第380回 用語解説【なんちゃって介入】

【なんちゃって介入】
http://smatt.hp.infoseek.co.jp/sub021na.htm#nanchatte_kainyuu


例えば、ドル円レートが下落基調で、当局筋(財務省や日銀など)が、それを気にしていたり、不快に思っている旨の発言が繰り返されている場合、また、暗に『介入』を示唆するような発言が繰り返されている場合、マーケット参加者は、『介入警戒感』を強く持つようになる。
――― 当然、この場合は、当局の『ドル買い円売り介入』に対する『警戒感』―――

こういった諸条件がそろった際に、「介入指定行」と目される大手邦銀や大手外銀が、インターバンク取引(銀行間取引)で、あたかも当局の『介入』があったかのごとく、激しくドルを買ったりすると、

「うわっ、! 『介入』だ!」

「『介入』かも知れない!」

と勘違いして、他の市場参加者があわててドルを買ったりする。

しかし、本当は『介入』ではなくて、そういった【バカ買い】をした「介入指定行」と目される大手邦銀や大手外銀の【ドル買いの仕掛け】であって、あわてた市場参加者がドルを買う時には、その仕掛けた銀行は、『利食い』のドル売りを行っていたりする。

あるいは、本当は、ドルを売りたいのだけれど、少しでも良いコストでドルを売ろう判断して、【『介入』をよそおった大量のドル買い】を仕掛けることもある。

この場合は、仕掛けで、ドル円レートが浮き上がったところで、買った以上に大量のドルを売り浴びせることになる。

瞬間的に、激しい売買が行われるが、本当は『介入』ではないので、長続きしない。

仕掛けた銀行からすれば、
「『介入』!なーんちゃって・・・」
といったところだろう。

それで、こういった行為を、隠語(スラング)で、【なんちゃって介入】という。

こういったことを聞くと、【なんちゃって介入】を行うと、いかにも利益が出そう(儲かりそう)に思うだろうが、実際に、仕掛けてみると、売ろうと思ったところで、充分なアマウント(金額)をさばけずに、自身がドル買いでつかまってしまったり、【なんちゃって介入】であることを見透かされて、誰もついて来ないために、ドル買いを仕掛けても、思ったほどドルが上昇しないといったこともよくある。
――― 要するに、自分の買ったぶんだけしか、価格が上昇しない ―――

そうなると、「買ったドルの値段(アベレージ・コスト)」よりも、その後で「売ったドルの値段(アベレージ・コスト)」の方が低いために、そのドル売りが自動的にロス・カット(損切り)になる。
――― 要するに、仕掛けても『大損』になってしまう。アマウントを大量に行っているから、必ず『大損』になる。―――

そういったこともよくあるので、仕掛ける側も、マーケットの状況を真剣に読んだ心理戦だ。

外部から見ているだけでは、うまくいったのか、本当は大損したのか、絶対にわからない。

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第379回 【日本の為替介入】---介入はしない方が良い---

メディアでは尖閣諸島をめぐる日中問題、検察の証拠改ざん問題、日中首脳会談が見送られた国連総会など、さまざまな重要課題がクローズアップされていて、為替相場や日本の為替介入についての報道が薄らいだ感があります。

もちろんそれらは、現時点では為替相場の動向よりもより重要な課題なので、メディアの反応も理解できます。

しかし報道が薄らいだからといって、単独介入という手段を用いた日本に対する欧米諸国の反応が和らいだわけではなく、相変わらず冷ややな目で見られています。

為替相場や世界情勢に無頓着な人は、円高は輸出企業に打撃を与えるので介入は正しい行為だったと短絡的に考えがちですが、変動相場制を採用している以上、為替相場はマーケットの実勢に任せるべきであり、国家が介入によって需給をねじ曲げ意図的に為替レートを恣意的に誘導すべきではありません。

もちろん有事の際に国家が介入したりサポートすることまでは否定しませんが、その場合には世界を納得させるだけの大義名分が必要です。

でも1ドル=82円という水準は有事ではないし、輸出企業が苦しんでいるという理由では世界は納得しません。

そもそも輸出企業が儲からないから為替レートを円安に誘導するという発想が本末転倒であり、本来は、企業が為替レートに合わせた戦略を採るべきなのです。

それでも、国家的見地から円安誘導が必要であれば、金融政策で誘導するべきでしょう。
つまり、金融緩和を行うべきです。

これ以上金利を下げることができないのなら、米国と同じように量的緩和を検討すべきで、それもできないというのであれば、為替は市場実勢に任せるしかありません。

これまで介入批判を浴びていたのは、恒常的に為替操作をして中国元安方向に誘導している中国でしたが、今回の介入によって日本も中国と同じ立場に立たされました。

それどころか、中国は日本の介入に乗じて中国元相場をわずかに元高方向へ誘導して、操作などしていないとアピールし、世界の批判を日本に向けさせようとしています。

中国にまで「はしご」を外された日本には、先進国としての誇りはないのでしょうか?

