第500回 【相場に勝つためには、どう考えれば良いのか?】

何でも、どんな相場でも勝とうとするのではなく、まず、謙虚になることが大切です。

そして、目の前の相場を、「売り」で戦うのか、「買い」で戦うのか、考えてみましょう。

「売り」でも「買い」でも勝とうとするのではなく、どちらか一方を捨てると、見えてくるものがあります。

一度に、両方面から見ようとすれば、複雑になって、かえって混乱します。

一方を捨てると、ものごとは単純になります。

骨格(根本の骨組み)が見えてきます。

骨格に付いている、余分な肉や脂肪を捨てないと、重要なものが見えないこともあるのです。

たとえば、「買いで戦う」といった方針があれば、
「どこで買うか?」
そして、
「どこで、損切りの売りを行うか?」
といった、2つのことだけを考えればよいことになります。

こう言うと、
「利食いの売りを、どこでするのかも考えなければいけないのではないですか?」
といった意見が、必ず出てきます。

もちろん、それは否定しませんし、そうしたければ、そうすればいいことです。

ただ、個人的には、「利食い」は後でゆっくり考えればいいことで、取引を行う際に、必ずしも考えておかねばならないことではない、と思っています。

(2012年6月28日東京時間11:30記述)

第499回 【欧州危機終息には果てしない時間がかかる】

ギリシャの再選挙の結果、ギリシャが緊縮財政を拒否してユーロ離脱が現実化するといった急激な事態は避けられました。
 
引き続きEU(欧州連合)とIMF(国際通貨基金)の支援を受けつつ、国家再建を目指すことになり、マーケットには一服感が漂っています。
 
一方で、スペイン国債の利回りは、危険水域の7%近い水準に張り付いていて危機的状況にあります。
 
しかし、ギリシャ危機が先送りされたことで、スペインも何とかなるのではないかという楽観的な空気もあるようです。
 
あまり良い例えではないのですが、
『左腕にケガをして、それが痛い時に、新たに右足に大ケガをしてしまい、その右足が痛すぎて、左腕の痛いという感覚が麻痺している』
というイメージでしょうか。
 
欧州債務危機はバランスシートの毀損が招いた危機です。
 
欧州各国や金融機関が保有していたギリシャなどに対する債権の価値が暴落したことで、大量の資産が不良債権化してしまった。
 
それはバブル崩壊後の日本の状況と同じで、日本の主要銀行が、政府の手厚い保護を受けながら、ようやく借金を返し終えたのは、つい最近のことです。
 
また、JALは1980年代に行った長期の為替予約によって被った為替差損が原因で、バランスシートが毀損し、その後何十年も掛けて処理しようとしてしきれず、結局、破たんへ向かいました。
 
米国のサブプライムローン問題でも、多くの銀行がバランスシートを毀損させて破たんしたり、事実上の吸収合併(統合)が行われました。
 
実質的に破たんしたギリシャはともかく、はるかに経済規模の大きいスペインが立ち直るまでには、何十年という時間を必要とするはずです。
 
メキシコで開催された20カ国・地域(G20)の首脳会議(サミット)では、ユーロ域内の銀行の監督や預金保険などを共通化する「銀行同盟」の実現で一致しました。
 
しかし、各国の利害関係が絡むために、実現に向けた道は険しいでしょう。
 
銀行同盟に限らず、今後どのような支援策が打ち出されようと、根本的な解決が図られない限り、『ユーロは売り方向』で考えるべきだ、と判断しています。
 
欧州債務危機を甘く見てはいけない、と自分に言い聞かせています。
 
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(2012年6月24日東京時間21:00記述)

第498回 【ポジション調整は、強制される前に自らするもの】

急な値動きの際に、「ポジション調整」という言葉がよく使われます。
 
たとえば、ドル/円(USD/JPY)レートが上昇する場合には、当然、誰かがドルを買っています。
 
しかし、相場は、上下動を繰り返す習性がありますから、価格が上昇したところで、いったん「利食いの売り」を行おうとする市場参加者が、必ずいます。
 
あるいは、ドル/円レートが上昇すると考えてドルを買ったものの、思惑に反して相場が下落することもあります。
 
そういったときには、損失を回避するために、「損切りの売り」を行って、保有しているドル/円のポジションを少なくする市場参加者が出てきます。
 
このように、保有しているポジションを小さくすることを「ポジション調整」と言います。
 
相場の動きは、上下動を繰り返す習性があります。ですから、相場が一本調子に上昇したり、一本調子に下落したりした場合でも、それまでの上昇・下落の値幅よりも小さな値幅で、相場がいったん反転して、そこで持ち合い相場を形成することがよくあります。
 
