第508回 【五輪モードの「夏休み相場」】

金融マーケットは全体的に低調です。

私にとってメインフィールドである外国為替市場でも、参加者のやる気の無さがひしひしと伝わってきます。

「夏休み相場」に入ったことが大きな理由のひとつですが、東京市場のやる気の無さは猛暑も影響しているでしょう。

暑いからだるくてやる気が無い――そんなことが相場に影響するのか思うかもしれませんが、多くの人が集まるマーケットには、人間の生理的な現象が色濃く反映されるものです。――


そして、今年はロンドン五輪の影響もあります。

テレビでは連日試合の中継や特別番組が放送されています。

サッカーは、先週の水曜日(7月25日)に、女子の予選リーグが始まり、サッカー男子の予選リーグも、その翌日(7月26日)から始まっています。

※日本の男女サッカーは、共に、順調に予選リーグを突破しました。
予選リーグの最後の試合も、ぜひ、良い結果を出して欲しいと、応援しています。

そのため、多くの人の意識が五輪に向いてしまい、相場に集中できなくなっています。

国内外の山積した問題もやる気を失わせる原因です。

国内では原発事故処理と原発再稼働問題、毎週金曜日に行われる首相官邸前の脱原発抗議行動が注目されています。(7月29日日曜日には大規模デモが行われたようです)

さらには、大津の中学生いじめ問題によって続々と明るみに出る各地のいじめ問題、国会での不毛な議論......どれもスッキリとした解決策が提示できていません。

海外に目を向けても同じ。

欧州の不良債権問題は原因究明と根本的な対応策をとらないまま、対症療法的な先送り策でしのいでいます。

米国の景気回復も遅れているのに、大統領選を控えているせいなのか、積極的な取り組みが見えてきません。

どれもこれもあいまいでスッキリしない状況下では、マーケット参加者も活発な売買をする気になれません。

こんな状態が五輪期間中は確実に続きます。

そして、五輪が終わると、東京市場はお盆休みで本格的な夏休み相場となり、盆明けも夏休みモードが続くことでしょう。

しかし、やる気がないから安全な相場というわけでは決して無く、ユーロだけが下落を続けていてむしろ危険な状態に入っています。
(先週末は、反発しましたが、基本的流れはユーロ下落と考えます)

「夏休み相場」の最中にも、相場にとどまるのであれば、リスクを取らない取引(リスクを限定した、リスクをミニマイズした取引)を心掛けるべきだ、と考えています。

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(2012年7月30日東京時間03:00記述)

 

第507回 【与件は何も変わっていないが、センチメントに変化がある】

米国独立記念日(7月4日)を過ぎ、日本の「海の日」(7月16日)も過ぎて、学校も終業式を終えて、本格的な夏休みの様相になってきました。
 
すでに「夏休み相場」になりましたが、マーケット(外国為替市場)の与件は、夏休み前のころと比べても、具体的には、何も変わっていない、と考えています。
(つまり、6月と比較しても、事実上、ほとんど何も変わっていない、と考えています)
 
しかし、与件は変わっていないのですが、市場参加者の材料に対する考え方に、変化が出てきている、と考えます。
 
まず、欧州の不良債権問題(=欧州危機)ですが、ギリシャの総選挙後、漠然とした期待感があった、と考えます。
 
つまり、「欧州危機の解決策が出てくるのではないか?」といった期待感です。
 
ギリシャの総選挙後に、いくつかの合意や策が発表され、その直後は、「ユーロ買い」に振れました。
 
その際には、マーケット(金融市場・株式市場)には、リスクを取る(リスクオン)方向で、取引が活発になる雰囲気が広がりました。
 
しかし、時間が経過するに従い、こういった欧州の合意や策には、事実上、効果が無いことがバレて、欧州危機は、ますます、ひどい方向に進んでいます。
 
スペインの国債利回りが、7.5%を超えたことが、欧種危機が拡大していることを証明しています。
(=欧州危機は、明らかに、スペインに波及した、と考えます)
 
