第301回 通貨ペア「英ポンド/米ドル」の特徴

動き出したら止まらない激しい性格

英ポンド/米ドルの値動きには「早く激しく動く」という特徴があります。
加えて上げ方向でも下げ方向でも、いったん動き出したら加速がついてなかなか止まらないという印象です。
そのためチャートの形はユーロ/米ドルに似ているのですが、より大きな振幅を描いています。

大口の投資家が相場を動かす

英ポンドは大英帝国時代には世界の基軸通貨として君臨した歴史ある通貨。
大口の投資家が数多く存在しており、一度に5億ポンド(約750億円)、10億ポンド(約1500億円)という、驚くような大口注文が市場に出ることが珍しくありません。
また英国は米国のかつての宗主国なので、英国から米国に流れた投資資金もたくさんあります。
それが何らかの事情により環流する場合には、激しい勢いで米ドルが売られて英ポンドが買われ、逆に、対米投資のために一気に大量の資金が米国に流れ込むときは、英ポンドが売られて米ドルが買われることになります。
こうした資金の性格が「早く激しく動く」特徴を生んでいるのです。

値ごろ感を捨ててトレンドを見据えて取引

英ポンド/米ドルの性格は、ユーロ/米ドルと同様に「奔放」なところがあります。
チャートポイントをブレイクしたように見えて、実はブレイクしていないフェイル(だまし)が現れることは少なくありません。
そこで取引する場合には「値ごろ感で買ったり売ったりしない」こと。
そして動いた方向をしっかり見定めてからトレンドに乗った取引を始めましょう。
それでも概して間に合います。

悪い指標同士を比べてより悪い方が売られる

経済指標は英国と米国の通常の経済指標――失業率、GDP、貿易収支などをチェックしましょう。
現状では両国の経済状況は最悪です。
そのためより悪いほうがより売られる傾向が強いと言えるでしょう。

第300回 サンクス・ギビング・デイ(感謝祭)

さて、いよいよ、クリスマス・シーズンが近付いて来ました。
日本でも、今週の11月23日(月)は、「勤労感謝の日」でした。
アメリカも、今日、11月26日(木)が、サンクス・ギビング・ディ(感謝祭)です。
そう考えると、今年も、もう、事実上、残り2~3週間程度しかありません。

そう言うと、『まだ、1ヶ月以上あるじゃない』と、思う読者の方々も、多いことでしょう。
しかし、『12月は、やらない』『やらない方が良い』と考えているので、それを、早めに、お伝えしておきましょう。

『12月に、為替相場をやっているヤツは、負けたヤツ』と、眺めていれば良いのです。

今年(2009年)のサンクス・ギビング・ディ(感謝祭)直前のマーケット(外為市場)では、ドル/円はポイントだった88.00を割り込み、87円台に下落しています。
だから、そんな早々にクリスマス体制に入れない、という人も多いことでしょう。

87円台は、このところの最安値ですし、87.00を割り込む場合は、年初来安値を更新します。その場合、つまり、86円台を見る場合は、さらに大きく急落する可能性も高い。

そういった重要な局面ですから、もちろん、眺めているだけでは面白くないし、相場に参加したくて、後ろ髪を引かれる気持ちはわかります。
そういった場合でも、クリスマス相場では、ポジションを通常よりも小さくして、不測の動きに留意して参加した方が良いでしょう。

毎年11月下旬になると、サンクス・ギビング・デイ(Thanks Giving Day、感謝祭)で、ニューヨークの外国為替市場のお休みがあります。

ニューヨーク市場では、いつもなら、このサンクス・ギビング・デイ(Thanks Giving Day、感謝祭)が、クリスマス・シーズンの始まりです。

ニューヨークの外国為替ディーラーたちは、いっせいに休暇を取ります。
12月はイヤー・エンドですから、1月から11月までの11ヶ月間で、バジェット(収益目標)を達成しているディーラーは、まるまる一ヶ月休暇を取ります。
せっかくバジェット(収益目標)を達成しているのに、わざわざ会社に来て、相場の動きに巻き込まれるリスクを取るのは馬鹿げているからです。

