第347回 【米中二極化が「人民元切り上げ」を遠のかせる】

米国のガイドナー財務長官、クリントン国務長官が相次いで中国を訪問し、世界が注視する中、両国高官による会談が行われました。

テーマは多岐にわたったようですが、外国為替市場に直接関係するテーマとしては「人民元の切り上げ時期」が焦点となりました。

結論から言えば、早急の切り上げを要求していた米国が折れて、人民元の切り上げ時期は先送りされることになったということです。

自国産業の輸出を増やしたい米国は、「中国元切り上げによるドル安誘導」を目論んでいました。

しかし世界景気が腰折れ状態となった今、景気の牽引車として期待できる国は中国しかありません。

もし人民元切り上げにより中国の景気が陰るようなことになれば、自らの首を絞めてしまいます。

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米中会談の行方を世界が注視するということは、世界政治の舞台で力関係が変化したと言うことです。

かつて西側諸国では米国が圧倒的な力を誇っていました。

西側諸国の覇者は米国だったのです。

円やマルクの切り上げが決まった1985年のプラザ合意では、日本も西ドイツも米国の意のままに動きました。

その後、東側諸国の覇権国であったソ連の崩壊によって、東西の区切りが無くなり、米国の独裁時代がしばらく続きました。

世界の覇権国は、米国一国の時代です。

ところが今は違います。

米国の力が衰え、ソ連の代わりに中国が台頭し、米中の二極が世界政治に影響を与えるようになりました。

米国独裁時代はさまざまな矛盾が蓄積され露呈もしましたが、世界は安定していました。

覇権国が単独の場合は、矛盾があっても、それを是正できないのが普通です。

誰も、覇者に、もの申す事ができないからです。

その代わりに、誰も文句を言わないから、それまでの体制が維持されます。


中国の台頭で、今のような二極化の時代になると、大国同士がけん制し合って独善的な動きを封じ込めているという点では良いのですが、北朝鮮問題を見てもわかるように地政学的リスクが高まりつつあります。

安定的で無くなった証左です。

また身近な例では(日本にどういった影響が出ているか、では)、沖縄の普天間基地移設問題が挙げられます。

当初、鳩山政権は米軍基地の県外や国外移転を目指しました。

最後は腰砕けになって再び沖縄の人々に負担を強いようとしていますが、それでも米国が圧倒的な力を誇っていた20年前なら、日本政府は米国にもの申すことすらできず、いいなりになるしかなかったでしょう。

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※私は、政治的にはニュートラルであり、鳩山政権(民主党政権)を非難しているのではありません。

単なる事実を見つめているだけです。

自民党政権ならば、無条件に、米国の言いなりだっただろう、と考えると、自民党よりは、ましだ、と考えます。

政治的に、どうこうと言うのではなく、マーケット(相場)を読むのに、必要だから、思索するのです。

政党はどこでも良いから、『良い政治』をしてくれれば、それで良い、と考えています。

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話をもとに戻します。

これから先も米国の力・指導力は落ち続け、復活することはもう無いでしょう。

ローマが滅びたように、スペインが、イギリスが、かつての覇者であったように、米国の覇権は、いずれ他者に移っていきます。

しかし、ここでは二極分散の是非を論じているのではありません。

ただ単に、これからの投資家は二極化時代を見据えて冷静に情勢を判断する必要があると言うことをお伝えしたいのです。

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(2010年05月31日記述)

第346回 【ドル/円の値動きは、今後のユーロ/円やクロス円の動向次第】

ドル/円自体には、主体性が無く、ユーロ/円やクロス円の値動きに引きずられて、ドル/円が上下している印象が強い。

つまり、ユーロ/円やクロス円が上昇する際には、ドル/円も上昇し、ユーロ/円やクロス円が下落する際には、ドル/円も下落している。

マーケット(金融市場全般)に、リスク意識が高まると、避難通貨として円が買われ、リスクに対して、意識が緩和すると、円が売られている(避難する必要が無くなる)、といった印象だ。

