
| 第387回 | 2010年10月28日 | 【目先、キャリー・トレードに暗雲】 |
| 第386回 | 2010年10月25日 | 【通貨安戦争の本質】 |
| 第385回 | 2010年10月21日 | 【G7・G20の形骸化と米国の没落】 |
| 第384回 | 2010年10月18日 | 【企業は自助努力で円高対策を】 |
| 第383回 | 2010年10月14日 | 【超低金利政策はモラル低下をもたらす】 |
| 第382回 | 2010年10月07日 | 【10月・11月の2カ月は、一年で最も重要な時】 |
| 第381回 | 2010年10月04日 | 【中国が教えた日本の生き残り策】 |
2010年10月28日(木曜日)
この9月あたりから、
『11月のFOMCで、米国の追加的な金融緩和策が決まるのではないか?』
という思惑を材料にしたキャリー・トレード(ドル・キャリー・トレード)が急拡大を続けてきました。
11月のFOMCが近づいた今、
『米国の金融緩和策の決定は市場に織り込まれつつある』
と考えています。
『実際に、米国の金融緩和策(ドルの量的緩和政策)が決まった時には、キャリー・トレードが加速するのではなく、減速する可能性があることを考慮して取引をすべきではないか?』
とも考えています。
ユーロ/ドル、ポンド/ドルでは、目先の高値を付けた後で、下落気味に推移しています。
豪ドル/円の値動きに大きな影響を与える豪ドル/米ドルも、目先急落しています。
豪ドルがさえない理由は、いくつか考えられます。
『オーストラリアのインフレ率がマーケットの予想よりも低かったこと』
(=オーストラリアのインフレ率が低ければ、豪ドルの利上げが回避される、といった思惑が働きます)
『中国が予想外の利上げを実施しました。それにより中国経済の成長が鈍化して、中国に資源を輸出しているオーストラリア経済に悪影響を与える可能性が出てきたこと』
などがあげられます。
このほかにも、豪ドル/米ドルに関しては、
『豪ドルと米ドルが等価になるパリティ(1.0000)を付けたことの調整に過ぎない』
という見方もできるのかも知れません。
どれが本当の要因なのかはわかりませんが、目先、キャリー・トレードに暗雲が立ちこめている状況に変わりはなく、キャリー・トレードに乗った取引(金利差に着目した取引)を考えているのならば、よくよく再考すべき時にきているのではないか、と考えています。
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(2010年10月28日東京時間04:40記述)
2010年10月25日(月曜日)
メディアでは、各国が競って自国通貨安政策を導入している様子を「通貨安戦争」というセンセーショナルな表現を使ってあおっています。
しかし、投資家としては、そのようなあおりに乗るべきではありません。
なぜそのような状況に陥っているのか、深層を探る努力をしてください。
「戦争」を仕掛けているのは米国です。
対中国貿易赤字が膨大に積み上がっていることから、対戦相手の中国の元安誘導を強く非難しています。
しかし、米政府高官は、為替レートを調整することで貿易赤字を解消できるとは考えていないでしょう。
米国が覇権国として強大な力を持っていた1980年代、日本は「プラザ合意」によって急激な円高を強いられましたが、『日本の貿易黒字体質+米国の貿易赤字体質』は変わらず現在も続いています。
同じように、中国元を高く誘導しても、『中国の貿易黒字体質+米国の貿易赤字体質』が変わることはないでしょう。
米国の目的は中国に中国元高(通貨高)を強いる姿勢を見せることで、米国民の不満を中国に向けることにあります。
現在の米国の不況と米国の失業率の高さは、中国元安誘導をしている中国に責任があると問題をすり替えたいのです。
中国元安が是正されて中国元高になれば中国からの輸入が減り、米国内の生産が活発になり、雇用が改善され、輸出が増える、という筋書きなのですが、現実には、為替レートの調整ではモノとカネの流れは変わらず、米国内の生産が増えればモノが余剰となり、デフレを招くことになり景気も雇用も回復しません。
一方、攻められている中国も後には引けません。
中国の国内の不平不満を共産党の一党独裁政治に向けさせないためには、高度経済成長を維持するしかなく、米国を始め他国に対して弱腰の姿勢を見せることもできません。
それが尖閣諸島問題やレアアース問題に見られる、なりふり構わぬ強硬姿勢に表れています。
それでも「プラザ合意」時代のような米国の強さがあれば、中国のわがままも抑えられたのでしょうが、米国の力の衰えによってパワーバランスが崩れたことで、誰も中国を止められなくなっています。
では日本はどうでしょう?
