第278回 政権交代!!

地殻変動が起こったようですね。
事前予測が正しかったのですが、現実を見るまで半信半疑のところがありました。

政権交代が起こりました!!

以下は、特別なことを書いた訳ではありません。

『真摯に臨まなければいけない』といった、自分自身への心構えを述べているだけです。

「民主党単独でも過半数獲得」が、事前の調査で出ていましたが、半信半疑でした。

週刊誌も、そういった記事が多かったので、今回の衆院選は、民主党圧勝なのだろう、と予期していました。

しかし、現実に、その【政権交代】の様子が、テレビで報道されています。
なんだか不思議な気がします。


この衆院選の結果が、今日の(あるいは、本日以降の)マーケット(金融市場、外国為替市場)に、どういった影響を与えるのか、本当に心から楽しみにしています。

最終的には、『日本の政治は、外国為替市場に大きな影響を与えない』と考えますが、今回は、政権交代が起こりましたので、通常とは違う可能性もあります。

(時間が経過すれば、結局は、『日本の政治は、外国為替市場に大きな影響を与えない』となるだろう、と考えていますが・・・・。)

そういった意味(通常とは違う可能性)では、『素直に、マーケットの反応を見ること』が、とても重要だ、と考えます。

本日から当分の間、気を引き締めて、マーケットに臨みます。

(2009年08月31日東京時間11:15記述)

第277回 日本の選挙が外国為替に与える影響は?

日本の国政選挙は日本の株式市場に影響を与えることがあります。

戦後ほぼ一貫して政権を担ってきた自民党が負ければ、政権が不安定になると読んで株を売る投資家がいる一方で、新たな時代に期待して買う投資家もいることでしょう。

どちらが多いのかは、本当のことは、その時点にならなければわかりませんが、株価が選挙結果の影響を受けことに違いはありません。

しかし、常識的に判断すれば、自民党の敗北は、日本の株式の売りになります。
今回の衆院選の結果が、『従来の常識どおりに影響を与えるのか? 今回はそうならないのか?』に、まずは注目しています。


では外国為替市場はどうでしょう?
日本の投資家であれば仮に自民党が惨敗すると、政治的な混乱から円売りが優勢になると連想するでしょう。それが日本人の「常識」だと思います。

しかし残念ながら日本の政治がどう動いても、外国為替市場が影響を受けることは基本的にはありません。(個人的には、そう考えます)

日本人の「常識」は、外国為替市場参加者の「常識」ではありません。
世界の外国為替市場参加者の多くは、現在の日本の総理大臣の名前すら知らないと思います。
それは、短期間に総理大臣が何人も替わったということではなくて、日本の外交下手に原因があるのでしょう。

世界から見れば、日本の政治は注目度が低い、ということであり、基本的には、「自民党惨敗=円売り」は間違いと考えています。


投資判断は「常識」にとらわれない

それはともかく、外国為替市場の世界では、日本人が思うほど日本の動向は注目されていないことを肝に銘じておきましょう。

それよりも中国の動向のほうがずっと大きな影響力を持っています。

ただしそれは日本を卑下するということではありません。
日本人は大変な努力を重ねて現在の豊かな国を築きました。
そのことは誇るべきだし、これからも世界の国々と対等に渡り合う気概を持つべきです。ただそのこととFX投資とは別の話なのです。
FX投資では日本人の「常識」捨てて臨むべきです。

ちなみに現時点で政治の変化が外国為替市場に影響を与える国は米国くらいです。
欧州諸国の政治の変化も、外国為替市場にほとんど影響がありません。(個人的な感覚ですが、私は、そう感じています。)


夏休みは残り1週間を切りました。
8月最後の日曜日となる30日には衆議院選挙があります。
各メディアの事前調査では民主党が政権を取る勢いです。

既述しましたが、政権交代の有無にかかわらず、日本の選挙結果が外国為替市場に直接影響を与えることはほとんどありません。ただ国内政治の問題なので日本の株式市場は影響を受けるでしょう。常識的には政権交代が実現すれば株価は下落するはずです。

その日本の株式市場の影響をNY市場など海外の株式市場が連鎖的に受け、それが回り回って為替市場に影響を与える可能性があります。

ただし、以前にも書きましたが、株価と外国為替は、本来は相関関係がありません。
株価と為替はバラバラに動くはずです。
ただ最近は(たまたま)同じ方向に動く傾向が強まっているので、衆議院選挙の影響を間接的に為替相場が受ける可能性も考慮しておかなければなりません。

では選挙やサミットのような政治や経済絡みの大きなイベントがあるときは、FX取引を控えたほうが良いのでしょうか?

