第236回 「通貨の表示機能」

先週は、「基軸通貨」が話題になりました。それに関連して、お金に機能をテーマにします。

お金には、いくつかの機能がありますが、その中に「表示機能」もあります。
このお金の機能を使えば、まったく異なるものの価値の比較ができます。

 たとえば、美術館に、古い美術品の「つぼ」があったとします。
それが、高価であることはわかるのですが、古美術の鑑定は誰にでもできるわけではありませんから、具体的にどれほどの価値なのかは、簡単にはわかりません。
 一方、その美術館には「ゴッホの絵」が展示されています。
 果たして、先ほどの「つぼ」と「ゴッホの絵」とでは、どちらの価値が大きいのでしょうか。
「つぼ」と「絵」を、単純に比較しても、答えは出てきません。
 しかし、この「つぼ」の鑑定された値段が1000万円で、「ゴッホの絵」が10億円ならば、誰でも簡単に、「ゴッホの絵」の方が価値が大きいとわかります。

 もちろん、こういった美術品は、個人の好みがありますから、「それでも、私にはつぼの方が価値がある」と考える人もいるでしょう。
 ここでお話しているのは、あくまでも一般常識で、経済的にどちらの価格的価値が大きいかを客観的に比べることです。そういった場合、比較するものを、それぞれ金銭価値で表示すれば、まったく異なるものであっても、その価値を簡単に比べることができるようになります。

 ここで、気を付けなければいけないことは、ものの価値を金銭で表示して比較する場合には、同じ通貨(お金)を用いる必要があるということです。
 どういうことかと言うと、先ほどの例で、古い美術品の「つぼ」が1000万円で、「ゴッホの絵」が1000万ドルと表示されると、通貨(お金)が違うので、すぐには比較できなくなります。

こういった場合は、両方を円(JPY)で表示してもよいし、それぞれをドル(USD)で表示して比較してもよいのですが、いずれにしても、表示する通貨(お金)を統一しておかないと、その価値を直感的に比べることができません。
 ここでは、通貨を円(JPY)で表示する場合と、ドル(USD)で表示する場合を引き合いに出しましたが、日本人にとっては当然、円(JPY)で表示する方が、イメージしやすいでしょう。
 通貨を統一すれば、どんな通貨で表示しても、どちらの方が価値が大きいのか簡単に比較できますが、普段使っていない通貨で言われても、それが、どれほどの価値なのかはピンと来ません。

 では、この「つぼ」と「ゴッホの絵」の比較について、フランス人に説明することを考えてみましょう。
 もちろん、その場合でも、古い美術品の「つぼ」は1000万円で、「ゴッホの絵」は10億円とフランス人に伝えれば、価値の大小はすぐに理解してくれるでしょう。
 しかし、その場合は、「つぼ」は10万ドル(100,000ドル)で、「ゴッホの絵」は1000万ドル(10,000,000ドル)と説明した方が親切です。
 それは、ドルが「基軸通貨」だからです。

 フランスやドイツのように、ユーロ(EUR)を使う国の人々には、ユーロ(EUR)に換算して伝えれば、より親切でしょうが、ドル(USD)は現在の基軸通貨ですから、ドル(USD)で表示しても失礼にはなりません。

 中東や南米の人たちに、こういった説明をするのならば、円(JPY)でも、ユーロ(EUR)でもなく、ドル(USD)で表示して伝えるべきでしょう。

第235回 目先、短期的な膠着状態

目先、短期的な膠着状態と考えます。
拙著「FXで稼ぐ人は、なぜ1勝9敗でも勝つのか?」から、引用します。

●●相場が持ち合いになったときの格言

まず、「相場持ち合いとなれば、同数の取り合いなり。逆向かいを可とする」という格言の意味を説明しましょう。

「持ち合い相場」が続くと、市場参加者の考えが、ブル・ベア均衡するようになります。
ブル派(相場が上がると考えている人たち)は、価格が上昇すると、さらに買う行動に出ます。思っていた通りの、いかにも強い相場つきに見えるので、買いで付いていきたくなるのです。

しかし、そこは逆向かって、売ってもいいですよ。

ベア派(相場が下落すると考えている人たち)は、価格が下がると、「ほれ、見たことか」といわんばかりに売ります。

しかし、そこは逆向かって、買ってもいいですよ。

この格言は、そういった意味です。

●●逆張り「可」の場合とは?