日本人は先進7カ国(G7)の一員である日本を先進国だと思い、日本円を米ドルやユーロに比肩する世界の主要通貨だと思っています。
とんでもない「思い上がり」です。
欧米から見た円は、元やウォンと同じアジア通貨、新興国通貨です。
円も元もウォンも、一緒くたの存在なのです。
そのため元高圧力がかかれば、円にもウォンにも同じ圧力がかかるのです。
今後米国が元高圧力をかけ続ければ円高が続くリスクも高まるでしょう。
私自身も日本は先進国だと思っているし、日本人としての誇りも持っています。
ただそのことと、欧米の見方は違うということを認識しなければなりません。
このコラムの主眼は投資家である自分が儲かるか、儲からないかです。
円を新興国通貨と表現すると不愉快に思うかも知れませんが、その真意を読み取り、内容を咀嚼して本質を見なければ、儲けることができません。
(2010年10月24日記述)
2010年10月21日(木曜日)
10月8日、主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が米国ワシントンで開催されました。
G7の形骸化が叫ばれて久しく、今回も注目すべき合意はありませんでした。
野田佳彦財務相は、
「9月に行った為替介入について日本の姿勢を各国に説明して理解を得た」
と発表しましたが、それを鵜呑みにすることはできません。
国際会議で話し合われた内容を国内向けに発表することに関しては、他の参加国は関知しないという不文律があり、日本に限らずどの国も自国民受けするような発表を行うことがあるからです。
野田財務相がどのように発表しようとも、欧米が為替介入を快く思っていないのは明白です。
変動相場制を採用している限り、相場はマーケットが決めるという大原則があるためです。
しかし、原則論を振りかざす一方で、米国も欧州も自国通貨安に誘導しているという現実もあります。
世界の距離が縮まり経済・金融の連鎖が強まる中で、日本が為替相場に単独で繰り返し介入することは難しい状況です。
また、金融政策についても、日銀はやるべき事をひととおりやっており、手詰まり感が強まっています。
為替に関しては相場を変えようとするのではなく、相場に合わせて私たちが行動するしか道はありません。
11月には韓国ソウルで、20カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)が過去最大規模で開催されます。
こちらは「船頭多くして船山に上る」状態で、過去のG20を見る限り、実効的な内容を決められない状態です。
G7の形骸化、G20の無秩序な原因をひと言で表せば米国の没落です。
25年前のレーガン大統領の時代の米国は、G5(米国、フランス、英国、西ドイツ、日本)でも圧倒的なリーダーシップを握っており、「プラザ合意」では日本と西ドイツは不利な条件を突きつけられても米国の言うことを聞かざるを得なかった。
しかし、今は米国の力が衰え、誰もリーダーシップを取れない状態です。
その中で、第2の大国として"暴れん坊"の中国が台頭し、世界を攪乱しています。
世界のパワーバランスが崩れている中で日本はどのような道を行くのか、投資家である私たちはどのように対応していくのか、しっかり考え、態度を決める時が来ている、と感じます。
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(2010年10月21日記述)
2010年10月18日(月曜日)
10月5日、日銀が追加の金融緩和策を発表しました。
日銀関係者から聞こえてくる声は、
「もう日本は十分に金融緩和策を行った」
ということ。
私も、個人的には、日銀は良くやっている、と考えています。
しかし、マーケットは評価しておらず、81円を割り込む勢いで円高が進行しています。
今のところ、今回のドル/円の安値は80円台後半ですが、いずれ80.00も割り込み、1995年に付けた歴史的なドル/円安値79.75も、時間の問題で割り込むことになる、と考えています。
この状況では、輸出企業の業績悪化が懸念され、輸出関連株が売られて株式市場は全体的に見れば、良い状況とは言えません。
マーケットの評価だけを取り上げて、日銀のやり方は手ぬるいと批判し、政府に円高対策を求めることは簡単ですが、もっと現実を見るべきでしょう。
円高が止まらないのは、マーケットが日米の金融緩和策の規模を比較して、相対的に日本の規模が小さいことから円を買っているためです。
だからといって、日本に米国並みの金融緩和策を求めることには、日米の経済規模の違いから無理があります。
ではどうすればいいのか?
日本の金融緩和策は円安方向には力が働かないという現実を見て、冷静に判断し、企業自身が円高対策をしっかりと講じるべきです。
円高が進行するたびに、為替レートと社内の想定為替レートの乖離が報道されます。
為替相場が80円を割り込もうとしているときに、未だに社内想定為替レートを90円のまま据え置いて、(あるいは、95円程度のままにして、)円高にあたふたしている大手輸出企業は珍しくありません。
社内想定為替レートが、現実の為替レートの後追いになるのはやむを得ないのでしょうが、その後の動きが余りにも鈍く、余りにも現実を見ていない、と感じます。
9月15日に日本が単独で行った円売り介入は、為替相場を82円台から85円台にまで戻す力しかありませんでした。
しかも、その後、日本の為替介入は、世界中から非難されました。
企業は政府の力をあてにせず、自助努力により円高を乗り切るしかありません。
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(2010年10月17日記述)
2010年10月14日(木曜日)
日銀は4年ぶりにゼロ金利復活を決め、同時に金融緩和に踏み切りました。
為替マーケットに与える影響に限定して考えると、日本の金融緩和の規模は米国に比べて相対的に小さいためインパクトはほとんどありません。
実際に金融緩和発表後もドル/円相場では円高が進行しています。
一方で、
『金融緩和策は社会的なモラルの低下をもたらす』
と私は考えています。
金融緩和を行うと市場にはじゃぶじゃぶのお金が放出されます。
このお金が、本来の目的である企業の設備投資や雇用対策に回れば、経済が活性化され、失業率が減り、社会全体も明るさを取り戻すのでしょう。
しかし現実は違います。
長期的に見れば一部のお金は設備投資や雇用対策に回るのかも知れませんが、短期的には目先儲かりそうな投資先に向かおうとします。
金利がゼロのお金であっても、『ただのお金』はありません。
お金を調達するには、さまざまなコストがかかっているはずなので、手っ取り早く利益を得ようとする姿勢を、批判することはできないし、誰かが止めることもできません。
その結果起こることは、社会的なモラルの低下です。
金融緩和が行われても懸命に働いている労働者の給料は上がらず、雇用不安は解消されず、失業者にとっては仕事が見つからない状況が続きます。
それなのに、じゃぶじゃぶのお金を手にした者は、それをころがして大きな利益を手にしている。
そんな社会に対する怨嗟の声が聞こえてくるような気がしてなりません。
日本では過去20年程度にわたって超低金利政策がだらだらと続いています。
その間に、さまざまな象徴的な事件が起こりましたが、モラルの低下に起因する面も大きいのではないでしょうか?