こういった状態を「揺り戻し」とか、「綾戻し」と言いますが、そういったときに、ポジション調整がよく行われます。
 
あるいは、ドル/円が上昇傾向にあるときでも、市場参加者の多くがドルを買い、マーケット(外国為替市場)がドル・ロング(ドル/円の買い持ち)の飽和状態になると、マーケットが自律的に下落することで、ポジション調整が行われます。
 
この場合の自律的調整とは、市場参加者がドル・ロングを解消することですから、ドルを売ることです。つまり、目先の高値を買った人たちが、損切りでドルを売る場面です。
 
そういったときのマーケットの雰囲気は、非常にドル売りの気配が強くなります。
 
ポジション調整は、当初の自分の思惑が間違っていたと認めて、反対売買をすることですから、弱腰な姿勢と考える人もいるでしょう。
それは、その通りかもしれません。しかし、相場は、いつも勝てるはずもなく、必ず負けるときがあります。
 
「ポジションを調整すること」は、体勢を立て直すために必要な、そして、とても重要なテクニックです。
 
ポジションを調整することは、リスクをコントロールしている状態であり、マーケットの値動きに対応している状態です。
 
ポジション調整を行わない(行えない)状態は、「フリーズ状態」と同じで、非常に危険です。
 
ポジション調整を行わなかったり、行えなかったりすることで残されるポジションが、『塩漬けポジション』です。
 
(2012年6月21日東京時間11:00記述)
 

第497回 【ギリシャ再選挙は、どういう結果であれ、「ユーロの売り材料」と考えています】

この原稿を書いている今日、6月17日(日)は、ギリシャの再選挙の当日です。
 
東京時間とは時差がありますから、今日、これからギリシャでは投票が行われます。
 
破たんした財政を建て直すための緊縮財政に対して、ギリシャ国民がどのような判断を下すのかは、事前には、わかりませんが、緊縮派と反緊縮派のどちらが勝っても、ギリシャ問題が早期に解決することはなく、選挙結果を材料にユーロを買うことはできない、と考えています。
 
もし反緊縮派が勝って、本当に緊縮財政を放棄した場合は、欧州の支援が受けられなくなり、ユーロ離脱が視野に入ってきます。
 
国民の多くは望んでいないとはいえ、万が一離脱することになれば、世界経済は大混乱に陥るでしょう。
 
そして、欧州債務危機はスペインにも、すでに飛び火しています。
 
EU(欧州連合)は今月(6月)の9日、過大な不良債権を抱えるスペインの銀行の資本を増強するため、最大1000億ユーロ(約10兆円)の支援資金を用意していると発表しました。
 
このことを材料に、週明けの6月11日月曜日の市場は、ユーロ買い方向へ動きました。
 
しかし、このニュースは、
『スペインの銀行が、EUの資金によって資本増強しなければ、破たんするところまで追い詰められている』
という内容だから、本来ならば、「ユーロの売り材料」であるはずだ、と、私は考えています。
 
6月13日には、米格付け会社のムーディーズが、スペイン国債の格付けを「A3」から、投機的水準より1段階上の「Baa3」まで一気に3段階引き下げたことで、長期金利の指標となる10年債の利回りが「危険水域」とされる年7%を突破するなど、スペインの深刻な状況が伝わってきます。
 
ギリシャの再選挙直後にメキシコで開催される20カ国・地域(G20)首脳会議を始め、ユーロ圏の各国財務相による電話会談など、さまざまなレベルの会合が予定されています。
 
しかし、マーケットがサプライズと受け止めるような解決策は提示されないでしょう。
 
もしあればとっくに実行に移されているはずですから。
 
 
欧州債務危機を救う短期間で解決する唯一の手段は、財政に余裕のあるドイツが、すべての債務を(肩代わりではなく)保証することですが、それはドイツ国民にとって受け入れられない話だし、また、ギリシャ国民が痛みを感じないまま借金を他国に押しつけて立ち直るようではモラルに反するし、将来、同じ失敗を繰り返すことになるでしょう。
 