そして、ここにきて、ギリシャ問題が再燃しています。
 
ECBは、ギリシャ国債を担保不適格とし、IMFが、今後のギリシャへの融資を停止する可能性が報じられています。
 
結論として、
「現時点で、欧州危機の解決策は、いまだに出てきていない」
ということです。
 
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与件が変わっていないのに、センチメント(市場心理)が変わったことでは、QE3(米国の量的金融緩和政策の第3弾)に対する期待感も挙げられます。
 
個人的な思惑ですが、QE3は、米国の株価対策として実施されることになるのだろう、と、予測しています。
 
もちろん、QE3が、すぐに実施されるのではなく、実施されるとしても、9月頃ないしは、それ以降になるのだろう、と、考えています。
(直近で、米国株価が微妙な水準で上下動をしていますが、下落傾向が鮮明になれば、QE3の可能性は高まる、と考えます)
 
しかし、実施されるのは、先のことであろうとも、QE3の可能性が高まれば、マーケット(市場参加者)は、それを先読みして、行動に出ます。
(=QE3に備えたポジションに調整する)
 
QE3は、「ドル/円の売り材料」です。
 
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最初に述べた通りに、実は、マーケットの与件は、具体的には、何も変わっていません。
 
ドル/円に関しては、中長期のチャートで見るならば、すでに上昇トレンドに転換した、と、私は考えています。
 
つまり、チャートで判断するならば、ドル/円は「買い」と考えています。
 
しかし、QE3の思惑や、ユーロ/円下落の影響で、目先のドル/円は、下落気味に動いています。
 
だから、結論として、ドル/円に関しては、ちょうど良い「夏休み」と考えて、ドル/円のポジションをスクエア(=ポジション無し)にして、何かするのならば、ユーロ/ドル(もしくは、ユーロ/円)などに集中する方が、得策だ、と考えています。
 
ユーロに関しては、対円、対ドルのどちらも、ユーロ危機を材料に、「ユーロ売り」と考えます。
 
すでに、ユーロ/円、ユーロ/ドルは、どちらもその絶対水準を切り下げていますが、欧州危機の解決策が示されない以上、今後、さらに、もう一段のユーロ安水準を見ることになる、と考えます。
 
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(2012年7月26日東京時間0:30記述)

第506回 【金利操作を防ぐには可視化しかない】

LIBOR(ライボー)と呼ばれる短期金利の国際的な指標が、銀行の不正申告により歪められていた問題が明るみに出ました。

LIBORはロンドン市場で取引する大手銀行が、資金を貸し借りするときの金利の平均値。

各行が自主申告した金利を英国銀行協会がまとめて公表しています。

不正の内容を簡単に説明すると、リーマンショック以前は、実際に取引されていた金利よりも高い金利を申告して、銀行は金利差で儲けていました。

リーマンショック以降は、実際の金利よりも低く申告して、銀行が保有する資産の価値を高く見積もり、財務体質を粉飾したのです。

マスコミ報道では最近になって急に明るみに出たような印象を受けますが、私が銀行員として初めてマーケットに参加した1980年代から、ずっとこういう状況が続いていました。

金利が、金融機関の信用力などの力関係を背景にした相対取引で決まる仕組みである以上、不正操作・不正申告を無くすことはできないのです。

しかも、不正申告には不正を監視する立場であるはずのイングランド銀行(BOE)も関わっていた可能性が高く、FRBも承知していたようだと報道されています。

銀行員としての経験から言えば、銀行は本当のことを言わずに済むのであれば言いません。

顧客に対しても積極的に嘘をつくことはないにしても、法的な告知義務がなければ、顧客の利益を損なうことであっても知らせないでしょう。

そうした銀行の体質を考えると、そもそも金利を自己申告するという制度が間違っているのです。

LIBORの信頼を回復するためには、為替相場のように実勢レートを使って可視化するしかありません。

金利相場の可視化は、為替相場の可視化よりずっと難しいことは十分理解していますが、本気で信頼を回復するつもりなら他に方法はありません。

もし再発防止策として他の方法をとるとすれば、それは本気ではないと解釈されても仕方ありません。
(2012年7月22日東京時間22:00記述)

