アメリカのマーケット展望【2021年2月度】

■短期の相場見通し

S&P500指数の向こう1カ月のターゲットは3500とします。


(出典:ヤフー・ファイナンス)

米国株式市場は1月の終わり近くに突然、下げ始めました。その理由は個人投資家の投資資金がごく一部の極めて投機的な株に集中的に向かい、その反動としてこれまで個人投資家に人気のあった大型ハイテク株などが利食いのターゲットにされたことによります。大型ハイテク株は指数に占める比重が大きく、そこから資金が抜けると指数を押し下げやすいです。

相場の荒れ具合を示すボラティリティー指数はどんどん水準を切り上げています。

こういう場合、マーケットはダウンサイドのリスクの方が大きくなりがちです。

2月は経験則的に米国株が弱い月として知られています。

(出典:ストックトレーダーズ・アルマナック)

したがって今月はマーケットの下落に備えるべきだと考えます。

■米国経済の現況

米国経済は去年の夏以降、新型コロナの不況から回復基調にあったのですが、ここへきて景気のモメンタムは再び暗転しています。その理由は新型コロナの第三波が依然として猛威をふるっており都市部のレストランなどが再び閉店に追い込まれていることによります。

12月の非農業部門雇用者数はその関係で-14万人となっています。


(出典:労働省労働統計局)

足下の景気の見通しはそのように暗いのですが、その反面、新型コロナ・ワクチンの注射は尻上がりにペースを上げてきており、これまでに全米で28万9千人、国民の7.2%が注射を済ませています。1日当り130万人のペースで注射が行われています。

すでに米国政府は今年の夏までに国民全員、すなわち3億人分のワクチンを確保しており、集団免疫の成立も夢ではなくなりつつあります。

今年後半に米国民が一斉に街に繰り出し、景気が明るくなるシナリオも十分考えられます。その場合、長期金利が上昇するかどうかに注目したいと思います。

現在のところ10年債利回りは1.06%と極めて低い水準にあり、これはぐずぐずした景気がしばらく続くと債券市場の参加者が考えていることを反映しています。

■企業業績

コンセンサス予想によると2021年のS&P500の一株当たり利益(EPS)は172.05が見込まれています。


(出典:ファクトセット)

いま2020年第4四半期決算の決算発表シーズンが佳境を迎えているのですが大部分の決算はコンセンサス予想を上回っています。それに呼応するカタチで2021年のコンセンサスS&P500EPS予想もスルスル上昇しています。これは株式にとって良い材料です。

■注目ETF

2月は例年、米国株が弱い月として知られています。従って今月はショート、すなわち「売り」から入るトレードを試してみる好機だと考えます。

具体的にはSPDR S&P500ETF(コード:SPY)を「売り」から入るアイデアが考えられます。同様にパワーシェアーズQQQ信託シリーズ1(コード:QQQ)も「売り」から入るのに適しているでしょう。

さらにアグレッシブな投資をするならプロシェアーズ・ウルトラプロQQQ(コード:TQQQ)プロシェアーズ・ウルトラS&P500(コード:SSO)Direxionデイリー米国金融株ブル3倍ETF(コード:FAS)をそれぞれ売り建てるやり方があると思います。

なお「売り」から入るトレードをする際は短期のトレードに徹し、見込み違いで逆を突かれた場合は直ぐにポジションを閉じてください。それはどうしてか? というと相場は基本、右肩上がりであり長い目で見れば相場は上に行くことの方が多いからです。