかかわらず、ストキャスティクスは下落方向に向かうといった、相場と逆の動きを示すことがあります。この現象を「ダイバージェンス」と言い、相場の転換が近いことを表します。

【ストキャスティクスのイメージ】
青いラインが%K、赤いラインが%Dです。

ストキャスティクスもRSIと同様、大きなトレンドが発生すると、上下に張り付いたまま機能しないことがあります。

チャートパターンにおけるFXの売り時の見極め方

チャートパターンとは、トレンド反転や継続をするときに現れる特徴的なローソク足の並びのことを言います。多くの種類のチャートパターンがありますが、ここではダブルボトムとダブルトップの2つを紹介します。

ダブルボトム

ダブルボトムとはローソク足チャートで同じような谷が二つ並び、谷底にあたる安値がほぼ同じ価格になる型のことです。安値圏でネックラインを上に抜けると、上昇トレンドに向かう兆候を表します。ネックラインとは安値圏で高値のポイントを結ぶように引くラインのことです。

ダブルボトムは完全にネックラインを抜けきったら買いシグナルです。抜けきらないうちに買いエントリーをしないように注意しましょう。

ダブルトップ

ダブルトップはローソク足チャートで同じような山が二つ並び、山頂にあたる高値がほぼ同じ価格になる型のことです。高値でネックラインを下に抜けると、下降トレンドに向かう兆候を表します。

ダブルトップもネックラインを完全に下抜けしたタイミングが売りシグナルです。ネックラインを下抜けしないうちに売りエントリーをしないように注意してください。

おすすめのテクニカル指標組み合わせパターン

テクニカル指標はトレンド系とオシレーター系に大別されます。トレンド系は現在の相場の方向性から、順張りでエントリーするタイミングを見極める目的で利用します。一方、オシレーター系は売られ過ぎ、買われ過ぎを判断して逆張りでエントリーする目的で利用します。

オシレーター系の指標はトレンドが見つけやすい反面、だましに遭いやすいため、トレンド系の指標と組み合わせるのがおすすめです。ここでは、移動平均線とMACDの組み合わせを紹介します。

以下のチャートは上段がローソク足と移動平均線(青が10日、緑が25日、オレンジが75日移動平均線)、下段がMACD(青がMACD線、黄色がシグナル線)になります。ローソク足とMACDのいずれもデッドクロスを示していることから、単独のテクニカル指標で見るよりも高い確率で売りシグナルであることがわかります。

ただし複数のテクニカル指標を組み合わせても、必ずトレードが成功するとは限らないことはご留意ください。

今回紹介したテクニカル指標は、次のように分類するのが一般的です。

【トレンド系】

  • 移動平均線
  • MACD(トレンド系、オシレーター系どちらにも含まれると言われています)
  • ボリンジャーバンド
  • パラボリック
  • エンベロープ
  • 一目均衡表

【フォーメーション分析】

  • ダブルボトム
  • ダブルトップ

【オシレーター系】

  • MACD
  • RSI

FXで売り時・買い時を判断する際の注意点

テクニカル指標を使いこなせるようになると、トレードの勝率は上がるでしょう。しかし、テクニカル指標をどんなに分析して、自信をもってエントリーしても、セオリー通りの値動きとは反対に動く、いわゆる「だまし」に遭う可能性はゼロにはできません。

テクニカル指標を複数組み合わせたほうが良いのは、だましによる損失を避けるためです。特に初心者の方や、負けが続いている方は、分析を十分にして一つひとつのトレードを慎重に取り組んでみましょう。

また、世界経済の動向や各国の金利動向、重要な経済指標に関する情報にも普段から触れておくことが大切です。テクニカル指標で売りシグナル、買いシグナルが出ていたとしても、重要な経済指標の発表内容次第ではトレンドが大幅に変わる可能性があります。

FXの売り時・買い時に悩みたくない人は「自動売買」がおすすめ!

FXは上昇局面でも下落局面でも利益を狙えますが、その分、売買のタイミングの見極めが難しいため、売り時、買い時の判断はテクニカル指標を活用すると良いでしょう。ほんの一部ではありますが、今回紹介したテクニカル指標の使い方を参考にしてください。

しかし、テクニカル指標を使いこなせるようになるには大変な時間がかかります。そこでおすすめするのが、インヴァスト証券の自動売買システム「トライオートFX」です。トライオートFXなら、すでに実績を出している自動売買プログラムを選ぶだけで簡単にFX取引が始められます。自動売買はあらかじめ設定した条件をみたすと、自動的に売買、決済が行われるためテクニカル指標などで売買の判断をする必要がありません。

またトライオートFXは裁量取引もできるため、自動売買を行いながら、今回紹介したようなテクニカル指標やチャートパターンも活用できます。すぐにFX取引を始めたい方は、トライオートFXもぜひ検討してみましょう。

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