第404回 【ギリシャ議会が、昨日(29日)の財政緊縮策を可決したが・・・】

ギリシャ問題などの欧州の不良債権問題には、いろいろと対応策が出ていますが、関係各国や、関係機関の思惑が一致せず、根本的解決策にはならないものばかりです。

 

結論から言えば、個人的には、ギリシャ問題は解決できない、と考えています。

 

だから、基本的には、ユーロ/ドル、ユーロ/円の取引に関しては、「ユーロ売り」の方向で、ポジションを作るべき、と、考えています。

 

しかし、目先のマーケットは、ギリシャ問題への対応、報道に、右往左往している印象です。

 

ギリシャ議会において29日に780億ユーロの財政緊縮案が採決され、30日に財政緊縮の実行にむけた具体的な措置を盛り込んだ法案の採決が行われる予定となっています。

 

先週末は、可決に悲観的な見方が強まりましたが、今週になって、やや楽観的な見方が強まっていました。

 

ギリシャ議会では300議席の内、与党は155議席しかなく、法案が通るか否か、非常に微妙だったのですが、昨日(629日)の財政緊縮策は可決されました。

 

本日(630日)の関連法案の採決がどうなるのか、注目されます。

 

これらの法案は、否決されれば、ギリシャのデフォルトに直結する可能性が高くなると考えていました。

 

とりあえず、昨日(629日)の財政緊縮策は可決されましたが、これらが可決されても、一時凌ぎの対処法に過ぎず、根本的な解決にはならない、と考えます。

 

つまり、単なる「時間稼ぎ」「問題の先送り」に過ぎないものと考えます。

 

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ギリシャの救済策の合意報道や、米国の格下げの可能性が発表されるなど、相場を大きく動かすニュースが出て、ユーロ関連の相場は、荒れた状況です。

 

しかし、結局のところ、欧州の不良債権問題は深刻さを増すばかりです。

 

ギリシャの財政破たんに対してさまざまな対策が打ち出されているものの場当たり的な感じが拭えません。

 

そうした取り繕うような対策のせいで、不良債権問題は根本的な解決には向かっていませんが、マーケットは「取り繕うような対策」を好感しており、ユーロから資金が逃げる動きはありません。

 

※今後、本格的に、ユーロから資金が流出する可能性がある、と、個人的には考えています。

 

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その本質を考えると、欧州の抱えている不良債権問題は、ギリシャだけに限らず、簡単に(短時間で)、解決できない、と考えています。

 

つまり、市場(外為市場)で、ユーロが売られる展開になれば、欧州の関係者から、リップサービスで、対処法が発表されるのでしょうが、それらは、根本的な解決にならない、と考えます。

 

それらの対処法は、単に、問題の先送りで、先々に行けば、むしろ、不良債権は拡大することになる、ますますひどい状態になる、と考えます。

 

目先、「ユーロ買い」になる場面もありますが、そういった場合でも、マーケットが落ち着くのを待って、改めて「ユーロ売り」をするところ、と考えています。

 

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20110630日記述)

第403回 【外為市場に無視される日本の政治】

投資家に限らず多くの人たちは、ニュースで伝えられるドル/円相場を見て、

「また今日も80円台に張り付いたままか」

と感じていると思います。

 

外国為替市場全体を見ると、ユーロを中心としてそれなりに動いているのですが、日本人が常に目にするドル/円相場は膠着状態にあり、投資家としては手の出しようがありません。

 

一方で菅総理の退陣を焦点とした政治の混迷は深まるばかり。

 

国会の会期が70日間延長されたことで、退陣時期は8月末になるという指摘もあります。

 

与野党の醜い駆け引きを見ていると、これほど展望のない日本なのに、

「なぜ円高にとどまっているのか?」

「なぜ円安に向かわないのか?」

不思議な気がします。

 

その大きな理由として、

「日本の政治は外国為替市場の材料にはならない」

ということがあげられます。

 

株式市場は政治材料には敏感です。

 

しかし、外為市場は米国の政治材料には敏感でも、日本の政治材料には鈍感です。

 

原油価格や食料価格のような輸入物価が高止まりしている今、消費者の立場では外為市場が日本の政治に鈍感で良かった、と苦笑いするしかありませんが、日本人としては、日本の政治が外国為替市場の材料にはならないことを歯がゆく思います。

 

ドル/円の膠着状態がいつまで続くのか?

