豪ドルNZドル-2022年相場予想と戦略-

豪NZ中銀の金融正常化の状況次第

※本記事は2021年12月末時点に作成しております。文中の内容は作成時点の情報に基づくものとなっております。


【2021年の豪ドル/NZドル相場を振り返って】

 2021年の豪ドル/NZドル相場は、両国の新型コロナウィルスの感染状況の差から、NZ中銀が早期に金融正常化に足取りを切ったことで、総じて軟調な展開となりました。
 年初は、前年末に中国が豪州からの石炭輸入に制限をかけたことで、売り込まれた反動やモリソン政権の内閣改造、また、スエズ運河で大型船が座礁したことで、供給不安から原油価格が68ドルまで上昇し、加えて、金価格なども上昇を強めたことなどから、1.0948NZドルまで買い戻されました。ただ、これが年間高値となり、その後は、豪州産ワインに中国が追加関税をかけたことを豪州がWTIに提訴したことで、中国との関係悪化に対する懸念が生じました。また、中国が「共同富裕」政策を打ち出したことで、中国経済に悪影響が出るとの見方が重なり、加えて7月の会合で豪準備銀行が3年債の利回り目標を0.10%に据え置きし、債券購入プログラムによる購入額を週40億豪ドルで維持することを決定しました。一方のNZ準備銀行は、大規模資産購入プログラム(LSAP)の追加資産購入の停止を発表したことなどから、1.0280NZドルまでじり安となりました。ただ、9月に入って、供給不足懸念により、原油価格が85ドル台まで上昇し、中国が環太平洋経済連携協定(TPP)への正式な加盟申請をしたことが好感されて1.0613NZドルまで反発した。しかし、中国恒大集団のデフォルト懸念によって、香港や中国株が調整色を強めたことに加えて、10月にNZ準備銀行が2017年7月以来の利上げに踏み切り、11月も連続利上げを実施したことで、豪NZ金利差拡大の思惑がAUD/NZDの上値を抑えて、2022年の取引を終了しようとしています。 

有限会社フォレックスラジオ作成

【2022年の主な材料】

 以下が現在、判明している来年のイベントや材料です。注目度の高いものは太字で表示しています。ただ、あくまで予定で、変更されることがあります。

 リポートの作成時点では、情報量が少ないのは残念ですが、2022年は米国の中間選挙を始めとして、欧州の選挙や日本の参議院選挙など選挙が多く予定されています。政治の為替市場に与える影響は不透明ですが、株価面では、財政出動などの期待が高まり易く、その場合為替市場でも、リスクオン・オフの動きに一定の影響を与える可能性には注目しておきましょう。ただ、近年の米中対立の姿や豪州も中国との関係悪化を考えると中国の全国人民代表大会や共産党大会での決定に、緊張を高める内容が見えた場合、株価や豪ドル相場に一定の影響を与える可能性には注意となりそうです。
 一方金融政策では、アフターコロナを睨んで、FOMCやNZ準備銀行、豪州準備銀行が、「金融正常化」に向けて動き出す可能性が高いものの、引き締めのスピード感のギャップが、各通貨の動きに影響を与えそうです。また、上昇を続けるインフレに、FOMCが金融引き締めのスピードを強めた場合、ドル相場が底堅くなりそうです。主にドル建てで取引される原油や金などの商品市況には、マイナスの影響を与えることから、資源国通貨の豪ドル相場に良い影響はなさそうです。
 来年のAUD/NZD相場も、豪州とNZ準備銀行と金融正常化のスピード感、中国の景況感や米中対立の構図、商品市況の状況などが最大の焦点となりそうです。 

【2022年の注目点】

 2020年の相場環境を踏まえて、2021年の豪ドル/NZドル相場の注目点をまとめてみました。

・豪ドル/NZドル相場のファンダメンタルズ
・商品価格の上昇は続くのか?
・中央銀行の政策に変化はあるのか?

