第561回 【ドル/円の日足チャート】

ドル/円の日足チャートをご覧になってください。

時間軸の取り方によって、チャートの形は少し違うかもしれませんが、東京市場、あるいはオセアニア市場をオープニング(寄り付き)としたチャートならば、今週の月曜日、2月25日の日足が、このところの高値・安値を突き抜けていることが見えるはずです。

2月25日の日足は、大きく下落していることを示す大陰線になっています。

この形状を、「抱き線(包み足)」と呼びます。

つまり、「抱き線(包み足)」とは、前日(前週)のローソク足を抱き込む(包み込む)形で現れた大陽線や大陰線のことです。

上昇過程での「抱き線(包み足)」を、特に「上位の抱き線」と呼び、「売り転換のシグナル」となります。

特に相場の格言に、『最後の抱きは、天井』(=最後に現れる「抱き線」は天井を意味する)とあります。

もちろん、こういったチャートのパターン分析は、100%正しいとは言えず、だいたいこのようなパターンが現れた場合には、こういう結果になることが多い、といった程度のものです。

だから、「抱き線(包み足)」が出たからといって、それが必ず当たるとは限らないのですが、個人的には、今回現れた「抱き線(包み足)」は、「売り転換のシグナル」と考えています。

相場の格言は、先人の残した知恵だ、と考えるからです。

昨年の11月以降のドル/円の上昇は、非常に激しい展開でした。

トレンドは、ドル高円安に転換した、と判断していますが、それでも78円程度から94円程度にまで大きく上昇したのですから、いわゆる調整下落局面があって当然だ、と考えます。

調整があってしかるべき、というタイミングで「抱き線(包み足)」が出たのですから、調整局面に突入したことを知らせるシグナルと考える訳です。

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(2013年2月28日東京時間08:00記述)

第560回 【日米首脳会談に関する材料は、長続きしない、と考えます】


G7、G20の形骸化についてはこれまで何度も指摘していますが、モスクワで開催されたG20(20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議)でもそれが露呈していました。

今回のG7、G20で焦点となったのは、世界の金融市場に影響を与えている「アベノミクス」で、各国閣僚らから麻生太郎財務相に対する個別会談が申し込まれたと報道されています。

会談や会議を通じて麻生財務相は「アベノミクスはデフレからの早期脱却が目的」と説明し、各国首脳から一定の理解が得られたとコメントしています。

しかし、G7やG20は各国首脳が集まる公式な場なので、名指しの非難を避ける傾向にあります。

例えば、日米欧は中国による意図的な中国元安相場の管理維持を好ましくないと考え、いろいろな形で自由化せよという圧力をかけていますが、過去の共同声明では中国をストレートに非難したことはあまりなく、暗に中国と分かる表現の仕方で改善を促しています。

麻生財務相の一定の理解が得られたというコメントや「通貨の競争的な切り下げを回避する」といった内容が盛り込まれた声明は、欧米や新興国が、日本の政策を理解した・納得したという意味ではありません。

むしろ、日本が行っている金融緩和=為替誘導を困ったものだという思いがあるからこそ、逆に日本を擁護するような発言が散見されたり、玉虫色の声明になったと解釈すべきでしょう。

ただ、結果としてみれば、現状レベルの為替水準が追認されたと解釈していいでしょう。

今回のG7、G20を終えて、当面ドル/円は相対的な高値圏では保ち合いを続け、想定できる水準は90円-95円、もっとワイドに捉えるなら、現状レベルを中心に上下5円の87、88円-97、98円がラフなゾーンになる、と考えました。

この週末には、日米首脳会談が行われ、安倍首相は日本のTPP交渉参加を表明しました。
TPP交渉参加は、意外感があったものの、個人的には、方向性は正しい、と考えます。

