第524回 【QE3は、大統領選挙に影響をあたえるか?】

FRB(米連邦準備制度理事会)は、9月13日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、MBSと呼ばれる住宅ローン担保証券を買い入れることによるQE3(量的緩和第3弾)の実施を決めました。

バーナンキFRB議長によれば実施期間を定めずに「雇用情勢の改善のサインが見られるまで続ける」予定で、事実上のゼロ金利の継続期間も2015年半ばまで延長されることになりました。

QE3の目標には雇用の改善も盛り込まれ、実施期間は「雇用情勢の改善のサインが見られるまで」の予定です。

QE3実施によって、為替相場に対してはドル売り圧力が高まり、株式市場は景気回復期待から株価は上昇方向、商品相場も上昇へ向かうでしょう。

11月の大統領選挙を前にQE3を決めたのは、現政権の援護射撃という意味合いがある、と考えています。

4年ごとに行われる大統領選挙では、現役大統領が圧倒的に有利といわれています。

ところが、オバマ大統領の支持率は、ロムニー共和党大統領候補と拮抗しており、これは、事実上劣勢です。

この状況に対して、FRB(米連邦準備制度理事会)は、QE3という株価対策を行ったのだ、と考えています。

株式相場が下落している時の大統領は再選されないというアノマリー(経験則)があるからです。

QE3が雇用に及ぼす効果が判明するのは何カ月も先になるし、ドル安圧力という副作用も生じますが、株価が上昇すれば目先の雰囲気は明るくなり、現職大統領の支持率には好影響を与えます。

そこで、一投資家の立場では、自身の思惑に安易に走らないで、欧州危機などの他の重要な要素も含めて、マーケットがどう判断するのかを、正確に見極めて、それから行動しなければいけない、と考えています。

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(2012年09月27日東京時間10:30記述)

第523回 【行き場のないドルは、どこへ向かうのだろうか?】

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、南欧国債を「量に制限を設けずに買う」と宣言。
 
FRB(米連邦準備理事会)のバーナンキ議長も、QE3(量的緩和第3弾)実施にあたって、MBS(住宅ローン担保証券)の購入について制限を設けませんでした。
 
欧米の金融緩和策に背中を押される形で、日銀の白川総裁は資産買い入れ基金を10兆円増額するという追加緩和策を発表しました。
 
欧州の緩和策は欧州危機の規模に照らすと十分とは言えず、根本的な解決には踏み込んでいません。
 
日本の場合は、欧米が打ち出した緩和策に対して無策のままでは円高が進行してしまうので、やらざるを得なかったというのが本音でしょう。
 
しかし、10兆円という規模はいかにも小さく、効果は限定的と考えます。
 
 
QE3の効果に関しては今後2、3カ月の動向を見なければ判断がつきません。
 
もちろん株価はサポートされるでしょう。
 
商品相場にも上昇圧力がかかるでしょう。
 
為替に関しては、米国内でドル資金がだぶつくので、米国内から外へ資金流出する可能性が高まり、「ドル売り圧力」がかかることになるはずですが、ここで考えてみてください。
 
現状の欧州に投資する理由があるでしょうか?
(この場合の「か?」は、強い反語です)
 
日本は構造改革が進まずに内需が回復せず、景気が低迷しています。
 
成長戦略が描けない日本は投資先として魅力的でしょうか?(同上)
 
中国は長期的には成長余力があるにしても、景気の減速が鮮明になっている今、積極的に投資する時期ではありません。
 
つまり、「ドル売り圧力」がかかったとしても、現時点では資金の流れを読むことができないのです。
 
いずれ流れは明確になってくるでしょう。
 
マーケットの対応を見極めることが重要です。
 
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(2012年9月23日東京時間22:00記述)

 

第522回 【QE3に対するマーケットの反応を見極めよう】

9月12・13日に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)は、MBSと呼ばれる住宅ローン担保証券を買い入れることによるQE3(量的緩和第3弾)の実施を決めました。
 
バーナンキFRB議長によれば実施期間を定めずに「雇用情勢の改善のサインが見られるまで続ける」予定で、事実上のゼロ金利の継続期間も2015年半ばまで延長されることになりました。
 