結局、債務危機を解決する方法は、ギリシャ国民やスペイン国民が真面目に働いて、少しずつ債務を縮小させていくしかありません。
 
日本がバブル崩壊後20年以上も苦しんでいるように、欧州の苦しみは今後10年、20年と続くのかもしれません。
 
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(2012年6月17日東京時間15:00記述)
 

第496回 【ギリシャの再選挙】

ギリシャの再選挙が、目前に迫っています。

世論調査によると、ギリシャ国民の大半が金融支援の条件である緊縮財政には反対であるものの、緊縮財政を拒んだ場合に起こり得るユーロ離脱も望んでいません。

ずいぶん身勝手な主張ですが、ギリシャ国民の気持は理解できます。

ギリシャのユーロ離脱は欧州諸国も米国も、今の段階では好ましくないと考えており、17日の選挙結果がどうなろうとも、大きな流れは「現状維持=根本解決の先送り」となるのだろう、と考えています。

なんにせよ、ギリシャの政治空白で、1カ月以上の時間を空費しており、事態はより悪化しています。

その一方で、マーケットはギリシャの破たん、ユーロ離脱を織り込み始めているので、選挙の結果がどう出ようとも、サプライズと受け止めることはないだろう、と考えています。

だからといって、緊縮派が勝っても、反緊縮派が勝っても、ユーロの買い材料にはなり得ない、とも考えています。

投資家の立場では、ユーロの売りポジションを閉じる必要はないと思いますが、調整反発に対応できる態勢を整えおくべきだ、と考えます。

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(2012年06月14日東京時間10:30記述)

第495回 【マーケットの期待値が低いG7、G20会合】

6月5日夜、深刻化する欧州の信用不安や金融市場の混乱について協議するため、先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁による緊急の電話会談が行われました。
 
G7が問題意識を共有して危機克服へ結束するという姿勢は示したものの、今回も具体的な方策を打ち出すことはできませんでした。
 
また、安住財務相は為替介入による円高是正の必要性を訴えたものの、欧米の了解は得られなかったと伝えられています。
 
形骸化が進み実効性に乏しいG7に代表される首脳会合に対し、マーケットは冷めた目で見ています。
 
それでも開会前は期待方向へ動くものの、あまりにも同じ事が繰り返されているので、マーケット参加者の期待値は下がっており、目立った変化が起こりにくい状況です。
 
ギリシャの再選挙の翌日に当たる6月18-19日、メキシコでG20(20カ国・地域会合)が開催されますが、やはりマーケットの期待値は低いようです。
 
世界の安定のためには、各国首脳が顔を合わせることが必要なのでしょうが、恐らく実効性のある共同声明は発表されず、「船頭多くして......」という結果に終わりそうです。
 
結論としては、欧州の信用不安はくすぶり続け、マーケット参加者の誰も望んでいないことですが、深刻な状況へ突き進む事になるのだろう、と危惧しています。
 
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(2012年06月09日東京時間13:05記述)

 

第494回 【「損切り」の原則】

外国為替市場に臨んで、誰にとっても難しいのは「損切り」でしょう。

「損切り」のポイントは、簡単には説明することが難しい問題(テーマ)です。

何かしらのポジションを取る場合には、それが、外貨取引であろうと、株式・債券・商品であろうと、その取引をする人の「思惑」に過ぎません。

「相場に絶対」はありません。ですから、思惑が当たってうまくいくときもあれば、思惑が外れて損をすることもあります。

思惑が当たった場合は問題ありません。利食ってもいいし、放っておいてもいいのです。利益になっているのだから、考えなくてもいいのです。

思惑が外れて損になった場合には、考えなければいけません。

「含み損」を抱えても、「まだ、そのポジションを保有し続けるかどうか?」
その場合に、「どこまでの損失を認めるのか?」

それを考えるべきです。

相場の思惑が当たる確率は、3割~7割程度(要するに半々)なのですから、本来は、ポジションを取る際に、考えておかなければならないことなのです。

損切りのポイントを、自分の資金繰りの都合で決めてはいけません。
そうした場合は、必ず、その損切りは実行(エグゼキュート)されます。

このままでは、何を言っているのかわかりづらいと思います。もう少し説明を加えましょう。

たとえば、
「50万円の損失が出たら、それ以上、負けたくないので、ストップ・ロス・オーダー(損切りの注文)を入れておこう」
と考えて、最大損失の50万円を、保有しているポジションで「割り算」をして、損切りのレートを計算します。

こういった、自分の都合で計算した損切りは、必ず、エグゼキュートされる。

そういう意味です。

では、損切りのポイントは、どこに置けばよいのでしょうか?