しかし、今後、日本国内で、反対派を説得できるのだろうか、と疑問も残ります。

今回の日米首脳会談は、外国為替相場(特にドル円相場)にとっての積極的な材料ではない、と考えますが、この首脳会談で、日米関係が良好となり、日本の金融政策に対して、米国が一層の理解を示す、と考えるのならば、「ドル買い円売り」の材料と考えることもできます。

しかしながら、今回の日米首脳会談で、テーマとなった問題に対して、日本政府がどれだけの結果・成果を出せるのか、現時点では、何も保証されていないのだから、目先で「ドル買い円売り」の材料となっても、日米首脳会談に関しての材料は、長続きしない、と考えます。

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(2013年2月25日東京時間01:00記述)

第559回 【日米の株価好調の陰に隠れた欧州債務危機】

日本株はアベノミクス期待によって上昇し、米国株も財政の崖問題が先送りされたことや景気回復の兆しを材料に買われています。

日米の目先の好調さを伝えるニュースに隠れてしまっているのが南欧諸国に端を発した欧州債務危機問題です。

欧州危機はひと息ついたと思いたい気持ちは分かるのですが、現実には楽観できる状況にないことは明らかです。

イタリアでは24日・25日に総選挙が実施されます。

報道では、ベルルスコーニ前首相の支持率が上昇しており、政局をめぐる不透明感が高まっています。

スペインも同様で、与党国民党の不正献金疑惑が明るみに出てラホイ首相の辞任を求める声が上がっています。

そのため、スペインやイタリアの国債相場が下落し利回りが上昇しました。

危険水域の7%には達していませんが無視できる状況でもありません。

ギリシャは昨年11月の財務相会合で、財政再建の達成期限を2014年から2年延長することが決まりましたが、「延命」したからといって、財政を好転させるような新たな産業を興せる見通しがあるわけでもなく、借金返済のメドは立っていません。

もっとも、そのことに驚く人は、もういないのでしょう。

多くの人は、ギリシャはすでに破たんし、借金は不履行になったと考えているからです。

南欧諸国の体質改善は進まず、政治的な不透明感は強まり、時間が経過するにつれて根本的な解決から遠ざかっている感じがします。

今後も危機が浮上しては欧州各国首脳による鳩首会談が行われて、先送り策が発表されるということの繰り返しになるでしょうが、どこかで行き詰まる可能性も否定できません。

今年も欧州危機が世界経済や外国為替相場に及ぼす影響について、警戒心を持って見守る必要があると考えています。

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(2013年02月21日東京時間08:00記述)


 

第558回 【G7に続きG20でも、現状の外国為替マーケットを追認した、と考えます】

週末の2月15日、16日の2日間、モスクワでG20(主要20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議)が開催されました。

各国の代表者たちが、定期的に集まって意思の疎通を図ることは良いと思うのですが、先進国も新興国も参加するG20では所帯が多すぎて、それぞれの利害を一致させることが難しく、共同声明も玉虫色にならざるを得ない状況です。

G20開催前の12日、G7(主要7カ国財務相・中央銀行総裁)は、日本の金融緩和に対する緊急共同声明を発表しました。

「為替目標を設定しない」という内容です。

日本は積極的な金融緩和政策の目的が、国内のデフレ不況対策であると説明しています。

しかし、それは建前で、本音は株価を上昇させるために円安政策をとり、米国は黙認したものの欧州からはドイツを中心に批判が出たので、先進国の統一見解を示すためにG7で声明を出した、ということでしょう。

2月15日、16日のG20でも為替について話し合われました。

16日の共同声明では、「通貨の競争的切り下げを回避し、競争力強化のために為替レートの目標を設けない」とし、輸出を増やすために、自国の通貨の価値を引き下げる「通貨安競争」をしないことで一致しました。

安倍政権の経済政策への直接の批判は無かったのですが、「円安誘導」と受け取られる金融政策を行わないように、通貨安を金融政策の目的にしないことを明確にしています。

G20の顔ぶれを見れば日本を批判する声がより高まることは予想できるので、文言のニュアンスは変わるかも知れないが、大局的にはG7声明を踏襲することになるのだろう、と考えていましたが、事前に想定した範囲の内容だ、と判断しています。