目先は、この情勢が続きそうなので、ドル/円の値動きは、今後のユーロ/円やクロス円の動向次第だ、と考えています。

ただし、今後のユーロ/円やクロス円は、「さらなる円高」と考えています。

だから、ドル/円は、目先、上値が重い展開が続く、と考えています。


視点を変えて、「中国元(人民元)の切り上げ問題」に関して。

中国元(人民元)の切り上げが、近い将来にある、と考えていましたが、ユーロの大幅な下落の影響で、中国元(人民元)の切り上げの時期が、先送りされる可能性が高くなったようです。

今週の月曜、火曜(5月24日から25日)に、『米中戦略・経済対話』で、クリントン米国務長官、ガイトナー米財務長官が訪中していました。

この会談で、上述の内容が漏れ聞こえています。

しかし、その時期が先送りされようとも、中国元(人民元)の切り上げは、必ず実施されることであり、中国元(人民元)の切り上げ圧力は、市場(外国為替市場)に存在し続けます。

中国元(人民元)の切り上げは、『ドル売り円買い』の材料と考えます。

中国元(人民元)の切り上げに伴う『ドル売り円買い』の圧力も、また、市場(外国為替市場)に存在し続ける、ということです。

第345回 【欧州投資への失敗は、投資家の「不勉強」に責任が残る】

東京市場がゴールデン・ウィーク休暇に入ったあたりから外国為替相場が急変し、大相場となっています。

短時間にこれほど値段が動くものなのかと、呆然としている投資家も少なくないと思います。

確かに、私も「相場の動きが速い」という印象を持っていますが、異常なほど速いというわけではありません。

この程度の大相場は良くあることと冷静に受け止めてください。

今回の大相場では、負けた投資家から「怨嗟の声」を聞くことがあります。

欧州各国政府高官、欧州中央銀行首脳のコメントを鵜呑みにして、欧州に投資して「だまされた」と言うのです。

でもそれは違います。

あえて厳しい表現を使えば「だまされた」と思う投資家のほうが不勉強なのです。

なぜなら、彼らは立場上、本当のことが言えません。

もっと言えば、都合の悪いことはウソをついて隠すしかないのです。

例えば、ギリシャの財政再建見通しを聞かれたパパンドレウ首相は「早期に再建できる」としか答えられません。

「いつ再建できるかわからない」とか「再建は無理です」とは口が裂けても言えません。

だから、その言葉を鵜呑みにした誰か(投資家)が、欧州に投資して大損しても、彼ら(欧州各国政府高官、欧州中央銀行首脳)には責任がありません。

彼ら(欧州各国政府高官、欧州中央銀行首脳)の発言の真意を読むことができずに、誤った投資判断を下した投資家自身のほうに「不勉強」という責任が残るのです。

負けて悔しければ、今回のことを教訓として、勉強して勝つ努力をするしかありません。

それでも才能が無ければ、なかなか勝てないでしょう。

そんな厳しい世界には向いていないと思うのなら、投資をやめるべきです。

やめれば損失を被ることはありません。

大きな利益を得ることができるということは(=その可能性があるということは)、その代わりに、大切なお金を失うかもしれない、という厳しいバーターの条件が伴います。

相場の世界は、そういった厳しい特殊な(特別な)世界なのです。

通常の世界では、ウソを吐くことは、間違った行為でしょう。

しかし、今回のようなケースでは、本心では(心の中では)ギリシャの再建が難しいと考えている欧州各国政府高官、欧州中央銀行首脳でも、本当のことを言う訳にはいかないし、かつまた、彼らがウソをついても許されるのです。

相場の世界で生き残るには、『彼ら(欧州各国政府高官、欧州中央銀行首脳)のウソを見抜き、それをどのように利用して、最終的な利益に結びつけるのか?』を考える必要があります。

シニカルに聞こえるかも知れませんが、実は皮肉でも何でもなく、それが相場に対する正しい姿勢だと考えています。(そうしなければ、生き残れないことになります。)

(2010年5月23日記述)

