第460回 【日本の貿易赤字を悲観する必要はない】

日本の2011年の貿易収支が31年ぶりに2兆4927億円の赤字となりました。

東日本大震災後によって輸出が減少した一方で、火力発電用の液化天然ガスなどのエネルギー輸入が増えたことが主な原因とされています。

貿易赤字に転落したことに対して悲観的な見方が多いようですが、悪いことばかりではありません。

外貨需要が増え、外国為替市場に円安圧力がかかり、円高が緩和される可能性があります。

為替レートが経済を牛耳っているわけではありませんが、経済界をあげて"諸悪の根源"のように批判されてきた円高傾向が落ち着くのであれば歓迎すべきでしょう。

日本が輸出によって国富を蓄えてきたことは事実ですが、成熟国となった今は貿易黒字が当たり前という考え方を捨てて、内需拡大を考えるべきでしょう。

他国の市場を食ってしまう輸出頼みの成長は世界的に見て許されない状況です。

不景気が長く続く日本ですが、世界の中で見れば豊かな国であり、有効需要を掘り起こし内需を拡大することが求められています。

日本製品の品質が良いだけに難しい面があるでしょうが、日本で生産する必要のないものは、輸入に切り替える措置も講じるべきなのでしょう。

投資家の立場でも、貿易赤字に転落したからといって、焦ったり大騒ぎする必要はありません。

現状をあるがまま淡々と受け止めて取引を続ければ良い、と考えます。

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(2012年1月29日東京時間22:00記述)

第459回 【ユーロ9カ国の格下げについて】

1月13日に、米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、ユーロ圏17カ国のうち、最上級の「AAA(トリプルA)」のフランスを含むユーロ圏9か国の長期国債格付けを引き下げた。

1月16日に、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、欧州金融安定化基金(EFSF)の長期信用格付けを、最上級の「AAA(トリプルA)」から1段階引き下げ、「AAプラス」としたと発表した。

EFSFの信用力を裏付けていたフランスなどの国債の最上級格付けを引き下げたことに伴う措置で、これによりEFSFの支援能力は、低下することが確実。

ユーロ危機の対応が不十分で、各国の財政状況がさらに悪くなる恐れがあるという判断からです。

欧州危機の状況は、ますます酷い方向に進んでいます。

フランスとオーストリアは最上級の「AAA」から転落して「AA+」へ、イタリア、スペイン、ポルトガルなどは2段階引き下げられました。

ポルトガルは投機的とされる「BB」となり一層深刻な状態になりました。

また財政危機国を支援する欧州金融安定基金(EFSF)の格付けも「AAA」から1段階引き下げられました。

EFSFの格下げによって資金調達能力が低下し、支援に支障が生じそうです。

このようにユーロを取り巻く状況が刻一刻と悪化している割に、ユーロ/ドルの下落スピードはゆっくりしています。

それはユーロにまだ望みが残されているということではなく、本来売らなければならない人が売らないためでしょう。

本来売らなければいけない人とは、ユーロ資産を多く保有するドイツ、フランスのこと。

さまざま規制のせいで売れないのかも知れないし、売ることが自分の首を絞めることになるので避けているのかも知れません。

しかし、売ることを躊躇すればするほど資産価値は毀損し、財務状況が悪化し、他国を支援する体力が奪われていきます。

ドイツやフランスは今後も対症療法的な対応策を発表するのでしょうが、ドイツがギリシャを丸抱えするか、ユーロ体制を放棄するといった根本的な治療に踏み込まない限り、「負の循環」を断ち切ることは難しいでしょう。

現状のままでは、ユーロは座して死を待つことになります。

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(2012年01月26日東京時間10:30記述)

 

第458回 【通貨に現れる国民性】

欧州危機に際して、ラテン系の国々のおおらかさ(言い換えれば危機感の薄さ)を改めて感じた投資家は多いと思います。
 
また最近起こった客船事故の船長の行動からも、(決して許されることではありませんが)ラテンらしさを感じたのではないでしょうか?
 
