第577回 【今は、円絡みの通貨ペアのボラティリティが高い】

今週末からGWです。

毎年繰り返しお伝えしていることですが、市場参加者が極端に少なくなるGW期間中はマーケットが薄くなり、経験則が通用しなくなるので、できる限り、休んだ方が良い、と考えています。

GWは日本の連休ではないかという指摘もありますが、世界中の市場参加者は、当然に、東京市場が休場になることを知っているので、それに合わせて休暇を取ったり、積極的な取引を控える傾向が強くなります。

東京の市場参加者が、イースターの期間中は海外勢が休みに入る事を計算して取引するのと同じ事です。

世界の市場参加者は、東京、ロンドン、ニューヨークの三大市場の休場を考慮して、取引のリズムを作っていると考えると分かりやすいかも知れません。

そのため三大市場のどこが休みでもマーケットは薄くなるのですが、東京市場には、大手輸出企業や機関投資家が出す実需の注文が多いという特徴があり、彼ら(実需筋)は、基本的にGWを全休するため、より一層、市場(マーケット)がスカスカになりやすく、そこを狙った投機筋から大量の注文が出た場合は、マーケットがその注文を吸収しきれずに、プライスが飛ぶ危険が高くなります。

加えて現在、円絡みの通貨ペアのボラティリティが高くなっているので、あえてGW中でも参加する場合は、片手間ではなく、万全の態勢で臨み、致命傷を負わないように注意する必要がある、と考えます。

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(2013年04月25日東京時間08:35記述)

第576回 【日本の金融緩和策と今回のG20】

4月18日、19日の日程で、米ワシントンで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、日銀による大胆な金融緩和により円安が進行していることから、日本は景気回復の手段として為替に依存し過ぎていないか、についても議論されました。
 
就任前や就任直後よりも評価が高まっている黒田東彦日銀総裁は、事前の会見で、
「各国には金融緩和の目的は2%の物価安定目標を達成するためであり、通貨安は意図していないと説明する」
と述べています。
 
会議では一部の新興国からは批判が出ることも予想されていましたが、そもそもG20は各国の財務相や中銀総裁が自国の意見を各々述べるだけで、政策をすりあわせたり、正解を探す場ではないので、最後には玉虫色の共同声明が出て閉幕するのだろう、と事前に予測していました。
 
閉幕したG20を見れば、事前予想通りだった、と考えています。
 
麻生財務相は、
「これまで繰り返し、日銀の金融緩和は為替操作を意図したものではなく、長年にわたるデフレ不況からの脱却を目的にしたものだと主張してきた。こうした主張に対し、(声明は)国際社会から理解を得たものと考えている」
と発言。
 
黒田日銀総裁は、
「今回決めた量的質的金融緩和がデフレ脱却のために必要なものだという理解は広く得られたと思う」
と発言。
 
麻生財務相と黒田総裁の発言内容からは、日本の金融政策について行った説明をG20が受け入れたことになります。
 
日本の金融緩和策に、潜在的な不平不満が残ることも事実でしょうが、表立った批判・非難が無かったのですから、そして、声明文に日本の金融政策を具体的に非難する文言は盛り込まれなかったのですから、麻生財務相と黒田総裁の発言内容は、正しいのでしょう。
 
このG20の結果で、ドル/円に関してはもう一段の円安が進行して100円突破もあり得る、と考えています。
 
具体的に円安誘導を懸念する文言が共同声明に盛り込まれた場合は、調整を迎える可能性が高くなる、と、事前には考えていましたが、そのパターンでは来なかった、と判断しています。
 
しかし、過去の声明文の傾向を考えると、もともと、具体的に日本を名指しにすることは無いだろう、とも考えていました。
 
今回のワシントンG20の為替・金融政策に関する共同声明の要旨は、以下の通り。
 
『我々は通貨の競争的な切り下げを回避し、競争力(の維持・強化)のために為替レート(の切り下げ)を目的とはしない。あらゆる形態の保護主義に対抗し、開かれた市場を維持する』
 
ここで、蛇足ながら・・・。
現在の金融マーケットのコンセンサスでは、「金融緩和策は、その国の通貨を弱くする」が正しいとされています。
 
そうだったならば、今回のG20で、日本の金融政策が、直接かつ具体的に非難されていなくても、日本の金融政策が、間接的に非難されている、と考えることができます。
 
ところが、「金融緩和策が、必ず、その国の通貨を弱くするのか?」は、正しいのでしょうか?
 