〇 豪州とNZのファンダメンタルズの違い

 ご存知の通り、豪州とNZは両国ともイギリス連邦の加盟国であり、地理的にも近く、地政学的リスクが低いこともあって、高金利通貨として過去人気を博してきました。
 ただ、昨年は新型コロナウィルスの感染拡大もあって、両国とも歴史的な低金利水準となっています。金利面での投資妙味の低下自体は、豪ドル/NZドル投資に関しては、影響はありませんが、豪州とNZの金利差は一定の影響があります。

 ただ、以下のチャートをご覧ください。
 これは豪ドル/NZドル相場と、両国の市場性金利となる10年物国債利回り差を示したチャートです。豪ドル相場とNZドル相場は、過去両国の金利差と連動性の高い動きをしていました。ただ、水色で示した近年は、この動きに変化が見えるようです。2016年中盤から金利差が拡大(豪金利高)しているにも関わらず、不思議に豪ドル/NZドル相場は安値圏で放置される動向が続いています。

有限会社フォレックスラジオ作成

 この要因として想定されるのが、豪ドルとNZドルは「オセアニア通貨」として、一括りに考えられがちですが、実際産業面で大きな違いがあります。一言でいってしまえば、豪州は資源国であり、ニュージーランドは農業国であることです。 
 相場の動きに変化が出てきたのが2016-2017年であることを考慮すると、この時に起こった「中国経済の景気減速懸念」が、鉄鉱石や石炭などの資源価格の下落を招きました。加えて、トランプ政権の誕生後、関税強化などで対中政策を強化したことが、中国と関係の深い豪州経済にマイナスの影響を与え、豪ドル相場を圧迫したとの見方があります。
 現在は、豪州の貿易収支が改善したことで、鉄鉱石や金価格などの商品価格も上昇していますが、バイデン政権もウィグルの人権問題、香港や台湾情勢など、安全保障問題で中国に圧力をかけています。また、モリソン豪首相が中国に対して強気姿勢を示したことから、直接的に中国と対立する形となっています。
 一方で、ニュージーランドも乳製品の対中輸出など、中国経済の悪化による影響も一部ありますが、コロナウィルス対策が功を奏していることや政権の安定性もあって、総じてリスクマネーがNZに入り易いのかもしれません。
つまり、近年の豪ドル/NZドル相場は、政治的な「リスクオフ」の思惑の中で動いている可能性があるのかもしれません。

〇 商品価格の上昇は続くのか? 

 豪ドル相場は、商品価格と連動性が高いと指摘されています。
 そこで商品市況を総合的に判断するCRBインデックスと豪ドル/NZドル相場の動向をチェックしておきましょう。
1998年から月足チャートについて、総じて2000年前半は連動性が低いですが、リーマン・ショック前後は上下にブレたものの、その後は連動性が高い形となっています。ただ、現状はCRBインデックスの急騰から離れが見えていますが、CRBインデックスが異常値なのか、AUD/NZD相場が追いかけ行けるのか、今後の大きな注目となりそうです。

 また、中国との関係からは、豪州の資源輸出を代表する石炭価格と豪ドル/NZドル相場の動きを見てきましょう。2008年からのデータについて、こちらも総じて連動性が見えますが、直近では石炭価格が急騰したことで、価格との乖離が出ています。この要因は不透明ですが、クリーン・エネルギーとの兼ね合いからは、石炭価格の動きが異常な展開となっている可能性がありそうです。

 以上の通り商品市況が、豪ドル/NZドル相場に一定の影響があることから、CRBインデックスの今後を見る上で、テクニカル面から状況をチェックしておきましょう。
 以下は1995年からのCRBインデックスの月足チャートです。
 2008年に473.97NZドルの高値を付けた後は、調整が続いていましたが、一応101.48NZドルで歴史的な底値圏をつけて反発も、241.18NZドルでは、超長期のレジスタンスに上値を押さえられています。下段のスロー・ストキャスティクスも買われ過ぎで、反転下落気味であり、調整の可能性が高そうです。ただ、下値はオーバー・シュート気味にサポートを割れていますが、この位置となる183.17NZドルが再維持出来るなら堅調で、割れても142.59NZドルなどが維持されると更に下落は進まない見通しです。ただ、上値は241.18NZドルの戻り高値を越えるまでは、更なる上昇期待は厳しいでしょう。

 以上から判断すると2022年の豪ドル/NZドル相場が、強い上昇となる可能性は低く、良くて保合が続く可能性が想定されそうです。

〇 豪州準備銀行とNZ準備銀行のスタンス
≪豪州準備銀行≫

 豪州準備銀行は、歴史的な低金利となる0.10%に、2020年11月に政策金利となるキャッシュ・ターゲットを1年以上維持しています。
 ただ、来年には、新型コロナウィルスの感染拡大が終息に向かう見通しで、先進国が金融正常化を推し進めています。来年豪州も正常化に向けて、動き出すか注目されます。
 一応豪州準備銀行は、2023年まで利上げしないと声明で繰り返していますが、一方でロウ総裁は、「理事会で2月以降のテーパリングと5月終了を協議した」と表明しています。新しく発見されたオミクロン株の影響次第ですが、来年は豪州準備銀行も金融正常化に向かうと見られます。こういった面が、豪ドル相場を支えるか注目されます。 

