第532回 【市場の関心事は大統領選、雇用統計、日銀の追加緩和】

今回は米大統領選挙までのマーケットのテーマを取り上げます。
 
マーケットの最大の関心事は、11月6日に迫った米国大統領選挙です。
 
過去の大統領選と異なるのは、投票まで2週間を切ったこの時期になっても、明確なマーケットコンセンサスが形成されないことです。
 
一般論では現役大統領が再選されれば株買い・ドル買い、負ければ株売り・ドル売りです。
 
ところが情勢は混沌としており、オバマ大統領が若干有利ではあるものの、ロムニー候補が勝つ可能性も十分にあります。
 
10月22日の最後の討論会では外交・安全保障政策がテーマとなりました。
 
対中政策に関してロムニー候補は、就任初日に中国を為替操作国に認定すると発言。
 
それは基本的にはドル売り/元買いの材料です。
 
しかし、オバマ大統領も強い言葉は使わなかったものの、中国に対して圧力を掛けることは明言しています。
 
そのため外交上の政策には大差が無く、コンセンサスの形成には至りませんでした。
 
 
大統領選前の11月2日に、米雇用統計が発表されます。
 
前回の数字は予想以上に改善を見せており、今回も良好な(つまりオバマ大統領にとっては有利な)数字になるはずです。
 
米国の経済指標は、良好な数字が出た後に大幅下方修正されることが珍しくないため、真相は藪の中ですが、中国が「為替操作国」であるのなら、米国は「経済指標操作国」ではないかと揶揄したくなります。
 
 
10月30日には、日銀の金融政策決定会合が予定されています。
 
マーケットは追加の金融緩和が発表されることを織り込んで動いており、やらなければ逆に「サプライズ」となり混乱が起こります。
 
注目すべきは、『どの程度の緩和策を実施するのか?』
 
マーケットの期待以上の政策を打ち出したことのない日銀なので、今回も物足りなさが残る緩和策の発表となり、これ以降もだらだらと金融緩和策が打ち出されていくと考えます。
 
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(2012年10月28日東京時間20:30記述)

第531回 【混沌とした大統領選の影響を受けて相場の見通しも不透明】

マーケットにとって目先のビッグイベントは、11月6日に予定されている米国大統領選挙です。

これまでの選挙(過去の大統領選)では、現職大統領が圧倒的に有利な状況が多かったのですが、今回は、民主党の現職オバマ大統領と共和党のロムニー候補の支持率は拮抗しています。

選挙結果をマーケットはどう受け止めるでしょうか?

現役大統領が負けた場合の衝撃は大きく、基本的には株価とドルは下落すると考えるべきでしょう。

ただしオバマ大統領の負け方、あるいは、ロムニー候補の勝ち方によっては、株価とドルが上昇する可能性があります。

では、オバマ大統領が再選された場合はどうでしょう?

順当な勝利をマーケットが好感して、明確な株買い、ドル買いが起こる、というわけでもなさそうです。

このように選挙戦の行方はもちろん、どちらが勝利しても米国経済の先行きが混沌とすることは避けられないために、マーケットも方向性を打ち出せず、それが混沌とした相場となって表れています。

大統領選挙まで2週間を切りました。

これから関連ニュースが頻繁に出てくるでしょう。

投資家の立場では、そうした関連ニュースに目を光らせ、マーケットがどのような反応を示すのか、その結果株価や為替相場がどう動いたのかを分析する必要があります。

投票日直前になれば、マーケットのコンセンサスが出来てくるので、その内容によってはポジションの見直しなどが必要になるかも知れませんが、現時点では現状維持でよいと考えます。

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(2012年10月25日東京時間10:00記述)

 

