第477回 【上昇トレンドの相場では、繰り返しの作業が大切になる】

ドル/円に関して、大局では、相場が下落トレンドから、上昇トレンドに転換した可能性が高い、と考えていますが、現時点では、そう断定するには早すぎます。
 
しかし、ドル/円相場が、上昇トレンドに転換しているのならば、利益を上げるチャンスは、今後、何回でもあるので、このステージで、無理に、ドル/円のロング・ポジション(買い持ち)をキープする必要は無い、と考えています。
 
もう少し、説明を加えます。
 
ドル/円相場が、「下落トレンド」から、「上昇トレンド」に転換したのか、まだ、断言できませんが、少なくとも、76.00アラウンドから、84円台にまで、8円程度、上昇したことは事実です。
 
ドル/円相場が上昇の値動きをする場合に利益を上げるには、適宜、「買い」から入り、適宜、「売る」という繰り返しが重要になります。
 
ドル/円相場が上昇の値動きをする場合は、通常は、いっきに上昇するのではなく、調整の下落を見ながら、つまり、上下動を繰り返しながら、徐々に上昇するからです。
 
だから、上昇トレンドの相場で、ドル/円のロング・ポジション(ドル/円の買い持ちポジション)を持った場合は、適宜、「利食いの売り」を行い、
『売ってから、改めて、また、ドル/円のロング・ポジションを作る』
といった繰り返しの作業が大切になります。
 
目先のドル/円の値動きを見ると、84円台の高値を見てからは、調整局面に入った、と考えます。
 
調整局面は、利益を上げにくいので、個人的には面白くない相場つきなのですが、
『当面のところのドル/円は、下値82.00アラウンド~上値84.00アラウンドでの「保ち合い」に推移する』
と判断するのが穏当だ、と考えています。
 
(2012年03月29日東京時間03:00記述)

第476回 【ドル円の歴史的最安値は、75円32銭ですが・・・】

昔の東京外国為替市場は、朝9時に始まり午後の3時30分(15時30分)で終わりだったのですが、現在の東京市場は、基本的には、朝9時から夕方5時(17時)です。

市場の慣行が変わったのですが、東京のインターバンクディーラーは律儀なので、クローズ時間が、午後の3時30分(15時30分)だろうと、夕方5時(17時)だろうと、あまり影響はありません。

大昔から、当然のごとく夕方5時(17時)まで残って取引をしているし、夕方5時(17時)以降も、長い時間、残業して取引をしているからです。

東京市場を引き継ぐロンドン市場は、夏時間なら東京時間で16時ころ、冬時間なら17時ころから始まるので、引き継ぎ時間帯でも比較的厚い取引が行われています。

ニューヨーク市場がクローズするニューヨーク時間の17時は、夏時間、冬時間によって異なりますが、東京の朝6時、7時ごろ。

東京市場に厚みが出てくるのは朝9時ごろからなので、2~3時間の取引の薄い時間帯が生じます。

ニューヨークと東京の間は、オーストラリアのシドニー市場やニュージーランドのウェリントン市場がカバーしていますが、ニューヨークや東京ほどの厚みがないため、どうしても谷間ができるのです。

谷間ができる理由をもう一つ。

東京のディーラーは早く出社していても9時まで待って取引を始めます。

朝7時に出社したから、その時間からすぐに活発に取引をするというようなことは、あまりしません。

もちろん、マーケットは自由ですから、朝7時、8時からガンガンに取引しようとしまいと、それも自由なのですが。

一方欧米の多くのディーラーは、自分が出社した時点でマーケットが始まり、帰る時点で終わる、という認識で取引しています。

外国為替市場は各国の市場を移動しながら24時間開いているのだから、9時-17時にこだわる必要はないという考え方です。

また「自分が出社したところがマーケットの始まり」という認識は、プロとしての自負・矜持・自信の表れなのでしょう。

現時点でのドル/円のヒストリカル・ロー(歴史的最安値)は、ウェリントン市場でついた75円32銭です。

この日(2011年10月31日)は月曜日なので、ニューヨーク市場は関係無く、東京市場がオープンする前という、微妙な時間帯の取引によってついた値段なので「シドニー・ウェリントン市場でついた」と言って良いのでしょうが、1ドル=75円32銭がついたことは事実であり、ヒストリカルローに違いはありません。