QE3実施によって為替相場に対してはドル売り圧力が高まることから、ドル/円は売り方向、ユーロ/ドルは目先上昇方向へ圧力がかかります。
 
また、米国の株式市場は景気回復期待から株価は上昇方向、商品相場も上昇するでしょう。
 
ただ、QE3の効果は現時点では予想がつかないし、FRBが目指す雇用情勢の改善も1、2カ月で答えが出ることはありません。
 
そのため、個人投資家の皆さんも思惑に走らず、マーケットの動きを見極める必要があります。
 
しかし、一方で、ユーロの債務危機の状況は一服感があるとはいえ、危機的状況は依然続いており、QE3で米ドルが売られても、欧州債務危機では米ドルは買われます。
 
両者の影響力を比べると、はるかに欧州債務危機のほうが大きいことから、為替相場に働く力は、最終的には、ユーロ売りによるドル買い方向へ動く可能性が高いことは、しっかり頭に入れておくべき、と考えます。
 
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(2012年9月19日東京時間23:00記述)
 

第521回 【September11(9.11)から11年経過しました】

今週の火曜日は、「September11(9.11)」(アメリカ同時多発テロ事件)でした。

アメリカ同時多発テロ事件から、早くも11年が経ちました。

当時を思い起こすと、ワールド・トレード・センター・ビルに飛行機が突入した直後から、日本でも夜の報道特別番組として生中継されました。

映画の映像と違い、固定されたカメラで写しているので、目に映る景色は美しいのですが、ワールド・トレード・センターからは、不自然に煙が立ち上っているのです。

違和感のある映像で、現実に起こっている事件の不気味さが伝わってきたのを覚えています。

その数時間後には、2本のワールド・トレード・センター・ビルが倒壊するという凄惨な事件の様子を目撃して、私たちは非常なショックを受けました。

「September11(9.11)」(アメリカ同時多発テロ事件)は、外国為替市場にとっても驚愕の事件でした。

数ある金融市場の中で、外国為替市場は規制がなく、いつでもオープンしている自由なマーケットです。

「September11(9.11)」以前には、大事件や世界的な大暴落が起こっても、外国為替市場がクローズすることはありませんでした。

ところが、「September11(9.11)」の当日と翌営業日は取引がほとんど停止しました。

ニューヨークの銀行決済が出来なくなったという理由が大きかったものの、取引手段は他にもあり、儲けようと思えば儲けられたのです。

それでも取引が停止したのは、多くの市場参加者が、「September11(9.11)」を儲けの材料に使うことを潔しとせず、取引を自粛したから、と考えます。

当時の市場参加者にはモラルがありました。

翻って現在の状況はどうでしょうか?

個々に名指しすることは避けますが、個人投資家も含め、投資家のモラルはあきらかに低下している、と感じます。

「September11(9.11)」以降に起こった数々の事件・出来事に、それが表れている、と考えます。

『どのような手段を用いてでも自分だけが儲かればいい』
と考える現在の風潮を、個人的には危惧しています。

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(2012年09月13日東京時間10:25記述)

第520回 【大局で見れば、ユーロ売りが続く、と考えます】

マーケットが注目していた欧州中央銀行(ECB)理事会が、先週の9月6日(木)に開催されました。

政策金利を年0.75%で据え置くことを決め、理事会ではスペインやイタリアなど南欧国債の購入を協議しました。

理事会後の会見で、マリオ・ドラギ総裁は、資金繰り難に陥った国が、欧州安定メカニズム(ESM)に支援を要請することを条件に、ECBが償還期間が1~3年の国債を無制限に買い入れることを発表し、8月の「ドラギ発言」よりも一歩踏み込んだ支援策を示しました。

ただ、支援策を実施するための具体的なスケジュールは不透明なままです。

そして、9月7日(金)に発表された米国の雇用統計では、ノンファームペイロール(非農業部門雇用者数)が予想以上に悪かったので、QE3(量的緩和第3弾)が実施される可能性が高まり、ドル売り傾向が強まりました。

だからユーロは買いである、という話ではありません。

今後の相場に与える影響を、QE3要因とユーロ危機要因で比較すると、ユーロ危機のほうがはるかに深刻と考えます。

そのため、QE3実施の思惑と支援策要因で相場が多少ドル売り方向へ動いたとしても、長くは続かず、大局で見ればユーロ売りは変わらない、と考えています。

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(2012年9月10日東京時間09:30記述)

 

第519回 【日本のルールと世界のルール】

この夏のロンドン・オリンピックを振り返って、強く感じたことは、「スポーツのガラパゴス化」でした。

個々の競技をあげて批判するつもりはありませんが、下馬評が高かったのに勝てなかったことが印象に残ります。

日本のルールと世界のルールに食い違いが生じていて、世界のルールに合わせた戦い方の練習ができていないのかもしれません。

従来型の携帯電話の分野では、ガラパゴス化が進み、世界市場ではほとんど売れませんでした。

スマートフォンの時代になっても、国内メーカーは多機能なことに価値がある、と勘違いして、ガラパゴス化を目指してしまい、世界市場はアップル製と韓国製が二分するという状況です。