答えは「NO」と考えます。
イベントの場合は流れを慎重に読んで、流れに乗れるようであれば乗るべきです。
ここが夏休み相場やクリスマス相場とは異なるところです。

多くの市場参加者が休暇を取っている時期は商いが薄く、相場がどう動くのかが読めないために取引を控えるべきです。
しかし、イベントの場合は市場参加者も多く、流れも読めるので、乗れるのであれば乗って利益を追求しても良い、と考えます。

今年の「夏休み相場」は、ロンドン市場が「レイト・サマー・ホリデー」で休場となる8月31日(月)までです。
『衆院選明けの市場が、8月31日(月)なので、この日が「夏休み相場」になるのか?』
『ロンドン市場が休場でも、この日から「夏休み相場明け」になるのか?』
事前に判断するのではなく、当日の値動きを見て、判断すればよいことだ、と考えています。

第276回 まだ、世界的に「夏休み相場」

基本的に、まだ、世界的に「夏休み相場」です。
日本では、「お盆休み」も明けて、通常のマーケットに戻りつつありますが、引き続き、外国為替市場全般では、市場参加者が少ない時期です。
(ロンドンのレイト・サマー・ホリデー明けが、外国為替市場の夏休み明けです。今年は、8月31日がレイト・サマー・ホリデーです。)

市場参加者の極端に少ないときは、取引も不活発で、動かないことも多い。
しかし、動き出すと狂ったように荒れることも起こります。

そして、こういった市場参加者が少ない時は、なによりも注意すべきは、平素のセオリーが通じないケースがあることです。

平素の市場参加者がたくさんいる場合は、大量の売買があっても、それを吸収できるキャパシティがマーケットにあるが、市場参加者が少ないと、大量の「買い」や「売り」を吸収しきれずに、いっきに、上昇したり、下落したりするようなことが稀に起こる。

残念なことに、
『静かで(取引が不活発で)、動かないのか?』
『それとも、大きく動くのか?』は、
事前には予知できない。

だから、市場参加者が少ない時には、相場に手を出さないか、手を出すならば、そういったことを、十分に理解した上で参入するべきだ。

ゆえに、こういった時期(市場参加者の少ない時)のセオリーは、『ポジションをいつもより小さくする』となる。
(=不測の事態が起こっても、大丈夫なようにしておく)


具体的なマーケットのコメントとしては、「夏休み相場」が明ける9月相場に向けて、『今週は、準備を始める時期かな・・・』などと考えています。

今年の2月、3月以降、現在に至るまで、ドル/円は、大きく上下動を繰り返している印象です。

先週末のニューヨーク市場では、住宅関連の米国経済指標が良かったこと、そして、バーナンキFRB議長が
「世界経済、米経済はリセッションから脱却しつつある」
「金融崩壊への不安は明らかに薄れた」
と発言したことから、ドル/円は、93円台から94円台に上昇しています。

しかしながら、基本的なドル/円の流れは、「下落トレンド」と考えています。

米国の景気の底は、すでに見たのかも知れませんが、今後、急激に改善するのか、否か、は不透明です。
むしろ、米国経済指標では、今後も、悪いものが発表されるだろう、と考えるのが常識的と判断しています。(=景気が回復するのには、通常は、時間がかかる。安易な楽観論には従えない。)

このところの「ドル/円相場」では、7月上旬に91.80アラウンドまで下落したのですが、その際には、「大量のドル買い円売り」で、リバウンド(反発上昇)を見ました。
その後の「夏休み相場」で、ドル/円は、徐々に上値を切り下げてきています。

