第418回 【中東危機と欧州危機】

独裁政権に対する反政府デモが、チュニジアやエジプト、そしてリビアなど、北アフリカ周辺諸国に広がっています。

 

原油を始めとする商品市場や株式市場は大きく動いていますが、外国為替市場は、意外に反応していませんでした。

 

ここにきて(2月も下旬になって)、外国為替市場でも、反応が始まったようです。

 

例えば、エジプトのムバラク政権が倒れて以降、どのような新政権が誕生して、中東の枠組みがどのように変化し、それが為替相場にどのように影響するのか、判断がつかない、と、市場関係者の多くが考えていたために、当初、反応が無かったのでしょう。

 

ここにきて、外国為替市場でも、反応が始まったのは、何はともあれ、不測の事態に備えよう、と考えたためでしょう。

 

とりあえず、『フライ・トゥ・クオリティ(Flight to

quality=質への逃避)』を行い、リスクを回避しようとする投資家の行動が、外国為替市場で起こっています。

 

欧米や日本経済に与える影響が大きいことは漠然と理解できるので、じわじわと避難通貨としての円買い、スイスフラン買いが起こっています。

 

それだけ(円買い、スイスフラン買い)に注目するのではなく、気を付けるべきことは、『フライ・トゥ・クオリティ(Flight to

quality=質への逃避)』の本質です。

 

外国為替市場における代表的な『フライ・トゥ・クオリティ(Flight to

quality=質への逃避)』の投資行動は、ポジションを縮める、スクエア(ポジション無し)にする、ということです。

 

 

北アフリカ情勢、中東情勢の今後の展開は、私も含めて予想が付きません。

 

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メディアの関心が中東に向く中で、投資家の立場で気にすべきは欧州債券に生じている格差です。

 

ドイツ債券は堅調ですが、ギリシャは論外としてポルトガル、スペインクラスであっても誰も買いません。

 

フランス債券ですら手を出しにくい状態です。

 

ドイツ債券以外売るに売れない、買うに買えないという欧州債券の格差は、既に債券を保有している世界の投資家に、カウンターブローのように効いています。

 

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このような時にFX投資家はどのように対処すれば良いのでしょう。

 

はっきり言えば手立てが無く、もうしばらくガマンして明確な答えが出るのを待つしかありません。

 

「とはいえユーロに投資すれば儲かったのでは?」

という反論もあるでしょう。

 

確かに欧州中央銀行の詭弁によってユーロが強くなっていますが、それは結果論に過ぎません。

 

為替の王道を行くのならユーロを買うべきではない、と考えます。

 

不良資産を大量に抱えている欧州の金融機関の問題を無視する訳にはいかないからです。

 

今は「儲ける相場」ではなく、損をしないように「しのぐ相場」です。

 

他の投資家がやらないことをやれという意味の「人の行く裏に道あり花の山」という相場の格言がありますが、為替の王道は「人の行く表の道を歩け」だと考えます。

 

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独裁政権に対するデモや、地震の自然災害では、具体的に死者が出ているので、衆目が集まります。

 

経済危機問題では、表面上、死者は見当たらず、報道されないでしょう。

 

例えば、アイルランドの政権が倒れても、表面上では、誰かが死ぬことは無いでしょう。

 

しかし、それは、表面上だけのことです。

 

多くの人々に、本質的に大きな影響を与えるという点では、欧州の不良債権の方が、重大問題である、と考えています。

 

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20110228日記述)

第417回 【地政学的リスクの高まり】

エジプト情勢の波及から、リビアでは、事実上の内戦状態となり、中東産油国への影響を憂慮する声が高まっています。

 

そういった地政学的リスクの高まりから、資源高、原油高、金価格高といった傾向が鮮明になっています。

 

一方、豪ドル(AUD)が対円、対米ドルで、売り気配になっています。

 

資源高、原油高、金価格高が続く中で、なぜ資源国通貨の代表のような豪ドルが売られるのでしょう?