世界の多くのユーザーは多機能を求めているわけではありません。

基本性能が良くて価格の低廉なものが欲しいのです。

そんな世界のルールの存在を日本の経営者が気づいていないのか、そんな安物を製品化したら会社の沽券に関わると考えているのか、安物は、利益が少ないから作りたくないのか、その中のどれかなのでしょう。

日産自動車のカルロス・ゴーン社長は世界市場を理解していました。

だから日産は世界市場で好業績を上げています。

ゴーン社長の年収は10億円弱。

日本では、それでも高いと批判されていますが、日産を再建したのですから世界標準に則って、その10倍の年収でもおかしくないと思います。

その代わり対価に見合った成果が出せなくなれば、すぐにクビを切られるという覚悟もできるはずです。

大リーガーのイチローがマリナーズを退団したのも、アメリカ人のルールに照らせば対価に見合った成果を出せなかったので、シーズン途中でクビになったということですが、日本人のルールでは後輩に道を譲って自ら身を引いたという解釈になります。

日本人としては、その方が後味がいいのでしょうから、わざわざ指摘することもないのですが、日米の考え方の違いには気がつくべきです。

過剰サービスも気になるところです。

日本で生活していると宅配便は翌日の指定した時間に届くことが当たり前です。

大型商品を買って配達を依頼しても時間指定通りに配達してくれます。

アメリカに転勤したときに驚いたことは、家具の配送を待つという理由で、会社が休みをくれたことでした。

アメリカの宅配便はいつ届くのかわからないので、明日は休んでよし、というのです。

だから日本の宅配便も適当で良いというわけではなくて、私たちが当たり前だと思っていることが、世界から見ると全然当たり前ではないということを知って欲しいのです。

この話はここで終えても良いのですが、あえて外国為替取引に当てはめるなら、世界のルールに則って戦わなければ勝てない、ということです。

相場の動きを日本人的感覚、日本人のルールで解釈するべきではありません。

私たちは五輪選手と同じように世界を相手に戦っているのですから。

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(2012年09月06日東京時間10:20記述)

 

第518回 【中国の景気減速は為替相場にも影響を与える】

中国の景気減速が為替相場にも影響を与えています。

そこで今回は、9月相場を戦う上で重要な材料になり得る中国経済の見通しについて考えます。

まず大局で見れば、13億人の人口を抱える中国の経済成長が今後も続くことは、ほぼ確実です。

ただ、これまでのような急成長は望めず、巡航速度で緩やかに成長していくことになるのでしょう。

これまでの中国の強みは豊富な労働力と安い人件費にありました。

先進国企業がこぞって工場を建設し、世界の生産工場として発展したことが急成長の原動力となっていました。

しかし、近年は労働者の意識が高まり、賃金アップや権利獲得のためのストライキも起こっています。

それを批判するつもりは毛頭ありませんが、今後も人件費が上昇していくことは確実で、先進国企業から見た中国進出のメリットは薄れていくことでしょう。

中国の生産力は依然として世界一を保っていますが、欧州危機の影響により世界が不況の真っ直中にいて需要が縮小しているために生産力の余剰が起こっています。

13億人の潜在的な消費意欲を考えれば国内需要が簡単に冷え込むことはなく、デフレの心配は当面不要だと思いますが、中国経済の足を引っ張ることは容易に想像できます。

中国が「良い発展」を続けるためには、バランスを取りながら全体的に底上げしていくことが不可欠なのですが、これまでの舵取りを見る限りでは、ノウハウ不足の印象を受けます。

例えば中国の高度成長の起爆剤となった北京五輪や上海万博。

巨費を投じて競技場や施設を建設し好景気を演出したわけですが、それらを再利用することができず現在では廃墟と化している、と聞きます。

つまり、点と点の発展を有機的に結びつけて全体の発展につなげることができず、隘路に入ってしまうところに中国の弱点があります。

中国の景気減速は、世界経済にとって目先の悪材料です。

とりわけオーストラリアのように、原材料や資源を輸出している国の景気を冷やすことになるでしょう。

そうした現況を踏まえて、戦略を考え、9月相場を乗り切りましょう。

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(2012年9月2日東京時間22:30記述)



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