第410回 【お金の流れを見極める】

新しい年を迎えて1カ月が経ちました。

 

ごく目先のマーケットは、『エジプト情勢の混乱』から、リスク回避の動きになっていますが、20111月の全般を振り返るならば、現状は方向性がハッキリしない難しい相場付きになっている、と感じます。

 

なぜ難しいのか?

問題点を整理してみましょう。

 

まず欧州。

 

ギリシャ、アイルランドに代表される経済的弱小国の財政危機問題は、一向に解決に向かわず、しかも水面下には欧州金融機関の抱える不良債権問題が隠れています。

 

経済的弱小国の国債を保有している金融機関は大きな損失を被っており、このままギリシャやアイルランドを破たんさせると、欧州全体を巻き込む金融危機に発展してしまう可能性があります。

 

破たんさせないためには資金調達が必要ですが、通常の方法では調達できないので、欧州各国の保証を付けた新しい起債方式を用いました。

 

これでひと息ついたとはいえ、要は借金が増えただけ。

 

返済のメドはついているのか、不安が残ります。

 

 

米国は景気回復に向かっていると言われていますが、失業率を見る限り景気が上向いているといえる状況ではありません。

 

景気が上向いていれば、それに伴って金利も上昇するはずですが、ほとんど横ばい状態です。

 

過去に例のない大規模な量的緩和を行ってもこの程度。

 

このところ良く耳にする「景気回復の兆しが見える」という指摘は、どうも納得できません。

 

そうした中でNYダウだけは堅調で、不気味な不景気の株高が起こっています。

 

 

日本の景気が一向に回復しないことは誰もが肌で感じていることでしょう。

 

失業率の算定の方法が米国と違うので低く見えるのですが、多くの新卒者の就職が決まらないなど、かなり厳しい状況にあります。

 

財政問題も深刻です。

 

政府は2011年度末の国の借金が約998兆億円に上ることを明らかにしました。

 

1000兆円突破は目前です。

 

ただ個人資産が1400兆円あり、国債の大半を国内で消化しているので海外から見ればマシに見えるため避難通貨として円が買われていますが、投資する状況ではありません。

 

国内市場はデフレが続いて内需拡大が思うようにいかず、企業は輸出に活路を、見出すしかないのですが、為替が円高方向に向かい苦しい環境が続いています。

 

 

経済が好調な新興国の中でも中国は過熱気味のほど景気が良く、人民元の切り上げ圧力は高まるばかりです。

 

投資先としての中国は有望ですが、主に政治的要因により市場が自由化されておらず、実質的に投資することができません。

 

 

米欧日は景気が芳しくなく、好調な中国には投資しづらい。

 

投資先探しは堂々巡りしてしまい、投資判断ができない状態でしょう。

 

今すぐには答えは出ませんが、まず現状を整理して、この先お金がどういう方向に流れていくのかを見つけることから始めるべきだ、と考えます。

 

20110131日記述)

第409回 【外国為替市場オリジナルの年間スケジュール】

1月も下旬になりました。

 

12月のクリスマス相場とは違って、マーケットは十分に厚みのある通常状態になっており、ニュースや材料に対してもリーズナブルな反応を見せています。

 

日本では4月が年度の初めとなるため、3月まででの成績で締めて、4月から新たな投資方針を立てようと考えている投資家も多いでしょう。

 

それが悪いわけではありませんが、世界基準では今月(1月)が1年の始まりです。

 

マーケットをリードするディーラーたちは、すでに一斉にスタートを切っています。

 

ただいきなりトップスピードで走り出したわけではなく、今月(1月)は、今年の目標や投資計画をばくぜんと考えている段階です。

 

そこで個人投資家の皆さんも1月を「ヨーイドンで頑張る月」と位置づけて、あわてずあせらず、多方面に目を配りながら、今年の投資計画を考えてはいかがでしょうか?