そのような「らしさ」とか「国民性」は外国為替相場にも表れます。
 
これまでの経験から個人的な感想を述べると、円(ドル/円)は、日本人の農耕民族的で真面目な性格を反映した「律儀な通貨」という印象を持っています。
 
もちろん、必ずチャート分析通りに動くというわけではありませんが、ドル/円はチャート・ポイントが守られるケースでは、チャート・ポイントにタッチしないか、軽くタッチする程度で、それがレジスタンス・ラインであれば上に突き抜けないで下がるし、サポート・ラインなら下に突き抜けないでリバウンドします。
 
そのため、ドル/円に限っては、チャート・ポイントを20銭突き破ったらブレイクしたと判断して良さそうです。
 
対照的だったのが、ユーロに統合される前のドイツマルク(ドル/マルク)です。
 
チャート・ポイントがあると、上側でも下側でも、必ずといっていいほど突き破るのです。
 
3回の内2回、4回の内3回という高い確率で突き破るのですが、行き放しにならずに、戻って来ます。
 
ターゲットに勢いよく襲いかかり、納得するところまで行くと「もういいや」と戻る感じです。
 
マルクにもゲルマンの律儀さが反映されているのでしょうが、それ以上に狩猟民族的な「どう猛さ」が強く表れているように感じました。
 
マルクはユーロに統合されました。
 
その結果、ユーロ/ドルはあいまいでつかみどころがない性格になりました。
 
マルクのどう猛さとラテンのおおらかさが統合された結果なのでしょう。
 
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(2012年01月23日東京時間01:30記述)

第457回 【「ユーロ売り」以外に思いつかない】

1月13日に、米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、最上級の「AAA(トリプルA)」のフランスを含むユーロ圏9か国の長期国債格付けを引き下げた。

1月16日に、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、欧州金融安定化基金(EFSF)の長期信用格付けを、最上級の「AAA(トリプルA)」から1段階引き下げ、「AAプラス」としたと発表した。

EFSFの信用力を裏付けていたフランスなどの国債の最上級格付けを引き下げたことに伴う措置で、これによりEFSFの支援能力は、低下することが確実。

欧州危機の状況は、ますます酷い方向に進んだ。

「ユーロ売り」以外に思いつかない。

マーケット全体の持ち高が、「売り」に傾き過ぎた場合に起こるリバウンド(反発上昇・綾戻し)を期待しての「ユーロ買い」や、奇を衒っての「ユーロ買い」は、全く、思いつかない。

ユーロの下落は、個人的には、遅い、と感じている。

本来ならば、これだけ悪材料がそろえば、もっと大きく急落しても当然だ、と考えている。

なぜ、ユーロ下落スピードが加速しないのか?

それは、本来ならば、売るべき人が、まだ、売らないからだ、と考えている。

本来売るべき人たちとは、フランスやドイツの投資家たち(金融機関を含む)だ。

彼らは、さまざまな規制や、縛りがあるので、積極的に売却できない。

だから、欧州に資金を保留することが危険であり、損だと思っていても、逃げられないのだろう。

このような状況だと、見かけ上は、
『マーケット全体の持ち高が、「売り」に傾き過ぎている状況』
なのだが、
実質は、
『まだ、売れていない状態』
(=本来ならば、売り逃げなければいけないのに、まだ、売っていない)
と、考えることができる。

そのような状況では、リバウンド(反発上昇・綾戻し)が少なくなる。

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(2012年1月19日東京時間11:00記述)

第456回 【ユーロ危機から身を守る唯一の方法】

昨年来、このコラムでも一貫して、ユーロ危機はサブプライム危機よりも深刻な状態であることを訴え続けてきました。

それに対する世間の反応は鈍かったのですが、ユーロ/円相場が昨年末に100円割れしたことで、ようやくユーロ危機の深刻さが広く認識され出した、と解釈して良さそうです。

また欧州の状況にも変化が起こっています。

これまではフランスのサルコジ大統領、ドイツのメルケル首相を始め欧州高官の誰もが
「ギリシャは破たんしていない」
「ギリシャがユーロから離脱することはあり得ない」
と建前的なコメントしていたのに、最近は欧州高官が本音でギリシャのユーロ離脱の可能性を語るようになりました。

ユーロ危機の根本的な解決策は2つしかありません。

ギリシャには債務の返済能力がないのだから、デフォルトさせてユーロから離脱させるか、どこかの国がギリシャの債務を丸抱えするかです。

ギリシャを離脱させる案はユーロの失敗を認めることになり、ユーロを主導したフランスやドイツの体面が保てません。

この案は政治的な要因でもめることになるでしょう。

一方ギリシャの借金を丸抱え案はドイツに頼るしかありません。

フランスとしてはドイツに資金を出してもらいたいところでしょうが、サルコジ大統領が(自国の財布を傷めずに)メルケル首相に「借金を肩代わりして欲しい」と頼むことはできないし、メルケル首相にしても、国民の税金をギリシャに投入するなどと、とても口にできません。

