第316回 オバマ米国大統領の発表した「金融規制改革案」

オバマ米国大統領の発表した「金融規制改革案」が原因で、金融市場には、『リスク回避の思惑』が強まっています。

「金融規制改革案」には、「銀行はヘッジファンドに投資、所有してはならない」「自己勘定トレーディング事業は、全ての銀行が禁止」など、投資に対する大幅な規制が盛り込まれている。

ただし、この法案が、今後、議会を通過できるのか、現時点では、はっきりしない。
米国内でも反対するものは多いことが予想されるし、最終的に廃案になる可能性も高いと考える。

しかし、オバマ政権がこういった規制を考えている(提案している)点に注目すれば、リスク回避の思惑から、マーケットでは、"Fly to
quality"(質への逃避)が起きて当然だ、と考える。

通貨市場では、日本円(JPY)やスイスフラン(CHF)が、避難通貨として、『買いの対象』になる可能性は、引き続き、高い。

一方、日本の国内の問題。

『日本航空(JAL)の破綻は外国為替市場に影響を与えない』と、私見では、考えていました。
しかし、『日本航空(JAL)の破綻は円売り材料』と考えていた日本の市場参加者も多かった、と感じています。

JALは日本を代表する「ナショナル・フラッグ・キャリア」ですが、実際に破綻しても円売り材料にはなりませんでした。

日本航空(JAL)の破綻の可能性は、それ以前から公表されていました。
国土交通相がつぶさない、と発言していた点には、その言動と結果(破綻の事実)に齟齬を感じますが、日本航空(JAL)の財務状況が悪いことは、周知の事実であった、ということです。
日本航空(JAL)の破綻は、いわゆる「織り込み済み」と認識されたわけです。

やはり「ニュースを自分の都合で解釈してはいけない」と感じます。

今、マスコミがさかんに報道しているのは「検察対小沢幹事長」という対決構図です。
私たちはテレビや新聞がこれほど連日報道しているのだから、世界的にも関心の高い出来事だと誤解しがちですが、検察や民主党を批判するわけでも擁護するわけでもなくFX取引という視点だけで語ると、外国為替市場では「小沢幹事長問題」を円安材料になると判断している世界の為替市場参加者はほとんどいません。

それは日本の政治を過小評価しているから、ということではありません。
小沢幹事長問題は今後の国内政治にいろいろな影響を与えて行くでしょうが、現時点では流動的な要素が多く、世界の為替市場参加者は冷静に見守っていると言うことです。

FX取引で大切なことは「世界の為替市場の参加者だったらどう判断するか」を考えることです。
ニュースを見聞きして自分なりの解釈をし、自分なりの判断を下すことは日常生活では良いことですが、それをそのままFX取引の判断材料とするのは間違っています。

FX取引ではニュースを客観的に受け止めて「自分の判断はこうだけれど、世界の為替市場参加者はどう判断するだろう」と考え、世界の為替市場参加者の立場で相場の動きを読むべきです。

第315回 FX取引の特徴、そして注文方法

今回の内容は、平素このコラムを読んでくださる読者の皆様にとっては、当たり前に過ぎる内容かもしれません。
しかし、たまには初心に返って、再度、思索してみることも大切で、良いことではないでしょうか?

FX取引は、「買い」からも「売り」からも始められる

一般的な金融商品では、最初は「買い」から始めます。
買った後で、思惑通り値上がりしたら「売る」ことで、買値と売値の差益が得られます。
FX取引では米ドル/円のような通貨ペアを「買い」で始めることもできますが、「売り」から始めることもできます。
例えば、米ドル/円を取引する場合、米ドル高=円安を予測したときは米ドル/円を買い、米ドル安=円高を予測した時は米ドル/円を売るのです。