第344回 【豪ドル(AUD)での「ドル・キャリー・トレード」のアンワインド(解消)】

ゴールデン・ウィークの最中、そして、ゴールデン・ウィークが明けてから、激しいユーロ売りが続いた。

それが原因で(その影響で)、連れて「豪ドル売り」が出始めた。

ユーロ/ドルと豪ドル/米ドルの値動きは、だいたい同じ方向に連動します。

ユーロ/ドルの大幅な下落が原因で、豪ドル/米ドルも連れて下落した、と考えています。

その結果、豪ドル/円も大きく下落しました。

ただ、振幅が激しく、乱高下と言ってもよい状況が続いています。

ポジションを小さくして、値幅で稼ぐスタイルにしないと、大きく儲かったのだが、大きく損もして、最終結果は、たいしたことがない、ということになりがちです。

場合によっては、せっかく大きく儲けたのに、それ以上に大損をして、結果マイナスとなる場合もあり得ます。

ポジションを手仕舞ったならば、勝ち逃げに徹することも重要です。

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このところのユーロ/ドルは、ご覧の通りに、急落していますが、総じて見れば、昨年(2009年)のユーロ/ドルは、上昇していた、と言えます。

2009年のユーロ/ドルの大きな上昇は、「ドル・キャリー・トレード」が、主な原因(材料・要因)だった、と考えています。

※「キャリー・トレード」は、金利差を狙った取引。金利の安い通貨を売って金利の高い通貨を買い、いわゆるスワップ金利を稼ごうとする取引。

同様に、2009年の豪ドル/米ドルの大きな上昇も、「ドル・キャリー・トレード」が、主な原因(材料・要因)だ、と考えます。

ユーロ(EUR)は、ギリシャ問題をきっかけに、「ドル・キャリー・トレード」の解消(アンワインド)が起こっています。

そのために、ユーロ/ドルは、2009年12月以降、大きく下落しています。

ところが、豪ドル(AUD)に関しては、「ドル・キャリー・トレード」の解消(アンワインド)が、まだ起こっていない状況だった、と考えます。

豪ドルの金利引き上げもあり、ユーロ(EUR)で「ドル・キャリー・トレード」を行ってきた市場参加者が、豪ドル(AUD)での「ドル・キャリー・トレード」に、乗り換えた節があります。

今後、近い将来に、豪ドル(AUD)に関しても、「ドル・キャリー・トレード」の解消(アンワインド)が、起こるだろう、と考えていたのですが、『いよいよ、それが、今週始まったのではないか?』と、考えています。

豪ドル(AUD)の「ドル・キャリー・トレード」の解消(アンワインド)が始まったのならば、ゴールデン・ウィークのころからの、このところの豪ドル/米ドル、豪ドル/円の下落は、まだ始まったばかりです。

すでに大きく下落した印象もあるのでしょうが、豪ドル(AUD)の「ドル・キャリー・トレード」の解消(アンワインド)が始まったのならば、こんな程度の下落では済まないはずです。

気を付けて取引をしないと危険です。
値ごろ感で、安易に豪ドル(AUD)のロング(買い持ち)を持つことが、一番危険だ、と考えています。

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(2010年05月20日東京時間09:15記述)

第343回 【地に墜ちた欧州中央銀行(ECB)】

ECB(欧州中央銀行)は、「死に体」のギリシャを破たんさせまいと躍起になっています。

それは、ギリシャの破たんを食い止めることが、ユーロ通貨システムや欧州経済を守ることになるという大所高所からの判断でしょう。

またECBはギリシャ救済の姿勢を明確に示すことで、市場参加者の心理的不安が和らぎ、市場の安定につながると考えているようです。

しかし結論から言えばダメなものはダメです。

市場参加者の一人として率直な感想を言えば、ギリシャ問題に対するトリシェECB総裁の行動には幻滅しました。

トリシェ総裁のやっていることは、投資家にECBの間違った判断を押しつけているだけです。


FRB(米連邦準備制度理事会)のグリーンスパン前議長に対する評価は、サブプライムローン問題を境にして真逆になりましたが、彼は彼自身が正しいと思うことを貫いたと思います。

