S&P500恐怖指数連動ETNについて

S&P500恐怖指数連動ETNはVIX(ビックスと読みます)指数に連動することを目指した上場型投信(ETN)です。

VIX指数は俗に「恐怖指数」と呼ばれることもあり、米国を代表する株価指数であるS&P500が今後どう動く? ということを巡ってトレーダー達がコール・オプションやプット・オプションを利用してそれに賭けることから導き出されるスポット価格です。そしてVIX指数には先物があり3ヵ月物Tビル・レート+その時点でのVIX指数価格を反映するように設計されています。今日紹介するS&P500恐怖指数連動ETNは、その先物価格に依拠した上場型投信というわけです。

なお、ETFではなくETNという略号になっている点にお気づきの読者も居るかと思いますが、この場合の「N」とはNoteの略であり、突き詰めて言えばこの派生証券の発行者であるバークレイズ銀行が出す証書、ないしは契約書を指します。

言い換えればETFを構成している中味は様々な株券なのですが、ETNを構成している中味は発行者が出す派生証券契約書ということになるのです。トレードの際の要領としてはETFとETNはまったく差異はありません。強いて言えばETNの場合、発行者、すなわちバークレイズ銀行のカウンター・パーティー・リスク(=取引先リスク)が存在するというだけです。

なおS&P500恐怖指数連動ETNはVIX指数をなぞるように設計されているのですが、それは完全に連動しているということではなくて誤差はあります。

(出典:バークレイズ)

あと2021年4月23日にS&P500恐怖連動ETNが前日の引け値$10.41からいきなり$40.23にジャンプしている理由は4:1の逆株式分割を行うことで株価をトレードしやすくリセットしたためです。見かけ上の株価が4倍に増えた反面、発行済み株式数は4分の1になっています。これはたんに商品設計上の方便にすぎないため無視して良いです。

ただし無視できない傾向として、今一度上のチャートを良く見て頂きたいのですが、何事も無ければ、言い換えればリーマンショックや新型コロナなどの突発的な市場の波乱が無い状態では、恐怖指数はズルズルと下落し、だんだん価値を失っている点に特に注意を払ってください。これは本来、突発的イベントに対するヘッジとしてのオプション取引は、予期したような波乱が無ければヘッジ取引のコスト分だけを無駄に消費してゆく、この手のヘッジ・ツールの宿命です。喩えて言えばフォーミュラ1レーシングカーのエンジンを空で吹かし続ければ、ガソリンだけがどんどん無駄に減ってゆくのと同じ原理です。

言い直します。

S&P500恐怖指数連動ETNは「いざ!」という時に助かるヘッジ・ツールには他ならないのですけれど、そのようなチャンスは何年に1回くらいしか回って来ず、それ以外のケースではジリ貧を辿るということなのです。

この習性をよく理解し、必要な時だけS&P500恐怖指数連動ETNをロング(=買いで入ること)することがとても重要になります。

さて、トライオートETFでは以下のような銘柄を取り扱っています。

銘柄名ティッカー取引所
TOPIX連動型
上場投資信託
1306東京証券取引所
日経225連動型
上場投資信託
1321東京証券取引所
(NEXT FUNDS)
日経 ダブルインバース
上場投信
1357東京証券取引所
(NEXT FUNDS)
日経平均レバレッジ
上場投信
1570東京証券取引所
Iシェアーズ
MSCI ACWI ETF
ACWIナスダック
Direxionデイリー
米国金融株ブル3倍ETF
FASNY証券取引所
Iシェアーズ
中国大型株ETF
FXINY証券取引所
SPDR
ゴールドシェア
GLDNY証券取引所
ウィズダムツリー
欧州ヘッジド・
エクイティ・ファンド  
HEDJNY証券取引所
iシェアーズ
iBoxx米ドル建て
ハイイールド社債ETF
HYGNY証券取引所
Iシェアーズ・
ラッセル1000
バリューETF
IWDNY証券取引所
Iシェアーズ・
ラッセル2000 ETF
IWMNY証券取引所
iシェアーズ
iBoxx米ドル建て
投資適格社債ETF
LQDNY証券取引所
パワーシェアーズ
QQQ信託シリーズ1
QQQ  ナスダック
SPDR
S&P500 ETF
SPYNY証券取引所
プロシェアーズ・
ウルトラS&P500
SSO  NY証券取引所
プロシェアーズ・
ウルトラプロQQQ
TQQQ  ナスダック
WTI
原油連動ETF
USO  NY証券取引所
バンガードFTSE
エマージング
マーケッツETF
VWO  NY証券取引所
エネルギーセレクト・
セクターSPDRファンド
XLENY証券取引所
金融セレクト・
セクターSPDRファンド
XLFNY証券取引所
資本財セレクト・
セクターSPDRファンド
XLINY証券取引所
テクノロジーセレクト・
セクターSPDRファンド
XLK  NY証券取引所
生活必需品セレクト・
セクターSPDRファンド
XLP  NY証券取引所
公益事業セレクト・
セクターSPDRファンド
XLU  NY証券取引所
一般消費財セレクト・
セクターSPDRファンド
XLYNY証券取引所
S&P500
恐怖指数連動ETN
VXXCBOE BATS
ARK
イノベーションETF
ARKKNY証券取引所
iシェアーズ・
シルバー・トラスト
SLVNY証券取引所

一番下の3銘柄が今回新規で追加された取扱銘柄になります。マーケットが荒れているときに価格が上昇しやすいという点では、たとえば(NEXT FUNDS)日経ダブルインバース上場投信などと同じ性質を帯びていると考えられないこともありませんが、S&P500恐怖指数連動ETNは、それよりももっと激しい値動きをすることがあります。既に説明したように普段はみるみる価値を失うという特徴があるので、他のどの投資対象とも似ていないと考えた方が良いでしょう。