 また、豪州の消費者物価指数も見ておきましょう。
 一時新型コロナウィルスの蔓延で、マイナス圏まで沈むも、現在は回復を示しています。ただ、これは大幅調整の反動とみられています。今後も豪州中銀がインフレ目標とする「2%~3%」に安定的に推移するまでは、利上げの想定はされていませんが、状況次第では、思わぬタカ派に変化する可能性もありそうです。今後も豪州準備銀行の政策会合や中銀要人のスタンスの変化には注目しておきましょう。 

≪NZ準備銀行≫

 NZ準備銀行は新型コロナウィルスの蔓延を受けて、2020年3月に、それまで1%としていた政策金利となるオフィシャル・キャッシュ・レート(OCR)を0.75%引き下げて0.25%としました。借入コストの低下を促す資金供給プログラム(FLP)や大規模資産購入プログラム(LSAP)で、流動性の供給を行ってきましたが、、今年7月にLSAPの追加購入を止め、10月と11月に、0.25%ずつOCRを引上げ、現在は0.75%としています。
 11月会合でのNZ準備銀行の声明では、「物価を安定化し、持続可能な最大限の雇用を支援するため、金融政策の引き締めが引き続き適切であると判断」、「インフレと雇用の中期的な見通しを考慮すると、時間の経過とともに金融政策刺激のさらなる解除を予想」としています。今後も金融政策の正常化に向けて、利上げや資産購入の停止を継続する可能性が高そうです。

 では、2022年にどこまで政策金利が引き上げられるでしょう。
 以下のNZ準備銀行の政策金利とインフレ率、NZドル相場をプロットしたチャートを見てみましょう。
 NZ準備銀行は、1-3%というインフレ・ターゲットを設定していますが、直近の消費者物価指数は、4.9%まで上昇しています。利上げは当然のように見えますが、新型コロナウィルスの蔓延で、落ち込んだ経済の反動的な結果との可能性が残っています。NZ準備銀行も、「CPIインフレ率は、短期的には5%を超え、今後2年間で中間値である2%に戻ると予想」しているようです。過去リーマン・ショック前後も5%前半でピークを見せていますので、今後上昇してもこの程度が最大値なのかもしれません。未だ推移を見る必要がありますが、若干注意しなければならない点として、NZの指標は、四半期毎の発表ですので、なかなかその推移を把握しづらい点です。オアRBNZ総裁も、「政策金利について慎重に対応」と述べています。しかしながら、大手投資銀行のJPモルガンなども、2022年は、「新型コロナウィルスで悪化した経済が、完全回復する」と予想しています。個人的にも2022年に、利下げ前の水準1.75%まで、0.25%を4回、オア総裁の会見が予定されている会合に合わせて、利上げを粛々と実施するのではと想定しています。

 そうなるとやはり既に利上げを開始しているNZドルに分がありそうです。ただ、こういった見方は、あまりにも当然過ぎるので、相場に織り込まれている可能性があることは注意です。もし、両中銀が、スタンスを変えるなら相場付きが一転する可能性もありそうです。 
 以下が豪州とNZの来年の金融政策会合の予定日です。両中銀のスタンスの変化に十分気を配りながら対応しましょう。

豪州中銀・政策金利公表
02月01日
03月01日
04月05日
05月03日
06月07日
07月05日
08月02日
09月06日
10月04日
11月01日
12月06日

NZ中銀・政策金利公表
02月23日・総裁記者会見
04月13日
05月25日・総裁記者会見
07月13日
08月17日・総裁記者会見
10月05日
11月23日・総裁記者会見