 

以下、拙著『【新版】 FXで稼ぐ人はなぜ「19敗」でも勝つのか?』からの引用です。

 

●外国為替市場オリジナルの年間スケジュール

 

外国為替市場は、1月から「よーいドン!」で始まります。

ですから、「年間スケジュール」は、1月になってからではなく、12月のうちに考えておくことなのです。

相場は、私たちの都合を聞いてはくれません。

しかし、毎年、決まりきったパターンがあります。

ですから、「12月のうちに考えておくこと」ではあるけれど、一度、覚えてしまえば、毎年の年間スケジュールは、ほぼ同じです(イースターの時期が違うのですが、それも大差がありません)。

 

外国為替市場の年間スケジュールを見てみましょう。

 

1月【頑張る月】

まずは、リハビリ(12月は、のんびりしているので)。

トレンドを調べる、チャートを調べる、12月中のニュースを紐解くなど、確認の作業から始めます。

 

2月【もっと、頑張る月】

3月【もっと、もっと、頑張る月】

「イースター」が3月にある場合は、小休止を入れます。

 

4月【後半のゴールデン・ウィークに備える月】

ゴールデン・ウィークはポジションを取らずに、いったん休憩。

「イースター」が4月にある場合は、そこも休憩します。

 

5月【ゴールデン・ウィーク明けから頑張る月】

まずは、リハビリ(ゴールデン・ウィーク中は、のんびりしているので)。

1月と同じように、確認の作業から始めます。

 

6月【しっかり、頑張る月】

 

7月【夏休み(サマー・バケーション・シーズン)】

夏休みのスタートは、米国の「独立記念日」(7月4日)から。

8月【夏休み(サマー・バケーション・シーズン)】

夏休みの終了は、ロンドンの「レイト・サマー・ホリデー」(8月の最終週の月曜日。サマー・バンク・ホリデーとも言う)まで。

7月~8月の夏休みは、年によって、そのスタートが遅れる場合があります。しかし、夏休みの終了は、「レイト・サマー・ホリデー」までで、だいたい不変です。

 

9月【頑張る月】

10月【もっと、頑張る月】

 

11月【12月に、ちゃんと休めるように、もっと、もっと、頑張る月】

12月【クリスマス・シーズン=何もしない月】

「こんな時期に相場をやっているヤツは、負けたヤツ」と、横目で眺めていればOKです。

第408回 【ユーロの乱高下は情報操作が原因】

今月行われたポルトガルとスペインの新規国債の市場発行は、目標額を達成しました。

 

また今月1日に発足した欧州銀行監督機構(EBA)主導により、2回目となる欧州の銀行を対象としたストレステストを、2月から3月にかけて実施することも明らかになりました。

 

ユーロ関係者は起債の成功、新たなストレステストの実施により、ユーロの健全性が明らかになると公言しており、これまで売られていたユーロが急反発しています。

 

率直な感想は、

「また嘘をつくのか・・・」

ということです。

 

一部のユーロ参加国の財政が危機的状況にあることや、欧州の大手銀行が大量の不良債権を抱え込んでいることは、誰もが想像していることです。

 

しかし各国高官やECBのトリシェ総裁は、ユーロにとって都合の良いことしか言いません。

 

立場上、すべてをさらけ出すことができないことは理解できますが、だからといって欺瞞に満ちた情報操作によって、ユーロが乱高下していることは見過ごせません。

 

投機的(ジャンク級)格付けにまで下げられたギリシャの例を見れば明らかですが、格付け会社が後追い的に格付けを引き下げています。

 

本来なら先行して格付けを見直さなければならないのに、後手後手に回っているのは、それほどユーロの情報が取りにくいということなのでしょう。

 

2回目のストレステストも、

『欧州の銀行は健全であるということを改めてアピールするために行う』

と考えたほうが無難です。

 

このような情報操作を私企業が行った場合は、犯罪行為(=詐欺罪)となり、世間から指弾されて経営者は辞任させられるでしょう。

 

企業の存亡にも関わります。

 

ところが、国家やECBの嘘は犯罪になりません。

 

だからといって問題を先送りしたのでは、今後、より酷い状態に陥ることは明白です。

 