91.80アラウンドの「大量のドル買い円売り」は、「中国の政府系ファンド筋」だろうと、個人的には推測しています。

ごく目先の値動きを見れば、中国株式市場(上海株)が調整下落していることから、ドル/円は下落気味に推移している、と考えています。

秋になって、市場参加者が平常通りにそろってくると、大口の投機筋の影響力も相対的に弱くなり、『もう一段の円高水準を探る展開になるのではないか?』と、今のところ、考えています。

(2009年08月23日記述)

第275回 ユーロ/ドルの700ポイントの「ボックス」に注目

基本的に、まだ、世界的に「夏休み相場」。
日本では、「お盆休み明け」ですが、引き続き、外国為替市場全般では、市場参加者が少ない時期。

市場参加者の極端に少ないときは、ベタっと動かないことも多い。
しかし、動き出すと狂ったように荒れるケースもある。

そして、こういった市場参加者が少ない時は、平素のセオリーが通じないケースが起こることもある。

平素の市場参加者がたくさんいる場合は、大量の売買があっても、それを吸収できるキャパシティがマーケットにあるが、市場参加者が少ないと、大量の「買い」や「売り」を吸収しきれずに、いっきに、上昇したり、下落したりするようなことも起こる場合がある。

残念なことに、『静かでベタっと動かないのか?』『それとも、大きく動くのか?』は、事前には予知できない。

だから、市場参加者が少ない時には、相場に手を出さないか、手を出すならば、そういったことを、十分に理解した上で参入するべきだ。

ゆえに、こういった時期(市場参加者の少ない時)のセオリーは、『ポジションをいつもより小さくする』となる。(=不測の事態が起こっても、大丈夫なようにしておく)

●「ユーロ/ドル(EUR/USD)日足チャート」を、各自でご覧ください。

今年(2009年)の5月頃から現在(8月)に至るまで、ユーロ/ドルは、下限1.37台ミドル、上限1.44台ミドルの「ボックス相場」を形成している。

■ユーロ/ドルは、何故だか分からないが、700ポイントで「ボックス相場」を形成するケースが多い。

■このユーロ/ドルの『700ポイントのボックス相場』に関しては、今までに上梓した本に、随所で記述している。

■今回も、また、『700ポイントのボックス相場』を形成している。

■前回に、ユーロ/ドルの『700ポイントのボックス相場』が、非常に気になった時は、2008年3月から2008年8月の約5ヵ月間続いた『ボックス相場』。

■2008年3月から2008年8月の『700ポイントのボックス相場』の下限は、1.5300アラウンド(正確には、1.5280アラウンド)、上限は、1.6000アラウンド(正確には、最高値は、[1.6035-40]だった)。

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「ユーロ/ドル(EUR/USD)日足チャート」に、今年(2009年)の2月~3月頃から上昇した際のサポート・ラインを引いてください。

『今年(2009年)の2月~3月頃から上昇した際のサポート・ライン』の現在のレートは、1.3900アラウンドだから、『近日中に、[1.3900]を割り込むか、否か?』に注目すれば良いことになる。

■このサポート・ラインは、右上がりだから、先日付に進めば、1.3900から、徐々に切り上がることに留意する。

その下は、『ボックスの下限』だから、1.37台ミドルに注目すれば良い。

■それは当然ながら、上記、1.3900が割れてから、意識すれば良いことだが・・・。

■この『700ポイントのボックス相場』は、居心地が良くて、思っているよりも、長く持続する可能性もある。

そう思って油断すると、突然にブレイクすることがある・・・。
だから、そういった相場に対する思い込み、は、本来、禁物だが。

『相場の大きさ(値幅・振幅)』と『相場の長さ(継続時間)』は、誰にも、事前にはわからない。
その大原則を、忘れないように、肝に銘じていますが・・・。

(2009年08月20日東京時間10:30記述)

第274回 『腹立ち買い』『腹立ち売り』はしない

「プライスを逃してしまった場合に、どういった対応をすれば良いのか?」
と、いった質問を、時々、受ける。

返答に困る。

それは、答えが難しいのではなく、答えは、簡単なのだ。

しかし、こういった質問をする人は、私が正しい答えを言っても、それを、理解してくれない---理解したくない---だから、返答に困るのだ。

プライスを逃した場合とは、例えば、『20で、買おう』と、思っていたのだが、下落のスピードが速かったので、あっと言う間に、00、そして、85-90まで落ちてしまう。