第530回 【秋の相場が面白くない理由】

夏休み明けからクリスマス休暇前までのおよそ3カ月間は、投資家が全力で相場と向かい合い利益を上げるべきに最も重要なシーズン。
 
気候的にも秋を迎えて集中しやすくなったのにもかかわらず、モチベーションが上がらず、相場が面白くないと感じている人も多いでしょう。
 
その最大の原因は欧州債務危機が曖昧模糊としているところにあります。
 
欧州首脳が何度会談を重ねても、債務危機を解消する有効な解決策を提示できません。
 
完全なる解決策は無理としても、早く解決の道筋が見えるような策を提示することを、マーケットは求めています。
 
当事者たちの煮え切らない態度も曖昧模糊を助長しています。
 
深刻な危機に陥っているスペイン救済のためには、スペイン政府が救済を要請しなければなりません。
 
ラホイ首相は、借り入れコストが受け入れられない水準に達した場合に支援を要請する方針を示していますが、スペインの10年債利回りは5%台半ばで落ち着いており、警戒水準を下回っていために要請は先送りされています。
 
スペイン国債の利回りが落ち着いている理由は、市場の「先読み」にありそうです。
 
スペインが救済を要請すると、ECB(欧州中央銀行)は短期国債を買い上げます。
 
それを先読みして、ファンドを中心とした市場参加者が精力的に購入しているため、債券価格が上がり利回りの上昇を抑えているのでしょう。
 
そのような相場の先読み競争のせいで問題が先送りされ、何も解決されていない状態が続き、相場が妙な形で膠着していて面白くないというのが今の状況です。
 
先送りを続ける間にユーロ経済は一層冷え込み、それが中国などの新興国や米国、そして日本にも波及して世界経済に悪影響を与え続けることは容易に想像できるため、市場には悲観主義が蔓延してどんどん縮小に向かっています。
 
この状態がしばらく続くのかと考えると、ますますやる気が削がれてしまいますが、それでも気力を振り絞って、最重要シーズンを乗り切るしかない、と考えています。
 
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(2012年10月22日東京時間01:00記述)

第529回 【米国大統領選挙】

国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会など一連の東京会議が閉幕しました。

これで為替相場に影響を与えそうな目先の主要イベントは終了し、次は11月6日の米国大統領選挙となります。

メディアは、第1回のテレビ討論により共和党のロムニー候補の支持率がオバマ大統領を上回ったものの、その後はオバマ大統領が巻き返し、現在は拮抗している状態と伝えています。

第2回のテレビ討論は、オバマ大統領が攻勢に出て、勝利した様子です。

しかし、引き続き、オバマ大統領と共和党のロムニー候補の支持率が、拮抗している状態であることに変わりはありません。

米大統領選では再選を目指す現職大統領が圧倒的に有利といわれますが、今回オバマ大統領が劣勢なのは「リーズナブル」であると考えます。

米国民はオバマ大統領が掲げた「チェンジ」に期待して投票したものの、現状はほとんど何もチェンジしていません。

しかし、それはオバマ大統領の無策のせいというよりは、やるべきことはやったものの、トレンドには勝てなかったという印象を受けます。

オバマ大統領の劣勢は、衰退に向かう国を率いる大統領の悲哀を表しているように感じます。

米大統領選挙動向が今後の相場に与える影響はニュートラルと考えます。

仮にオバマ大統領が再選されたとしても、それが原因で株価が(一時的な値動きは別にして)大きく上昇することはないでしょう。

逆に、ロムニー候補が勝てば株価上昇要因という見方も出来ますが、ただ現職大統領が負けるような状況の中で、株価が上がり続けることもないでしょう。

金融政策ではQE3が実施され、ドル余り傾向がより強まればドル売り材料となるのですが、一方で株価対策、商品価格対策に効いており、総合的にはドル底上げに働いていると判断しています。

とはいえ、このようにはっきりと断定した物言いが出来ないということは、今回の米大統領選挙が相場に与える影響は、あまりないということだ、と判断しています。

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(2012年10月18日東京時間10:30記述)

第528回 【IMF・世銀総会に対する過度な期待は禁物】

日本での開催は1964年以来2度目になる国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会が、10月14日(日)まで東京都内で開催され、世界経済、金融の安定性、経済開発などをめぐる様々な問題について議論やセミナーなどが行われました。

IMF声明では、欧州の債務危機への対応について、金融安全網の「欧州安定メカニズム(ESM)」発足や、欧州中央銀行(ECB)による財政危機国の国債買い支えなどの取り組みを歓迎。