バジェット(収益目標)を達成しているのならば、少しくらいバジェット(収益目標)を超えて、利益を出したところで、その評価は変わりません。
損をして、達成しているバジェット(収益目標)を減らしてしまい、未達になるのはもっと馬鹿馬鹿しいことです。

バジェット(収益目標)を達成していなくとも、8割程度達成しているのならば、同じように、休暇を取ってしまいます。

「残り一ヶ月で、もう少しで、達成できるじゃないか?」
と思う方も多いのでしょうが、相場は必ず勝てるとは限りません。
特に、余裕がないときは『欲』がでますから失敗する可能性が高くなります。

『あと少し・・・・』
『ここまで来たら・・・・』
『為替レートが、○○円になったら・・・・』

そう思ったときに、届かずに大失敗した経験は、誰にでもあるのではないでしょうか?

『欲』は、こうあってほしいという『願望』であり、『思惑』に過ぎません。
そういった気持ちが強い時は、冷静な判断ができずに、アゲインストのポジションを持たされたまま、相場に持っていかれることが多いのです。

『失敗したくない』『負けたくない』といった気持ちが強い時は、『損切り(ロス・カット)』が遅れがちになります。
無理をすると、余計な負担が増えるだけです。
だから、バジェット(収益目標)を達成していなくとも、8割程度達成しているのならば、同じように、休暇を取ってしまうのです。

「休まなくたって、ポジションを取らないで、会社に来ていればいいじゃないか?」
と思う方もいることでしょう。

しかし、ディーラーにとっては、ちゃんと休暇を取って、会社に来ないことが大事なのです。
ディーラー気質は、目の前で、マーケットが動けば、何かしたくなります。
基本的に、ディーラーはリスク・ラバー(リスクを好む性格)が多いですから、手を出したくなり、結局、『少しくらいなら・・・・』と、ポジションを取ってしまうのです。

また、ディーリング・ルームにいると、顧客からの電話や、取引は必ずありますから、仕方なく、取りたくもないポジションを持たされることもあります。

多くのディーラー達が、イヤー・エンド休暇を取っているのですから、ニューヨークの外国為替市場は参加者が少なくなります。
すると、取引量も少なくなりますから、マーケットは薄くなって、値が飛びやすくなります。

『リクイディティ』が少なくなっているマーケットは、不測の動きになることもしばしばです。

(2009年11月26日東京時間04:00記述)

第299回 ドル金利の引き上げは、当面無い

今週の初め、11月16日(月)のニューヨーク市場では、ドル/円は、再び89円を割り込み、88円台後半(88.70-80レベル)の安値を付けた。

バーナンキFRB議長の発言が、88円台後半を惹起した、と考えるが、為替レートに関してのバーナンキFRB議長のコメントの真意は、不明と考える。

バーナンキFRB議長のコメントは、大きな流れ(トレンド)を変える程の内容ではなく、現状を追認し、米国の金融政策に変化がないことを表明したに過ぎない、と、個人的には判断している。

※大きな流れ(トレンド)は、「ドル安円高」に変化なし。

※目先の新値を、順次更新して下落しているので、相場の流れに従い、「ドル売り円買い」で付いて行くしかない、と考える。

※88円台、89円台を売るのは勇気が要る水準。
しかし、適宜、ストップ・ロス・オーダーで過度の損失を避けるようにしながらも、「ドル売り円買い」で付いて行く。

※87.00-10レベルを下に抜けると(=86円台を付けると)、ストップ・ロス(損切り)から、もう一段の急落の可能性がある。

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11月16日(月)のニューヨーク市場では、バーナンキFRB議長が「ドルの価値の変化に注意している」とコメントした。