第505回 【夏休み相場は、遊び心を忘れずに】

今月初旬の7月4日は、米国独立記念日でした。
 
この日を欧米人の「夏休み相場」の入口とすれば、今週の月曜日(7月16日)の「海の日」が、日本人の「夏休み相場」の入口なのでしょう。
 
今週が終わると、多くの学校でも、本格的な「夏休み」が始まります。
 
そういった状況の下、ドル/円相場を見ると、ごく目先の値動きでは、『下値79.10程度-上値80.10程度のボックス相場』を作っていましたが、直近の値動きで、下値をブレイクし、78円台に入っています。
 
そのように、マーケットは散発的に動いているのですが、全体的に見れば市場参加者の「うんざり感」が伝わってくるような相場が続いています。
 
8月中旬ごろ、つまりお盆休みのころには完全にデッドな相場に変わると思いますが、それまではそれなりに動くことから、取引を続けたいという個人投資家も多いと思います。
 
そこで、(決して推奨するわけではありませんが)取引を続ける場合は、100%の力で戦う場面ではないと心得て、ポジションを小さくして、致命傷を負わないような方法で参戦したほうが良い、と考えます。
 
そして、危険な匂いを感じたら早めに撤退する勇気を持つこと。
 
致命傷を負わずに切り抜けて9月からの本格相場に備えることが大切です。
 
全国的に猛暑日が続いていますが、夏休み相場に対しては熱くならずに、遊び心を忘れずに楽しむことも重要と考えます。
 
来週からは、ロンドンオリンピックも始まりますから、相場のセンチメントは、ますます「夏休みの休暇モード」になるのだろう、とも考えています。
 
自分の都合ではなくて、「相場のリズムに自分を合わせること」が求められる季節が到来した、ということです。
(2012年7月19日東京時間01:30記述)
 

第504回 【ドルへの回帰】

ごくごく目先のドル/円相場は、『下値79.10程度-上値80.10程度のボックス相場』を作っています。

先週の7月5日(木)の海外市場では、ECB(欧州中央銀行)が、ユーロの政策金利を0.25%引き下げ、0.75%にしたことをきっかけに、「ユーロ売りドル買い」となりました。

7月5日(木)の値動きでは、「ユーロ売りドル買い」が、ドル/円でも「ドル買い」を引き起こし、79円台ミドル程度(79.60アラウンド)から、一時、80円台に乗せました。

しかし、80.00アラウンドには、目先でドル/円を売りたい市場参加者がいる様子です。

本邦輸出企業などのドル売りオーダーや、機関投資家のドル売りオーダーが、80円台前半に集中しているようです。

80.00には、為替オプション絡みのドル売りオーダーもあるようです。

しかし、80円台前半を明確に上に抜けて、さらに、80.50を明確に上に抜ける場合は、「買いシグナル」点灯となります。

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先週末(7月6日金曜日)のニューヨーク市場で発表された米国雇用統計(失業率)では、失業率が、事前予想通りの8.2%でしたが、非農業部門雇用者数(NFP)は、事前予想の[+10万人]に対し、発表された数値は[+8万人]で、トータルで見れば、事前予想よりも悪い数値となりました。

※事前予想[+10万人]に対し、[+8万人]ですから、少し悪かった、と考えます。
しかし、ものすごく悪い、という訳ではない、とも考えています。

米国雇用統計(失業率)の結果が、事前予想よりも悪かったことを受けて、ドル/円は、下落しましたが、引き続き、『下値79.10程度-上値80.10程度のボックス相場』に収まっています。

今回の米国雇用統計(失業率)に関しては、ドル/円に特段の変化を与えていない、と考えます。

※米国雇用統計(失業率)が悪かったのですから、米国経済が、かんばしくない状況であることは事実ですが、だからといって、『この結果をもって、積極的にドルを売るわけにはいかない』と考えます。