けれども、相場の動きは、結果として「持ち合い相場」と気が付くのであり、いつ何時、持ち合い相場を放れるのかは、誰にもわからないことです。
 別な言い方をすれば、「この相場はまだ、持ち合い相場が続くのだ」と、自ら判断した場合にのみ通用する格言なのです。
 相場の格言は正しいことが多いのですが、まず、前提条件がそろわないと当てはまりません。

 ですから、この格言は「逆向かいを可とする」という表現をしています。
「やりたければ、そのようにやってもいいですよ」といったニュアンスなのです。
 言外に、「やらなくてもいい」「場合によっては、いつ何時、相場が放れるかわからないから、やらない方がいい」といった意味合いが含まれているのです。
「このようなときには、このように対応しなさい」という強いニュアンスの場合には、「逆向かいをするべし」とか、「逆向かうべし」といった表現になるはずです。
「膠着(こうちゃく)相場」というか、「ボックス相場」というか、そのような値動きをしているときにも、利益を追求しなければならない場合のアドバイス(格言)だと思います。

 相場そのものを商売にしている人たちに向けての言葉でしょう。
 しかし、「逆向かいを可とする」相場で、実際に「逆張りオペレーション」を行った場合には、最後に、どちらかに放れるところで、必ず「損切り(負け)」になります。
 ですから、「逆張り」で何往復とれるのかが、損益の分かれ目になります。
 オプション・プレイヤーがストライク・プライスを中心に、売買を繰り返すオペレーション(リボルビング・オペレーション)をよくやっていますが、その技法も、この格言にのっとったものです。

 ですから、本当は値幅の小さい「膠着相場」「ボックス相場」の場合には、「休むも相場」と考えて、パスした方がいいのでしょう。
 しかし、そういった相場が続いてしまうと、「休んでばかり」ということになってしまいそうですが......。

第234回 チャートは8割程度当たる

「チャートを見ればFXで勝てますか?」
といった質問をよくいただく。

「チャートを徹底的に研究して、それに従えば、8割程度の確率で勝てるでしょう。」
と、お答えしています。

チャート分析では、大きな流れを読むことが大切です。

私はチャーチストではありません。だから、チャートを100%信奉するわけではありません。
しかし、チャートは8割方当たると思っています。
チャートをひと言で表現すると「過去のパターン分析」なので、相場つきによっては、役に立たないこともあるが、パターンに当てはまる動きをしているときは『このパターンが出たら次はこうなる』という予測はある程度当たります。

チャートは、期間の長いものから見る。つまり、チャートは「月足→週足→日足」の順に見ていく。それが原則だと考えています。
ところが、多くの人は日足などの短いものしか見ず、目先の小さな値動きを追いかけたがる。

「20~50銭程度の小刻みで不安定な値動きをフラクチュエーションといいます。フラクチュエーションをチャート分析で予測するのは難しい。
もちろん、上がりそう下がりそうという大まかな方向は誰でも〝感じる〟ことができますが......」

そこで、チャートを分析するときは目先の値動きを追うのではなく、まず、月足を見て大きな流れを読む。月足を毎日1回見ると良い。

すると、
「えっ!? 毎月ではなく毎日ですか?」
といった質問をいただくことがある。

「月足チャートを見て、『今日もトレンドは変わっていない』と確認することが大切だと考えます。」
1時間足を見たり、日足を見ていると、たいてい月足を見なくなってしまう。

トレンドを見たら次の週足、日足のチャートに進んでポイントをチェックする。
過去の高値・安値でチャートを読んでいく。

『チャート分析で8割程度当たるというのなら、「チャート売買」に徹すればいいのではないか?』
といった質問もいただく。

「自己判断を消して『チャートのシグナル』に、必ず従うのならば、それもいいでしょう。
その代わり、自分がここは買いだと思っても、チャートが売りと告げたら絶対に売る。
チャートに徹することができるのならば、そこそこ上手く行くはずです。」

一度でもチャートと違うことをやると、その後も自分の判断で売買をしてしまいがちになる。これが一番よくないパターンです。

プロでも己を消してチャートに従って売買する人はいる。

しかし、私自身はそれでは面白くないと思っているので、チャートがどう告げようと自分が買いたいときに買う。判断が間違っていたら損切りをします。だから私は、自らをチャーチストではない、と考えています。

別な言い方をすると、私は、チャートが2割外れるところに留意している、ということです。

第233回 FOMCの結果に大きく反応してドル急落

昨日(3月18日)のマーケット(外国為替市場)では、ニューヨーク市場で発表されたFOMCの結果に大きく反応してドルが売られた。

ドル/円は、98円台前半程度から、95円台後半に急落。「ドル売り円買い」が炸裂した。2円強の「ドル安円高」になっている。

ユーロ/ドルは、1.31台前半から、結果的に、1.35台前半に急上昇した。これは、「ユーロ買いドル売り」。約400ポイントの「ユーロ高ドル安」となった。

ポンド/ドルは、1.39台ミドルから、結果的に、1.43台ミドルへ急騰。これは「ポンド買いドル売り」で、約400ポイントの「ポンド高ドル安」が進んだ。

強烈な「ドル売り」の反応だ。

FOMCでは、短期金利は据え置きだったので、マーケットの「ドル売り」の反応は、FRBによる長期国債(トレジャリー・ボンド:米国債)の最大3000億ドルの購入が表明されたことが原因と考える。