この発言を材料に、ドル/円は89.30アラウンドから89.60アラウンドに軽く跳ね上がった。
しかし、その後、反転急落して89.00を割り込んだ。

バーナンキ議長の発言は、「ドル買い材料」なのか、「ドル売り材料」なのか、今回だけのコメントでは、不明と考える。

単に、FRBが為替レートの変化に注視するのは、本務であり、当然の職務。

FRBは、(バーナンキFRB議長は、)「ドルの価値の変化に注意している」。
それは分かった。
では、それで(それをもって)、『今後どういった金融政策を採るのか?』
それには言及していない。

バーナンキFRB議長は、
「金利を長期間異例に低水準とすることが正当化される状況が続くだろう」
と再表明した。

つまり、ドル金利の引き上げは、当面無いだろう、と発言した。

現状のマーケットでは、それ(ドル金利の引き上げなし)を材料に、結果的には『ドル売り』が加速した。

今週の「その後」は(バーナンキ発言の後は)、88円台後半と89円台前半での持ち合いが続いているが、トレンドは「ドル安円高」に変化がない、と考えている。

(2009年11月19日東京時間08:00記述)

第298回 通貨ペア「ユーロ/円」の特徴

ユーロ/円の値段は計算して求める

ユーロ/円のような米ドルが絡まない取引をクロス円取引と呼び、値段は米ドルが絡む通貨ペア同士の値段を合成させて算出します。
ユーロ/円の値段は、ユーロ/米ドルと米ドル/円の価格を合成させて算出しています。

なぜなら金融機関同士の取引が行われるインターバンク市場では、通常はニーズの大きいドル・ストレート(対米ドル)取引だけが行われているからです。

ユーロ/円単体でマーケットが成り立ち取引されて値段がついているケースもありますが、もしもその実際の値段と、ユーロ/米ドルと米ドル/円を合成させて算出された値段がかけ離れた場合は、実際の値段と合成値との値段差を利用して利益を得る裁定取引(アービトラージ)が行われるために、両方の値段は同じ値段に収斂(しゅうれん)していきます。


ユーロ/米ドルに近い奔放な性格

通貨ペアの性格としては奔放なユーロ/米ドルと律儀な米ドル/円の中間といいたいところですが、合成されて算出される値段だけにユーロ/米ドルの奔放な性格が強く反映されて、ユーロ/米ドルと同じようにチャートポイントをブレイクしたように見えて実はブレイクしていないといったフェイル(だまし)が多く見受けられます。


ドイツと日本の経済指標をチェック

ユーロ/円取引で注目すべき経済指標は、ユーロに大きな影響を与えるドイツの指標。
ユーロ/米ドルの項目でも取り上げたドイツの民間シンクタンクのIFO経済研究所が企業の景況感を調査したIFO景況感指数と日本の経済指標です。
ただユーロ/米ドルと米ドル/円の合成ですから米国の指標も見ておくべきです。
そのため見るべき指標も多くなり、奔放な性格と合わせて取引が簡単な通貨ペアとはいえません。

またクロス取引全般に言えることですがドル・ストレート取引よりもトレンドが強く長く出る傾向があることも覚えておきましょう。
つまりクロス取引は(絶対というわけではありませんが)、そのトレンドが続く期間も、値段の動く幅も大きくなる傾向があり、ドル・ストレート取引は相対的に期間も短く値幅も小さいといえるでしょう。

第297回 通貨ペア「ユーロ/ドル」の特徴

外国為替市場で最大の取引量を誇る王道の通貨ペアがユーロ/米ドル。
米ドル/円相場に慣れている日本の投資家の多くはあまり関心を払っていませんが、相場の大きな流れを読むためにもユーロ/米ドルのチェックは欠かせません。

欧州16カ国の利害が絡む共通通貨

ユーロ/米ドルの話の前に、ユーロという通貨の特徴を見てみます。
欧州連合(EU)の共通通貨であるユーロは1999年にドイツマルク、フランスフラン、イタリアリラなど欧州の主要通貨を統合して誕生しました。
2002年から実際に通貨の流通が始まり、現在では16カ国の通貨がユーロに統合されています。