チャートで分析して、明確なチャート・ポイントの外側(10ないし20ポイント外側)に、ストップ・ロス・オーダーを置き、他者に預けることです。

自分でストップ・ロス・オーダーを見ない方がいい、と考えています。

意志の強い人ならば(自制心の強い人ならば)、自分でストップ・ロス・オーダーを見ていても、そのレートがきた際に、きちんと損切りを敢行できるでしょうが、多くの人は、自分でストップ・ロス・オーダーを見ていて、そのレートが近づいてくると、ストップ・ロス・オーダーを変更したくなります。

どんなに意志の強い人でも誰でも、そういう気持ちは理解できるでしょう。

ですから、他の人にストップ・ロス・オーダーを見てもらうのがいいのです。

ストップ・ロス・オーダーは、オフしない(キャンセルしない)。

こういった、的確なストップ・ロス・オーダーは、エグゼキュートしてから、再度、相場を考えればいいのです。

やはり、同じポジションを持とう、と判断したならば、ストップ・ロス・オーダーがついてから(損切りをしてから)「売る」なり「買う」なり、同じポジションを作ってかまいません。

そこで発生する手数料などは、微々たるものです。

そのような些細なことが気になるのならば、自分が相場に向かない性格であることをきちんと認識して、
『今後も相場に参加するかどうか』を考えた方がいいでしょう。

(2012年06月07日東京時間00:30記述)

第493回 【欧州危機の火種はスペインへ】

今月17日に再度行われるギリシャ総選挙。
 
事前の世論調査で緊縮財政派が優勢と報じられるとユーロが買い戻され、反緊縮財政派が盛り返していると伝えられると、ユーロが売られる展開になっています。
 
これまでに何度も世論調査の結果が発表されていますが、調査時期や調査会社によって結果が大きく異なっていることを踏まえると、世論調査に一喜一憂して、ユーロを取引するのではなく、結果が判明するまで待つほうが賢明です。
 
ただし、再選挙の結果がどうであれ、ギリシャがデフォルトして債務の減免を受けたことは紛れもない事実であり、マーケットの「気分的な決着」は、すでに、ついています。
 
今後ギリシャのユーロからの離脱という新たな展開があれば混乱も起こり、ユーロ売りの材料になるでしょうが、今の段階ではそこまでの現実味もありません。
 
マーケットの関心はすでにスペイン危機へ移っています。
 
スペイン国債の利回りは6.5%を超え、危険水域といわれる7%に迫っています。
 
スペインと並び財政が悪化しているイタリアは6%を超えているし、ドイツと共にリーダーシップをとっているフランスでさえも厳しい財政状態ですが、スペイン危機の前に霞んでしまい、逆に国債が買われています。
 
欧州債務危機は解決へ向かうどころか、ますます深い闇に包まれています。
 
この状況が続く限り、『ユーロには投資できない』と、改めて思います。
 
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※今回の、このユーロ危機の解決策を質問されることが多々あります。
 
唯一、短期に解決する策はあります。
(実行不可能だろう、と考えますが・・・)
 
現在の欧州の不良債権を、すべてドイツが保証するのです。
 
ギリシャの借金も、スペインの負債も、イタリアの負債も、欧州危機の不良債権の一切を、ドイツが保証すれば、信用不安は雲散霧消します。
 
しかし、国家としてのドイツには、そんなことをしなければならない義務などなく、ドイツ国民にしてみれば、一生懸命に働いて納めたドイツの税金を、よその国に、湯水のごとく、注ぐ必要を、全く感じないでしょう。
 
上述の解決策は、理屈では分かっていても、採択は不可能でしょう。
 
それ以外の解決策は、それぞれの国々が、真面目に時間をかけて借金を返済するしかないのですから、短期的な解決策になりません。
 
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※こういった不良債権問題は、他人事ではない。
 
日本の国債発行残高を見れば、潜在的に同じような問題を抱えている、と考えます。
 
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(2012年6月3日東京時間21:30記述)
 



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