【図解あり】円安・円高とは?仕組みや覚え方・個人への影響をわかりやすく解説

円安と円高の違いがすぐに思い浮かばず、為替の話題を避けていませんか?円安・円高はさまざまな場面で個人や消費者に影響を与えています。知らないうちに円安・円高が、自分の資産価値に影響を与えているかもしれません。

この記事では、円安・円高のメリット・デメリットや、個人および企業に与える影響についてわかりやすく解説しています。為替の知識に自信がない人、為替の知識を身に着けたい人は、ぜひ最後までお読みください。

円安・円高とは

円安・円高とは、円に対する相対的な価値を表します。円1単位で交換できる他通貨の単位数が相対的に多ければ円高、少なければ円安になります。

例えば1万円をドルに交換したいとき、1ドル100円なら100ドルに交換できますが、1ドル200円なら50ドルしか受け取れません。つまり1ドル100円よりも1ドル200円の方が、円1単位で交換できるドルが相対的に少ないため「円安」となります。

逆に1ドル80円のときに1万円と交換した場合は、125ドルも受け取れます。この場合、円1単位で交換できるドルが相対的に多いため円高となります。

円安・円高になる仕組み

通貨の価格は、欲しいと思う人が多いほど、つまり需要が増えるほど高くなり、欲しいと思う人が減るほど、つまり需要が少なくなるほど安くなります。

円の場合、円の需要が高まれば円高、円の需要が低下すると円安になります。ここでは円安・円高に影響を与える要素として代表的なものを3つ紹介します。

【円安・円高に影響を与える要因】

  • 金利
  • 物価
  • 貿易収支

円安が進む仕組み・メカニズム

まず円安が進む仕組み・メカニズムについて見て行きましょう。

  • 金利
    仮にアメリカよりも日本の金利が高い場合、多くの人が日本にお金を預けようと思うでしょう。この場合、ドルを円に換える人が増えるため、円に人気が集まり円高(ドル安)になります。
  • 物価
    物価が上昇(インフレ)になると、同じものを購入するのに多くの円を交換する必要があるため円安になります。例えばこれまで100円で購入できたものが150円になると、円の価値が下がったことになります。円の価値が下がると、外貨と交換するときも円の価値が下がるため、円安になります。(※逆に円安がインフレを招くこともあります。)
  • 貿易赤字
    日本は原油などのエネルギー資源の多くを海外からの輸入に頼っています。輸入代金は外国の通貨で支払うことになるため、円を売って外貨を買う必要性が生じます。そのため輸入の増加は円安要因です。

貿易収支は輸出額から、輸入額を差し引いて計算します。輸出より輸入が上回っている状態を貿易赤字と言い、円安要因となります。

円高が進む仕組み・メカニズム

次に円高が進む仕組み・メカニズムを解説します。

  • 金利
    日本よりもアメリカの金利が高い場合、多くの人がアメリカの銀行にお金を預けようと思うでしょう。この場合は、円をドルに換える人が増えるため、ドルに人気が集まり円安(ドル高)になります。
  • 物価
    物価が下落(デフレ)になると、少ない円でも同じものが購入できるようになります。例えばこれまで100円で購入できたものが50円になると、円の価値が上がったことになります。円の価値が上がると、外貨と交換するときにも円の価値が上がるため、円高になります。
  • 貿易黒字
    日本から海外に輸出をするとき、商品代金を外貨で受け取ります。しかし円に戻さなければ国内で使えないため、外貨を売って円を買う必要性が生じます。つまり輸出-輸入で計算する貿易収支が黒字の場合、円高要因となります。

円安・円高は何円から?基準値は?

円安・円高とは円の他通貨に対する相対的価値であることから、「1ドルがいくらになると円高・円安と言うのか」といった基準値がありません。円安・円高はあくまでも、ある時点と比較をして為替レートがどう変化したのかを表すために用いられます。

例えば2022年1月のある時点での為替レートが1ドル115円、2023年1月のある時点での為替レートが1ドル130円だったとすると、「2022年1月に比べて、2023年1月は15円の円安になった」、あるいは「2022年1月は、2023年1月より15円の円高だった」という使い方をします。

円安・円高の覚え方

1ドル100円から120円のように金額が上がると「円安」、1ドル100円から80円のように金額が下がると「円高」となりますが、日頃から業務などで為替に触れていない人は混乱するかもしれません。

円安・円高を速やかにイメージするためには、「1ドルを円で購入するのにいくら必要か?」を基準に考えると良いでしょう。

例えば、1ドル購入するのにこれまで115円で済んでいたものが1年後130円必要になった場合、円の「価値」が15円分だけ安くなった(円安)、逆に1ドル購入するのに100円で済むようになった場合、円の「価値」が15円分だけ高くなった(円高)と考えます。

円安と円高は企業・個人にどんな影響を与えるの?