つまり、G7、G20は、現状のマーケットを追認した、と考えます。

だから、このG7、G20の内容をもって、外国為替相場の「売り材料」にも、「買い材料」にもならない、と考えます。

これで注目された重要なイベント(G7とG20)が終わったのですから、マーケットは新たな材料を探すことになります。

先週末(2月16日)のドル/円は、G20を材料に、92円台前半にまで下落し、そこから93円台後半に大きく急騰しました。

日本の円安政策に一定の歯止めをかける声明が出るのではないか、といった思惑でドル/円が売られたのですが、声明文に、ストレートに日本を非難するコメントが盛り込まれなかったので、ドル/円が買い戻された、ということです。

2円弱の振幅は、乱高下と言っても良いのでしょう。

G7、 G20が、現状を追認し、ストレートに日本を非難するコメントが盛り込まれなかったと言っても、日本が円安(通貨安)政策を採ることは否定されたのですから、現状水準(92円~95円程度)から、ガンガン円安に向かう、とは考え難い状況になった、と判断しています。

当面のところは、現状水準(92円~95円程度)を維持するのか、昨年11月以降の急激な円安の調整局面に突入するのか、といった二者択一と考えます。

個人的には、近いうちに、調整局面に突入する可能性が高い、と考えていますが、だからと言って、G20声明発表後のドル/円の急騰を見ると、安易な「ドル売り円買い」は危険だ、とも考えています。

面白くはないのですが、調整場面では、利益を狙うのを見送り、下がったところで「ドル買い円売り」で参入するのが正攻法、と考えます。

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(2013年2月17日東京時間23:00記述)

第557回 【白川総裁の辞任】

日銀の白川方明総裁が4月8日の任期満了を待たず、3月19日に辞任することになりました。

白川総裁の公式コメントの主旨は
「副総裁の任期に合わせて辞めることで新体制への移行を円滑に進める」
というもので、政府の圧力などは否定しました。

しかし、個人的には日銀総裁が1カ月早く辞任したからといって、あるいは、総裁と副総裁が同時に就任したからといって、大勢に影響があるわけではないと考えます。

うがった見方をすれば、白川さんが自身の評価を貶めないための「戦略」として、辞任を言い出したのではないでしょうか?

卑近な例では、グリーンスパン前FRB議長に対する世間の「毀誉褒貶」があります。

リーマンショック以前の株価上昇局面ではグリーンスパン前FRB議長は「マエストロ」と崇められたのですが、リーマンショック後は、彼こそが金融危機の元凶と批判され、その評価が現在でも消えていません。

白川さんは、(恐らく腹の中では反対している)インフレターゲットという新しい政策を政府に強引に呑まされました。

もし上手くいかなかった場合、日銀に批判が集中することになりますが、白川さんは辞任しているので、汚名を着せられることはないでしょう。

逆に上手くいった場合、在任中に決まったことなので白川さんの評価につながるでしょう。

インフレターゲット政策が、上手くいくのかどうかは、誰にもわかりません。

その壮大な実験を行うことが、『金融政策として正しいのか?』と言えば、私も疑問に思うところがあります。

ここまでの話は第三者の憶測であり、単純に日銀の独立性を侵した安倍首相に対する反発だったのかも知れません。

でも、どちらにせよ、3月の卒業式を目前に控えた2月に理由もなく中退する学生はいません。

白川さんの本音は分かりませんが、任期満了まで務めることが日銀総裁の本来の道であるのに、あえて1カ月前に辞めると言い出した背景には、公式コメントとは異なる、何かの意図がある、と考える方が自然です。

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(2013年2月14日東京時間10:00記述)