先週末(7月6日金曜日)の米国雇用統計(失業率)での反応で、注目すべきなのは、ドル/円ではなく、ユーロ/ドルだ、と考えていました。

現在の外国為替市場での最大のテーマは、「欧州債務危機」であり、米国雇用統計(失業率)が、「ドル買い」を促す内容だったならば、ドル/円よりも、ユーロ/ドルが激しく反応するだろう、と考えたからです。

しかし、発表された7月6日(金)の米国雇用統計(失業率)は、米経済の不調を示す内容で、「ドル売り」を促すものでした。

しかしながら、7月6日(金)の米国雇用統計(失業率)の発表後は、「(ユーロ買い)ドル売り」に反応せず、むしろ、「ユーロ売り(ドル買い)」に反応しました。

これは、米国雇用統計(失業率)の数値に反応したのではなく、米国雇用統計(失業率)の発表と同時に、米国雇用統計(失業率)のイベントが終わり、直ちに、マーケットのテーマが「欧州債務危機」に注目が移ったのだ、と考えます。

今回(6月末)の『欧州連合(EU)首脳会議の合意』を高く評価する向き(市場参加者)も多いようですが、私は、全く、そのようには考えません。

欧州債務危機の解決策は、未だに示されていません。

このところの様々なイベントで、ユーロがポジション調整で買戻される場面もありましたが、それは、所詮、ポジション調整の域を出ていない、と考えます。

つまり、大局は、欧州債務危機による「ユーロ下落」、と判断しています。

そして、大局が「ユーロ下落」であれば、すなわち「ユーロ安ドル高」ですから、ドル/円に与える影響は、「ドル高円安」の圧力と考えます。

現在の、目先のマーケットでは、欧州債務危機による「ユーロ下落」が、「ユーロ/円の売り圧力」となり、「ドル/円の売り圧力」となって、上述のドル上昇圧力を相殺している形になっています。

しかし、もっと大きな視点で捉えるならば、欧州債務危機による「ユーロ下落」の影響は、「ドル回帰」になって顕在化するのだろう、と判断しています。

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(2012年7月12日東京時間09:30記述)

第503回 【ユーロが、さらに、大きく下落を続けても不思議ではない(=リーズナブルである)】

先週の7月5日(木)のECB(欧州中銀)の利下げを契機に、ユーロ/ドルが下落を始めました。

このユーロ/ドル下落で、外国為替マーケットには、改めて、緊張感が出てきた、と感じています。

しかしながら、7月5日(木)のECB(欧州中銀)の0.25%の利下げは、事前の予想通りであり、その時点では、すでに、織り込み済みなのではないか、と考えていました。

ところが、振り返ってみると、6月末(6月29日金曜日)のユーロ/ドル高値1.26台後半程度(1.2700近辺)から比べると、7月5日(木)のECB(欧州中銀)利下げ発表後のユーロ/ドルは、1.23台にまで、300ポイント急落しています。

ユーロ金利の引き下げが、事前予想通りだとするならば、この時点(7月5日の時点)で、ユーロの弱さが、再浮上してきたことになります。

直近の相場を振り返ると、ユーロ/ドルは、6月29日(金)に、強烈に上昇しました。

欧州連合(EU)首脳会議で、ファンロンパイEU大統領が、欧州安定メカニズム(ESM)による銀行への直接資本注入することを発表し、さらに、ユーロ圏首脳は、スペインの融資に関連し、優先権の放棄を発表したことを契機に、ユーロは急騰しました。

EU首脳会議の事前予想では、「今回の会議で、有効な具体策は発表されないだろう」と考えていた向きが多く、想定外の『これらの策』がきっかけとなって、「ショート・スクイズ」(ユーロ売り持ちポジションの買戻し)を誘発した、と考えます。

そして、7月に入り、外国為替市場の夏休み入りを告げるメルクマールである7月4日(水)の「米独立記念日」の時点では、外国為替市場には、一服感がありました。

一般的には、(多くの人が言っているようですが、)欧州連合(EU)首脳会議で、ドイツが譲歩する形で債務国支援に合意したことをマーケットが評価したことになっていますが、私は異なる見方をしています。