指値と成行、逆指値が基本の注文方法

次に「買い」注文、「売り」注文を出すための注文方法を覚えましょう。
基本は買いたい値段・売りたい値段を指定して注文する「指値」注文と、値段を指定しない「成行」注文。
これに加えてぜひ覚えておきたい注文方法が「逆指値」注文(ストップ・ロス・オーダーとも言う)です。
逆指値注文は、指値注文や成行注文によりポジションを保有した後に、予想に反して相場が逆に動いた時に損失を限定させる「損切り」のための注文方法です。
相場の動きをチェックできない外出時でも自動的に注文を出してくれるので安心です。
例えば高くなると予想して買いポジションを持ったのに、予想に反して安くなってしまった時、逆指値注文を出しておけば指定した値段で自動的に売って損失を限定させます。
売りポジションの場合は予想に反して高くなった時に指定した値段で自動的に売ることで、損失を一定のラインで抑えます。

自動的に売買してくれる便利な注文方法も

このほかにもFX会社によっては便利な注文方法としてOCO(オーシーオー)注文とIFD(イフダン)などを用意しているところもあります。
OCO注文は保有しているポジションの利益確定注文と損切り注文を同時に出す方法。
例えば買いポジションを持っている時、予想通り高くなれば利益確定注文が、予想に反して安くなったら損切り注文が出ます。
そしてどちらか一方の注文が成立すれば、もう一方の注文は取り消されます。
IFD注文は事前に設定した条件を満たした時に新規注文と、決済注文の2つの注文を連続して出す方法。
事前に設定した条件を満たすと、最初の新規注文が執行され、それが約定(取引が成立すること)すると次の決済注文が自動的に出されます。
利益を確定させたい時にも、損失を限定させたいときにも使えます。
さらにOCOとIFDを組み合わせたイフダンOCO注文もあります。

OCOやIFDなどは文字で読むと複雑で難しそうな注文方法に思えるかも知れませんが、実際に取引してみると簡単だし便利な注文方法であることがわかります。
FX会社が用意しているデモ取引などを利用して、ぜひその活用に慣れてください。

第314回 外国為替市場の材料について

このところ、年末年始のころも含めて、その少し前あたりから、米国経済に関して楽観的な意見が散見されます。

とりわけ株式市場では「投資家に株を買ってもらいたい」という願望から、一部の好転した指標だけを取り上げて「景気回復の兆しがうかがえる」といったポジショントーク的な願望のようなコメントが目立ちます。

例えば1月8日に発表された2009年12月の米雇用統計「非農業部門雇用者数」は、8万5000人減少でしたが、11月の修正値のほうは4000人増となりました。

この修正値だけをことさらクローズアップして「景気回復の兆し」に結びつけようとするような意見です。

しかし米国の雇用統計全体、あるいは他の指標まで含めて全体を見渡せば、とても米国の景気が回復しているという判断は下せないはずです。


また、一方でどのようなことでも材料にしたがる傾向も見受けられます。

その一例が今週の『日本航空の会社更生法申請→日本の景気悪化の象徴→円売り材料』という発想です。

外国為替市場を動かす要因は第一義的には米国経済の状況です。

そして、JALに関しては、その悪い状況が広く報道されていましたから、織り込み済みとも言えます。

日本国内ではJALの破たんは大きなニュースですが、それを材料にして円安(=米ドル高)と発想するのは間違っています。

FX取引も含めた金融商品の取引は、こうなって欲しいという「願望」や自分勝手な「予測」をベースにして取引してはいけません。

たとえ自分にとって納得できない結果であろうと、現実を冷静に分析して判断すべきと考えます。

また、所詮、日本の政治は、為替相場に影響を与えない。

だから、現在、世論(世間)を騒がせている小沢一郎の疑惑は、「円売り」にはならない。
(無論、「円買い」にもならない)

為替相場に絡めてコメントするならば、『外国為替市場では、基本的に、日本の政治は材料にならない』といった経験則にのっとり、現在、日本で起きている政治関連のニュース(小沢一郎のニュース)に関しても、為替相場に与える影響は、ほとんどゼロ、と考えています。

このことがきっかけで、政権が倒れるような事態なれば、再考が必要ですが、今のところ、内閣総辞職や衆院解散は無いとみています。

第313回 スプレッド

FX会社が取引画面に提示する通貨ペアの値段には、投資家が売る時の値段である「Bid(ビット)」と、投資家が買うときの値段である「Offer(オファー)」があります。