言い換えれば、「金融緩和策=通貨安政策」であることが、科学的に証明されている訳ではないので、日本は、金融緩和策を取っているが、それは、円安を狙った政策ではない、と言えば、それが通ってしまう訳です。
 
今回の日本の説明は、「詭弁」に過ぎない、と、個人的には考えていますが、オフィシャルには、(公式には、あるいは、一般的には、)日本の言い分が、G20に受け入れられたことになっていますから、その結果に従って、外国為替取引に臨むことが必要だ、と考える次第です。
 
つまり、日本の金融緩和策は、G20で承認された、と考えるべきなのでしょう。
 
そうなると、もう一段の円安を十分に視野に入れる必要がある、と考えます。
 
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(2013年4月22日東京時間01:00記述)

第575回 【ワシントンG20】


今日と明日、G20(20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議)がワシントンで開催されます。

モスクワで開かれた前回のG20では、為替市場の混乱を防ぐために、金融緩和などの政策手段を使って自国通貨安に誘導する「通貨安競争」を回避するという声明を出しています。

今回も、同様の声明が盛り込まれる可能性がある、と考えますが、その際に、
「今回の日銀の取った金融政策が、G20で批判の対象にならないだろうか?」
といった思惑が、マーケットにあります。

金融緩和を行うと通貨が弱くなるというのが、現在の市場のコンセンサスだからです。

数学や化学の方程式のように証明されているわけではありませんが、ラフに見るなら金融緩和を行った国の通貨は弱くなっており、「金融緩和政策=通貨安政策」がほぼ成り立ちます。

そう考えると、黒田日銀総裁の下で発表された強烈な金融緩和策は、当然に、通貨安政策と言って良いものです。

しかし、サミットや、G20のような各国のトップが集まる会合では、あからさまに他国を批判しない風潮があるので、今回のワシントンG20でも、日本の金融政策を直接的に批判する内容は、声明に盛り込まれないだろう、と、個人的には考えています。

今回のワシントンG20を目前にして、カナダ中銀のカーニー総裁が、「日銀が取った政策は(前回の)G20声明に完全に合致している。国内問題に対応した金融政策だ」と述べたことが報道されています。

カナダ中銀総裁の発言が、G20の総意を示唆しているのだろう、と考えています。

つまり、日銀の取った金融政策が、今回のG20で、追認される格好になるのではないか、と考えている訳です。

前回のモスクワG20の声明では、金融政策は国内の物価安定や景気回復のために行うもので、為替誘導を目的にしないことを確認しています。

だから、今回の日銀の金融緩和策は、デフレ対策が目的であり、プラス2%のインフレ目標を達成するための政策であり、為替誘導を目的とした政策ではない、と説明するのでしょう。

それはそれで本音だと思いますが、同時に詭弁でもあります。

金融緩和政策と通貨安政策は、表裏一体で、線引きができないからです。

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(2013年04月18日東京時間10:50記述)

第574回 【チャート・ポイント100.00の攻防】

ドル/円相場が1ドル=100円に近づき、一般のニュースでも取り上げられるほど注目を集めています。
 
純粋にテクニカル分析(チャート分析)をするならば、「100.00」という数値には、特別意味がある訳ではありません。
 
しかし、多くの人が言う通りに、心理的抵抗線になる、と考えます。
 
確かに、大台が二桁の99円台以下と、大台が三桁になる100円台では、大きく印象が異なります。
 
為替の世界では大台のことを「ビッグ・フィギュア」と表現しますが、二桁から三桁に変わることの衝撃は大きく、そのような言い方は無いのですが、あえて「ビッグ・ビッグ・フィギュア」と呼びたくなるほどです。
 
そのため、100.00は、「多くの人が注目する」という意味で、チャート・ポイントになっています。
 
※繰り返しますが、100.00は、テクニカルには、何もありません。
 
 
チャート・ポイント近辺にはストップ・ロス・オーダー(損切り)が置かれ、またオプション取引が集中しています。
 
例えば、機関投資家が為替リスクを抑えるために為替のヘッジ売りをしていて、100円を超えた場合には、為替差益を得るためにヘッジを外したいというアイデアがあったとすると、100.00の為替のコール・オプションを買っている可能性があります。
 