【テクニカル面】

 まず、豪ドル/NZドル相場を形成する、豪ドル/ドル相場の月足からチェックしておきましょう。
 豪ドル/ドル相場を大きく見ると0.4775ドルの史上再安値から上昇が1.1083で、史上高値をつけて、昨年0.5580ドルまで下ヒゲを描いていますが、現状はこの位置を守って、反発しています。ただ、この戻りも0.8008ドルでCAPされています。特にこの位置は、フィボナッチ・リトレースメント(0.4775ドル-1.1083ドル)となる50%を前に上げ渋っていることは注目です。また、0.8135ドルと0.8008ドルがダブル・トップとして意識されると上昇も厳しそうです。0.7500ドル-0.7800ドルゾーンが抑えるとレジスタンスから弱い形が想定されます。あくまでこういった位置を超えて、0.8660ドル-0.891ドル1ゾーン、0.9196ドル-0.9402ドルゾーンが視野となりますが、0.9205ドルの戻り高値を越えるまでは、あらなる上昇は期待できそうもありません。
 一方下値は、現状の安値0.6994ドルの維持では良いですが、維持できない場合、0.6878ドル、0.6747ドル、0.6373ドルの戻り安値が順次視野となります。ただ、維持では更に突っ込み売りはできませんが、0.5510ドルや0.47745ドルの最安値圏を割れると相場が崩れてしまうので注意です。また、下段のスロー・ストキャスティクスが、現状デッドクロスとなっていて、早期は上値が重そうです。 
 従って、例年の豪ドル/ドル相場の想定レンジを0.6500ドルから0.8000ドル、最大レンジとしては、0.6300ドルから0.8300ドルとします。 

 次にNZドルの対ドル相場の月足を見てみましょう。
 最安値の0.389ドル8からの上昇を、0.8842ドルと0.8838ドルでダブル・トップをつけて、その後の下落が0.3898ドルと0.4895ドルの安値から結んだ長期のサポートを割り込み0.5469ドルの安値まで下落しましたが、この位置を維持して反転しました。ただ、この上昇もレジスタンスを前に0.7465ドルで抑えられて、モメンタムを示すスロー・ストキャスティクスが反転下落中で、上値は0.7198ドル-0.7316ドルゾーンの戻り高値が抑えると弱いです。0.7465ドルや0.7558ドルを越えて、0.7745ドルの戻り高値、0.7889ドル-0.8035ドルの窓の下限、0.8311ドル-0.8535ドルの窓の上限が視野になりますが、上抜けは不透明となります。特に0.8842ドルと0.8838ドルのダブル・トップを基準としたショルダー・トップからは、0.8215ドルが上値を抑える可能性に注目したいです。ただ、あくまで、0.8842ドルと0.8838ドルでダブル・トップを越えて、強い上昇期待とありそうです。
 一方下値は、現状の安値0.6702ドルを割れると、0.6440ドルから0.6589ドル、0.6181ドルの窓の上限、窓の下限0.6181ドル、0.5843ドル-0.5920ドルの戻り安値圏がターゲットとなりますが、維持されると新たに追加してサポートが維持されて、一旦買い場となります。安値の0.5469ドルを割れるケースです。その場合は、0.4895ドルを再度目指すこととなりそうです。 
 従って、NZDドル/ドル相場の今年の想定レンジを、0.6200ドル~0.7300ドルとします。最大でも下値0.6000ドルは支えられると見ています。

 以下は豪ドル/ドル相場とNZドル/ドル相場の想定レンジから、マトリックス・チャート(価格帯によるクロス円の位置)です。 
 豪ドル/ドルの想定レンジを0.6500ドル~0.8000ドル、NZドル/ドルの想定レンジを0.6200ドル~0.7300ドルとしましたので、これから算出された豪ドル/NZドル相場は、若干広いですが最大想定レンジは、0.8904ドル~1.1094ドル程度となります。

 最後に豪ドル/NZドル相場ですが、一定のサイクルがありますので、超長期の月足チャートからチェックしてみましょう。
 御覧のように比較的上下に大きく動いていますが、まず、高値の動きを見ると①が8年4か月、②が10年6か月となっています。もし、2年多くなるパターンを想定すると、次の高値③は、12年後と仮定すれば2023年となります。これがぴったりと来るかは不透明ですが、豪州準備銀行の利上げ時期とも一致します。従って少なくともAUD/NZD相場の本格反騰は、まだまだ先になりそうです。  
 一方下値も一定のサイクルが見えています。
 下値は、過去④と⑤でダブル・ボトムをつけて反転に転じています。現状も一旦ダブル・ボトムをつけているように見えますが、反転できていません。この期間は、④が1年11か月、⑤は2年10カ月となっていますが、現状は異例に長く、⑥は4年11か月となっています。後述する短期月足の保合の上方ブレイクが実現出来ていないことで、まだダブル・ボトムと決定するのは難しいかもしれません。
 上値は、短期の三角保合の上抜けが実現しても、前述の高値のパターンからは、まだまだ本格的な上昇は期待できません。また、過去の安値となる1.0500NZドル、1.0668NZドル、1.0657NZドル、1.04301NZドル、1.0028NZドル、0.9994NZドルを平均した値が1.03795NZドルとなりますが、これを底値レベルとして、一方で上値の1.4228NZドル、1.3644NZドル、1.3793NZドルを平均した1.3888NZドルを高値として、この半値を取ると1.2134NZドルとなりますが、チャート上で示したように、ざっくりと過去の相場の中心値を示しています。
 つまりこのレベルを超えるまでは、更なる大きな上昇は期待できないこととなります。 

