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【奥村尚監修_コアレンジャー_ユーロ英ポンド】レポート

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お客様に大変ご好評いただいております「有名ストラテジスト監修コアレンジャー」ですが、今回2023年3月までの相場を想定したロジックとして2022年7月30日にバージョンアップ!

ストラテジストによる解説動画

こちらのレポートではトリオアセットマネジメント株式会社代表、奥村尚氏の予想するユーロ英ポンド相場の予想レンジをもとに組成した自動売買プログラム「奥村尚監修コアレンジャーユーロ英ポンド」の解説と、相場の先行きについて解説致します。

1.概論

1- 1. 設定値

通貨ペア:EUR/GBP
想定期間:2022年7月~2023年3月末

EUR/GBPストラテジスト想定値想定レンジ利確幅
サブレンジ(売り)0.865~0.8630.866~0.86240pips
コアレンジ(売り買い)0.863~0.8510.862~0.85220pips
サブレンジ(買い)0.852~0.8490.852~0.84840pips
出所:トライオートFXのツール画面よりインヴァスト証券作成

1-2.有名ストラテジスト監修コアレンジャーの選び方

有名ストラテジスト監修コアレンジャーは、他のコアレンジャーとは異なり、「ストラテジストによる将来の相場予測に基づくレンジ設定」というアプローチで作成されております。
そのことから、過去の相場におけるシミュレーション結果である、自動売買セレクトの期間収益率やリスクリターン評価の値はあまり参考になりません。
自動売買プログラムを選択する上では、ストラテジストの解説レポートを確認し、


①将来の相場予測に基づいたレンジ設定であるという認識をもってください。
②運用通貨ペアがレンジ相場を形成するかどうかについて。
③ストラテジストの相場予測が腑に落ちるかどうかについて。

という点から自動売買プログラムを選出して頂けますと幸いです。

1-3.注意点

ストラテジストによる相場想定は、2022年7月時点のものです。
今後の相場状況等の変化により、想定が変更される可能性がございます。
相場の状況と、解説レポートの内容、及び自動売買ロジックの注文設定をご確認いただき、お客様のご判断のもとで運用をご検討ください。

2.想定レンジ根拠

2-1.ユーロの動向

 ユーロ英ポンドの今後の予想する前に、少しだけユーロと英ポンドという通貨を振り返ってみたい。

ユーロは、1999年1月1日に当時は仮想的な欧州共通の通貨としてスタートしている。仮想的というのは、実際の通貨として紙幣もコインもまだ存在していなかったためである。通貨としての現物が登場したのが2001年。現在27か国で構成される欧州連合(EU)加盟国19か国で導入されている通貨だが8か国では導入していない。EU全加盟国共通の通貨ではないこともわかる。
 ユーロが登場する前、欧州は、ドイツはマルク、フランスはフランなどそれぞれの国で法定通貨を定めていた。この当時から欧州では国境を自由に行き来できたが、スキーで知らない間に国境を越えてしまい、先ほど使った通貨が使えないこともあった。財布の中は数々の通貨、ポケットでコインが混ざり、どの国の通貨だかわからかった。これでは不便だし、米国という経済強国と競争するために通貨統合が夢であった。
 この夢はEUの前身EC (1972年)から構想されており、1988年から本格的な導入に向けた検討が始まった。構想から実に29年もの期間を経て実現された夢だ。

仮想ユーロがスタートした1999年からの推移を、ドルインデックスとユーロインデックスでみておく。通貨インデックスは、ドルを複数の通貨でミックスして合成したものである。ここでは、金融市場で一般的に使う以下のものを採用した。

<ドルインデックス>
ユーロ、円、英ポンド、カナダドル、スェーデンクローナ、スイスフランで構成
<ユーロインデックス>
ドル、スイスフラン、英ポンド、円、ノルウェークローナ、スェーデンクローナで構成

