第468回 【「良い感じ」だが、冷静になって問題点を把握しておく】

日経平均が連日のように上昇を続け、9600円台に上昇して来ました。
 
米株も順調、欧州株も持ち直しています。
 
為替相場や株価に影響を与える米国の経済指標も、そこそこ良い数字が出ています。
 
為替相場では、先週末(2月24日)に、ドル/円が81円台をつけて円安気味に推移しています。
 
多くの投資家は、なんとなく「良い感じ」だと思います。
 
そんな「良い感じ」に水を差すつもりはありませんが、冷静になって問題点を把握しておくことも必要です。
 
まず欧州です。
 
ギリシャに対する第2次支援合意によって一服感が漂っています。
 
目先でいえばギリシャがクラッシュ的な破綻を起こす恐れは低くなりました。
 
しかし、根本的には何も解決していません。
 
現在のギリシャにとってユーロは国力以上に強い通貨です。
 
共通通貨を使用していない国であれば、国力が弱れば通貨も弱り、「自動救済機能」が働くのですが、ギリシャはユーロを使っているために国力が弱っているのに通貨は弱くならず、支援という名の莫大な借金を緊縮財政による節約と増税によって返済していかなければなりません。
 
ギリシャが経済成長すれば返済も楽になるのでしょうが、その可能性は限りなくゼロに近いはずです。
 
今回の合意によって3月危機が回避され、夏場まではなんとか凌げるのでしょう。
 
でもすぐに次のハードルが待っています。
 
そうした中、欧州中央銀行(ECB)が保有しているギリシャの既発国債を新発国債と交換するという報道がありました。
 
金融政策の一環として国債を保有したECBが、債務減免措置(ヘアカット)によって損失を被らないようにするためですが、これほど不公平なことがあるでしょうか。
 
ECBは無傷で逃れられたとしても、ギリシャ国債を保有している欧州の金融機関はヘアカットによって一段と疲弊が進み、貸し渋り・貸しはがしが頻発し、欧州経済全体に悪影響を与えます。
 
米国は確かに失業率が改善し若干の明るい兆しが見えています。
 
とはいえ、失業率の改善は、就職をあきらめた人が増えたことで分母が小さくなったことが強く働いています。
 
それでも相対的に見れば欧州より米国のほうが良いため、ユーロ/ドルの関係で見るとユーロ安/ドル高傾向が続く、と考えます。
 
では日本はどうでしょうか。
 
景気回復が望めない中で増税が実施されようとしています。
 
増税が景気の足を引っ張ることは明白なので、それを織り込んでの円安、つまり手放しでは喜べない悪い円安と解釈できます。
 
とはいえ輸出企業が経済の主役となっている日本にとって、為替レートが円安方向に動くことは歓迎すべきこと。
 
正体は悪い円安だとしても、目先はプラス材料として受け止められます。
 
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(2012年02月26日東京時間22:40記述)

第467回 【ドル/円の「買いシグナル」点灯】

ドル/円が動き出した可能性が高まっています。
 
目の前の相場は、昨年(2011年)10月31日の高値79.53を上に抜けて、「買いシグナル」を発しました。
 
※高値更新は、「買いシグナル」
 
しかし、79.53を上に抜けた後の値動きでは、80.00が心理的抵抗となり、79円台後半で膠着していましたが、その80.00も上に抜けました。
 
80.00を上に抜ける場合は、さらなる「買いシグナル」を発したことになります。
 
 
79円台後半で膠着していた場面では、80.00を上に抜けることが出来なければ、いったん調整の反落(下落)を見ることになるだろう、と考えていました。
 
ドル/円の直近の値動きでは、76.00アラウンドから79円台後半にまで、いっきに約4円上昇しています。
 
つまり、目先の上昇スピードが、非常に速かったものですから、いったん、いったん調整の反落(下落)がある方が相場の流れとしては自然だ、と考えたわけです。
 
ところが、膠着状態を抜け出して、80.00を上に抜けました。
 
 
79.53を上に抜ける場合は、必ず損切りを置いて、勇気を持って、少額で「ドル買い円売り」、80.00アラウンドで、いったんの利食い、そして、80.00を『明確に』上に抜ける場合は、改めて、「ドル買い円売り」で付いて行くのが良い、と考えていました。
 