 

相場が煮詰まって来ていることは確かですが、ここしばらくは動き出すことはないと覚悟しています。

 

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2011626日記述)

第402回 【相場のことは相場に聞け】

古くから言われている相場の格言に、「相場のことは相場に聞け」があります。
 
理屈で考えると、こうなのに、なかなかそういった結果にならない、といった場合に使われるコトワザと言えます。
 
本日(6月22日)、衆院本会議で、国会会期の70日延長が議決された。
 
民主党から野党に50日の会期延長が提案され、了解を得ていたのに、民主党幹事長が総理大臣を説得できずに、70日の会期延長となった。
 
民主党幹事長の約束は、守られなかった。
 
そもそもそれ以前に、総理大臣(民主党総裁)が「辞任の約束」を守っていない。
 
鳩山元首相と「辞任の約束」をしたのに、それを果たしていない。
(「署名が無い」とか、「言質が無い」といった言い訳は成り立たない。)
 
約束を守らない人が総理大臣であることを、日本国民として、とても恥ずかしく思う。
 
子供たちに、「約束を守れ」と、とてもじゃないが言えない・・・。
 
現在の国政の混迷は、傍観者の立場から見れば、失笑を禁じ得ないが、自分も日本の国民であり、笑うに笑えない・・・。
 
 
しかし、これだけ、日本の国政が混迷しているのに、それが外国為替相場では、全く無視されて、テーマにならない。
 
従来から、日本の政治は、外国為替相場では、テーマにならない。
 
理屈で考えると、こういった日本の政治の混迷は「円安要因」と考えてもよさそうなのに、全く影響が無い。
 
だから、「相場のことは相場に聞け」となる。
 
現在の為替相場に影響を与えている問題点を整理しておきましょう。
 
米国、欧州、日本ともに深刻な問題を抱えています。
 
米国は、少し前までは雇用統計の結果などから、「米国景気は回復に向かっている」という意見が多かったのですが、この5月は雇用の伸びが大幅に鈍化し、「景気の減速感が急速に強まっている」という見方に変わりつつあります。
 
もっと正確に言えば、景気回復に向かっているという判断が誤りだったのでしょう。
 
そのため以前は、「年後半にはドル金利引き上げもあり得る」といわれていましたが、現在は、6月に終了する予定のQE2が延長されQE3に移行する可能性が出てきました。
 
また景気回復の遅れから、欧米格付け会社大手3社は米国債に対しネガティブな見解を示していることも、米ドル離れを加速させそうです。
 
欧州は不良債権問題が深刻さを増すばかりです。
 
例えば、ギリシャの財政破たんに対してさまざまな対策が打ち出されているものの場当たり的な感じが拭えません。
 
そうした取り繕うような対策のせいで、不良債権問題は根本的な解決には向かっていませんが、マーケットは「取り繕うような対策」を好感しており、ユーロから資金が逃げる動きにはなっていません。
 
しかし、ユーロから避難する動きが顕在化する可能性は十分にあり得る、と考えます。
 
そして日本。大震災からの復興は遅れ、原発事故処理は遅々として進みません。
 
経済の先行きは不透明感を増すばかりで、財政赤字削減も難しくなっています。
 
そのため米格付け会社は、日本国債の格付けを引き下げる可能性を示唆しています。
 
ところが好材料は何一つ無いにも関わらず、日本円が買われ、円相場は円高気味に推移しています。
 
それはなぜなのか?
 