 

大きな要因の一つが、ニュージーランドで起こった大地震です。

 

ニュージーランド・ドルが売られたことから、連動性の強い豪ドルも売られていると考えるのが自然です。

 

ニュージーランドとオーストラリアは、別々の国家ですから、ニュージーランドで起こった不幸な出来事は、本来は、オーストラリアには関係ないはずです。

 

しかし、市場関係者の間では不文律的に(=経験則で)、

「豪ドルとニュージーランド・ドルは連動する」

と受け止められているので、同時に売られている、と考えます。

 

こうしたことは理屈で判断するのではなく、目の前の事実を受け入れて、素直に市場の動きについていくしかありません。

 

 

また、資源高、原油高、金価格高は、まだ、しばらくの間、続くだろう、と、個人的には考えていますが、『金利差享受を狙った(=スワップ金利を目的とした)豪ドル買い』は、対円、対米ドルのどちらも、かなり、積み上がった状況と考えています。

 

つまり、円キャリー・トレード、ドル・キャリー・トレードで積み上がったポジションは、巨額になっている、と推測しています。

 

そのアンワインド(=巻き戻し・ポジション調整)が、いつ起こっても不思議ではない状況になっている、と考えています。

 

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地政学的リスクの高まりで、『フライ・トゥ・クオリティ(=質への逃避)』が起こっています。

 

『フライ・トゥ・クオリティ(=質への逃避)』が起こると、為替リスクを回避する傾向が強くなります。

 

つまり、為替ポジションをスクエアにする(=ポジションをゼロにする)、あるいは、縮小しようとする動きが強まる、ということです。

 

『資源高・原油高・ゴールド高だから、資源国通貨が強くなる』といった図式にならない可能性があることに要注意です。

 

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2011224日記述)

第416回 【大相撲の八百長問題と外為市場】

マーケットが混沌としています。

 

方向性を決める強力な材料がないせいでしょうか。

 

とはいえ、材料自体はたくさんあるのです。

 

直近の例ではエジプト情勢ですが、外国為替市場はまったくと言っていいほど反応していません。

 

一つにはエジプトという国の経済規模や資金の規模が、外為市場に影響を及ぼすほど大きくないということが挙げられるでしょう。

 

しかし、エジプト情勢が近隣の中東やアフリカ地域の独裁国に影響を与え、ひいては原油価格を左右すると考えれば無視はできないはずです。

 

それでも無反応なのは、影響の度合いを予測しきれないからでしょう。

 

私も含めて、分からないから反応のしようがないのです。

 

もっと大きな材料としては、財政危機の行方が見えないユーロに対する不安があります。

 

ECBやドイツなどのユーロ主要国は、対症療法的な手段を用いてマーケットに安心感を与えようとしています。

 

そういう魂胆が丸見えだから、マーケットは疑心暗鬼なのですが、といってユーロ体制が崩壊するという決定的な証拠もないために、当面はECBや関係国の言うことを信じて様子見するしかないのが実情です。

 

この構図に良く似ている卑近な例では大相撲の八百長問題があります。

 

日本相撲協会はこれまで「八百長はない」と言い張っていました。

 

多くの相撲ファンは、7勝7敗の力士が千秋楽で勝ち越す確率が高いといった状況証拠から、八百長の存在を薄々感じていたのでしょうが、証拠がない以上、協会の言葉を信じるしかありませんでした。

 

しかし、今回、八百長を示唆するメールという明確な証拠が出てきて、八百長の存在が明るみに出たわけですが、ユーロ問題も同じような道筋をたどるのでしょうか?

 

一方で円も膠着状態を続けています。

 

日本が不景気なことは間違いありません。

 

その中で財政赤字が膨らみ、ついに国債の格下げが行われました。

 

経済規模に対して財政規模が大き過ぎるという根本的な原因を正さない限り、解決せずに破たんに向かうしかないのですが、あまりに漠としていて、私たちの感覚がついていきません。

 

外為市場は誰かが走り出すのを待っている状態でしょう。

 

そうした時に「あっちだ」と叫んで走り出すのはカッコイイのですが、賢明な投資家のやるべきことではない、と考えます。

 

数ある材料や問題点を自分の頭で考えて整理することは大切ですが、方向性を予測して先頭を走る必要はありません。

 

みんなが出した答えに沿って、みんなが行く方向へついていくべきだ、と考えます。

 

たとえそれが間違った方向でも、素直に受け入れる。

 

それが相場で生き残るための知恵だ、と考えています。

 

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20110221日記述)

第415回 【押してもダメなら、引いてみる?】

ドル/円相場は、目先の『こう着状態』になっている、と判断しています。

 

週単位程度の、長いスパンで見ると、それなりに上下動を繰り返しているのですが、一日の値動きや、もっと短時間の値動きは、非常に緩慢なので、ポジションを取っても、なかなか、次の行動をとれない状況が続いています。