結局2012年も根本的な解決策に踏み込めない状態で時間が経過し、ユーロ危機はどんどん酷い方向へ向かうのでしょう・・・。

手をこまねいている間にギリシャ市民、特に底辺層の人たちの生活が厳しい状態に追い込まれていくことには心を痛めますが、残念ながら一個人としてできることは非常に限られています。

私たちが投資家の立場で今できることは、「自分の身(資産)は自分で守る」ということです。

今年もユーロ危機の早期解決を示唆するような情報が流れるでしょうが、欧州各国が根本的な解決に乗り出せない以上、そうした情報には騙されずに、ユーロ投資を避ける。

今のところ、それしか方法が無い、と考えます。

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(2012年01月15日東京時間13:35記述)

第455回 【年末年始の相場を振り返えると、・・・】

2011年から2012年へと、新しい年に変わりましたが、相場への考え方に変わりはありません。

先週末(1月6日)に発表された12月の米国失業率(米国雇用統計)は、事前予想の失業率が8.7%に対して、発表された結果は8.5%、事前予想の非農業部門雇用者数(NFP)が+15.5万人に対して、発表された結果は+20.0万人、と、予想よりも良い結果でした。

米国経済が回復に向っていることを材料に、米国失業率(米国雇用統計)発表直後のマーケットは、素直に「ドル買い」に反応しました。

ドル/円で「ドル買い円売り」に、ユーロ/ドルで「ユーロ売りドル買い」になった訳です。

その後、ユーロ/ドルで、「ユーロ売りドル買い」がさらに進んだことで、ユーロ/円が安値を更新しました。

そして、ユーロ/円が下落した影響で、ドル/円に売り圧力がかかり、ドル/円は、下落に転じました。

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もう少しさかのぼって、昨年末(2011年年末)のドル/円の値動きを振り返ると、それは、想定された範囲内での小動きに過ぎませんでした。

昨年末の外国為替市場のトピックは、ユーロ/ドルが、安値を更新して下落したこと。
(昨年末の時点で、ユーロ/ドルは、1.28台ミドルまで下落しました)

そして、ユーロ/円が、100.00を割り込んだことです。

ユーロ/円が100.00を割り込み、三桁の大台から二桁の大台になるのは、時間の問題だ、と考えていた旨は、昨年のうちに、いろいろなメディアで何度も述べました。

だから、個人的には、思惑通りに、相場は動いている、と考えています。

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先週末(1月6日)に、米国失業率(米国雇用統計)の発表が終わりました。

この発表が終わると、年末年始相場(=クリスマス相場)の終了、すなわち、新年相場の本格的スタートです。

だから、今週からは、市場参加者が通常の状態になっています。

そういった状況の下で、ドル/円は、やりようがない相場が続いています。

今年の年初の相場は、ドル/円は「蚊帳の外」が続いていますが、対ドル、対円での「ユーロ売り」がテーマだ、と考えます。

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(2012年1月12日東京時間10:45記述)

 

第454回 【ユーロ/円(EUR/JPY)】

ユーロ/円に関して、昨年来、考え方に変化はありません。

つまり、基本的に、「ユーロ売り円買い」で戦うべきだ、と考えます。

年末最後の相場(2011年12月30日金曜日の相場)で、ユーロ/円は、100.00を、あっさりと割り込みました。

年末(2012年12月29日まで)のマーケットでは、100.00が付かないように、『防戦買い』が出ていました。

為替オプション取引の関連で、ユーロ/円が、100.00にタッチすると困る市場参加者が、何とか防衛ようとしていたのでしょう。

このような『防戦の買い』や『防戦の売り』は、重要なチャート・ポイントでは、頻繁に見かけます。

『防戦の買い』や『防戦の売り』は、目先、防戦が成功するように見えますが、時間が経過すると、必ずと言って良い程、ブレイクします。

今回のケースでも、時間が経過すれば、100.00を下にブレイクして、99円台に下落して行く、と判断していました。

だから、個人的には、思惑通りなのですが、昨年(2011年)の最後のマーケットで、しかも、あっさりと100.00を割り込んだので、そのスピード(速さ)は速い、と感じます。

細かい値動きや、そのスピードは、どうであれ、ユーロ/円は、冒頭に述べた通りに、基本的に、「ユーロ売り円買い」で戦うべきだ、と考えます。

戦略に何も変化はありません。

(2012年1月5日東京時間10:30記述)



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