既に繰り返し述べたように、少額で「ドル買い円売り」で良いだろう、と考えています。
 
しかし、気を付けなければいけないことは、80.00を上に抜けても、上昇スピードが速かったので、いったんの調整(調整の下落)が入る可能性が高い状態が続いている、ということです。
 
だから、大負けをしないように、必ず、損切り(ストップ・ロス)を置くことが大事だと考えますし、きちんと利食いを行うことも大切です。
 
ポジションを、買いのままほったらかしに持ち続けるのではなく、こまめに対応する必要がある、と考えます。
 
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(2012年2月23日東京時間06:00記述)

 

第466回 【円高から円安へ――年内にトレンド転換も!?】

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さて、本文です。
 
円高傾向が一服して、ドル/円相場は円安気味に推移しています。
 
なぜ今、ドルが買われているのでしょうか?
 
日米欧を比較すると、まず米国は統計上では景気が持ち直しつつあることを示しており、株価が堅調に推移しています。
 
また今年は大統領選挙の年であるという期待感も高まっています。
 
一方の欧州は、ギリシャに対する第2次支援策の合意が行われるという期待感が高まったのですが、期日が来ても最終的な合意には至らず、結論の先送りが続いています。
 
また、支援を受ける側のギリシャ国内では、緊縮財政に反対するデモが頻発していて、支援国がギリシャの本気度を測りかねています。
 
先送りが続く間に観測記事が出て、ユーロ買いが起こるものの、冷静な目で眺めれば、ユーロに投資できる状況にないことは明らかです。
 
日本を見ると相変わらず景気の低迷が続き、産業の空洞化が進行し、税収が上がらない状態で、借金が膨らむばかりです。
 
それでも大震災後の復興を精力的に進めなければならないのに、1年が経過してようやく緒に就いたかつかないかという体たらく。
 
本格的な復興需要もまだ見込めません。
 
このように日米欧を比較すると、米国が明らかに良いというわけではないのですが、相対的には「米国がマシ」に見えてしまうことから、資金がドルに流れ始めています。
 
また一部は先進国通貨の中では金利が付く豪ドルにも向かっています。
 
これまでは消去法により「円がマシ」と判断されて円高が進んできたのですが、「日本も悪いぞ」という現実がマーケットに浸透しつつあり、投資家の意識は徐々に変わりつつあります。
 
相場はまだ膠着状態(レンジ相場の範囲内)なので、現状の水準から円安に向かうのかどうかは判断できませんが、ドル高/円安要因が溜まりつつあることは間違いありません。
 
年内にトレンド転換が起こる可能性が高まっている、と考えています。
 
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(2012年02月19日東京時間13:15記述)

第465回 【ユーロには投資しないという選択肢がある】

難しい相場付きの中で、今年も1月が終わり、2月も半ばになりました。

引き続き、難しい相場付きですが、こんな時、焦りは禁物です。

致命傷を負わないように、ポジションを小さくし、無理をせずにチャンスを狙うしかありません(スキャルピングで対応せよということではありません)。

もっと言えば、難しい相場には手を出さないという選択肢だってあるのです。

相場を難しくしている大きな責任は欧州にあります。

欧州高官は、ユーロは大丈夫だと言い続けています。

「ウソ」をつかざるを得ない立場にあることはわかりますが、それを鵜呑みにした投資家は悲惨な目に遭うでしょう。

米国のサブプライムローン問題を思い出してください。

サブプライム関連債券の格付けは高く安全、サブプライムローンを扱う金融機関は健全とさんざん説明されていたにも関わらず、やがていろいろな問題が噴出し、ついにはリーマン・ショックをきっかけにして世界的な金融危機を招いてしまいました。