通貨政策はフランクフルトに本拠を置く欧州中央銀行(ECB)が担いますが、多くの国の利害が絡む通貨だけに、円や米ドル、英ポンドのような単一国家の通貨に比べて迅速な政策を採りにくいという弱点があり、それがユーロ/米ドル相場にも影響を及ぼす可能性があります。

ドイツと米国の経済指標をチェック

ユーロは16カ国の共通通貨とはいえ、16カ国すべての経済指標を追う必要はありません。
ユーロ/米ドル相場に大きな影響を与える経済指標は、経済規模でリードするドイツの指標です。
具体的には民間シンクタンクであるIFO経済研究所がドイツ企業を対象に景況感を調査したIFO景況感指数を見ておけばよいでしょう。
もちろん米国の指標も欠かせません。

ユーロ/米ドルの性格は「奔放」

チャート面では、米ドル/円の項目でも解説したようにユーロ/米ドルは「奔放」です。
チャートの節目となるチャート・ポイントを、米ドル/円は律儀に守る傾向が強いのに対し、ユーロ/米ドルはチャート・ポイントを大きくブレイクした(突き破った)のに、また戻ってきて結果的にチャート・ポイントが守られるといった「フェイル」(だまし)が比較的に目立ちます。

だまし覚悟で臨み確実に損切りを

しかしその時点で本当にチャート・ポイントをブレイクしたのか、フェイルなのかを見極めることは、経験を積んだプロのディーラーでも難しいもの。
そこで真摯に相場に向う場合は、
「だまされることを想定する(チャート分析には、フェイルが必ずあることを認識する)」
「だまされたら潔くあきらめる(フェイルを認める)」
「ただし、損切りはきちんと行う」
といったスタンスで臨むべきでしょう。

第296回 【米国失業率は、10.2%】-米国経済に『回復の兆し』はありません-

※先週末(11月06日)の米国失業率では、【10.2%】と、壊滅的な数字が発表されました。

※この数字では、米国の景気回復も、まだまだ先のことになる、と判断します。

※ドル/円に関しては、この10%を超えた米国失業率で、『ドル安円高トレンド』が、再確認された、と考えます。

※『米国経済の回復の兆し』を訴えるコメントを、時に散見します。
それは、『ウソ』です。

米国経済の不調をクローズアップすると、悪い雰囲気(センチメント)をことさらにあおることになるので、株価などに、悪い影響を与えます。

株価が下落すれば、米国の景気回復は、さらに先送りになる可能性が高くなります。

そういった悪循環を招きたくないので、マーケット参加者の中には、無理やり、強引に、『回復の兆し』を探し出そうとする人が存在します。

しかし、あるものを、あるがままに見なければ、判断を誤るに決まっています。

失業率が悪化している状態で、米国の景気回復を唱えるのは、「チャンチャラおかしいたわごと(戯言)」に過ぎません。

そんな「チャンチャラおかしいたわごと(戯言)」に踊らされては、相場で勝つことは不可能です。

マーケットのセンチメント(雰囲気・市場心理)に配慮するための『ウソ』は、『リップ・サービス』ですから、耳触りが良く、上記のような『真実』は、かえって『悪者』にされがちです。

しかし、それは決して『悪者』などではありません。

『真実』を見ることだけが『生き残る術』です。

失業率が、悪化傾向にあるのですから、米国経済に『回復の兆し』はありません。

今後、さらに雇用の不調から、購買意欲が落ち込む可能性は高くなります。

だって、そう考えるのが、常識でしょ?!

『失業率は悪化傾向にあり、この20年来こんな悪い数字(失業率)は見たことが無い。
だけれども、米国景気は回復する。』
といったコメントは、どう考えても矛盾しています。

『失業率は悪化傾向にあり、この20年来こんな悪い数字(失業率)は見たことが無い。
だから、米国景気は回復しない。』

あるいは、
『失業率は悪化傾向にあり、この20年来こんな悪い数字(失業率)は見たことが無い。
だから、米国の景気回復には時間がかかる。』

こういったコメントならば、常識で考えて、正しい結論になります。

理屈に合わないコメントは、『そうあって欲しい』という『願望』です。
つまり、理論が正しくない上に、間違った結論を強引に導き出すのですから、それは『ウソ』になります。