嘘に踊らされているユーロには投資すべきではない、と考えます。

 

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20110124日記述)

第407回 【2011年の最大のテーマは『ユーロの不良債権問題』】

クリスマス・シーズンや年末年始の休暇期間中は市場参加者が少なく、マーケットは時折突飛な値動きを見せていましたが、1月も中旬になると、売り手、買い手とも層が厚くなり、しっかりとした値動きになっています。

 

そういった中で、年初からユーロ関連の値動きが激しい展開になっています。

 

今年(2011年)の最大のテーマは『ユーロの不良債権問題』と考えています。

 

昨年(2010年)から尾を引いている問題ですが、今年(2011年)も最大の関心を払っていくべきであると考えます。

 

ユーロの不良債権問題では隠されている情報が余りにも多いことが、事態をより深刻化させています。

 

例えば、昨年(2010年)7月に公表された欧州金融機関に対するストレステストの結果は、主要金融機関に問題がないという、にわかには信じがたい内容でした。

 

テストを主導したECBは欧州金融機関の健全性をアピールしていましたが、もしストレステストの結果が正しいのであれば、その後のアイルランドの大手銀行の国有化や格付けの格下げは起こらなかったはずです。

 

今年(2011年)、再度、欧州金融機関に対するストレステストの実施を画策しているようですが、大きな不信感がつのります。

 

『今回のストレステストは、大丈夫』と、喧伝するのでしょうが、最近の欧州の隠ぺい体質を考慮すると、信じられない、と思っています。

 

今年(2011年)は金融機関の不良債権問題にとどまらず、各国の財政危機問題など、ユーロが抱える問題点が次々と明らかになり、全体としてはユーロが売られる展開になるのだろう、と考えています。

 

では、ユーロの反転はいつになるか?

 

それはユーロ諸国や欧州の金融機関が膿を出し切って、悪材料が出ても市場が反応しなくなった状態の時ですが、それは相当先の話になりそうだ、と考えています。

 

当面はユーロには投資ができず、しかし、目を離すこともできない、という状況が続くのだろう、と判断しています。

 

2011120日記述)

第406回 【甘い投資態度では相場に勝てない】

ギリシャ、アイルランドに続いて財政危機に陥っているポルトガルが112日、5億9900万ユーロの10年国債入札を実施。

 

翌日の13日にはスペインが今年初の国債入札を行い、30億ユーロの5年国債を売り切りました。

 

こうした国々には日本や中国も支援を表明しており、表面上は危機を乗り越えつつあるようです。

 

しかし財政危機に瀕している国の国債に買い手がついたことをもって、ポルトガルやスペインに危機脱出のめどがついたと考えるのは早計に過ぎるでしょう。

 

ポルトガルの国債を落札したのは主にユーロ圏内の銀行であり、落札した国債は欧州中央銀行(ECB)が引き取ることが事前に決められていたといわれています。

 

いわゆる出来レースだったわけで、そのようなことを仕組む欧州の隠蔽体質が問題です。

 

ECBがリスクの高い国債に国民のお金を注ぎ込んでいることも気になります。

 

ポルトガル支援は金融危機を沈静化させるために欧州各国政府で決めたこととはいえ、ジャンク債に投資することは各国国民の財産をリスクにさらすことになります。

 

そのツケはいずれ、それぞれの国民が払うことになるでしょう。

 

このことは支援を表明している日本と日本国民にもあてはまります。

 

 

一方で中国はどん欲な目的を持って欧州に投資しており、叩けるモノは叩いて最低の値段で買おうとしています。

 

投資も商売と同じと考えれば、中国の態度こそ正しいのです。

 

 

では個人投資家はどうでしょうか?

 

高金利だからという単純な理由、甘い気持、いい加減な投資態度でハイリスクな国々に投資する姿勢が顕著になっています。

 

ギャンブルであることを認識して、失っても良い資金を投資することまで止めるつもりはありませんが、儲かりそうだからと安易に判断して大切な資金を投じることは避けるべきです。

 

12月のクリスマス相場、年末年始相場が終わり、今月(20111月)から始まった本格的な相場に臨むにあたり、自身の投資態度をもう一度見直してはいかがでしょうか?