あるいは、輸入業者が、このままドルの上昇が続くと、利益を失うと考えて、100.00のコール・オプションを買っていることも多い、と考えます。
 
つまり、100.00には、機関投資家や大手輸入企業のオプション取引の実需が存在している可能性が高く、それをわかったうえで、投機筋が100.00を虎視眈々と狙っている、そういった図式が見えています。
 
このように100.00は、様々な思惑に基づいた売買が集中している攻防の分岐点となっています。
 
そのため、100.00にタッチした場合、足早な上昇が起こることもあるし、ワンタッチして反転することもありえる、と考えています。
 
必ずしも上に抜けるとは限らずに、99.98、99.99あたりで、いわゆる「防戦の売り」が出て、下落してしまうこともありえます。
 
しかし、冒頭で書いたように、100.00はテクニカル分析(チャート分析)では意味がなく、単なる通過点に過ぎないため、その次の展開をしっかり考えておく必要がある、と思っています。
 
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(2013年4月15日東京時間00:05記述)

 

第573回 【北朝鮮の深刻な地政学的リスク】

北朝鮮の国際社会に対する挑発行為は日増しにエスカレートしており、今日にも中距離弾道ミサイルを発射するのではないか、と連日報道されています。

10日の朝鮮労働党の機関紙では、具体的に東京や大阪など5都市を挙げ、日本を強く挑発したようです。

これは個人的な見解ですが、北朝鮮にも識者はいて、金日成主席から金正日総書記、金正恩第一書記へという血縁による権力継承は国際社会では通用しないことに気がついているのだと思います。

しかし、国家運営の失敗と国際的な制裁による経済の疲弊、慢性的な食糧不足により国民の潜在的な不満が高まっていることから、軍部の力を借りて現政権による統制国家を維持するしか方法がないのだろう、と推測しています。

国民の不満をそらして統制を維持するには戦争状態を作り出す必要がある、と考えているのでしょう。

そのため米国という敵国を設け、それに従う日本と韓国も標的としています。

とはいえ、現実には日米韓を相手に戦争をする装備も体力もなく、先に手を出したら負けることは明白なので、挑発行為をエスカレートさせて国際社会の反応をうかがう『口先介入』のような行動をとり続けているのだろう、と考えます。

しかし、今回は挑発が行き過ぎて落とし所を見失った感じもします。

北朝鮮のミサイルの射程距離の内に日本が入ることは明らかで、万が一にも国内に落ちれば甚大な被害が想定されます。

これまで北朝鮮の地政学的リスクは、外国為替市場に大きな影響を与えてきませんでしたが、今回は様相が異なるようにも映ります。

考えたくはありませんが、もし深刻な事態が起これば、現時点では、マーケットは有事のドル買いに向かうのだろう、と予想しています。

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(2013年04月11日東京時間11:00記述)

第572回 【米国雇用統計を凌駕した日銀の決定】

4月3日~4月4日に、日銀は、黒田東彦新総裁の下で初の金融政策決定会合を開き、「量的・質的金融緩和」という「これまでとは次元の異なる金融緩和」(黒田総裁)を決定しました。

2%の物価上昇率目標達成時期を「できるだけ早期」から、「2年程度」と明確にし、政策目標を金利から市場に供給するお金の量に切り替え、マネタリーベースを2年間で2倍にすることを目指し、買い入れる国債の平均残存期間と保有額をともに2年間でその2倍以上に。

さらに、ETF(上場投資信託)などリスク資産も買い増すことを決めました。

この発表前までは、二つのパターンを考えていました。

これまでの日銀の金融緩和策には出尽くし感があったことから、今回もその延長線上の緩和策となり、マーケットは「織り込み済み」としてドル/円は売りになり、株価はニュートラルか利食い売りが先行するパターン。

もう一つは、その時点では、事前に予想がつかないけれど、マーケットがサプライズするような金融政策を打ち出して、ドル/円が買われ、株価が上昇するパターンです。

実は、前者をメインシナリオと考えていたのですが、実際には、後者が打ち出されました。

ただ、マーケットを中心に考えた場合、
『日銀は次回以降もサプライズを与え続けながら、デフレ脱却、景気回復が図れるのか?』
という点が気になります。

初回のサプライズが大きかっただけに、2回目以降、サプライズ慣れしたマーケットがどのような反応を示すのか、現時点では、予測がつきません。

なお、日銀の政策決定会合の翌日、先週末の4月5日(金)には、米国雇用統計が発表されましたが、今回に限っては、為替相場に与える影響は、米国雇用統計よりも日銀のサプライズのほうが大きい、と考えます。