こういった場合は、リバウンドも速く、これまた、あっと言う間に、00を回復し、35-40まで、上昇してしまったようなケースだ。

これが、プライスを、逃した場合の第一のケース。

こういった場合に、『どうすれば良いのでしょう? 良かったのでしょう?』と、訊かれても、返答に困るのは、第三者の立場から眺めれば、誰でも容易に理解できるだろう。

『20で、買おう』と、思っていたのだが、その下落スピードが、速くて、様子を見たところまでは、良い。リスクを回避しているのだから、行動としても、正しい。
しかし、リバウンドがあった時点で、---再び、20まで上昇した時点で、---
『ここで、買おう、と、思ったのだ』と考えて、買えば良いだけのことだ。

そう言うと、
『そこで、20を買うと、また、落ちてしまうかも知れない。そうなったら、どうすれば良いのか?』
と、大概は、質問される。

そう考えるのなら、やらなければ良いだけのことだ。

こうなると、堂々めぐり。

「やるか」「やらないか」の判断まで、責任を転嫁されても、困る。


プライスを、逃した場合の第二のケースは、小動きではなく、大きな変動の時だ。

例えば、チャート・ポイントを割り込んで下落するようなケースだ。

『そういった場合に、どうすれば良いのでしょう?』
と、いった質問を受ける。

このケースで、返答に困るのは、質問をする側に、
『こう答えて欲しい』
と、いった思惑があることだ。

『リバウンドを待って、売りオーダー(注文)を置く』
という答えを期待している

しかし、このケースは、答えは、違う。

答えは、二つある。但し、二者択一だ。

まず、第一の答えは、『直ちに、売る』。
つまり、絶対値を気にしないで、『直ちに、売る』ということだ。

もう一つの答えは、『諦める』ということだ。

一番悪いのは、売りそびれたので、くやしまぎれに、値ごろ感から、『買うこと』だ。

これを、『腹立ち買い』と、言う。

これが、一番危ない。最終的に致命傷に至るのも、こういったケースが多い。

第273回 「米国雇用統計」の改善と「夏休み相場」

先週の8月7日(金)、為替相場に大きな影響を与える米国の「失業率」と「非農業部門雇用者数」の7月の集計結果が発表されました。

一般に集計結果が事前の予想よりも良ければ米ドルが買われ、悪ければ売られる傾向が強まります。

失業率は7月の予想が9.6%だったのに対し、結果は9.4%でした。
6月の結果が9.5%であり、7月は9.6%へ一段と悪化すると予想されていただけに、9.4%という改善方向の数字は予想外でした。

非農業部門雇用者数も予想の32.8万人減少から、実際には24.7万人減少と雇用者数の減少に歯止めがかかっています。

6月の結果が44.3万人減少で、7月の予想は32.8万人減少と減少方向だったので、良い数字が出ることはわかっていましたが、予想以上の減少幅となったのです。

こうした予想外の結果を受けて米株式市場は堅調な動きを見せ、為替相場もドル高方向へ動きました。

では投資家の立場では、予想以上の減少幅という結果をどう評価したら良いのでしょうか?

ひと言で評価すれば「良かったですね」です。
これには二つの意味があります。

『7月の結果が、予想外に良かったことは、米国経済の復活の兆しであり、このまま8月、9月と改善が続く』
そのようには、多くの人は考えていないでしょう。

失業率は相変わらず高い水準にあり、10%に届く月もありそうです。
(オバマ大統領のコメントでも、米政府は、10%を超えると想定している、と読める)

非農業部門雇用者数も改善されたとはいえ、雇用者数は増えているわけではなく減っています。

ただ悪い数字が出るよりは、良い数字が出たほうがいいわけで、その意味での「良かったですね」です。

第二の意味は、7月の予想以上の改善によって、2009年の夏相場は例年並みの平穏な相場を迎えられそうだということです。

外国為替市場は7月から欧米勢が夏休みをとっており取引量が減少しています。
そこへ今週は日本のお盆休みが重なります。
こんな手薄な時期に取引量の多い「大玉」が出たり、投機筋的な動きが起こると相場は大荒れになります。