出所:TrioAM作成

長期推移をみると、ドルとユーロは上下対象になっているが、ドルインデックスは過半のウェイトでユーロを組み込み、ユーロも同様にドルを主要ウェイトにするので、どうしてもこうなりやすい。今はドルが巻き返し中である。

2-2.英ポンドの動向

続いて英ポンドだが、EUとは決別した国の通貨でもある。イギリスが国民投票でEU離脱を選択(2016年6月23日)し、2020年1月31日に離脱した。
 イギリスが国民投票をする少し前の2014年から推移をみてみよう。英ポンドとユーロを対米ドルレートとして、肝心のユーロ英ポンドも入れてプロットした。

出所:TrioAM作成


英ポンドもユーロも、対ドルで似た動きをしている。下落率も英ポンド-27.5%、ユーロ-26.2%とほぼ等しい。ユーロ英ポンド はわずかに上昇、+1.9%であった。

2-3.BOEとECBの政策金利

さて、今後のユーロ英ポンドの動きを観るために、イングランド銀行(BOE)と欧州中央銀行(ECB)が誘導する金利を想定しておきたい。

BOEは昨年から利上げを開始しており、21年12月(0.15%)、21年2月、3月、5月、6月(いずれも0.25%)と5回連続の利上げを進め、7月中旬現在1.25%である。
しかし、「今年10月にはインフレ率が10%に達する」という予想がさらに悪化し11%に上方修正されるなど、40年ぶりの高インフレの対応に四苦八苦している。今の利上げペースでは物価の抑制に間に合っていないので、利上げペースを上げることになろう。経済へのダメージも大きくなるが、今後もECBに並んで利上げすると観る。

ECBは、原稿を書いている時点で利上げを行っていないが、7月下旬以降年内4回の理事会によって0.25%の利上げに換算して約5.8回分相当利上げする、と債券市場で予想している。これは昨年12月から6月までのBOEと同等の上げ幅になる。9月には0.5%の利上げが既に先物市場では織り込まれており、7-10月くらいまでは、ユーロ高が進み、その後は英ポンドが巻き返すとみている。

今年に入ってからの長期債(10年国債)利回りをEUとイギリスで比べるとこうなった。
(注)EU圏の市場金利は国ごとに異なる。実務では独の長期金利を用いるのが一般的だが、ここでは正確さを出すため仏独伊3国の長期債利回り用いGDPをウェイトとした加重平均をとってEUの金利とした。

出所:TrioAM作成


これをみると、どちらも2022年6月に入り、長期金利が下落しているのがわかる。短期金利である政策金利が上がるのに長期金利が下がるのは、経済の先行き不安を示す市場からのシグナルでもある。リセッションへの危惧かもしれない

いずれにしても、欧州は政策金利をまだ上げていないのに、長期金利は英国以上に上がっていて金利差が縮んでいる。一時的にはこの傾向は加速するとみる。

この半年の金利差を、(欧州長期金利)-(英国長期金利)として分析すると、こうなる。
横(x)軸が右に行くほど金利差が縮む。縦軸は上に行くほどユーロ高だ。FXレートは、長期金利が上がると強い通貨になるので今後金利上昇が決定的なユーロが強含みになる。

出所:TrioAM作成

準備も整ったので、ユーロ英ポンドのコアレンジの予想に入ろう。
手法は、別項で紹介しているUSDJPYと同様に著者が開発したリスクモデルであるトワイライトゾーンを使う。一定期間のリスクが一定期間続くとして、そのリスクが示唆する幅を確率で推計するものだ。

2-4.想定レンジ

2022年7月21日に計算したEURGBPのゾーンは、上が0.863、下が0.851となった。この範囲をコアレンジとする。リスク計算上確率80%で説明できる。秋までは、このレンジの中でERU高GBP安の方向で推移するとみている。
確率を90%に広げると、上が0.865、下が0.849。この範囲をサブレンジとする。

サブレンジから外れることは想定していないが、様々な不確定要素も大きく、状況次第では前提となるリスクが大きく変わることに留意いただきたい。