結果としてサブプライムローン問題が起こり、株価の暴落を引き起こしてしまいましたが、それは議長が誰であっても予測することはできなかったでしょう。

グリーンスパン前議長の後を引き継いだバーナンキ議長は、サブプライム問題処理のために金融の常識に反したことをやってしまいました。

具体的には、国民の税金で大手金融機関や大企業を救済して、中小規模の金融機関や企業を見放したということです。

非常識な行動とわかっていながらも、国策に従わざるを得なかったのでしょう。

内心忸怩たるものがあったかもしれません。

だからといって彼の行動は正当化できるものではありません。

これまでECBは欧州各国政府の思惑に左右されずに、金融の常識に則った政策を実行してきました。

それは、ECBがドイツの中央銀行であるブンデスバンクの「政府からの独立」という伝統を引き継いでいたからです。

ブンデスバンクには、マーケット参加者が畏怖したほどの威厳と矜持がありました。

ところがギリシャ問題で見せたトリシェ総裁の判断は、冒頭に書いたようにデタラメと言えるほどでした。

例えば、金融機関が中央銀行から資金を借り入れる際に国債を担保として預けますが、その担保には一定の格付けが要求されます。

ところが、今回の格付けの引き下げで、ギリシャ国債は一定の格付けに達していないことになりました。

それにもかかわらず、担保として受け入れる、とルールを変更しました。

これまで頑なに守ってきたルールはなんだったのでしょう?

「地に墜ちた中央銀行」としか形容のしようがありません。

ECBもFRBも地に墜ちた今、まともな中央銀行は「何もしない中央銀行」と揶揄される日本銀行です。

景気を回復させる知恵も力もありませんが、皮肉なことに、何もしないが故に間違ったことはしていないからです。

(2010年05月16日東京時間22:30記述)

第342回 【ギリシャ問題は、いまだに解決策が示されていない】

---ギリシャへの緊急融資は解決策ではなく、問題の先送りに過ぎない---


ギリシャの財政危機が表面化して以来、ユーロの下落が止まりません。

ゴールデン・ウィークの週が明けた5月10日(月)のユーロ/ドルは、チャートで見れば、「窓(Gap)」を開けて、跳ね上がった水準で取引が始まりました。

しかし、ユーロ/ドルの値動きを、全体に俯瞰すれば、昨年(2009年)12月の1.51台ミドルから、現在(2010年5月13日)の1.3000を割り込んだ水準に至るまで、短時間で、大きく下落している、と断定できます。

週明けの5月10日(月)のことだけに限らず、昨年(2009年)12月の高値1.51台ミドルから現在までの下落過程で、一時的にユーロ/ドルが反発する場面がありましたが、全体的に見れば、ユーロ/ドルは、下落トレンドの中にあります。

欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)が合意した緊急融資制度の創設といった救済策は講じられつつありますが、根本的な矛盾が解決されていません。

欧州単一通貨のユーロは1999年1月に導入され、2002年1月からユーロ参加国内でユーロ貨幣の流通が始まりました。

当初は懐疑的な見方が多かったのですが、実際にユーロという通貨が、流通し始めると、欧州経済が好調だったこともあって大きな障害もなく浸透していきました。

しかし、そもそも、国力が大きく異なる国々が一体となって、もっとはっきり言えば、ドイツという経済大国に弱小国がおんぶに抱っこの状態で、単一通貨使うことには無理があり、年々矛盾が蓄積されていきました。

それが世界同時不況をきっかけに、ギリシャという弱い国から噴出したというわけです。


今回の問題を手っ取り早く解決するには、ギリシャをユーロ体制から切り離すことです。

しかし、それは、欧州全体で経済発展を目指すというユーロ導入の理念を揺るがすことであり、旗振り役となったドイツやフランスには面子もあって、ギリシャを体制内にとどめて置くのでしょう。

それは、ギリシャ国民に大きな負担を強いることになります。

緊急融資を受けるためには緊縮財政措置の導入が不可欠で、国民は職を失ったり、賃金カットを甘受しなければなりません。

それは到底受け入れられる話ではなく、ギリシャ国内ではデモが頻発し死者まで出ています。

その一方で、国民は負担に耐えながら懸命に働いて、自分たちの力で財政赤字を埋めていくしか生き残る方法はないこと、同時に、それは、不可能であることを薄々理解しているのだと思います。

ではどうすれば事態を解決できるのでしょう?