大きな理由は米ドルもだめ、ユーロも信用できないという状況から、相場が『不美人投票』の場となっており、「円に票が集まっている」ためでしょう。
 
その背景には中国を始めとする国々がドル一辺倒政策を改め、国富の分散を行った結果、円の比率を高めている事情があります。
 
日本人の感覚からは、今のこの状況で円を買うという行為が理解しづらいのですが、このような時こそ「相場のことは相場に聞け」です。
 
現実のお金の流れを見て取引しないと利益を得ることはできません。
 
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(2011年06月22日東京時間23:00記述)

第401回 【煮詰まった相場の中に隠されているヒント】

マーケットが"煮詰まっている"感じがします。
 
ドル/円相場は80円近辺で膠着しており、79円台に突っ込んでもすぐに80円台に戻るし、82円まで近づくと売りが出てきて80円台に戻ってしまいます。
 
ユーロ/ドルは乱高下しているように見えますが、絶対水準で見るとさほど変化していません。
 
豪ドル/米ドル、豪ドル/円も高止まり状態です。
 
1日の値幅は1円、2円程度あるのですが、俯瞰してみると、それほど大きく動いていません。
 
米ドルは、強いのか? 弱いのか?
 
米国経済に目を向けてみると、こちらも"煮詰まり感"が漂っています。
 
米FRB(連邦準備制度理事会)が行っていた量的金融緩和策QE2が終わりを迎え、利上げに向かうという気の早い意見もありましたが、直近の雇用統計などの指標で判断する限り景気回復は遅れている、あるいは幻だったという結論がしっくりきます。
 
そのため逆にQE3の実施を予測する向きもあるようですが、その地合でもないようです。
 
米国経済の不調を反映して米株は値下がり気味ですが、それでもNYダウはまだ高い位置にあることが方向感を失わせています。
 
経済の動きを先取りする国際商品先物指数のCRBインデックスは長く続いた上昇基調が一転、崩れ始めています。
 
コモディティの中ではシルバーの値下がりが顕著です。
 
シルバーが先行していると解釈すれば、いずれゴールドが追随し、原油が連れて下がるのでしょう。
 
そうなるとセオリーとしては、米ドルが上昇するはずです。
 
過熱していた中国経済は乱調気味です。
 
まだまだ中国経済の成長は続くという見方が多いのでしょうが、長く続いた原油価格、金価格、コモディティ価格の上昇は、中国経済にダメージを与えたと思います。
 
成長の過程で中国は膨大な外貨準備を米ドルで蓄えていたのですが、米国経済の先行きを憂慮して、それを円やユーロ、少額のスイスフランなどに分散投資し始めました。
 
あまり指摘されていませんが、それが現在の円高を演出しているのでしょう。
 
このように問題点を書き出してみると、外国為替市場、商品市場、米国経済、中国経済は、それぞれがバラバラの動きをしているようでいて、密接に関わっていることがわかります。
 
現状では明確な答えを提示しにくいのですが、この中に相場で利益を上げるためのヒントが隠されています。
 
(2011年06月19日記述)
 

 

第400回 【国民の復興の努力を無にする政治体制】

311日に起こった大震災は多くの尊い命と、人々が懸命に築いてきた財産を奪い去りました。

 

被災地以外の人々は、その光景を、メディアを通じて知り、誰もが息を呑み、日本が深刻な事態に陥ったと感じたはずです。

 

311日以前の日本は、不景気を脱することができず、言いようのない閉塞感と脱力感に覆われていましたが、大震災後は、被害に遭った方々には申し訳ないけれど、国民の気持が引き締まったと思います。

 

まさに「がんばろう!日本」という気持で、復興のためにできることは何でもすると、3月、4月は不平不満を忘れて行動していました。

 

ところが5月、6月になって、何も進んでいないことに気がつきました。

 