「Bid(ビット)」と「Offer(オファー)」の2つの値段が同時に表示されている状態を「2ウェイプライス」といいます。

売値と買値の差がスプレッド

「Bid(ビット)」が「買値」で、「Offer(オファー)」が「売値」です。
この値段を提示した側にとっての「買値」「売値」を意味します。

買値と売値の間には値段の差があります。
例えば買値が90円75銭のとき、売値は90円80銭というように。
この値段の差を「スプレッド」といいます。スプレッドの幅(値段の差)は通貨ペアによって、あるいはFX会社によって異なります。

メジャー通貨ほどスプレッドは狭い

一般的には米ドル/円やユーロ/米ドルのような市場参加者の多いメジャー通貨ペアのスプレッドは狭く(値段の差が小さく)、豪ドル/円のような市場参加者の少ない通貨ペアのスプレッドはメジャー通貨ペアよりも広くなっています。

インターバンク市場のメジャー通貨のスプレッドは通常1~2ポイント(米ドル/円なら1~2銭)程度です。

市場の状況によりスプレッドは変わる

スプレッドは固定されているわけではありません。

突発的な大事件や金融市場を揺るがす出来事が起こると市場が売り一色、買い一色になったり、市場参加者が引いてしまい、メジャー通貨ペアであってもスプレッドが10ポイント、20ポイント、あるいは100ポイント、200ポイントに広がることだってあり得ます。

そのような状況に陥るのは10年に一度かも知れませんが、常に万が一に備えておくことは必要です。

要はマーケットを甘く見ずに、畏れをもって取引をしようということです。

インターバンク市場のスプレッドは固定されていませんが、FX会社によっては固定スプレッドを売り物にしているところがあります。

一見安心な感じがしますが、これはFX会社の裁量によって固定しているだけであり、どのような状況でも固定スプレッドで価格を提示すると約束しているわけではないことを頭に入れておきましょう。

第312回 菅直人氏の財務大臣就任会見での円安発言について

新年早々、為替市場は荒れ相場といった印象です。

米ドル/円相場は1米ドル=93円台で年越し、年明けに急落、91円台をつけて再び上昇しています。

このように荒れたのは市場参加者が出そろっていない上に、1月8日金曜日に発表される米雇用統計を見てから参加しようという投資家が多かったためでしょう。

米ドル/円相場に関して言えば、もう一つ荒れる要因がありました。

7日に行われた菅直人氏の財務大臣就任会見での発言です。

「もう少し円安の方向に進めばいいと思う。」

この発言は、菅直人財務大臣の本音かも知れませんが、それ程、深い意味はなかったと思います。

菅氏は財務大臣就任以前にも同じような趣旨の発言をしていました。

その時は(当然のことながら)マーケットは反応しなかったのですが、今回は「為替介入を決定する財務省のトップ」という立場での発言だったために、「マーケットが敬意を払ってドル買い円売りをした結果」ということでしょう。

財務大臣が為替相場に言及することは基本的にはルール違反ですが、それでも口先介入は時々行われます。

ただ今回は不慣れな立場での不用意な発言であり、このことだけで財務省の方針を判断すべきではないのでしょう。

あえて言うなら、藤井前大臣は為替相場に対して放任的であり円高容認的な姿勢で、菅新大臣は前大臣ほど放任的ではなさそうな印象です。

今後の菅大臣の言動や財務省の動きを注意して見ていくことが重要だと考えています。

第311回 今年(2010年)は、始まったばかりです

今年(2010年)の相場が始まっています。

昨年(2009年)の相場は難しかった、と感じていますが、「残念ながら、2010年の相場も、そうそうイージー(easy)な相場ではないだろう」と覚悟しています。

難しい相場の時期は、「しのぐ」「我慢する」「良く見る(観察する)」といった心構えが大切だと、改めて、自分に言い聞かせています。

例年通りだと、市場参加者が極端に少ない状態の、いわゆる「クリスマス相場」は、年明けの米国失業率(米国雇用統計)の発表まで続きます。

今年(2010年)の年初の米国失業率(米国雇用統計)の発表は、明日の1月8日(金)ですから、いわゆる「クリスマス相場」(年末年始の期間を含む)の、不測の値動きになり易い状態が、この日(1月8日)まで続く、ということです。