長期国債(トレジャリー・ボンド:米国債)の価格高騰から、ドルの長期金利が急落した。
米国債10年ものの利回りが一時2.5%を割り込んでいる。

こういったドルの長期金利の下落を材料とした「ドル売り」がいっせいに出たようだ。

 FOMCでは、ドルの政策金利(フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジ)は、現在0-0.25%に設定されているが、それは据え置いた。

 外国為替市場全体が、「ドル売り」に動いている。

 テクニカル(チャート分析)で見ると、ドル/円に関しては、ごく目先、95円台ミドルが弱いサポートになっている。そこが割れると、その次は、[94.60]がチャート・ポイント。
 これらのサポート(チャート・ポイント)が割れる場合は、ドル・ロング派(ドルの買い持ち派)は、いったん、損切りを敢行した方が良い、と考える。

 別な言い方をすれば、ごく目先は、95円台ミドルを割り込んだあたりにストップ・ロス・オーダー(損切りのドル売り円買い)がある、ということ。

さらに、[94.60]のチャート・ポイントを割り込んだあたりにも、ストップ・ロス・オーダー(損切りのドル売り円買い)がある。
[94.60]のチャート・ポイントを割り込んだあたりにあるストップ・ロス・オーダーの方がアマウント(金額)が数段大きい、と考えられる。

(2009年3月19日東京時間11:30記述)

第232回 リスク回避の伝統的な手法「外貨預金」と「インパクト・ローン」

個人向けの外国為替取引が盛んになっています。それは、外貨を取引するための金融商品が開発されて、個人投資家の利便性が向上したからです。
 では、昔はどうだったのでしょうか。
 為替レートは、常に変動しています。ですから、そのリスクを回避する手段(テクニック)は、実は昔からあったのです。

輸入企業は、「ドル高」になると困ります。
 取引先にドルで支払う場合には、マーケット(外国為替市場)からドルを買って支払いに充てます。ドルが高くなってしまうと、その購入代金である円をたくさん支払わないと、ドルを買えなくなってしまいます。
 ですから、ドルが安いときにドルを買って、銀行に外貨のまま預金しておきます。つまり、外貨預金です。
 決済日(ドルを取引先に支払う日)に満期が来るように、その外貨預金を設定しておけば、普通預金ではなく、定期預金ですから、若干、金利も高くなります。
 満期日に、このドルを、そのまま支払いに充てればよいのです。
 これは、ドル上昇リスクに対するリスク回避です。
 自分の保有している円資金をドルに換えることを「ドル転」と言いますが、今、手元には円資金がないかもしれません。そういった場合は、円資金を借りてきます。
つまり、円ローンを組んで借金をするのです。こうなると、「円キャリー・トレード」とまったく同じことになります。

輸出企業は、「ドル安」になると困ります。
 製品を輸出しても、その代金が入ってくるのは、先の日付になります。たとえば、代金を受け取れるのは半年後としましょう。
 代金の受け取りを現在の為替レートで予定している場合、半年後に為替変動がなければ、予定通りの金額の日本円を受け取れます。しかし、為替変動がない、などということはあり得ません。
 半年後に、「ドル高」になっていれば、受け取りの円は増えますが、「ドル安」になっていると、受け取りの円が減ってしまうことになります。
「ドル安になると困る」と判断した輸出企業は、インパクト・ローン(使途自由の外貨ローン)を組みます。
 インパクト・ローンは、居住者による外貨での借り入れのことです。何に使ってもよく、使い道に制限のない外貨建てのローンです。
 基本的に、通貨の種類や借り入れ(ローン)の金額、金利について規制がなく、簡単な手続きで申し込むことができます。
通貨の種類は、外国為替銀行が調達可能な主要通貨であれば、どんな通貨でも借り入れることができます。
 ここでは、輸出企業は、ドル建てのインパクト・ローンを組むことにします。
 その輸出企業は、インパクト・ローンで借りてきたドルを円に交換します。このことを「円転」と言います。
 そして、その円転した円資金を、そのまま円預金にします。この場合も、半年間の定期預金にしておけば、若干、金利は高くなるでしょう。
 半年後の決済日(円預金の満期日=ドルを受け取る日)に、輸出先から受け取ったドルをインパクト・ローンの返済に充てます。
そして、半年間の定期預金にしておいた円預金は満期日を迎えていますから、この円資金を受け取ります。
インパクト・ローンを設定したときのドル/円(USD/JPY)レートが100・00円、決済日のドル/円レートが95・00円としましょう。
すると、5円の為替差益を得ることになります。
インパクト・ローンを設定せずに、決済日まで何もしなければ、1ドル=95・00円で、ドルを円転しなければならないことになります。インパクト・ローンを設定したときよりも「ドル安」になっていますから、受け取れる円の額は目減りします。
 インパクト・ローンを設定することは、事実上、「ドルのキャリー・トレード」と同じことです。