ただ現実に75円32銭で取引した人はほとんどいないでしょう。

幻の値段と言って良いと思います。

もっと言えば、ついた値段で結果が決まるオプション取引をしている人を別にして、一般のディーラーにとっては、32銭でも33銭でも、あるいは40銭でも25銭でも、どうでもいいのです。

要するに「その時の値段が75円台前半程度であること」が重要なのであり、32銭という数字に、こだわる必要は全くありません。

個人投資家の皆さんも細かいこだわりを捨てて、大局を見た取引を心掛けるようにしてみてはいかがでしょうか。

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(2012年3月25日東京時間22:00記述)

 

第475回 【米国のQE3(第3次量的緩和)について】

雇用統計などの米国経済指標が予想を上回る回復ぶりを示し、売られ気味だったドルが堅調さを取り戻し、株式市場も好調に推移しています。

バーナンキFRB議長が、事実上のゼロ金利政策を2014年後半まで維持する姿勢でいることも、マーケットに安心感を与えているのでしょう。

どんよりと曇っていた景気に薄日が差してきたことで、米国の第3次量的緩和(QE3)が遠のいたという意見が出始めています。

その意見は、私自身もリーズナブルだと考えていますが、QE3の出番が無くなったということではない、と考えています。

さまざまな「回復ぶり」を一歩踏み込んで分析すると、違う景色が見えてきます。

例えば「失業率の改善」は最悪期から脱したという意味であり、数字自体は依然と高い水準にあります。

また「改善」には、就職をあきらめて統計上は失業状態ではなくなった人たちも含まれています。

景気の回復感も多くの人々が実感できるほどではなく、需要(消費)増に結び付く賃金の上昇もほとんど見られません。

2012年はまだ序盤。

欧州問題、中東問題など解決の見通しのつかない難問が山積しており、この先には紆余曲折が待ち受けているでしょう。

もし景気の腰折れ懸念が生じれば、再選を目指すオバマ大統領が、QE3という最終兵器を使う可能性は十分にあります。

QE3を実施せずに景気が回復に向かい、経済指標が改善され、雇用と需要が増えて、株価とドルが上昇を続けるのであれば、それはそれで結構なことです。

私もそうなれば良いと切に願います。

しかし、3月下旬の今の時点で、QE3が無くなったと判断することはできません。

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(2012年03月22日東京時間09:40記述)

 

第474回 【ドル/円のトレンド転換のメドは86円】

3月に入って1ドル=80円台が定着し、ここ数日は1ドル=83円台が続いています。

※先週の高値では、一時、84円台に乗せました。

75円割れを目指した超円高の時代は終わり、ドル/円相場は円安に転換したのでしょうか?

転換したと判断できる水準は、86円を超えた時であり、現時点ではまだ結論を出せません。

ではなぜ86円がポイントなのでしょうか?

昨年の大震災直後に起こった円高は、2011年3月18日のG7の協調介入によって85円ミドルまで戻されましたが、86円に乗せることはできませんでした。

それ以前の2010年9月5日にも同じ事がありました。

6年半ぶりの日銀介入によって85円台まで戻したものの、86円の手前で折り返し、再び円高に向かいました。

このように過去の円安トライでは、86円に乗せることができずに円高に戻っています。

そこで今回、(介入の力を借りずに)自律的に86円に乗せることができれば、転換のシグナルと判断できるわけです。

逆に86円に乗せられず、トレンド転換していないとすると、(当たり前ですが)下値75円-上値85円の10円幅のボックス相場が続いていくことになります。

もしこのステージで円安転換できなかったとしても、新刊の「FXトレンドラインの教科書-円安ドル高トレンドの到来」(扶桑社)でも予測した通りに、トレンド転換が今年中、早ければ今年前半に起こると見ています。

トレンド転換が起こり、ドル/円が上昇(ドル高/円安)していけば、個人投資家の投資意欲が復活するでしょう。

多くの投資家は売るよりも買うほうが得意だからです。

そして、適度な円安であれば、FX業界だけでなく、日本株や日本経済にも好影響を与えるでしょう。

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(2012年3月19日東京時間05:30記述)