ドル/円の値動きを見ても、変な動きが続いています。
年末(2009年12月31日)には、93円台にまで上昇しています。

年明け年初(1月4日月曜日)のドル/円は、総じて静かな値動きと言っても良いでしょうが、1月4日は、年初早々に、欧州通貨や豪ドル関連の為替相場は荒れています。

1月5日(火)の外為市場では、ドル/円が急落しています。

こういった値動きは、基本的には、いわゆる「クリスマス相場」、言い換えれば、「年末年始相場」だから、と考えています。

市場参加者が出揃っていないので、通常ならば、止まるところで止まらずに、行き過ぎてしまう、ということです。

行き過ぎた相場は、その反動も大きくなるのが普通ですから、その結果、乱高下になり易い、ということです。

相場が荒れると、アップセットして(あわてて)、何かしないといけないような気分になりますが、今年(2010年)は、始まったばかりです。

はやる気持ちを抑えて、まず、「良く見る(観察する)」のが大事です。

12月に相場を休んでいた方は、まずはリハビリです。
ウォーミングアップをするくらいの気持ちで十分です。

(2010年1月7日東京時間11:00記述)

第310回 あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。

昨年末(2009年12月)の相場では、ドルへの資金回帰が目立つ展開でした。
大晦日は、東京市場は休場でしたが、海外の市場では、ドル円は一段高となり、93円台を見ています。

「クリスマス相場」のシーズンは、毎年、11月下旬のサンクス・ギビング・デーあたりから始まります。
「クリスマス相場」は、クリスマス当日前後をもちろん含みますが、それ以前から、とっくに始まっている、ということです。
この頃(サンクス・ギビング・デーの後)から、市場参加者は徐々に少なくなります。

「クリスマス相場」とは、市場参加者が極端に少なくなって、平常の値動きではなくなる時期の相場を指します。

だから、年末年始も含んで、「クリスマス相場」です。

昨年末(2009年12月)のドル回帰が目立つ相場も、市場参加者が十分にいる状態であったならば、違った展開になった可能性も高いのでしょう。

市場参加者が少ないので、リクイディティ(流動性)が確保できずに、あれよあれよと言う間に、スパイラルにドルの買い戻しが出ていた印象もあります。

こういった状態になると、リクイディティ(流動性)が無いマーケットでは、損切りが損切りを呼ぶような値動きになり易くなります。

年末の相場(12月30日、12月31日の値動き)では、そういったことが起きていたのだろう、と判断しています。

動いてしまえば、それがマーケット(相場)ですから、市場参加者が十分にいれば、とか、他の可能性を探ってみても、それは無駄な努力です。

12月の相場は、不測の値動きになり易いのですが、昨年末(2009年末)も、例年通りに読み難い展開であった、と考えています。
読み難いときには、休むも相場です。だから、12月は、休んだ方が良いのです。

さて、では、年明けの、今年(2010年)の相場はどうでしょうか?

毎年、年明け直後のマーケットも、引き続き、市場参加者が極端に少ない状態のままです。

通常通りならば、米国失業率(米国雇用統計)の発表を待って、のんびりと参入してくるのでしょう。

多少、マーケットが荒れていようとも、あわてて参入する必要はないのですから、年末年始を含む「クリスマス休暇」を十分に取った市場参加者が戻ってくるのは米国失業率(米国雇用統計)の発表が終わってからです。

つまり、今年の最初の米国失業率(米国雇用統計)は、1月8日(金)ですから、市場参加者が通常の状態に戻るのは、今年は1月11日(月)から、となります。

ですから、今年は、年明け初日のマーケットの1月4日(月)から、1月8日(金)までは、あわてずに、よく見て、「ならし」の取引をする程度にとどめておくことも重要と考えています。

マーケット(相場)は、自分の都合では動きません。
市場参加者が出そろうのを待って、本格参入するのならば、はやる気持ちを抑えて、まだ先の、1月11日(月)を待つ覚悟が必要です。

1年は、始まったばかりで、あわてる必要はまったくない、と考えています。
もうしばらく、のんびりと構える気持ちが大切です。

(2010年1月3日記述)



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