しかし、「さらなる措置が必要」として、金融監督を一元化する銀行同盟や財政統合の実施、成長と雇用を促進する構造改革に期待を示しました。

10月11日には、日米欧の先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が開かれ、欧州債務危機の長期化と米国の財政危機、新興国経済の失速などについて話し合われました。

世界に対する責務を果たすという意味で、IMF・世銀総会を日本で開催することについての異論はありませんが、そこから得られる結果については過度な期待をしないほうが良い、と考えています。

例えばG7会議では共同声明こそ出ていませんが、「緊密に市場の動向を注視していくこと」で合意し、日本の「水準次第では為替介入も辞さない姿勢」については「異論は出なかった」と報道されています。

多くの人が予想した範囲内の内容に過ぎない、と考えます。

世界が最も注目している欧州危機の対応についても、マーケットに影響を与えるような奇策の発表が行われることは無かった、と判断しています。

私たち個人投資家は、IMF・世銀総会に対して過度に期待せず、だからといって軽視もせず、現実をあるがままに受け止めて対応すれば良いのだろう、と考えています。

G7会議に関しても、同様に考えています。

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(2012年10月14日東京時間23:00記述)

第527回 【QE3実施後初の米雇用統計には、世界中が注目していた】

QE3(量的緩和第3弾)実施決定後、初となる米雇用統計が、先週末(10月5日)に発表されました。

QE3では雇用の回復を大きな目標に据えているだけに、9月の結果には世界が注目していました。

しかし、QE3による雇用回復効果が統計に表れるまでには時間がかかるはずで、私たちは実施後2週間程度しか経過していない9月の結果に一喜一憂せず、半年、1年のタームで検証する必要がある、と考えます。

とはいえ、マーケットは短絡的に反応するものだし、最大の注目点が米国の雇用回復にある以上、9月の結果が良くても悪くてもマーケットは激しく反応のだろう、とも考えていました。

そのため一喜一憂すべきではないという本筋を理解した上で、覚悟して対応する必要があります。

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10月5日(金)の、米国雇用統計は、9月非農業部門雇用者数(NFP)の事前予想が、[+115,000人]に対して、結果が[+114,000人]。

非農業部門雇用者数(NFP)は、ほぼ事前予想通り。
 
前回(8月)の非農業部門雇用者数(NFP)が、[+96,000人]から[+142,000人]へ上方修正された。

9月の失業率は、事前予想が[8.2%]に対して、結果が[7.8%]。

失業率は、大幅に予想を上回る良い結果だった。

この失業率(雇用統計)の結果は、通常は、『ドル買い(ユーロ売り)』と判断できるが、指標発表直後のユーロ/ドルの値動きは、むしろ、底堅いものだった。
 

10月5日(金)の米国雇用統計発表直後は、ドル/円が直ぐに反応して跳ね上がったため、その影響からユーロ/円が上昇した。

そのユーロ/円上昇の影響で、ユーロ/ドルの値動きが底堅くなったのだ、と考えます。

11月6日の大統領選挙を前にした11月2日に、もう一回、10月の雇用統計の発表があり、マーケットは同じように激しく反応するのでしょうが、仮に、次回の発表で、雇用回復の兆しが見られなくても、QE3の失敗という評価は下されません。

短期間では効果が出ないことを誰もが理解しているからです。

むしろ、明確な結果が出ないほうが、現政権にとっては「最大限の雇用対策を実施している」とアピールできて都合が良いはずなので、その意味では、FRBも現政権も、思惑通りの絶好のタイミングでQE3を実施したといえるでしょう。

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なお、今回の失業率について、大統領選挙に絡めて、「数字を操作」したのではないか、という『ウワサ』も出ています。

米ゼネラル・エレクトリック社(GE)前会長のジャック・ウェルチ氏が、10月5日、「ツイッター」で、
 「信じられない数字。(オバマ大統領が大統領候補者の)討論会で失敗したので、(失業率の)数字を変えた」
と述べ、波紋を呼んでいる。