金融緩和政策、超低金利政策が日本社会に与える悪影響は極めて大きいと、個人的には考えています。(残念に思っています・・・)
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(2010年10月14日記述)
2010年10月07日(木曜日)
日本では、一般に、4月から始まった2010年度は9月で中間決算を迎え、10月から新しい期に入っています。
しかし、一方で、外国為替市場では、クリスマス休暇を前にした10月・11月は、ラスト・スパートを決める2カ月として重要視されています。
欧米では、カレンダー通りに1月がスタートになるので、12月のゴールに向けて10月・11月は仕上げための重要な2カ月という位置づけです。
外国為替の世界では、12月はクリスマス相場となって休みも同然なため、勝負どころは10月・11月しかありません。
そのような重要な時期に差し掛かっているにもかかわらず、ドル/円相場に関していえば
微妙な水準で推移しており難しい相場付きが続いています。
例えば、中国絡みの尖閣諸島問題やレアアース禁輸問題は円売り(円安)要因のはずなのに、マーケットは教科書通りの反応を見せません。
円売り要因があるのにドル/円相場が円安に向かわないのは、ここでも中国が絡んでいるからでしょう。
経済成長を遂げている中国には大量のドルが集まり外貨準備が膨張しています。
ドルが安くなることは外貨準備が目減りすることを意味するので、リスク分散のためにかなりの資金を円にシフトしているはずです。
だから、中国はドル売り円買いを実施していると考えられます。
そういった需給があるので、ドル/円相場が円売り材料に素直に反応しないのだろう、と考えています。
マーケットが材料に素直に反応しない裏側には、何かの理由が必ずあります。
そこで、この重要な2カ月間は、ニュースや事象が相場に与える影響を衆愚の過剰な反応に踊らされずに、適確に読み取ってポジションを取らなければなりません。
的確な判断をする自信が無くても、判断する努力を続けることが大切です。
そうしていれば、やがて半歩でも前に進めるようになる、と信じて日々を過ごしています。
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(2010年10月7日記述)
2010年10月04日(月曜日)
大規模な為替介入から半月が過ぎて、為替相場は再び円高に向かっています。
しかし、今のメディアの関心は為替ではなく、中国人船長釈放でもぎくしゃくする日中関係、大阪地検による証拠改ざん事件、ロシア大統領による北方領土訪問計画などの重大問題に移っています。
日中関係に話を絞れば、中国は揺さぶり策としてレアアース(希土類)の禁輸というカードを切り、日本企業を青ざめさせました。
想像ですが、企業側から日本政府に対して早急に打開策を打ち出して欲しいといった強い働きかけがあったのでしょう。
その直後に船長釈放が発表されました。
この日本政府の対応から、世界で生産されるレアアースの9割のシェアを握る中国政府は、レアアースが外交カードとして強い力を持つことを知りました。
その一方で、中国人民は政府の巧みな情報操作もあって、日本に対して(日本人から見れば)過剰な反応を示しています。
その背景には、レアアースの関連で言えば、安い人件費の中国人を使い、環境破壊にも似た方法で掘削したレアアースを使用した製品で利益を上げている日本人に対するねたみがあるのでしょう。
中国の過剰反応は、日本人から見れば異常だし不愉快だしバカげているとしか思えず、国内の反応は冷めたものですが、今後のことを考えると放置するわけにもいきません。
結論としては
「日本企業はより高い技術を開発して高価格でも売れる製品を作るしかない」
ということです。
レアアースの禁輸で困るのなら代替物の開発を急ぐ。
為替相場が円高に向かうと損失が発生するから為替介入して欲しい――ではなく、現状の為替水準に併せて価格改定(値上げ)しても世界が欲しがる製品を作るということです。
日本が生き残る道は、それしかない、と考えます。
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(2010年10月03日記述)