せっかく国民が復興に向けてがんばろうという気持になったのに、政治がそれを活かせなかった。

 

批判の矢面に立つべきは菅政権ですが、与野党も同罪です。

 

とりわけ国民が憤り情けなく感じているのが原発事故に対する対応です。

 

大震災は自然災害ですが、原発事故は原子力安全委員会の班目委員長すら認めている人災です。

 

現場の懸命な努力には頭が下がりますが、2カ月が経過してようやく公表された「原子炉のメルトダウン」に象徴される嘘で塗り固めた情報公開体制、その場しのぎの事故対策には怒りすら感じ、「がんばろう!日本」という気持を萎えさせてしまいます。

 

国会は相変わらず揉めています。

 

それ自体を否定するつもりはありません。

 

政権奪取は、政党にとっても、個々の政治家にとっても、最大の目的目標だから、いかなるときであろうとも、そのために努力をするのは当然の権利だからです。

 

ただし、政権を握っている現政府は、さっさとやることをやってくれなければ困ります。

 

復興に向けて的確な指揮を執れない政権であればすぐに交代させるべきで、メドがついてからなどと悠長なことをいっている場合ではありません。

 

ただ、現在もめている交代劇の目的が、政治家自身の利益であることが透けて見えるところに、情けなさを感じます。

 

国や政治の力とは無関係のところで、日本人の努力によって復興は巡航スピードで進んでいくでしょう。

 

でもそれに甘んじるべきではありません。

 

菅政権の交代というだけでなく、日本の国そのものに変わってもらいたいと考えているのは、私だけでなく、マーケットも同じだと考えます。

 

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2011616日記述

 

第399回 【ポジション調整は、強制される前に自らするもの】(その2)

「ポジション調整」について説明を加えておきましょう。
 
急な円高の際には、「ポジション調整」という言葉がよく使われます。
 
たとえば、ドル/円レートが上昇する場合には、当然、誰かがドルを買っています。
 
しかし、相場は、上下動を繰り返す習性がありますから、価格が上昇したところで、いったん「利食いの売り」を行おうとする市場参加者が、必ずいます。
 
あるいは、ドル/円レートが上昇すると考えてドルを買ったものの、思惑に反して相場が下落することもあります。
 
そういったときには、損失を回避するために、「損切りの売り」を行って、保有しているドル/円(USD/JPY)のポジションを少なくする市場参加者が出てきます。
 
このように、保有しているポジションを小さくすることを「ポジション調整」と言います。
 
相場の動きは、上下動を繰り返す習性があります。ですから、相場が一本調子に上昇したり、一本調子に下落したりした場合でも、それまでの上昇・下落の値幅よりも小さな値幅で、相場がいったん反転して、そこで持ち合い相場を形成することがよくあります。
 
こういった状態を「揺り戻し」とか、「綾戻し」と言いますが、そういったときに、ポジション調整がよく行われます。
 
あるいは、ドル/円が上昇傾向にあるときでも、市場参加者の多くがドルを買い、マーケットがドル・ロング(ドルの買い持ち)の飽和状態になると、マーケットが自律的に下落することで、ポジション調整が行われます。
 
この場合の自律的調整とは、市場参加者がドル・ロングを解消することですから、ドルを売ることです。つまり、目先の高値を買った人たちが、損切りでドルを売る場面です。
 
そういったときのマーケットの雰囲気は、非常にドル売りの気配が強くなります。
 
ポジション調整は、当初の自分の思惑が間違っていたと認めて、反対売買をすることですから、弱腰な姿勢と考える人もいるでしょう。
 
それは、その通りかもしれません。しかし、相場は、いつも勝てるはずもなく、必ず負けるときがあります。
「ポジションを調整すること」は、体勢を立て直すために必要な、そして、とても重要なテクニックです。
 