第231回 理不尽は、いつまでも続かない(その2)

今回のコラムは、引用の部分が多く、平素よりも長文です。

以下の文章は、昨年(2008年)3月に上梓した「FXの教科書」のオリジナル原稿です。(本に掲載したときに、少し加筆修正をしています)
ですから、この文章を書いていた時期は、2007年11月、12月ころです。
しかし、以下の文章は、現在の状況(2009年3月)にも、そのまま当てはまります。
結果的に、現時点では、シティバンクやメリルリンチは、事実上は米国政府管理下にあるとはいえ、生存している状況です。


 以下の文章の中で、次のように、述べています。
『損失額を公表していないところに(金融機関とは限らないが)、一番のリスクが在るのではないか?
つまり、損失額を公表したら、倒産してしまうところ(企業)は、損失額を公表できない。だから、当然、公表しない。
そういったところ(企業)は、突然に、倒産するのではないか?』

 それは、結果的に、そういったところ(企業)は、米国の自動車企業であった、と考えます。本を執筆していたその当時(2007年11月、12月ころ)には、その具体的企業名はわからなかったけれども、その時に予見していたことは正しかった、と考えています。
 今は、具体的企業名も明らかになった、と考えています。


(以下引用)
タイトル:【サブプライム・ローン問題】
サブタイトル:---『本当に、それだけ?』&『公表しないところの方が怖い』---

来年(※2008年のこと:注釈)の外国為替市場を考えると、「サブプライム・ローン問題」を無視することは出来ません。

時間の経過により、「サブプライム・ローン問題」もいずれ解決(解消?)に向かい、その影響は薄れるとは考えていますが、当面の問題として、米国経済の足を引っ張ることは明らかだ、と考えます。
そして、また、短時間で、一気に解決するマターではありません。

「サブプライム・ローン問題」で、大手の金融機関のいくつかは、その損失額を公表しています。

米国では、メリルリンチが約9000億円の損失。
シティバンクが、約1兆2000億円から約1兆3000億円の損失。

『すごい金額だなぁ・・・』
と思います・・・。

『普通は、つぶれるよねぇ・・・(大型倒産になるよね)?』
『そんだけの損失額を、出して、生き残れるのが、不思議・・・。』
それが素直な感想。

 でも、メリルリンチにしても、シティバンクにしても、つぶれない(倒産しない)のだろう、と考えます。

理屈で考えると、『つぶれない(倒産しない)』が答えになります。

『損失額を公表しないリスク』
と、
『損失額を公表することで得られるメリット・デメリット』
を、比較考量して、その巨額の損失額の公表に踏み切ったハズだからです。

何も考えずに、公表した訳ではないでしょう。
巨大金融機関のブレーンが、そういった比較考量を、行わない筈が無いではないですか?!

ここで、私は、漠然と思います(感じます)。

『メリルリンチや、シティバンクの「サブプライム・ローン問題」に伴う損失は、本当に、それだけなのか?』


このところ、日本では、食品関連の虚偽表示が問題になり、話題に上りました。

最初に問題が発覚したときは、
『トップの指示ではないし、トップは知らなかった』。

時間の経過で、事実を調べていくと、
『トップの指示であったし、指示をしているのだから、トップは当然に知っていた』。

そして、さらなる謝罪会見。

人間は、『少しでも、逃れようと、取り繕う』といったところがあります。
誰でも、そうでしょう。

だから、
『メリルリンチや、シティバンクの「サブプライム・ローン問題」に伴う損失は、
本当に、それだけなのか?』
『メリルリンチや、シティバンクの自らの発表を、鵜呑みにしていいのか?』
 『メリルリンチや、シティバンクのトップは、日本の食品関連会社と違って、何も隠していないのだろうか?』
と、疑ってかかる必要を、漠然と思うのです(感じるのです)。