第473回 【欧州の詭弁】

投資家の目には、ギリシャ破たんが先送りされたことからユーロが高止まりし、欧州危機は小康状態を保っているように映りますが、それはあくまでも表面上のこと。

水面下ではギリシャはもちろん、スペインもイタリアの財政も悪化の一途をたどっています。

その一方でユーロ安を背景にドイツの一人勝ちが続き、域内の格差は拡大するばかりです。

欧州危機はユーロ域内問題なのだから、欧州の人々こそユーロを売るべきです。

それをせずにむしろサポートに回っているのは、言葉は悪いですが、誤魔化せるだけ誤魔化そうという腹なのでしょう。

欧州の国々には、そのような狡猾なところがあるのです。


ここで米国のサブプライムローン問題を思い出してください。

サブプライムローンは信用度(返済能力)の低い人向けの住宅ローンです。

そのため個々の債権の貸し倒れ率は高いのですが、サブプライムローンをたくさん集めてパッケージにすると、貸し倒れ率が低くなるという理屈をつけて、それに格付け会社がお墨付きを与えて広く売り出したことから、最終的には巨大金融機関の破たんまで引き起こす大問題に発展しました。

あとから考えると、『返済能力の低い人の債権をたくさん集めれば破たん率が低くなる』という理屈はおかしい。

ある種の詭弁に過ぎません。

同じようにギリシャの問題に対しても、『すでにギリシャが破たん状態にあるにも関わらず、各国が協調してギリシャに融資を行い、ギリシャ自身が緊縮財政をとれば破たんから逃れられる』と、欧州首脳は詭弁を弄しているだけです。

立場上、破たんを口にできない事情は理解できるにせよ、嘘は嘘です。

私見ですが、『今回、ギリシャに追い貸しした資金は、返済不能になるのだろう、だから、被害額は拡大するのだろう』と、考えています。


日本もバブル時代に同じようなことを経験しています。

例えば、今は無き日本長期信用銀行は、バブル崩壊により多額の不良債権を抱えた企業に追い貸しして「融資先は破たんしていない」と強弁しましたが、結局自らが破たんに追い込まれました。

日本国内の私企業の過剰融資、米国内の不良債権問題、欧州域内の国家レベルの破たん隠しと、規模こそ異なりますが、根っこにあるものは同じです。

投資家は今、為政者の詭弁に惑わされずに、ダメなものはダメだと冷静に判断する姿勢が求められています。

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(2012年03月15日東京時間10:00記述)

第472回 【相場の好転が日本の復興に役立つ】

相場は本来難しいもの。
 
簡単に展開が読めるような易しい相場はありません。
 
その前提に立っても、年初から2月中下旬までは意外な展開が続き、先の読みにくい相場となりました。
 
ところが、それが3月に入ると急に素直で穏やかな相場に変わり、マーケットには明るい雰囲気が漂っています。
 
まさに春の訪れという感じです。
 
株式相場が上昇傾向にある(といっても日経平均株価の絶対値は低いのですが)のは、金融マーケット全体に余裕が出てきたことの表れなのでしょう。
 
日米欧の金融緩和策がようやく効果を見せ始め、米国では景気回復期待が高まり、欧州不良債権危機が一服し、日本も1ドル=75円台の歴史的な円高を脱して、80円台に落ち着いていることが余裕につながっていると思います。
 
残念ながら日米欧が抱える問題は解決したわけでも、解決のメドが立ったわけでもありません。
 
いつ元の状態に戻ってもおかしくない脆さをはらんでいることは、誰もが承知しています。
 
それでもニューヨーク・ダウや日経平均株価が好調な時は、ペシメスティック(悲観的)な部分が影を潜め、市場の雰囲気が好転して素直な相場展開になるものです。
 
逆に株価が軟調な時はセンチメントが悪化しがちで投資環境が整わず、投資家は腰が引けるという悪循環に陥るわけですが......。
 
大震災から1年を迎えました。
 
残念ながら復興に手間取り、復興需要を経済復活の材料として活かせない状況が続いていますが、新年度を迎えても素直で穏やかな相場が続くことを願っています。
 
それが日本の復興の一助になると考えているからです。
 
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(2012年03月12日東京時間00:10記述)

第471回 【大震災から、1年が経とうとしています】

大震災から、1年が経とうとしています。

日本という国にとっても、企業にとっても、国民にとっても、激動の年だった2011年度がもうすぐ終わろうとしています。

3月末を控えて、目の前の株式市場にはやや活気が戻り、ドル/円相場も円安気味に推移して後押ししています。

今年度は大震災、原発事故という想定外の最悪なアクシデントが起こったことから、多くの企業の3月末決算が悪化しているのはやむを得ないし、市場も織り込み済みです。

ただ悔いが残ったことは、被災地の復興が遅々として進まず、被災地も恩恵を被る復興需要につなげることができなかったことです。

民間ベースでは自動車会社が東北に新会社・新工場を建設する等の動きがありましたが、もっと国が主導して水産加工工場のような雇用の場を創出したり、横浜港に匹敵するような貿易港を作って雇用と経済を刺激するような施策を打つべきだったのではないでしょうか?