第556回 【94円台を見たドル/円だが・・・】

昨年11月からのドル/円は、強烈に上昇した(上昇している)、と言えます。

日足チャートを見ると、ドル/円は、85.00アラウンドに「窓(Gap)」を作り、急上昇した様子が映っています。

この「窓」は「窓埋め」を完了していません。

「窓埋め」をする場合は、比較的短時間で窓埋めを完了するので、これだけ時間が経過すると、「窓埋め」をしない(できない)パターンだ、と判断します。

この「窓(Gap)」は、強い上昇を示す「買いシグナル」ですから、後々の、しかるべき調整局面での下値の目処(めど)になるのだろう、と考えますが、このところの目先の相場で、94円台の高値を見ているので、当分の間は、遠く離れた85.00アラウンドの「窓(Gap)」は、関係なくなった(意識する必要が無くなった)、と考えます。

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日銀の政策決定会合前のマーケットは、日銀の「インフレターゲット2%」「金融緩和」を強く期待していたので、ドル/円は、上昇傾向を保っていました。

だから、今回の日銀の政策決定会合(1月21日、22日)までは、ドル/円を売るのは、得策ではない、と考えていましたが、日銀の政策決定会合の終了後は、「調整局面」に突入する可能性が高まった、と考えました。

日銀の政策決定会合が終了の直後に、90円台から88.00アラウンドまで下落したのは、上記の調整下落が原因、と考えます。

88.00を明確に下抜けできなかったので、目先で調整下落を期待してドル/円を売った向きの買戻しが出て、その結果、90円台へ反発し、そのまま上昇を続け、90円台前半の新高値を更新しました。

この新値更新で、「買いシグナル」を発し、ドル/円はさらなる上昇を続け、93円台の高値を付けています。

93円台を付けてからは、調整下落傾向だったのですが、白川日銀総裁の辞任報道を材料に、再び急騰し、94円台の高値を付けました。

しかし、この水準から「ドル買い円売り」で付いて行くのではなく、いわゆる「ディップ(Dip)」を待つところ、と考えます。

大きなトレンドは、「ドル/円上昇」と考えるので、ドル/円の調整下落を待って、「ドル買い円売り」を行うのがセオリーと考えます。

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既に述べた通りに、調整下落があってしかるべき、と考えているのですが、下値のポイントは、90円台前半程度と考えています。

今回の急騰の際に、90円台前半の新高値を更新して「買いシグナル」を発したのだから、この水準が下値の目処(めど)となる、と考えます。

ただし、90円台前半のポイントを、明確に下に抜ける場合は、「売りシグナル」となるので、要注意と考えています。

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(2013年2月7日東京時間10:30記述)

第555回 【1月の相場は『もうはまだなり』】

1月の相場を振り返って思い出した相場の格言が、「もうはまだなり まだはもうなり」です。

ご存じのように、もう底だと思えるような局面ではまだ下値があり、まだ下落すると思う時には底があると考え、思い込みで動かず冷静に相場を見よ、という教訓です。

1月はアベノミクスを材料に、強烈な円安が進行しました。

そのため過去の経験に照らしても、どこかでしかるべき調整下落が起こるはずと考えていたのですが、今日までに小さな調整は何度か起こっているものの、想定していたような大きな調整は起きていません。

1月の相場は恐らく、経験が豊富で「もう調整下落があるだろう」と考えた投資家は「まだ続く上昇」に乗り切れず、逆に経験が浅く「まだ上がる」と素直に買いでついていった投資家が儲かったのだと思います。

相場は勝てばいいのですから、今回は素直な判断が正解だったのです。

ただ私自身は、大きな調整下落が起こるという考えを捨てていません。

「まだ上がる」という見方がもっと広まった時、ようやく「まだはもうなり」になるのでしょう。

だからといって調整下落を狙って売りから入るのはセオリーから外れています。

しっかりと調整下落を見届けた後に、おっとりと相場に入るのが王道です。

円安トレンドに転換していることは事実なので、あわてず冷静に相場を見ていくところ、と考えています。

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(2013年2月4日東京時間09:00記述)

 



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