EU首脳会議の合意の内容は具体性と即効性に乏しく、効力を発揮するまでには、まだまだ、紆余曲折が予想されます。

さらに、ギリシャ、イタリア、スペイン国債の下落が止まらず、評価損が拡大し、保有者のバランスシートが毀損しているのは明らかです。

何も改善されていません。

それでも相場に一服感があったのは、「悪材料疲れ」したマーケット参加者が、合意という「好材料」を口実に一服したかったというのが実情に近いのではないか、と考えています。


為替相場には直接影響はないけれど、日本の政治も混乱しています。

米国は大規模な金融緩和を行っても景気回復が十分でなく、11月には大統領選挙を控えています。

欧州は債券危機の拡大が懸念され、新興国も景気の減速が鮮明になっています。

このような多くのマイナス要因を抱えた相場ですが、表面上は落ち着いていました。

それで、今年の夏休みは、このまま落ち着いた「夏休み相場らしい相場」になる可能性もある、と、7月4日の米国独立記念日の時点では、考えていたのですが、ECBの利下げをきっかけに、状況が変わってきた、と感じます。

ユーロの下落が目立ってきたからです。

EU首脳会議の合意で上昇した(リバウンドした)ユーロ/ドルの上昇分を、ECBの利下げで、すべて帳消しにしています。

そして、先週末(7月6日金曜日)のニューヨーク市場で、ユーロ/ドルは、さらに下落し、このところの新値を更新して、1.22台ミドルの安値を付けています。

先週末(7月6日金曜日)のニューヨーク市場で発表された米国雇用統計は、米国にとって悪い内容で、むしろ「ユーロ買いドル売りの材料」でした。

だから、米国雇用統計発表後のユーロ/ドルのさらなる下落は、米国雇用統計が材料ではなく、ユーロが内包する問題点が原因だ、と考えます。

つまり、「ユーロ危機」が材料で、ユーロが下落している、と考えます。

ユーロ危機に関しては、いまだに、何らの解決策が示されていません。

様々な合意は、問題を先送りしているだけで、解決策ではありません。

何ら進展していないことに着目すれば、
『ユーロが、さらに、大きく下落を続けても不思議ではない(=リーズナブルである)』
という結論に至ります。

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(2012年07月8日東京時間23:30記述)

第502回 【買い相場で買うチャンスは複数あるが、売り相場で売るチャンスは一度しかない】

外国為替相場、特に、ドル/円相場に関して言えば、価格の上昇はゆっくりで、価格の下落は速い、といったことは、実際の相場を経験してきた人であれば、誰しもが認めることでしょう。
 
価格(ドル/円レート)の上昇がゆっくりであるということは、価格がまったく動かない、ということではありません。
 
外国為替市場は、平日は24時間、開いていますから、売買は常に行われています。
 
価格(ドル/円レート)は、売買にともなって、ジグザグ運動、上下動を繰り返しています。価格が上がりそうだと思う市場参加者は、当然にドルを買います。価格が下がりそうだと考える市場参加者は、ドルを売ります。
 
そういった取引をこなしながら、価格が上昇する場合は、上下動を繰り返しながら、少しずつ、切り上がるように上昇していくのです。
 
たとえば、1ドル=80円から、1ドル=85円になるような場合を考えてみましょう。
 
ドルが、[1ドル=80.00]で、いったんの底値をつけて、上昇を始めました。
 
[80.00]と[85.00]のちょうど中間レートの、[1ドル=82.50]まで上昇したとしましょう。
 
そこで、まだドルが上昇すると判断して、ドルを買う決断をしたとします。
 
買う場合には、あわてて[82.50]を買わなくても、上下動を繰り返していますから、[82.00]や[81.50]アラウンド(近辺)に、リーブ・オーダー(指値注文)をしておけば、相場が下がって、買える可能性が高いのです。
 