今回(9月)の失業率の結果は、オバマ大統領にとって再選に向けた追い風になるが、 『政治的な思惑があったのではないか』と、ウェルチ氏は示唆した訳だ。

※私も、個人的な考えですが、「数字を操作」したのではないかと、疑っています。

※しかし、QE3の効果を考察するのならば、今回のQE3直後の米国雇用統計にばかりに固執するのは無意味とも考えます。

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(2012年10月11日東京時間04:30記述)

第526回 【中国経済の影響を考える】

中国国家統計局の元局長が
「経済成長率が第3四半期(7-9月)に7.4%に低下する可能性がある」
と発言したことが伝えられています。
 
中国の景気減速が鮮明になっています。
 
また、米国の民間調査では、経済成長率が22年ぶりの低成長に陥る可能性がある、と指摘しています。
 
その主要因とは言い切れないものの、大きな原因の一つが欧州危機でしょう。
 
欧州の需要が冷え込んでいるために、中国は高い生産能力をフル稼働させることができず、原材料の輸入を抑えていることから、資源輸出国のオーストラリア経済にマイナスの影響を与えています。
 
直近の豪ドル(AUD)は、対ドル、対円で下落気味ですが、その主要因は、中国経済の悪化の影響と考えます。
 
また、欧州危機により、長い時間をかけて、ユーロから豪ドルへの資金シフトが起こっていましたが、直近の相場では、そのワンワインド(揺り戻し)が起こっています。
(つまり、直近は、豪ドルからユーロへの回帰が起こっています)
 
緊急避難的に豪ドルに注ぎ込まれた資金が、逃げ出している状態と考えます。
 
日中関係を見ると、領土問題をきっかけにした政治的な冷え込みが、日中貿易や経済活動、民間レベルの交流にも及んでいます。
 
中国に進出している企業の工場が一部操業を停止したり、日中国交正常化40周年の記念式典が中止されたり、国慶節休暇をあてこんだ訪日ツアーのキャンセルも相次いでいます。
 
対欧州、対豪州、そして対日の状況を見る限り、中国経済に対する明るい材料は見あたりません。
 
もちろん大局的に見れば、中国には、まだまだ発展の余地は十分にあるのでしょうが、短期的には、もう一段の減速は避けられそうにありません。
 
このような中国リスクを十分に考慮しつつ、投資戦略を立てるように努めるべきだ、と考えます。
 
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(2012年10月04日東京時間10:30記述)

 

第525回 【QE3に関しては、半年先を見据えた行動を】

FRB(米連邦準備理事会)が、月400億ドル(約3兆1000億円)の資金を投じてMBS(住宅ローン担保証券)を追加購入するQE3(量的緩和第3弾)の実施を決めてから2週間が経過しました。

FRBの発表を受けて米株式相場は急騰し、その後は落ち着いたものの高値圏をキープしています。

商品相場も一時上昇したものの、目立った影響は出ていません。

そして為替相場。

ドル/円はドルが売られたことで円高気味に推移しています。

ユーロ/ドルは一時1.31まで強烈に上昇したものの徐々に垂れ下がっています。

これはQE3によって、「ドル売りユーロ買い圧力」がかかったものの、欧州危機が改善されていないことから、資金がユーロへ向かわない状況を表していると考えています。

豪ドルが下落基調なのは、主に中国要因によるものと考えます。

欧州危機によって中国の欧州向け輸出が鈍ったことで、豪州から資源の輸入が細り、豪州の景気先行きに疑念が生じているためです。

結局現時点でのQE3の影響は、米株とドル/円相場にとどまっており、他の相場は欧州や中国といった別の要因に阻害されて顕在化していない、ということでしょう。

ただQE3は一気呵成に実施されるものではなく、毎月一定の規模で実施されていくものなので、これからもドル売り圧力、株と商品相場に対する上昇圧力はかかり続けます。

また、今回のQE3の最大の目的が雇用の拡大にあります。

現時点で、雇用に関して目立った効果が現れていないからといって、実施の是非を問えるものでもありません。

『雇用への影響には、時間がかかる』ということが、自明の理だからです。

投資家は1カ月後、3カ月後、あるいは半年後を見通して行動すべきでしょう。

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(2012年10月1日東京時間01:15記述)

 



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