 

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2011117日記述)

第405回 【消去法で円が買われる図式が続く】

年が明けて、米国雇用統計の発表も終えて、市場参加者がマーケットに戻っています。

 

平時のマーケット(外為市場)に戻った、と言って良いでしょう。

 

といっても、1月は、今年の投資方針を決めたりする時期で、ウォーミングアップの段階です。

 

だから、あわてる必要はない、とも考えています。

 

ところで、先週発表された米国雇用統計の結果は、昨年(2010年)の延長線上にある、と考えています。

 

つまり、すべての数字が格段に良くなることはなく、いくつかの項目で良い数字が出たとしても、全体で見ると「米国経済は悪い」ということを裏付ける結果だった、と考えています。

 

失業率は、9.8%から9.4%に大幅に改善されましたが、失業保険の給付が切れた人が、求職活動を止めたことが主因と考えます。

 

決して好調な内容とは思えません。

 

先週発表された米国雇用統計の結果は、長期的にはドル売りの材料になっても、ドル買いの材料にはなりにくい、と考えています。

 

そんな米ドルよりも深刻な状態にあるのがユーロです。

 

そもそも、欧州の主要金融機関は、リーマンショック前後に発生した不良債権を処理していません。

 

加えて昨年(2010年)表面化したギリシャやアイルランドの財政危機にとどまらず、ポルトガルやスペインの財政不安もくすぶっています。

 

これらの問題が一夜にして改善される妙薬などあり得ないので、今年(2011年)もユーロは不安定な状態が続くでしょう。

 

米国経済が悪い場合、通常であればドルからユーロへ資金がシフトする動きが見られるのですが、現状ではユーロは怖くて買えません。

 

そのため逃げ場を失った資金は、相対的に見ればドルやユーロよりもマシな円に向かうことになります。

 

そこで昨年(2010年)は円が買われたわけですが、この図式は未だに崩れていません、

 

今年(2011年)前半は、昨年同様「消去法によって円が買われる」可能性があることを念頭に置いて取引をするべきだろう、と考えています。

 

2011113日記述)

第404回 【2011年のテーマはユーロ】

明けましておめでとうございます。

 

本年もなにとぞ宜しくお願い申し上げます。

 

昨年(2010年)は、俯瞰してみれば、ユーロ安が進行した1年でした。

 

原因はギリシャ問題に端を発したユーロ諸国の財政危機ですが、それはユーロ圏の金融機関が抱えている深刻な不良債権問題と言い換えることができます。

 

ユーロ圏の主要金融機関は相当痛んでいるのではないか?

 

そんなマーケットの不信感を払拭するために、ECB(欧州中央銀行)はストレステストを実施して、昨年(2010年)7月に結果を公表しました。

 

ストレステストでは、一部の中小金融機関が不合格になっただけで、主要金融機関は問題なしという結論でした。

 

そんな結論を誰が信じるでしょう?

 

マーケット関係者はかえって不信感を強めたのですが、ユーロ/ドルでは複雑な現象が起こりました。

 

20106月から11月にかけて、米国のQE2(追加金融緩和)を材料にしたキャリートレードが活発化してドル安が進んだために、結果的にユーロ安を打ち消す形になったのです。

 

決して、ユーロの不良債権問題(=ユーロ安)が解消されたわけではありません。

 

この問題(ユーロの不良債権問題)は、今年(2011年)に入ってからも変わっていません。

 

そうなると、ドル/円では2010年のトレンドが継続してドル安、ユーロ/ドルではユーロ安の継続によるドル高が進行することになります。

 

このようなねじれた状態は、これまでの常識で考えると違和感があるのですが、事実は事実として受け入れるしかありません。

 

2011年のテーマは、ユーロになる、と考えています。

 

それがどのような結果をもたらすのか、今年1年の相場に期待しています。

 

201116日記述)



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