第378回 【為替介入後の展開を注視】

9月15日(水)に2004年3月以来6年半ぶりの為替介入が行われ、ドル/円相場は82円台から85円台にまで急上昇しました。

相場が85円台に落ち着いた9月16日(木)以降は介入が行われていないようです。

しかし、この先85円台後半から86円台程度の高い水準から介入を行ってさらに上の水準へ誘導するつもりなのか、注視しているところです。
(今のところ、そういった動きは無いようですが・・・)

「欧米には理解を求める行動をとっている」という仙谷由人官房長官や野田佳彦財務相の発言から推測すると、今回の介入は欧米に事前に断りを入れたようです。

しかし、欧米の協力を得ることができずに、協調介入ではなく単独介入となりましたが、断りを入れたことで米国政府も欧州中央銀行も具体的なコメントを避けて静かな状態が続いています。

ただ気になるのは仙谷官房長官が「82円が防衛ライン」という手の内を明かすような発言をしたことです。

過去に単独介入を行ったことによりトレンドが転換したケースはありません。

介入はあくまでも時間稼ぎに過ぎず、いずれ相場は下がってくる、と考えます。

「82円が防衛ライン」だとすると、84円台、83円台は放置するのかといった疑問が浮かびます。

そして82円台を割り込むような展開になれば、投機筋が一斉に売ってくることが想像できます。

その時、日本政府はどのような対応策を取るつもりなのか......。

今回(9月15日)の介入は、技術的には上手かったと思います。

今は、介入効果がいつまで持続するのか、その後は、どう対応していくのか、注意深く様子を見たいと考えています。

(2010年9月21日記述)

第377回 実際に、「介入」が行われました

昨日(9月15日)、実際に、「介入」が行われました。

「介入期待感」が先行していたので、介入を期待していた人たちには、待望の伝家の宝刀が実施された、と考えます。

しかし、最終的には、「介入」の効果は限定的になるだろう、と考えます。

「介入」は、目先の値動きを大きく上下動させますが、根本的な流れを変えることはありません。

「介入」では、根本的な流れを変えることができない、と考えるのは、
『過去がそうであったのだから、これからもそうだ』
と、考えるからです。

だから、介入で、ドル/円が上昇する場合は、その上昇したところで売った方が良い、と考えています。


なお、民主党の代表選は、菅首相の続投となりましたが、基本的に、日本の政治は、外国為替相場の材料にはならない、と考えます。

一方、米国経済は、引き続き、金融緩和策を採らざるを得ない状況が続いている、と考えます。

米国経済が、回復する兆しは、さほど見えないのだから、無理やりに回復の兆しを探すのではなく、実際に、米国経済が良くなって、経済指標にも回復傾向が現れてから、『米国の出口戦略』について語れば良い、と考えます。

今年(2010年)の後半に、米国経済が良くなる保証は、まったくありません。

失業率が、9%台でウロウロしている状況では、米国経済は、まったくダメな状態です。

ドル金利が引き上げになる理由は、今のところ、まったく見当たりません。

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(2010年09月16日東京時間08:00記述)

第376回 【ドル/円には、80円までのゾーンに地雷が埋まっている】

9月8日の東京外国為替市場の円相場は8月に付けた83円台後半を更新し、83円台前半まで続伸しました。

新値を更新したことでドル/円に関して言えば、『ドル安円高トレンド』が継続していることが確認できました。

新値を更新したことでマーケットでは政府や日銀が円高対策を打つのではないかという為替介入期待感が高まっています。

同時並行して買い持ちの玉がじわりじわりと溜まっています。

この買い持ちの玉が政府の円高対策に失望すると投げに回り、売り圧力になります。

逆に期待通り介入が行われて2、3円跳ね上がった場合は、買い持ちの玉が利食いの売りに回って上昇の頭を抑えます。

失望も利食いもしない状態ではじわじわ買い玉が溜まり続けて反発が弱まり、ドル/円相場は「自律下落」に陥ります。

今回の自律下落で警戒しなければならないことは、(新値のため)1995年まで遡らなければチャート・ポイントが見あたらないことです。

とはいえ現実には15年前からマーケットに参加している参加者はごく少数なので、ほとんど誰も値覚えしていないでしょう。

つまり95年のチャート・ポイントは参考にならないということです。

現時点ではっきりしていることは、強力な「地雷」が歴史的最安値の79円75銭と心理的な抵抗線になり得る80円ちょうどに埋まっていること。

これを踏めば円高の流れは一気に加速するでしょう。

ただ過去の経験からその手前の80円から83円のゾーンの中にも、83円、84円を買った人が耐えきれないという「地雷」が埋まっているはずです。

それがどこかは正直なところわかりません。

漠然と82円50銭、81円50銭あたりだろうと思っているのですが......。

(2010年9月12日記述)