EU首脳は完璧な答えを持っていないでしょう。

もちろん私にも解決策を提示することはできません。

ただマーケットに参加している投資家としての私の答えは持っています。

「ユーロを売る」です。

マーケットに参加する目的は、経済的な利益を追求することであり、それぞれの通貨を正当に評価して利益を得ることこそが「正義」です。

「ユーロを売る」ということは、間違った政策を採ったEUを、正当に評価したことになる、と考えています。

もちろん、場当たり的な政策や、ニュースで、場合によっては、「外国為替市場への介入」も含めて、予想外のことが、今後も、突然に出てくる可能性は、大いにあります。

※欧州各国は、「債券市場への介入」は実施しましたが、今のところ、欧州中銀(ECB)は、
「外国為替市場への介入」は行っていません。

だから、何が起こるか分からないのだから、そういった突発的な出来事にも対応しながら、臨機応変が望まれるのは、言うまでもありません。

しかし、このところ欧州中銀(ECB)から発表される政策やコメント、欧州各国の首脳や高官からのコメントは、それまでのルールを捻じ曲げるものであったり、その場を取り繕うだけのもので、根本的な問題解決への方法を示していません。

例えば、格付けの低い国債は、中央銀行からの資金借り入れの担保にならないのですが、ギリシャ国債は、例外とする、ということは、それまでのルールを捻じ曲げています。

欧州各国が、ギリシャに資金を貸し出すということは、ギリシャが破綻しないように、時間稼ぎをしているだけで、問題解決ではありません。

問題を解決するための方法は、まだ、示されていません。

ギリシャが増税をしても、公務員の賃金カットをしても、その程度では、「焼け石に水」なのかも知れません。

ギリシャの国民が一生懸命に働いたとしても、それで、各国からの借金を返済できるのだろうか?

はなはだ疑問です。

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(2010年05月13日東京時間02:15記述)

第341回 コラム(1):【ゴールデン・ウィーク】/ コラム(2):【やはり荒れたGW相場】

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コラム(1):【ゴールデン・ウィーク】
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『今年も』ゴールデン・ウィークは、とんでもない相場になった、と思っています。

『市場参加者の少ないときには、とっぴな値動きになる可能性がある。』

それは、過去に、何度も記述したし、いろいろなところで、いつもお伝えしている。

5月6日(木)にしても、5月7日(金)にしても、今年(2010年)のゴールデン・ウィークの期間に含まれる。

ゴールデン・ウィークは、市場参加者が、平常時よりも、極端に少ない。

市場参加者が極端に少ないゴールデン・ウィーク、夏休み、クリスマス・シーズンは、今週のような、とっぴな相場が起こりやすい。

しかし、とっぴな相場が起こるか、起こらないかは、事前には、誰にもわからない。

だから、とっぴな相場で負けるくらいなら、休んだ方が良い、と、毎年、考えています。

来年も、
『ゴールデン・ウィークに休暇を取る人は、相場をやらないで、休むことに集中したほうが良い。
相場をやるならば、他の人がゴールデン・ウィークであっても、休みを返上して、フル体制で、真剣に相場に臨むべきだ。』
と、言うつもりです。
(2010年05月10日記述)


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コラム(2):【やはり荒れたGW相場】
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ちょっとだけ見方を変えて、カレンダー通りに見るならば、5月6日(木)は、ゴールデンウィーク(GW)が明けて市場は活気を取り戻しました。