 

もちろん、辛抱強くポジションを持ち続けることも、ひとつの戦い方(戦法)ですが、このようなこう着した状態で、ポジションを持ち続けると、精神的に苦痛であることも理解します。

 

このような状況の時には、あえて休むことも、また別の戦い方(戦法)だ、と考えます。

 

現在のマーケット(外国為替市場)の注目は、ドル/円にありません。

 

消去法的に、「日本円(JPY)」が注目されることがありますが、そういった注目も、長続きしない感があります。

 

現在のドル/円は、

『下限80円、上限84円台ミドルのボックス相場』

と判断しています。

 

だから、ボックス相場のセオリーに従い、

『下限80円が近づいたら「買い」、上限84円台ミドルが近づいたら「売り」』

といった戦術を採るのが正攻法でしょう。

 

いったん小休止で、次の展開を待つ、つまり、ポジションを軽くして、あるいは、いったんスクエア(=ポジション無し)にして、相場が動き出すのを待つことも、一つの戦い方(戦法)と考えます。

 

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※ポジションを軽くして、あるいは、いったんスクエア(=ポジション無し)にした際に、そういった時に限って、突如として、相場が動き出すことがあります。

 

自分の思っていた方向に、相場が動き出すと、非常に悔しいのですが、相場がこう着状態の際に、自分自身も身動きが取れない固まった状態でいると、精神的にも、肉体的にも苦しいものです。

 

相場が動き出してから、自分も動くようにする方が、精神的に、肉体的に、楽になれる、と考えます。

 

このあたりは、非常に、対応が難しいところです。

 

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2011217日記述)

第414回 【ユーロの嘘が相場をつまらなくしている】

今年の最大のテーマはユーロ危機です。

 

しかし、ドル/円、ユーロ/ドルに限らず、すべての相場に方向感がありません。

 

その最大の要因は「ユーロの嘘」。

 

ユーロ圏の為政者達は「ギリシャはユーロを離脱しない」、従って「ユーロ危機ではない」という論法で「嘘」をついています。

 

確かにギリシャには莫大な資金を注ぎ込んでいるので、離脱させることはないでしょう。

 

だからといってユーロ危機が去ったわけではなく、一時的に先送りしただけです。

 

ところが、ユーロ危機は去ったという為政者達のアナウンスメント効果――私に言わせれば詭弁・ごまかし――もあって、ユーロ急落に歯止めがかかり小康状態を保っています。

 

そうした中で、エジプト情勢のような突発的なニュースが起こると、相場が攪乱され、再び小康状態に陥るという状態です。

 

ドル/円は80円-84円ミドルの間で横ばいを続けています。

 

現在は、レンジ内の動きが続いています。

 

※ドル/円は、20109月下旬から現在(201102月)に至る、4か月程度の期間は、『80円から84円台ミドルの安値圏でのボックス相場』を形成しています。

 

多くの投資家は、どうにもやりようがないと感じているでしょう。

 

メイン通貨であるドル/円、ユーロ/ドルが膠着状態に陥っているので、そのクロス通貨であるユーロ/円も動かず、その他の通貨、例えば豪ドルなども(若干強めながらも)膠着気味です。

 

このような相場にどう対処すべきでしょう。

 

無理に動くと必ず損をします。

 

面白くない相場ですが、しばらくはガマン。

 

必ず活路が見いだせる時が来るはずです。

 

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20110214記述)

第413回 【致命傷を負わないようにして、チャンスを待つ】

2月の中国の春節(旧正月)が終わりました。

 

外国為替市場の三大市場は東京、ニューヨーク、ロンドンなので、中国市場の影響力は相対的に小さいのですが、成長著しい中国のディーラーが抜けると活気が薄れる感じがしました。

 

これからアジア市場の取引が、活発になることを期待しています。

 

そのような今の時点で、今年の始まりである1月の相場を振り返ると「かなり難しい相場つき」だったと思います。

 

今年の大きなテーマは『ユーロ危機』であり、それは今も変わっていません。

 

欧州の為政者や、ECB関係者は、『ユーロ危機』という言葉そのものを嫌い、そういった言い方すらも否定していますが、ユーロ諸国が危機にあるのは、客観的に見て明らかです。

 

しかし、年初こそ『ユーロ危機』を材料としてユーロを売る動きがあったものの、その後の欧州の取り繕い的な対応策によって反転上昇してしまいました。

 