特に失業率や非農業部門雇用者数に悪い結果が出た時は、嵩(かさ)にかかって、米ドルを売る動きが起こりがちです。

しかし今回の好数字のおかげで、おかしな動きは鳴りを潜めそうです。

実際に、昨日(8月12日)のドル/円は、先週の8月7日(金)の「米国雇用統計」の発表前の水準、95円台前半にまで下落しました。

確かに、「米国雇用統計」の発表後の水準、97円台後半から見れば、急落なのでしょうが、「米国雇用統計」に伴う値動きが、マーケット(外為市場)のサプライズだったと考えるならば、元の水準に戻った、と言えるでしょう。
(その後、96円台にまでリバウンドしていますが、驚くような値動きではない、と考えます。)

「夏休み相場」であり、特に、現在は(今日は)、「日本のお盆休み」です。
こんな時は(こんな時期は)、ポジションを取らずに、のんびりした方が良い、と考えます。

(2009年8月13日東京時間08:45記述)

第272回 マーケットは、不完全なシステム(制度)だから、日々、少しずつ矛盾が溜まる

キャリー・トレードは、昨年(2008年)いったん崩壊しました。
それ(キャリー・トレード崩壊)が起こることは、私にとっては、事前に予測がついたことです。
だから、それ(キャリー・トレード崩壊)が起こる前に、一昨年(2007年)の秋に、警鐘を鳴らす意味で『外貨崩落(技術評論社)』を上梓しました。
『外貨崩落(技術評論社)』の中から、一部抜粋します。


金利とは何でしょうか。
金利は、その国のインフレ率です。
金利が高いということは、その国のインフレ率が高く、その国の通貨価値は、いずれ下落することを意味しています。
たとえば、10%の金利が付くということは、100万円が、1年後に110万円になるということです。2年後には121万円に、3年後には133・1万円になります(複利計算をしています)。

お金は増えているのですが、インフレですから、物価も上昇しています。つまり、こういった状態のときは、インフレが進んでいるということです。
インフレは、お金(通貨)の価値が下落することですから、その国の中では、その通貨価値は下落しています。

こういった通貨価値の変動は、日々のマーケット(外国為替市場)で、徐々に調整されればよいのですが、インフレ率ばかりがマーケットの変動要因ではありません。

インフレ率が高い、つまり、高金利であることが要因になってキャリー・トレードが行われると、その高金利通貨は、「買い」の対象になります。

繰り返しますが、ある通貨が高金利であるということは、その通貨を発行している国がインフレであるということです。ですから、いずれ、その通貨価値は下落する可能性があります。

そうであるにもかかわらず、高金利の通貨は、低金利の通貨を売って、高金利の通貨を買うキャリー・トレードのターゲット(買いの対象)になっているのです。
キャリー・トレードが続いて、その規模が拡大増加している間は、インフレ(高金利)であっても、むしろ、その通貨の価値は上昇します。

現在のマーケットは変動相場制ですから、需給で価格(為替レート)が決まります。キャリー・トレードによって、高金利通貨の需要が高まれば、価格が上昇する場合があるのです。

しかし、インフレが、通貨価値を下落させる可能性が消えることはありません。
需給による価格変動の陰に隠れて見えにくくなっているだけで、潜在的に存在し続けています。
インフレで、その価値が下落する可能性を含んでいる高金利通貨が、需給関係から買われることで、むしろ、その潜在的な下落リスクは大きくなっているのです。

人は、世の中が変わらないことを前提に、さまざまな取引をしています。
しかし、日々の変化は小さくても、それは徐々に矛盾を溜め込み、次の大きな変化のエネルギーとして蓄積されていきます。