ですから、「買い」を行う場合には、判断のタイミングが何度でもあります。
 
このケースならば、[82.50]を買っていても、最終的に価格が上昇すれば、ジグザグ運動をしているときに、あわてて売りさえしなければ、利益につながります。
「買う」場合には、タイミングを外しても、また別のチャンスがあることが多いのです。
 
買い相場は、「買っては、売り」「買っては、売り」の繰り返しが有効です。
 
そして、相場はジグザグの上下動を繰り返しているのですから、「買うチャンス・タイミング」は、何回でもあります。
 
また、「買う」場合には、多少タイミングを間違えても、レートに大差がありません。ジグザグ運動・上下動を繰り返しながら上昇するのですから、少し考えれば、それは当然のことなのです。
 
ということは、はっきり言えば、どこで買っても、たいして変わらない、ということです。
 
買い相場は、どこで買っても、たいした違いにならないのですから、「買う」という判断を下して、実際に買ったのか、それとも買わなかったのか、という事実だけの問題です。
 
「買う」という判断を下しても、チャンスが何度もありながら、それでも買わなかった、買えなかった、という人がいます。
 
しかし、それは判断していないのと同じことです。
 
ところが、価格(ドル/円レート)が、1ドル=85円から、1ドル=80円になるような場合には、相場は一気に落ちます。
 
[1ドル=85.00]から、[1ドル=82.50]まで落ちたとしましょう。
 
そこで、ドルがさらに下がると判断して、ドルを売る決断をしたとします。
その場合は、すぐに売らなければ、もうチャンスはないかもしれません。
 
ドル/円が、本格的に下落する場合には、1日で5円程度はたいした動きではありません。いつも、というわけではありませんが、1日で10円、20円と下落する可能性もあるからです。
 
そして、本格的な「ドル安円高の値動き」であるならば、[1ドル=85.00]から、[1ドル=82.50]まで落ちた際に、83円台や84円台で、リーブ・オーダーをしても、ダン(Done/取引約定)にはならないでしょう。
価格が下落する場合には、ジグザグ運動はなく、ストンと落ちるからです。
 
(2012年7月5日東京時間10:00記述)

第501回 【日本の政治が混乱しても、基本的には為替相場に影響を与えない】

消費税増税関連法案が衆議院を通過し、参議院でも採決が行われる見通しです。
 
衆院採決では57人の民主党員が反対票を投じ、その結果を受けて、小沢一郎元代表は離党を切り札にして参院採決を阻止しようとしています。
 
一方で自民党は、反対票を投じた議員の厳しい処分を求めて民主党解体をめざしたゆさぶりをかけています。
 
そうしたことの是非は別にして、
「政治が不安定になると円が売られるのではないか?」
「今回の日本の政局は円売り要因ではないか?」
という指摘があります。
 
しかし、残念ながら、日本の政局が外国為替相場の材料になったことは、過去を振り返ってみてもほとんどありません。
 
今回もまた材料にはなっておらず、消費税増税関連法案が衆議院を通過した時点では、むしろ円高気味に推移しました。
 
先週末(6月29日金曜日)に円安気味に動いたのは、欧州の不良債権問題がテーマで、日本の政局が材料になった訳ではありません。
 
消費税増税関連法案が衆議院を通過した時点で円高に振れたのは、政局によってもたらされる再度の政権交代の可能性を円買いの材料としているのではなく、消費税増税により日本の財政状況が改善され、格付け引き上げ要因になるという期待によるものだろう、と推測しています。
 
日本の政治状況はマーケット(外国為替市場)に影響を与えないということは、これまでも何度か指摘してきたことですが、今回の騒動でも、改めて確認された、と考えています。
 
7月2日の週明け月曜日は、先週よりも円安方向に振れる可能性が高いと考えますが、それは、先週末(6月29日金曜日)のニューヨーク市場で株価が大きく上昇し、リスクを取り易い状態(リスクオン状態)になったことを受けて、為替相場が反応する結果であり、日本の政局を材料としたものではない、と考えます。
 
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(2012年7月1日東京時間22:30記述)
 



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