それと同じ事が今、欧州で起こっているのです。

ギリシャが抱える膨大な債務が返済不可能であることは、薄々誰もが気づいていると思います。

でも渦中にいて、欧州が保証を付けているから大丈夫などと欧州高官に説明されると、その説明を信じたくなるものです。

もし欧州の財政危機問題が全部とは言わぬまでも、半分でも解決した段階で大丈夫だと説明されれば納得します。

しかし現状は問題を先送りしているに過ぎず、解決には程遠い段階です。

それでも相場は動きます。

でも油断すべきではありません。

サブプライムローン問題の時のように、必ずしっぺ返しを受けるでしょう。

ユーロには投資しないという選択肢があることを、もう一度思い出してください。

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(2012年02月16日東京時間11:00記述)

第464回 【ユーロの反発は、あくまでも調整に過ぎない】

外国為替市場を含めたすべてのマーケットが右往左往しています。

豪ドルが強烈に反発しているのも、「欧州の混乱の蚊帳の外にいる」という理由で、資金が流入しているためでしょう。

消去法的に円も買われているはずですが、政府・日銀が介入の実施を公表しない「覆面介入」を(恐らく76円ちょうどあたりで)続けている影響を受けて、方向感が乏しい相場になっています。

そうした相場環境の中で、ギリシャがEU(欧州連合)とIMF(国際通貨基金)から第2次支援の条件として求められていた財政緊縮策と改革案について合意したというニュースが流れ、為替市場ではユーロが上昇し、豪ドルへの資金の流れが加速され、株式市場も堅調を保ちました。

欧州危機緩和を材料に投資家が楽観的になりたい気持ちは理解できますが、ギリシャ問題は少しも解決に向かっていないことを認識すべきです。

ギリシャが受ける支援(融資資金)は「もらったもの」ではなく、「借りたもの」です。

期限が来れば返済しなければなりませんが、国家としての体を成していない今のギリシャに返済能力があるとは思えません。

ギリシャを破たんさせず、救済という方法で欧州危機を解決するためには、EU(実質的にはドイツ)やIMFがお金を「あげてしまう」しかなく、それができない間は問題の先送りが続いているに過ぎません。

ユーロの反発調整が長引いているのは、ギリシャが結論を引き延ばしていたためであり、解決の兆しが見えたためなどと楽観的な解釈をすべきではありません。

相変わらず危険な状態が続いています。

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(2012年02月12日東京時間22:00記述)

第463回 【隠密介入(=覆面介入)】

安住財務大臣が、「隠密介入(=覆面介入)」について言及しました。

具体的な水準や、その額は、正確にはわかりませんが、昨年(2012年)の10月31日の大規模な介入が実施されて以降にも、政府・日銀が「隠密介入(=覆面介入)」を実施してきたことが確認できました。

目先の相場では、76.00アラウンドを安値に底堅い値動きになっています。

この底堅さも、「隠密介入(=覆面介入)」である可能性が高い、と考えます。

日本の介入によって、ドル円相場は、ゆがめられています。

相場本来の値動きではないので、現在のドル円相場を読むことは非常に難しい、と考えます。

そもそも、本気で円高を阻止するつもりなら、金融政策によって円に向かうお金の流れを変えるしかありません。

だからといって、日本をギリシャ以上の破たん国にすればいいというのは本末転倒であり、選ぶべき道ではありません。

国内の状況を、デフレ状態からインフレへ変えることで、円の価値を変えるしかないのです。

そのためには、より一層の金融緩和が求められるのでしょうが、日銀が及び腰でいるのは、コントロールが効かないインフレに陥るのではないか、と恐れているからなのでしょう。

長引く不景気で、給料が下がり続けている中で、物価だけが上がるインフレが起こると、消費者の生活は、一層、困窮することになります。

円高対策の無策を批判するのは簡単ですが、今はどうにも「打つ手がない」という状況です。

まず、当面採るべき政策は、円高メリットを消費者に還元する政策ではないか、と感じています。

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(2012年2月9日東京時間10:30記述)

第462回 【勝つことは、大変なことだと再認識して、気概を持つ】

今年(2012年)は、2011年よりは利益を出しやすい相場になるだろう、と考えています。
(そう期待しています)
 
ところが、「頑張る月」であるはずの1月は予想外に難しく、思うように利益を上げられなかった投資家も多かったと思います。
 
なぜ難しかったのか?
 