海外に輸出している企業にとっては、円安になると海外で安く売れるようになるため、商品がたくさん売れるようになります。しかし、海外旅行をする一般消費者にとっては外貨と円を交換する際、たくさんの円を支払う必要があるため不利になります。このように円安・円高どちらがいいかは、一般消費者や企業など立場によって変わります。

円安の方がいい立場、円高の方がいい立場について詳しく知りたい人は、以下の記事が参考になります。

関連記事:円安と円高ならどっちがいい?個人でできる対策方法も解説

円安と円高のメリット

円安と円高のメリットについて詳しく見て行きましょう。

円安のメリット

円安のメリットとしては、個人の場合、外貨建の金融商品を保有していると、金融商品の相対的な価値が上昇することが挙げられます。例えば1万ドル分の株式を保有している場合、1ドル100円のときに円に換金すると100万円ですが、円安で1ドル110円のときに円に換金すると110万円になります。

企業の場合、円安は輸出企業にとってメリットになります。海外に輸出する際、企業から外貨で支払われますが、この外貨を円に換金するときに円安だと、より多くの円と交換できるからです。

円高のメリット

円高のメリットとしては、個人の場合、輸入品が安く買える点が挙げられます。500ドルの商品があったとすると、1ドル100円なら5万円支払う必要がありますが、1ドル80円なら4万円で済みます。

また、海外旅行に行く個人にとっても円高はメリットです。旅行先で使う予算が10万円だった場合、1ドル100円なら1,000ドルしか交換できませんが、1ドル80円なら1,250ドルと交換できるからです。

企業も個人と同じ理由で、輸入企業や海外から多くの原材料を輸入している企業にとっては有利に働きます。

円安と円高のデメリット

次にデメリットについて、円安、円高のケースに分けて紹介します。

円安のデメリット

円安のデメリットとしては、輸入品が割高になる点が挙げられます。例えば500ドルの商品があったとすると、1ドル100円なら5万円の支払いで済みますが、円安で1ドル120円になると6万円の支払いが必要です。

また、海外に出かける人にとってもデメリットになります。海外で自由に使える予算が10万円だったとすると、1ドル100円のときは1,000ドルと交換できますが、円安で1ドル125円のときに交換すると800ドルしか受け取れません。

企業の場合、個人と同じ理由により、輸入企業や原材料を輸入に頼っている企業は不利になります。

円高のデメリット

円高のデメリットとしては、個人の場合は外貨建て資産の価値が目減りすることが挙げられます。1万ドルの外貨預金を円に換金する際、1ドル100円のときに換金すれば100万円受け取れますが、円高で1ドル80円のときに円に換金すると、80万円になってしまいます。

企業の場合、円高は特に輸出企業にとってデメリットが大きいです。商品価格が100万円だった場合、1ドル100円のときに海外企業に輸出すると1万ドルの支払いで済みますが、1ドル80円になると輸出先は1万2,500ドルの支払いが必要になり、輸出先の国内で購入した方が得になるからです。また、販売して受け取った外貨を円に換金するときも、円高では不利になります。

円安・円高のとき個人消費者がすべき行動とは?

為替レートは絶えず変動しているうえ、海外の中央銀行の政策金利や経済情勢からも影響を受けるため、円安・円高の局面はそれぞれ不定期に訪れます。円安・円高から自身の資産を守るには、円安のときと円高のときとで個別に対策を立てるという考え方ではなく、常に国内の資産のほか海外の資産を保有しておくことが大切です。

資産の価格変動リスクは、値動きの特徴が異なる複数の資産を保有する「資産の分散」を心がけると、ある程度抑制することができます。国内の資産に加え、海外の資産を併せ持つことも「資産の分散」に含まれます。

代表的な海外資産としては、外国株式、外国投資信託、外貨建て預金のほか、一般的にリスクが高いと言われるFXも、実は外貨建て預金のように運用することが可能です。円安・円高から自身の資産を守るためにも、資産の一部に海外資産を取り入れてみるといいでしょう。

まとめ

為替レートは絶えず変動しているうえ、海外の中央銀行の政策金利や経済情勢からも影響を受けるため、円安・円高は不定期に訪れます。また、円安・円高は立場によってメリット・デメリットがあり、リスクだけを回避するということは難しいでしょう。そのため、円安・円高は個別に対策を立てるのではなく、国内資産に加え、海外資産も保有して「資産の分散」を図ることが大切です。

代表的な海外資産としては、外国株式、外国投資信託、外貨建て預金のほか、FXも外貨建て預金のような運用が可能です。インヴァスト証券の「トライオートFX」は、FX自動売買システムを活用してコツコツと資産を積み上げていく仕組みです。トライオートFXを活用した運用は、長期的な運用を前提としている仕組みのため、海外資産の1つとしてご活用いただけます。

FXを検討している人は、円高・円安のリスク対策としてトライオートFXの活用もご検討ください。