地球上の大陸プレートの移動は、1年ごとに数ミリから数センチ程度で、日々の変化は、人間には感知できないでしょう。
しかし、プレートは時々刻々と動いています。プレートとプレートの圧力が一定のレベルにまで溜まると、プレートは瞬時に大きく動き、それまでに溜めたエネルギーを放出します。突然の大地震となって修正を行うのです。

それは、表向きにはよくわからないし、目にも見えないでしょう。火山の地底深くにマグマが溜まり、それが抑えきれなくなると、突然に噴火するのと同じことです。

マーケットも、矛盾がないわけではなく、不完全なシステム(制度)のもとで運用されています。
日々、少しずつ矛盾が溜まって、いずれ激変を起こします。その激変するときこそが、マーケットの「クラッシュ」と呼べるのかもしれません。
つまり、インフレによる通貨価値の下落が、キャリー・トレードによって、覆い隠され、一見しても目に見えない状態になっています。
しかし、その矛盾は無くなった訳ではなくて、蓄積されているのです。
その溜め込んだ矛盾を、一度に放出するときが、「クラッシュ」です。

キャリー・トレード崩壊時の「クラッシュ」は、それまで買われてきた高金利通貨の急落の形で顕在化します。言い換えれば、それまで上昇してきた高金利通貨が大きく下落して蓄積されたエネルギー(矛盾)を放出するのが「クラッシュ」です。

それは、「ガス抜き」と一緒ですから、時間の経過とともに、またガスが溜まるように、「クラッシュ」が小さなものであれば、何度も小さな「クラッシュ」が起こります。

第271回 トレード・スタイルは十人十色

夏休みもたけなわです。来週は「お盆休み」ですから、もっとも「夏休みらしい」時期になります。

こういったときですので、一般論を述べたいと思います。
拙著『FXで稼ぐ人はなぜ「1勝9敗」でも勝つのか?』から引用します。

●●相場で勝つための一番の近道

外国為替相場の必勝法。
それは、「必勝法などない」と悟ることではないか、と考えています。

「勝率90%! 楽して稼げる外国為替取引必勝法を知っています!」
といったキャッチ・コピーを見かけることがあります。

しかし、相場の先人たちがすでに何百年も前からトレード手法を研究してきています。

手法は多岐にわたり、各界の天才・奇才たちがそれこそ太陽系の惑星配列から、太陽黒点の動きから、占星術やさまざまな占いはもちろん、コイン投げからサイコロまで、ありとあらゆる分野を利用し、何とか少しでも利益を出そうとしてきました。
素晴らしい努力です。

しかし、「楽して稼げる相場の必勝法」など中世の錬金術同様、ただの『幻想』です。

面倒ですが、儲けたければ勉強してみましょう。
たぶん、それが一番近道です。

「相場は努力次第で、ある程度何とかなる」と考えています。
ちなみに、「勝率が異常に高い」=「損切りをしていない」あるいは「薄利決済」です。

賛否両論ありますが、議論を突き詰めると、「長続きしない手法(システム)」である、とされています。

●●トレード・スタイルは十人十色

ファンダメンタルズ派、テクニカル派、長中短期、デイ・トレード、順張り、逆張り、システム売買、ランダム売買、両建て、難平(ナンピン)......。

トレード・スタイルは十人十色です。

自分とトレード・スタイルが違うからといって、頭ごなしに否定してはいけないと考えています。
トレード・スタイルは、各人各様、さまざまな手法があります。
それぞれのトレード・スタイルをよく理解し、その長所・短所をわきまえて、自分に合ったスタイルを身に付けることが相場に勝つコツです。

第270回 アウフヘーベン(止揚)

※アウフヘーベン(止揚)=哲学用語
あい矛盾する事柄を、より高い次元で、どちらも生かすこと。矛盾する諸要素を、より高い段階で、発展的に統合すること。

世の中には、一見すると矛盾しているのですが、よく考えると、矛盾していないことに気が付く事柄(事象)があります。
あるいは、真実なのだけれど、その真実に従っていると、なかなか旨味が受け取れない事柄もあります。

例えば、「ふぐ」には「毒」があります。
「だから、食べない方が良い。」
そういった対応、対処法は、正しい、と言えるでしょう。「リスク」を避けるといった便法としては、最善の策です。「ふぐ」を食べなければ、「ふぐの毒」にあたる可能性は無いのですから、リスクは「ゼロ」です。