このことが相場を難しくさせた原因でしょう。

 

1月と2月は投資家には頑張って欲しい月ですが、引き続き難しい相場の状況が続きそうです。

 

こういう時はポジションを縮めて致命傷を負わないような取引を心掛けながら、チャンスを待つことが大切です。

 

少し気が早いのですが3月は日本の期末。

 

もうしばらく耐えていれば取引が活発になり、チャンスも訪れるでしょう。

 

それに今年はまだ始まったばかりです。

 

ここは焦らずに、マーケットの動きを見極める場面です。

 

2011210日記述)

第412回 【予想できない突発的なニュースにも責任を取る】

エジプトでムバラク大統領退陣を求める大規模なデモが発生し、ニューヨーク市場ではリスク回避の動きが強まり株価が下落し、原油価格が上昇するなど混乱した状況に陥りました。

 

しかし、ムバラク大統領が次期大統領選不出馬を表明して、事実上退陣したことにより、市民と軍が衝突して内戦に発展するといった最悪な事態は避けられそうだという思惑も広がりました。

 

しかし、国内の混乱は依然続いているので、予断を許さない状況です。

 

突発的とも言えるエジプトの「事件」によって、本来のテーマであるユーロ危機、アメリカ不景気といった材料が水面下に潜ってしまい、ぼやけた相場、難しい相場になっています。

 

ようやく本腰を入れて取引ができると意気込んでいた投資家は、出鼻をくじかれ、本腰を入れて頑張っていた投資家は予想外の方向に相場が動いて、相当な損失を被ったのではないでしょうか。

 

 

さて、本題はここからです。

 

今回の突発事によって損失を被ったことに対し、「仕方ない」というコメントを目にします。

 

事前に予想することが難しい事件だったことはわかりますが、だからといって「仕方ない」で済ませても損失は消えません。

 

きつい言い方になりますが、「仕方ない」と口にする投資家は「甘い」と思います。

 

突発的な事件は過去に何度も起こっています。

 

1998年の大型ヘッジファンドが破たんが引き金となった「LTCMショック」、未だに記憶に新しい2001年の「9.11(米国同時多発テロ事件)」のように。

 

そのような予想だにしない事件に対しても、責任を取る、ということが「相場を手がける」ということ。

 

損をした場合でも、仕方ないで済ませずに、現状にどのように対応して、どのように損を利益に転換していくのかを考えなければなりません。

 

相場は決して易しいものではないのです。

 

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201127日記述)

第411回 【ユーロには投資しないという選択肢】

難しい相場付きに中で1月が終わり2月に入りました。

 

月が変わっても難しさに変わりはありません。

 

こんな時は、焦りは禁物。

 

致命傷を負わないように小さな投資金額にとどめて無理をせずに小さなチャンスを狙うしかありません(スキャルピングで対応せよということではありません)。

 

もっと言えば、難しい相場には手を出さないという選択肢だってあるのです。

 

相場を難しくしている大きな責任は欧州にあります。

 

欧州高官は、ユーロは大丈夫だと言い続けています。

 

「ウソ」をつかざるを得ない立場にあることはわかりますが、それを鵜呑みにした投資家は悲惨な目に遭うでしょう。

 

米国のサブプライムローン問題を思い出してください。

 

サブプライム関連債券の格付けは高く安全、サブプライムローンを扱う金融機関は健全とさんざん説明されていたにも関わらず、やがていろいろな問題が噴出し、ついにはリーマン・ショックをきっかけにして世界的な金融危機を招いてしまいました。

 

それと同じ事が今、欧州で起こっているのです。

 

ギリシャが抱える膨大な債務が返済不可能であることは、薄々誰もが気づいていると思います。

 

でも渦中にいて、欧州が保証を付けているから大丈夫などと欧州高官に説明されると、その説明を信じたくなるものです。

 

もし欧州の財政危機問題が全部とは言わぬまでも、半分でも解決した段階で大丈夫だと説明されれば納得します。

 

しかし現状は問題を先送りしているに過ぎず、解決には程遠い段階です。

 

それでも相場は動きます。

 

動いている相場には対応するのは当然だし、みんながユーロに投資しているのなら大丈夫という風潮もあります。

 

でも油断すべきではありません。

 

サブプライムローン問題の時のように、必ずしっぺ返しを受けるでしょう。

 

ユーロには投資しないという選択肢があることをもう一度思い出してください。

 

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201123日記述)



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