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(2009年11月7日東京時間11:30記述)

第295回 【通貨ペア「米ドル/円」の性格】

通貨の特徴について説明をします。
通貨の特徴を考える時、「米ドルは? ユーロは?
円は?」というように単独で考えがちですが、FX取引では米ドル/円、ユーロ/米ドル、ユーロ/円というように必ず二つの通貨を組み合わせた通貨ペアで考えなければなりません。

米ドル/円は大いなるローカル通貨

日本でFX取引している投資家にとって一番身近な通貨ペアは「米ドル/円」。
ニュースでも頻繁に取り上げられるために、国内投資家は世界で最もメジャーな通貨ペアのような印象を抱きがちですが、外国為替市場全体で見ると取引量でも手がける投資家の数でもナンバーワンの通貨ペアは「ユーロ/米ドル」です。
「米ドル/円」は次いで2番目に位置していますが、特殊性も備えていて、誤解を恐れず評価するなら『大いなるアジアのローカル通貨(ローカル・カレンシー)』といえるでしょう。

例えばユーロ/米ドルが上昇、ポンド/米ドルも上昇しているときに、通常なら米ドル/円は下落していくはずです。
ところが時としてユーロ/円のような米ドルが絡まない通貨ペアであるクロス円の影響から、米ドル/円が上昇することがあるのです。
このような特殊性には十分に留意しなければなりません。

日本円は日本人同様に律儀な性格!?

また面白いことに米ドル/円は、日本の国民性が現れるのか「律儀」な性格を備えています。
必ずそうなるというわけではありませんが、例えば相場が大きく転換するポイントであるチャート・ポイントをブレークしない時は、チャート・ポイントに近づいていってもタッチしないか、タッチしたとしても5ポイントか、せいぜい10ポイントほどしか行き過ぎることはありません。
ブレークしない時は律儀にチャート・ポイントを守っているのです。そのため逆に10ポイントを超えて20ポイントに達した時はチャート・ポイントはブレークされたと判断しても良いほどです。

それに対してユーロ/米ドルは「奔放」です。
チャート・ポイントを大きく突き破ったのに、また戻ってきて結果的にチャート・ポイントが守られることがあります。
こういった値動きを「フェイル(だまし)」と呼びますが、「ポンド/米ドル」ではもっと激しくフェイルが起こり、「米ドル/円」ではあまりフェイルは起こりません。

ただ経済指標に対する反応は、「米ドル/円」よりも「ユーロ/米ドル」のほうが素直だ、と言えます。
良い材料が出たのなら良い方向に動き、悪材料なら悪い方向へ素直に動きます。
その点、「米ドル/円」は経済指標には鈍く、相場の流れに対しては律儀といえるでしょう。

値段に対して「値ごろ感」を持たない

他の通貨ペアと比較すると「米ドル/円」は扱いやすい性質と言えるので、日本円になじんでいる人は「米ドル/円」を中心に取引すると良いでしょう。

ただ注意点もあります。それは「値ごろ感」が生まれやすいこと。
「ついこの間まで100円だったのに今は90円。こんなに安いのなら買ってみよう」というように考えるのが「値ごろ感」です。
100円から90円に下がってきたのには理由があるはず。
そのため90円という絶対値に対して安い高いといった思惑を持たないほうが良いのですが、どうしても円が絡むと過去の値段の記憶が強く残ってしまうために、「値ごろ感」が判断に影響を与えがちです。
この点だけは十分に気をつけたほうが良いでしょう。

第294回 【現状の相場では、ドル/円の方向性を決めているのは、ユーロ/円(換言すれば、クロス円)の方向性】

ドル/円は、先週末(10月30日金曜日)のニューヨーク市場終値から比べて、いわゆる『窓(Gap)』を空けて急落しています。

この値動きから見れば、『ドル円は、もう一段、下落してゆく』と考える方が、素直だと思います。

このところの値動きでは、『ドル/円の方向性を決めているのは、ユーロ/円(換言すれば、クロス円)の方向性だ』と判断しています。

この『ユーロ/円(換言すれば、クロス円)が主導権を握る状態』が、いつまでも続くとは考えません。
しかし、このことに気が付いていないと、現状の値動きで、利益を出すのは難しい、と考えます。