しかし、「ふぐ」は美味しいのです。
そこで、人間は考えます。その「ふぐの毒」を除去して食べれば良い、と。そうやって、日本人は「ふぐ」を食してきました。

長い歴史の間に、「ふぐ」のどこに「毒」があるのかを研究して、調理法を工夫した人がいたはずです。きっと、その中には、そういった調理法を研究しているときに、「ふぐの毒」を食してしまい、貴重な犠牲者となった料理人もいることでしょう。

もちろん、現代は、特別な免許がなければ、「ふぐ」を料理してはいけませんが、そういった「法律」とか、「免許」といった制度がない時代から、日本人は「ふぐ」を食してきました。
豊臣秀吉が、朝鮮征伐を行なった際に、九州で「ふぐ」を食べるのを禁止した話が残っています。このことから、当時の人々が「ふぐ」を食べていたことがわかります。「ふぐ」を食べて死んだ人が多かったので、禁止令が出たはずだからです。

地元の人たちは、調理法を知っていますが、九州に、遠方から集合した武士たちの中には、「死ぬこともあるまい」と考えて、あるいは、「必ずしも、あたるとは限らない」と考えて、「そんなに美味いのなら食べてみよう」といった人も多かったのでしょう。

私が、ここで、何を言いたいのか、というと、「美味いもの」を食べるにも、「食べ方がある」、ということです。

外国為替取引(FX取引)には、キャピタル・ゲインという「旨味」があります。
ところが、損をして「元本自体が減る」という「リスク」もあります。
このことは、裏返せば、「元本自体が増える」という「リスク」も内包しています。
どういうことかというと、FX取引で、外貨買いをした場合、外貨価格が上昇すればキャピタル・ゲイン(利益)、外貨価格が下落すればキャピタル・ロス(損失)になります。
逆に、FX取引で、外貨売りをした場合は、外貨価格が上昇すればキャピタル・ロス(損失)、外貨価格が下落すればキャピタル・ゲイン(利益)になります。

このリスクは、マーケット(外国為替市場・FX市場)が、どのような状況になっても存在し続けているのです。

過去数年の間、金利差を狙った取引(売買)が横行しましたが、もともと金利差を目的とした外貨投資は、一概には、勧めることができません。
現在、復活の兆しが見えますが、やめた方が良い、と考えます。
しかし、外国為替市場には、トレンドがありますから、金利が高い通貨であっても、その価値が上昇することがあり、金利差を享受しながら、「為替差益」をもダブルで享受できる場合があります。それは否定しませんが、そういったラッキーな時期がある、というだけのことです。そこに主眼を置いたFX取引は、やめた方が良い、としか言えません。

外国為替取引は、金利差を狙うのではなく、「キャピタル・ゲイン(為替差益)」を狙うこと、――つまり、トレンドを狙うこと――で、利益に結びけるべきだ、と考えています。
つまり、実は、金利差は、「おまけ」に過ぎません。認識としては、「金利差を享受できれば、なおラッキー」といった程度のことなのです。

金利差を狙った取引は、未来永劫うまくいくというわけではありません。
うまくいく時期がある、ということです。
そのことでは何度も警鐘を鳴らしましたが、昨年(2008年)、その警鐘が正しかったことが証明されています。これからも、また金利差を狙った取引が行われ、それが失敗に終わることを繰り返すことでしょう。だから、また、先々に(数年後でしょうが)、「警鐘の証明」が起こります。

しかし、外国為替取引は、金利差を狙うのではなく、「キャピタル・ゲイン(為替差益)」を狙うこと、――つまり、トレンドを狙うこと――を目的とすれば、外貨投資を行なう際に、その外貨の価値(価格)が下落する場合でも、利益を追求できることになります。

つまり、「リスク」を「リターン(利益)」にかえる発想です。
こういった事柄は、「アウフヘーベン」をしないと、「単なる矛盾」「単なる詭弁」にしか見えない(聞こえない)ことかもしれません。



 >   >  2009年08月