ポジションを調整することは、リスクをコントロールしている状態であり、マーケットの値動きに対応している状態です。
 
ポジション調整を行わない(行えない)状態は、「フリーズ状態」と同じで、非常に危険です。
 
ポジション調整を行わなかったり、行えなかったりすることで残されるポジションが、いわゆる「塩漬けポジション」です。
 
(2011年6月13日記述)

第398回 【ポジション調整は、強制される前に自らするもの】(その1)

クラッシュには、「大クラッシュ=本格的なクラッシュ」と「ミニ・クラッシュ=大クラッシュほど壊滅的ではないクラッシュ」があります。

 

外国為替レート、特に、ドル/円レートの値動きには、上昇するときは上下動を繰り返しながら、ゆっくりと上昇し、下落するときは、ストンと一気に落ちるというクセがあります。

 

ミニ・クラッシュは、「ガス抜き」のようなもので、マーケット(外国為替市場)にたまった「歪み」を修正・調整します。

 

持ち値の悪いポジションを、マーケットの自律的な値動きで、強制的に損切りさせることになります。

 

このマーケットの自律的な値動きは、持ち値のよいポジションを、利食いで消滅させる効果もあります。

 

ものすごく持ち値のよいポジションであっても、比較的大きな修正が起これば、市場参加者は、いったん利益を確定させて、キャピタル・ゲイン(為替差益)を受け取っておこうか、という気持ちになるものです。

 

こういったメカニズムによって、マーケットには、持ち値が極端に悪かったり、よかったりするポジションがなくなります。

 

ですから、ミニ・クラッシュは、「ポジション調整」と言い換えることができます。

 

マーケットに存在しているポジションを調整することにより、マーケットは健全な状態になり、安定していきます。その過程を経ることで、マーケットは、あらためて上下動を繰り返しながら、ゆっくり拡大する状態に戻るのです。

 

(2011年6月9日記述)

 