第374回 【9月は、「頑張る月」】

いよいよ『夏休み相場』が終わって、通常通りの9月相場が始まっています。

先週末(9月3日金曜日)は、米失業率(雇用統計)の発表日でした。

米失業率(雇用統計)の発表当日の東京市場、ロンドン市場は穏やかな値動きになることが多く、世界中が発表後のスタートに向けて態勢を整えている状態であることが多いのですが、先週末の金曜日も、そういった典型的な値動きでした。

マーケットは発表された失業率を予想値と比較して判断しますが、現在の米国経済の状況を見れば、多少予想より改善していたとしても、米国経済が悪いことに変わりはありません。

だから、事前に思索していたのですが、万が一発表された米失業率(雇用統計)が予想値よりも良くてドル/円が買われて上昇するようなら、そこは絶好の「売り場」になるだろう、と考えていました。
逆に悪くてドル/円が下落するようなら「売り場探し」になります。

結果的には、発表された米雇用統計は、事前予想よりも良かったので、ドル/円は、いったん上昇しました。
事前に想像していたパターンで動いた、と考えます。

現在の、この円高水準から売っていくのは勇気が必要でしょうが、売り場では売るべきであって、その時の絶対値を気にするべきではありません。

ではユーロ/ドルの場合は、先週末の米失業率(雇用統計)で、若干の「ユーロ買いドル売り」になっていますが、これで良いのでしょうか?

『現実にはユーロ/ドルは上がりにくいのではないか?』と考えています。
欧州経済は米国経済以上に深刻な状況だと判断しているからです。

欧州の金融機関の保有している不良債権(不良資産)は、7月に実施されたストレステストでも、その実態が明らかにされませんでした。
だから、大量の不良債権(不良資産)が、欧州の金融機関に残っています。

だから、この米失業率(雇用統計)の結果に対して、ユーロ/ドルがどのように動くことが理に適っているのか、整合性のある答えは見つかっていないように思います。

欧州の隠蔽体質がこのような状態を招いており、ユーロに関してはこれからユーロ安を理由付けるニュースが出てくるのかもしれません。

とにかく失業率も含めて米経済指標にユーロ/ドルが反応しないかもしれないことに注意しながら、真剣に9月相場に臨んでください。

そして売る時は売るという強い気持ちを持たないと、相場について行けなくなることにも留意してください。

(2010年9月6日東京時間09:00記述)

第373回 【絶対値を気にしない勇気を持とう】

今年の『夏休み相場』が明けました。

今週の月曜日(8月30日)がロンドン市場の休場(レイト・サマー・ホリデー)で、この日が『夏休み相場』の終わりです。

欧米の市場参加者は、夏休みを終えて、戻ってきました。


夏休みの間に円高が急激に進んだことで、
「ドル/円は売れない」
という気持ちになっている投資家も少なくないでしょう。

その気持ちはわかりますが、円高トレンドである以上は売らなければ勝てません。

夏休み前の値段とは様変わりしていますが、絶対値を気にする必要はありません。

新値を怖がっていては、相場はできません。

相場とは「売り」と「買い」のワンペアを作ること。
(もちろん、「買い」と「売り」のワンペアでもOKです。)

もし安いところで売ったとしても、より一層安いところで買い戻すことができれば、『勝ちのワンペア』の完成で利益を得ることができます。

「でも、大底で売ったら勝てないじゃないか」
という疑問には、
「大底と確認できたのなら、ひっくり返せば良いだけ」
と答えます。

明日の9月3日(金)には最重要指標である米雇用統計が発表されます。

これを見てから秋口の相場の指針を決める投資家も多いので、いきなり全開で取引せずに雇用統計発表まで待つという手もあります。

相場は逃げないのだから、慌てる必要ありません。

そんなふうに落ち着いて取引しても判断を誤ることがあります。

その時は勇気を持って損切りをして次の相場に向かえばいいのです。

ただし無謀な行為は慎むべき。

勇気を持って相場と向き合うことと、理性を失って蛮勇を振るうことは、まったく異なる行為です。

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(2010年9月2日記述)



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