米国雇用統計は、事前予想よりも悪い内容でしたが、対円では、「ドル売り」にならなかったのは、日銀の金融政策に強く影響を受けたからだ、と考えます。

当面のところは、安易に「円買い」をするわけにはいかなくなった、と考えます。

また、日銀に、そして、特に、黒田日銀総裁の一挙手一投足に、マーケットの最大限の注目が集まる状況になった、と考えます。

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(2013年4月8日東京時間00:15記述)

第571回 【注目が集まる日銀の政策決定会合】

今期は、脱デフレを牽引する「大胆な金融緩和」が、日銀の黒田東彦新総裁のもとで始まっています。
 
新しい政策がどのようなものなのか、そして、どのような効果をもたらすのか、期待もしているし、冷静に見ていく必要がある、とも考えています。
 
昨日(4月3日)からは、新体制の下での初の金融政策決定会合が開かれています。
 
そして、その初の金融政策決定会合の後に行われる、本日(4月4日)の総裁会見には大きな期待が寄せられています。
 
1回の決定会合で、すべての政策が決まるわけではありませんが、それでもマーケットは、従来の延長線上の金融緩和ではない「サプライズ」を期待しています。
 
「サプライズ」が無ければ、マーケットは「期待外れ」と判断する可能性もあります。
 
一方で、「公約」でもある2年間で2%のインフレ目標を達成できるか?
 
簡単ではないでしょうし、インフレ目標そのものにも批判があることは重々承知していますが、目標を掲げた以上は、目標に向かって政策を積み重ねていくことが大事だ、と考えます。
 
過去の期初とは異なる前向きな雰囲気が年間を通じて続き、景気回復につながることを願っています。
 
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(2013年04月04日東京時間10:30記述)

第570回 【キプロス・ショックの本当の被害者】

欧米では、今年は3月29日から4月1日までがイースターホリデーで、世界中の多くの市場が休みになります。
 
そして、先週末の金曜日、3月29日は、日本の年度末で、4月1日月曜日が期初になります。
 
イースターの時期は、マーケット参加者が極端に少なくなるので、積極的な売買を控えて、新しい期を、どのように戦うのか、考える時間にあてると良い、と考えています。
 
先期の直近の相場を振り返った時、最も大きな出来事は「キプロス・ショック」でした。
 
銀行預金に課税するという、青天の霹靂が起こったからです。
 
キプロス国民や、富裕層の預金が多いロシアの反発は強く、そういった状況下で、ユーログループ議長は他国の破たん処理の前例になると発言したり、他の首脳が特例であると訂正したり、ユーロ圏の中でも方針が定まっていない様子がうかがえます。
 
しかし、預金課税が今後の破たん処理の前例となることは間違いなく、預金に対する信用が失われることになる、と考えます。
 
それは別の見方をすれば、資金シフトが起こる可能性があるということです。
 
経済的に弱い国から資金の流出が起こり、経済的に強いドイツや、安定しているスイスに集まる動きになるのでしょう。
 
一方で、キプロスは借金によりひと息つくのでしょうが、新しい産業を興す力がないため返済手段がほとんどありません。
 
増税と行政サービスの縮小により資金を捻出して借金返済に充てる方法は、国民の不満を高めるだけでしょう。
 
返済できない国に、返済できないことを知りながら貸す姿は、(ユーロ諸国に悪意があるわけではありませんが、)時代劇に登場する「あこぎな高利貸」を思い出させます。
 
病気の「おとっつあん」のせんべい布団を引っぺがして、持って行く、時代劇の悪役のことです。
 
ではどうすればいいのか?
 
私自身にも答えが無いのですが、為政者の放漫財政のツケにより、苦しんでいる国民がいることは忘れるべきではありません。
 
私たちの記憶からは、ギリシャ問題が遠のきつつあります。
 
そして言葉に詰まるのですが、東日本大震災の被災者の方々の生活がほとんど改善されていないのに、被災地以外の人々からは、大震災の記憶が風化しつつあることも事実だ、と考えます。
 
年度末を振り返り、新しい期を迎えるに当たり、自戒を込めて書きました。
 
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(2013年4月1日東京時間01:00記述)



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