第397回 【内閣不信任案提出は当たり前の行為】

大震災発生から約3カ月が経過しました。
 
大震災で受けた打撃は日本経済にも大きな影響を与えているので、外国為替市場に対しても無関係とはいえません。
 
しかも問題なのは3カ月経過したのに、解決に向かってほとんど何も進展していないということです。
 
津波被害からの復興ということでは、計画に未達が生じているものの8割、9割レベルで実現しています。
 
ところが福島原発事故処理はどうでしょう。
 
原子炉が損傷を受けてから3カ月が経過し、現場関係者は決死の努力で処理に当たっているのに解決に向かっているとはいいがたい状況です。
 
東京電力の不手際なのか、意図的な隠蔽なのか、あとからあとから問題点が明らかになることも、原発事故処理の不透明さを象徴しています。
 
例えば、メルトダウンについては、東電は「ない」と言い続けてきましたが、2カ月も経過してから「ある」と訂正しました。
 
しかし、メルトダウンは当初から指摘されていたことで、突然状況が変わったわけではありません。
 
東電がのらりくらりしているのはマスコミの追及の甘さ、国民の現実から目を背ける体質にも原因があるのでしょう。
 
本来なら菅政権がそんな東電を監督・指揮しなければなりません。
 
しかし、現状は、東電ののらりくらりに、政権が右往左往していて対応が後手後手に回っています。
 
それならば政権を交代させるべきです。
 
野党が内閣不信任案を提出した時、「今は政局にかまけている場合ではない」という批判が出ましたが、出して構わなかったと思います。
 
菅政権のせいで事故処理が進まないのなら、早い段階で交代させないと、どんどん遅れが生じてしまいます。
 
出すなという批判のほうがピントがずれているのではないでしょうか。
 
結局、菅首相が期限を明記しない辞任を表明することで、内閣不信任案は否決されましたが、それで良かったのでしょうか。
 
原発事故処理同様、東電自体の処理にも着手しなければなりません。
 
負担しきれないほど莫大な補償が予想される東電は明らかな債務超過状態です。
 
資本主義下では、そのような企業は倒産しなければなりません。
 
そのことと安定的な電力供給とは別な話で、電力供給に関しては国策として対処すればいいだけです。
 
現実には、新生東電をつくって、新しい給与体系のもとで社員を再雇用すれば良いのです。
 
同時に経営陣の責任はOBも含めて徹底的に追及しなければなりません。
 
給料だけでなく退職金の削減も必要でしょう。
 
そうなると老後の生活が大変なことはわかります。
 
でもだからといって、国民の税金で東電のOBや社員の生活を守らなければならないのでしょうか。
 
倒産した民間企業はたくさんあるのに、なぜ東電は守られるのでしょう。
 
金融機関などが東電債を大量に保有しているためでしょうか。
 
『国を動かす力のある利害関係者がたくさんいるから東電は助かる』というのでは納得できません。
 
また、公共性の高い企業は守るというJAL処理の悪しき前例を踏襲するのもおかしなことです。
 
もしも原発事故が起きていなければ、震災直後の瓦礫の下で助けを求めていた人たちの命を救えたはずです。
 
そのことを政府も官僚も東電もしっかり考え反省すべき、と考えます。
 
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(2011年6月5日記述)

第396回 【金利と為替の違い】

金利は、きわめてロジカルです。それは、金利には「政策金利」があるからです。

 

この「政策金利」はマーケットではなく、人間が決めます。それも中央銀行や、財務省や、その時々の政府といった、ごく一部の、一握りの人間の判断によって決められます。

 

とはいえ、金利は人々の生活に深く関係しているので、あまり急激に変動させるのは好ましくありません。

 

たとえば、ちょっと景気が悪くなったとしましょう。

 

景気対策として、政策金利を3%引き下げます。そうしたら、景気が急回復しました。それで、今度は3%引き上げる――こういった朝令暮改をするわけにはいきません。

 

ですから、景気がよい時は金利を上げるのですが、いっぺんに1%も2%も上げることはしないで、0・25%の幅で引き上げます。そして、様子を見るのです。

 

足りなければ、また、0・25%引き上げます。そんな風に、小出しに引き上げていくことが政策金利の常道です。

 

また、政策金利の動きは、同じ方向に少なくとも3回は動く、といった傾向があります。

 

これは、絶対ではないのですが、先ほども述べたように、一部の人間が様子を見ながら、小出しに上げたり下げたりするわけですから、普通は足りな目になります。

 

逆に政策金利が半年ごとに、0・25%上がったり下がったりしているようでは、マーケットから信認されなくなります。

 

市場参加者は、「そんなことをするくらいなら、金利を動かさないで様子を見るべきだ」と考えるからです。

 

為替には、政策金利に相当するものがありません。

 

金利の場合は、政策金利よりも低ければ、「これはおかしい。特殊な需給で歪んでいるのだな」と、すぐに判断できます。

 

単発的にそういうことがあっても、長続きはしません。

長続きするようならば、政策金利を引き下げることになります。

 

しかし、為替には、そういったメルクマール(指標)になるものがありません。

 

為替は、不特定多数の市場参加者が、マーケットで売ったり買ったりして、需給を調節しながら、最終的に均衡するレートが決まっていきます。

 

マーケットには、さまざまな人たちの思惑や、願望や、雑多な思いが込められています。

 

この不特定多数の行動を読む方が難しい、と言えるでしょう。そこには、ロジックがないからです。

 

「何だかよくわからないけれど、売ってしまえ!」とか、「もういいや、買ってしまえ!」と、ロジックとは無縁のところで巨大な金額がマーケットに集まり、それが流れになってしまうこともあります。

 

しかし、金利はそういうわけにはいきません。

 

金利の場合は、政策金利を決める権限のある人間が、どう考えるか、そして、上げ下げの幅がどの程度なのかを考えれば、おのずと読むことができます。

 

(2011年6月2日記述)

 



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