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ユーロ/円の日足チャートを見ると、今年の3月頃から現在(11月上旬)に至るまで、上限138.50アラウンド、下限126.00アラウンドの「ボックス相場」を形成している。

※上限、下限ともに、一時ブレイクしたところもあるが、それは、いわゆる「フェイル(だまし)」と考えている。

9月下旬から10月上旬にかけて、下限の水平線に向かうような値動きを見せたが、結果的には、急反発からショート・スクイズを起こして、今度は上限の水平線(138.50アラウンド)をうかがう展開になった。

10月26日(月)の値動きでは、まさに、チャート・ポイント水準である138.50に近づいた。(高値は、[138.45-50]レベル)

この時の値動きでは、138.50を上に抜けていないが、仮に、少しぐらい上に抜けても、ユーロ/円は、チャート・ポイントに対して律儀ではないので、引き続き、「ボックス相場」が持続している、と考えるが、今回は、たまたま、上限のインサイド(内側)をキープしている。

だから、現状の、ユーロ/円は、引き続き、上限138.50アラウンド、下限126.00アラウンドの「ボックス相場」である。

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ボックス相場のセオリーは、
ボックスの上限インサイド(内側)で、『売り』。
ボックスの下限インサイド(内側)で、『買い』。
ボックスを放れる場合は、放れに付け(放れた方向に順張り)、となる。

今回は、セオリー通りに、138.50のインサイド(内側)の『売り』、
つまり、137円台後半から138円台前半程度での『売り』は、正しかった、と言える。

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通常は、ユーロ/ドルが上昇する場合は、「ユーロ高ドル安」だから、ドル/円でも「ドル安」傾向、すなわち「ドル安円高」傾向になる。

逆のケースでも、通常は、ユーロ/ドルが下落する場合は、「ユーロ安ドル高」だから、ドル/円でも「ドル高」傾向、すなわち「ドル高円安」傾向になる。

ところが、このところのマーケットでは、ユーロ/ドルが上昇すると、ユーロ/円が上昇し、その影響から、ドル/円が上昇する、といった連鎖が見られる。

逆のケースならば、ユーロ/ドルが下落すると、ユーロ/円が下落し、その影響から、ドル/円が下落する、といった連鎖が見られる。

こういった連鎖の状態が、いつまでも続くとは考えていない。
しかし、現実問題として、通常ではない(はっきり言えば異常な)状態が続いている間は、それに応じた対応をするしかない。

それでは、現状のユーロ/円を、どのように考えれば良いのだろうか?

ユーロ/円の方向性を決めているのは、現状では、まず、ユーロ/ドルの方向性である。

通常のユーロ/円は、ドル/円とユーロ/ドルの二つの方向性の強さを測る必要があるが、現状は、ドル/円の方向性を無視した方が良い、ということだ。

そして、むしろ、ユーロ/円の方向性から、ドル/円の向きを判断した方が良い状況だ。

ごく目先は、そのように対応した方が上手くいく。

ただし、この状況が、いつまでも続くはずはない。
必ず、この異常な状況は、本来あるべき姿に戻る。
それを忘れてはならない。
(目先、当面の間だけ、通用するテクニックということ。
いつ何時、壊れるか分からない危険なテクニックということ。)

ただし、そうは言っても、(危険なテクニックと言っても、)目先、使わなければ、この相場を説明できないし、利益を出すためには、必要な手法です。

この危険なテクニックは、通用しなくなるまでは、通用します。
(言葉の遊びではなく、事実)

通用しなくなる場合は、損切り(ストップ・ロス)で回避する。
つまり、『最後には、あえて損失を計上するつもりで使う手法』です。

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(2009年11月02日東京時間08:45記述)



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