アメリカのマーケット展望【2022年4月度】

■短期の相場見通し

S&P500指数の向こう1カ月のターゲットは4800とします。

(出典:ヤフー・ファイナンス)

例年4月15日の確定申告の前は投資家が手元のキャッシュポジションを高めるので株式は伸び悩みやすいです。しかしそれが過ぎると還付金で株式を買う投資家が多く市場が急騰する場面があります。今年は4月15日がグッドフライデーの休日なので4月18日(月)を締め切りとしています。

言い直せば月の前半はやや軟調な動き、後半は確りの展開を予想します。

懸念点としてはこのところの好調な株式市場で連邦準備制度理事会(FRB)はマーケットのことを心配することなくタカ派な発言をすることで「大急ぎで政策金利を2.5%へ持ってゆく」というフォーワード・ガイダンスを繰り返すリスクがある点です。

既に10年債利回り-2年債利回りで計算される長短金利差は0.06%とかぎりなく「0」に近づいています。

(出典:ヤフー・ファイナンス)

普通、長短金利差が「0」になると、それはリセッション(景気後退)の前兆であると考えられます。もちろん長短金利差が「0」になった直後にリセッションが来るのではなく、普通、1年から2年後くらいに実際のリセッションが到来します。

つまりFRBは株式市場の強いこの局面でハッキリとタカ派のスタンスを打ち出し、口先介入のちからで市場参加者のインフレ期待に働きかけようとしているわけですが、利回り曲線(イールドカーブ)が平坦になりすぎているのでトークのちからでインフレをねじ伏せるのには限界があるということです。

■米国経済の現況

米国経済にはやや不安な兆候が出始めています。

最初の懸念点はこのところの全米平均ガソリン価格の上昇です。

(出典:セントルイスFRB)

アメリカ人はクルマ通勤なのでガソリン価格の上昇は懐に響きます。それは将来の消費の減退要因になりかねません。

次に過熱していた住宅市場も減速の兆しが見えています。30年固定住宅ローン金利は下のチャートのように最近上昇しています。

(出典:セントルイスFRB)

これを受けて新規ローンの組成は減速が伝えられています。

次にミシガン大学消費者信頼感指数も暗転しています。

(出典:セントルイスFRB)

つまり米国経済は利上げに対して案外脆いかもしれないのです。

■企業業績

4月半ばから2022年第1四半期決算発表シーズンに突入します。戦争が消費者のセンチメントに与える影響、そして戦争によりエネルギー価格や穀物価格が一段と高騰したことが企業の収益見通しにどのような影響を与えたかを見極めたいと思います。

■注目ETF

4月は前半軟調、後半は堅調なマーケットを予想します。トレード戦略としては米国を代表する株価指数であるS&P500に投資するSPDR S&P500 ETF(コード:SPY)、さらにナスダック100指数に投資するパワーシェアーズQQQ信託シリーズ(コード:QQQ)、小型株指数であるiシェアーズ・ラッセル2000ETF(コード:IWM)さらに破壊的イノベーション企業に投資するARKイノベーションETF(コード:ARKK)を4月後半に買い建てるのが良いと思います。月の前半の軟調な相場をショートで取るのは難易度が高いので諦めたいと思います。コモディティ関連ではiシェアーズ・シルバー・トラスト(コード:SLV)をロングする手もあると思います。