相場は相当な荒れ模様で、GW前とは様変わりしています。

しかしGW前の相場水準とGW後の相場水準に大きなギャップが生じることは過去に何度もあったことで、例外的なことでも珍しいことでもありません。

今年のGWはユーロ絡みの「大事件」が起こりました。

メディアは緊縮財政に反対したギリシャ国民の暴動のほうを大きく取り上げていましたが、ユーロ相場に大きな影響を与えたのは、格付け会社のスタンダード&プアーズ(S&P)がギリシャのソブリン格付けを3段階引き下げて投機的等級となる「BBプラス」としたことです。

この措置によってユーロ/ドルの絶対水準が大きく変化してしまいました。

しかし決して想定外の出来事ではありません。

GW期間中に「何かが起こって相場が荒れる可能性が高い」ことはわかっていたからこそ、GWに入る前に、このコラムでも「市場参加者が少なくなるGW期間中は相場が荒れやすいために取引を休むべきだ、それでもやるのならフル態勢で臨むべきだ」と書いたのです。

結論としては、やはり「GW期間中は取引を休むべき」でした。

その教訓を生かして間もなくやってくる「夏休み期間」中も、欧米の投資家が長期休暇に入る「クリスマス休暇」中も休むべきです。

「それでは休んでばかりですね」という冷やかしは甘受するとして、いつ働く(取引する)のかと言えば、相場が平常な状態の時に全力で取り組めば良いのです。

(2010年05月10日記述)

第340回 個人投資家も投資不適格国には投資しない方が良い

企業に比べて国家が潰れる可能性は低いため、一般に国債は安全な投資先といえます。
そのため保険会社や年金基金などの機関投資家の多くは、いろいろな国の国債を保有しています。
ただ、やみくもに国債を買っているわけではなく、投資対象は格付けが投資適格級なものに限るという機関投資家独自のルールを定めています。

米格付け会社のS&Pは4月27日、ギリシャの格付けを従来の投資適格級の「BBBプラス」から3段階引き下げて投資不適格級(ジャンク債)の「BBプラス」、ポルトガルを「Aプラス」から2段階引き下げて「Aマイナス」としました。
そのため機関投資家はギリシャ国債を新たに買うことはもちろん、保有し続けることもできなくなりました。

保有しているギリシャ国債はできる限り早く売らなければなりません。
しかし財政危機に瀕しているギリシャの金利は大きく上昇しており、市場で売買されている債券価格は暴落しています。
機関投資家が以前から保有している国債は大きな含み損となっているはずです。
もちろん償還まで持ち続けることができれば元本は戻るはずですが、投資不適格級となった以上は損失覚悟で売らなければなりません。

そもそも論になりますが、機関投資家は格付けが下がる可能性がある国へ投資すべきではなかったのです。
まして個人投資家は機関投資家に比べて圧倒的に資金量も情報量も少ないのですから、機関投資家が避けるべきものに手を出すのは馬鹿げたこと。
お金をどぶに捨てるにも等しい行為です。

つい数日前までギリシャを投資適格としていた格付け会社も責められてしかるべきです。
突然何段階も格付けを引き下げて投資適格を不適格にしてしまっては、投資家は格付けを信じることができなくなります。
とはいえ一方では、格付けを下げざるを得なくなった理由も理解できるのです。

では結局どうすれば良かったのでしょう。
機関投資家であっても個人であっても、ソブリンリスクのある国には投資しなければいいのです。
個人投資家に人気がある国で"投資不適格"なのは南アフリカやトルコです。

機関投資家が膨大な投資資金の1%にも満たない額で、ジャンク債に投資することはあります。
資金を失うことを覚悟して宝くじでも買う感覚で大きな利益を狙うテクニックです。
しかし、個人投資家には失っても良いお金などありません。
であれば南アフリカやトルコに投資するのは愚の骨頂です。
私自身はトルコへ投資するくらいならギリシャに投資したほうがまだマシだと思っているほどです。
もちろんおすすめはしませんが......。

(2010年5月6日記述)



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