2012年年初の1月は、一か月を通して全体的に調整局面が続いたためです。
 
まず、ドル/円を見ると、昨年(2011年)の夏以降、75円-80円という狭いレンジに閉じこめられていて、手の出しようがなかった。
 
そこで注目されるのがユーロです。
 
ユーロ危機が解決されない限り、ユーロ安が本来のトレンドです。
 
そのため実際、昨年12月はユーロが売られました。
 
ところが、年が明けて1月に入り、ユーロが売られ過ぎたことに対する反動が起こった上に、新年を迎えて新たな合意・新たな解決策が提示されるのではないか、という期待感が高まり、ユーロが買い戻されて調整局面に入ってしまいました。
 
米国の金融緩和政策の影響もあり、ユーロの買戻しは加速しました。
 
米国のQE3に対する期待感も残っています。
 
しかし、ここでよく考えてみてください。
 
ユーロ危機を解決するためには、ドイツが危機国に資金を提供して併呑するか、危機国をユーロ体制から切り離すか、という強攻策の二者択一しかなく、もっと穏当で効果的な解決策など誰も思いつきそうにありません。
 
そうであるならば、ユーロ安のトレンドは根本治療されるまで続くことになり、いずれ調整局面が終われば、本来のユーロ安トレンドに戻り、儲けやすい相場がやって来るはずです。
 
問題は、調整局面がいつまで続くのか、どれくらいの大きさで続くのかという「時間」と「規模」が、事前に予測できないということです。
 
※調整局面の「時間」と「大きさ」は、事前には、誰にも分かりません。
 
そのため、「いずれ終わるはずだ」と調整局面に逆向かいし続けるしか勝つ方法がなく、逆向かいしている間は含み損に耐えなければなりません。
 
精神論的な結論になってしまいますが、「それでも立ち向かう」という気概がなければ、優しい相場が来ても勝てないでしょう。
 
勝つことは、大変なことだと再認識して、気概を持ってください。
 
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(2012年2月5日東京時間23:00記述)

第461回 【各国の通貨安競争】

昨年の3月(2011年3月18日)に、G7は、ドル買い円売りの協調介入を実施しました。

昨年の大震災直後の円高に対して、G7は、日本がそれを望んだので、協調しての介入を受け入れた、ということです。

それ以降の「円高/ドル安」に対して、2011年8月4日、2011年10月31日に、オフィシャルに、日銀は単独介入を行いました。

これらの単独介入に対しては、米財務省筋などから「介入を支持しない」という批判が出ています。

『通貨の価値はマーケット(=自由な市場)が決めるべきものであり、国家が、安易に外国為替市場に介入して、価格を歪めてはいけない』という建前にのっとった発言でしょう。

その建前は正しいのですが、各国の本音は別のところにあります。

円高是正に動いた日銀を批判した米国は、恒常的にドル安に誘導することで、国内(=米国)の輸出企業を守ろうとしています。

欧州にしても同じことです。

ドイツは、もともと輸出競争力がある国です。

現状の急激なユーロ安で、最大限の利益を得ている欧州の国はドイツです。

欧州危機が、ドイツの輸出企業(輸出産業)に寄与しているのは、皮肉に感じますし、パラドックスだ、と思います。

欧州では、ユーロ安で輸入物価が高くなり、輸出で儲けられない国の国民は物価高に見舞われています。

スイスは、昨年(2011年)9月に、スイス国立銀行(中央銀行)が無制限の介入により自国通貨を守る、と宣言しています。

輸出大国となった中国も、外国為替相場のコントロールに躍起になっています。

こうして各国の本音を並べてみると、昨年の日銀の単独介入に対する批判が的外れで、日本の通貨当局筋の「行き過ぎた動きに対しては必要に応じた適切な措置を取る」という判断が間違いであるとは言えません。

ただし、為替介入を検討するような円高水準だからといって、介入という手段でドルやユーロを買った場合に、その水準から、さらなる円高になると、外国為替差損が発生するので、国民の財産が毀損することになります。
(=介入の資金は、国民の財産だから)

通貨安競争に勝つために、とめどもなく介入することが良い結果をもたらすとは限らないのです。

このことを私たちも念頭に置いておくべきだ、と、常々考えています。

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(2012年02月02日東京時間03:00記述)

 



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