 それでは、より直近の月足からテクニカルをみてみましょう。
 今年の3月の0.9994NZドルの安値は、コロナウィルスのリスク回避で、世界的に株価が急落した時の動きですので、オーバー・シュートと見なすと、総じて三角保合の範囲の動きとなっています。当面は、この上下をブレイクしない限り相場に大きなトレンドは見えてこないでしょう。また、ブレイクがあっても、騙しの動きとなるケースや、揉み合いが続く可能性もあることは留意しておきましょう。
 その場合、当面この三角保合の中心値(APEX)となる1.0728NZドルを挟んで、0.0500NZドルのレンジの上下となる可能性で見ています。ただ、徐々に保合が狭まっていることも事実です。レンジ・ブレイクの可能性も注目しましょう。
 上値は、1.08NZドルのミドルがレジスタンスとなっています。この位置から1.0947NZドルから1.1044NZドルを越えて、1.1174NZドル、1.1290NZドルを順次超えると1.1435NZドルなどがターゲットとなります。ただ、1.1680NZドルの今年の上抜けは不透明ですが、超えるなら、中心値の1.2134NZドルへの期待となります。一方下値は、0.9994NZドルの安値からのサポートが1.0356NZドルにあり、維持できると比較的強い形。また割れると過去からのサポートが1.0205NZドル前後にあって維持では堅調ですが、維持出来ない場合、1.0137NZドルや1.0020NZドルの安値圏がターゲットとなります。ただ、維持出来れば良いですが、0.9994NZドルの安値を割れると相場が崩れるので注意しましょう。 
 一応1.0020NZドルと0.9994NZドルの安値でダブル・ボトムをつけていますが、モメンタムを示すスロー・ストキャスティクスが反転下落気味となっており、当面上値の重い状況が続きそうです。 

【予想レンジと戦略】

 それでは以上を踏まえて、豪ドル/NZドル円相場の来年の見通しと戦略についてお話します。
 一応新型コロナウィルスの感染が、終息に向かう前提で予想をしています。もし、更に強いウィルスが出現して、再び経済が大きく落ち込んだり、株価の大幅調整があった場合は、見直しの必要があるかもしれません。また、こういった年間の見通しは、簡単に当たるものではありません。あくまで現在の見通しの基づくものであって、くれぐれも自己責任でご参考として頂ければ幸いです。 

 来年のAUD/NZD相場の想定レンジを1.0200NZドルから1.1000NZドルとします。 今年の値動きが0.06700NZドル程度と少なかったですが、若干拡大する方向で見ています 

 基本的に、戦略は逆張り気味ながら、早期はモメンタムから弱気が想定されることで、あくまでしっかりと押し目を待ちましょう。
 下値は、1.03NZドルのミドルでの買いのストップを、1.0368NZドル割れ。また、1.02NZドル方向への調整を待って買い狙いです。ストップは思い切って、0.9994NZドルに置いて、パリティ近辺まで買い下がるのも良いでしょう。この買いのターゲットは、1.0800-1.0880NZドルが抑えると利食いで、1.0948NZドルを越えても、1.1000NZドル前後ではしっかりと利食いましょう。また売りは、1.0800NZドル台から1.10NZドルと売り場を探して、このストップは1.1044NZドル越え。超えても来年大きな上昇がない前提で、1.1290NZドルや1.1436NZドルをストップに、1.11NZドル-1.13NZドルでは売り上がってみましょう。この売りのターゲットは、1.0200NZドル-1.0400NZドルゾーンがサポートするなら利食い優先が良さそうです。
 また、来年大きなトレンドが発生すると見ていませんが、1.1680NZドルを越える動きがあった場合、その後からトレンドを追うような戦略に転じる方が良いかもしれません。 
 その他、オセアニア通貨の傾向としては、会計が代わる7月からの動きに変化があるなら注意しておきましょう。

※文章中に使用されている、高値・安値等の価格につきましては、筆者が作成に利用したデータ元の価格であり、インヴァスト証券がトライオートFXにて提示した過去の価格とは異なります。