復興の遅れを政治のせいにするのは簡単ですが、復興に不可欠な瓦礫処理に手間取り、被災者の方々の生活再建が遅れているという話を聞くと、私たちにももっとできることがあるのではないかと忸怩たる思いになります。

投資家の立場では、今年度は為替相場でも株式相場でも利益を出しにくい年だった、と感じます。

来年度こそは復興が軌道に乗り、国民が夢を持ち、投資家が利益をあげられる良い年になることを願っています。

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(2012年03月08日東京時間06:00記述)

第470回 【消えた年金事件の教訓】

社会的に大きな影響を与えている金融犯罪が立て続けに明らかになっています。
 
オリンパスの損失隠し事件では旧経営陣が逮捕され、会社側から損害賠償訴訟が起こされています。
 
2月に入るとAIJ投資顧問による消えた年金問題が浮上してきました。
 
金融犯罪については監督官庁や司直による徹底的な真相究明を願っているし、真面目に業務を行っている大多数の銀行・証券、投資顧問業などに属する人たちが世間一般から同じ目で見られることに困惑しています。
 
オリンパス事件については旧経営陣が能動的に隠蔽に関与しており、経営サイドに問題があったことは明らかです。
 
一方AIJに関しては、虚偽の運用成績を示して営業を行った彼らに重大な責任があるのは当然ですが、年金運用を委託した顧客企業側に落ち度は無かったのでしょうか?
 
一般的な運用利回りが数%という時期に、10%、20%もの高利回り運用を長期間続けている「ローリスクハイリターン」商品の勧誘を受けた時は、真っ先に「あり得ない眉唾の商品」と考えるべきです。
 
私の知り合いで2、3年前にAIJの営業用資料を見た人からの伝聞ですが、
「信じがたいトラックレコードを示されて、あり得ないと、気にも留めていませんでした。
資産運用の経験者であれば、信じるに値しないトラックレコードであることは明白だったはず」
と聞いています。
 
消えた年金事件に巻き込まれたのは素人の個人投資家ではなく、運用を職業としているプロの企業年金担当者です。
 
「企業側の人間なので金融知識に乏しかった」という言い訳は通じません。
 
それとも、低金利時代なのに、年金資金の運用目標(予定利率)を高いまま据え置いているため、無理を強いられ判断力が鈍ったのでしょうか?
 
AIJに不正な運用や詐欺行為があったとすれば、犯罪として徹底追及するのは当然ですが、委託した企業側もプロなのだから、従業員の大切な老後資金を預かっているのだという自覚の下で、慎重に運用先を決めることも当然の責務だ、と考えます。
 
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(2012年3月4日東京時間20:00記述)

 

第469回 【調整局面の陰に隠れたユーロ危機】

悪化する一方だった欧州の不良債権問題が、小康状態を保っているように見えます。
 
リスク回避の動きが一段落して、全体として見ると相場がアヤ戻ししているように感じるのは、米格付け会社のS&Pによるユーロ圏9カ国一斉格下げとそれに伴う欧州金融安定化基金(EFSF)の格下げが行われたところで、悪材料が出尽くして、ユーロ相場が調整局面に入ったため、と考えます。
 
調整局面に入り投資家が気にするのは、その「長さ(時間)」と「大きさ」です。
 
それらは、調整を迫られている人たちのポジションサイズと、彼らが実際に調整をしたか、しないかによって決まるために、事前に分かるわけがないのですが、それでも、チャート分析、定量分析、経験則による予測などを駆使して調整の規模を求めようとします。
 
その行為はさておき、投資家は、「調整の規模は誰にも絶対に分からない」ことを前提に取引すべきです。
 
そして、調整はいつか終わり、いつか元に戻るということを、常に意識しておくことが重要です。
 
現在起こっているユーロのリバウンドは調整に過ぎず、欧州の不良債権問題は何も解決していません。
 
それどころか、ユーロ圏の国々やEFSFが格下げされたことで支援能力が落ち、ますます危険な状態に陥っていることを忘れてはいけない、と考えています。
 
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(2012年03月01日東京時間02:40記述)



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