今、話題の防衛省の問題でも、徐々に、明らかになっている部分があります。
「芋づる」のように、何だか、次から次に、出てくる印象です。

つまり、『最初から、全部を明らかにしている訳ではない』ということです。
(まあ、当たり前なのかもしれませんが・・・)

私は、
『メリルリンチや、シティバンクの損失額は過少申告なのではないか?』
と、疑っています。

もうひとつ、私が、漠然と思う(感じる)こと。

巨額の損失を公表しているところは、倒産しないのだろう。

損失を隠匿して、それが原因・理由で、倒産に追い込まれたら、それは得策ではない。
 と言うか、それは、馬鹿げているから、損失額を公表した。
そういった、策に出た訳だ。

損失額を公表していないところに(金融機関とは限らないが)、一番のリスクが在るのではないか?

つまり、損失額を公表したら、倒産してしまうところ(企業)は、損失額を公表できない。だから、当然、公表しない。

そういったところ(企業)は、突然に、倒産するのではないか?

2008年になると、
『突発的なニュースが、これから、出るのではないか?』
と、考えています。

何も考えていない場合は、それは『突発的ニュース』だろう・・・。

しかし、私は、
『今後、こういったニュースが出るのではないか?』
と、考えています。

だから、「サブプライム・ローン問題」に伴う損失で、前ぶれも無く、いきなり倒産するところ(金融機関とは限らない)が、ニュースになっても、それは、私にとっては、『突発的ニュース』ではありません。
『想定できるニュース』なのだ。

でも、そういったことがニュースになると、こんな『突発的ニュース』は、予見できない(予見できなかった)、とか、予想予測は不可能だ(事前には不可能だ)、とか、多くの人が、『言い訳』を、いつものように、するのでしょう・・・。

こういった状況ならば、『そういった想定』をするのが、当然ではないか?
 想定出来て、当たり前ではないか?
想定できない方が、変なのではないか・・・?

今後、そういったニュースが出てきたときに、『想定できなかった』と言う人は、『ウソ』を吐いているか、『よっぽど、頭の悪い人』ではないか?

と、思うのですが、私の考え方が変なのでしょうか?(言葉が、辛口なのは、ご容赦ください)

『私の考え方が変なのかな?』
と、心から、不思議に思うのです。

もう少し、詳しく説明しておきましょう。
そうしないと、上述は、『私が、自身の考え方を変に思っている』ようにも読めますから。

『私の考え方は、全く変では無く、私のように考えるのが、当然なのに、日本の世の中の考え方が、そうならないこと』を、不思議に思っているのです。


さまざまな立場があって、私と同じように考えているのだが、なかなか、それを公には言えない場合も、あるでしょう。それは、理解します。

例えば、日銀に勤務しているとか、財務省に勤務しているとか、そういった立場の場合は、上記のようなコメントは、立場上、控える必要があります。

そういった場合は、充分に理解しています。

きっと、日銀に勤務している方や、財務省に勤務している方の中には、
『よく言った!』
『オレには言えないよ・・・』
と、考えている人も多いのではないか?
と、思いますが、いかがでしょうか?

PS;(言葉が、辛口なのは、ご容赦ください)

第230回 理不尽は、いつまでも続かない

先週は、ポンドの政策金利、ユーロの政策金利が、引き下げられた。

また、週末(3月6日金曜日)の米国雇用統計では、NFP(非農業部門雇用者)は、ほぼ事前予想通りに、壊滅的に悪い数値だった。それでも、事前予想通りであり、想定の範囲内と言っても良い。
そして、前月、前々月のNFPが、下方修正された。
 さらに、事前予想が7.9%であった米国2月の失業率は、8.1%と、予想以上に悪い数値だった。

●米国2月の非農業部門雇用者数
予想:△65.0万人
結果:△65.1万人

●米国1月の非農業部門雇用者数
△59.8万人→△65.5万人

●米国12月の非農業部門雇用者数
△57.7万人→△68.1万人

●米国2月失業率
予想:7.9%
結果:8.1%

※失業率は、ここ25年で最悪を記録。

こういった米国経済指標最悪の状況で、為替は理不尽とも言える値動きが続いている。

 先週末のニューヨーク市場では、ドル/円は、96円台後半から98円台前半に上昇して引けている。

理不尽だろうと、何であろうとも、動いてしまえば、それがマーケット(為替相場)であり、『マーケットがおかしいとか、マーケットが間違っている』とは、言わない。

そこには、米国の意図的なものを感じるが、それは、何ら、根拠の無い感覚的なものに過ぎない。
 米国としては、シティバンク、AIGの倒産・破綻を認定するわけに、いかないのだろう。
理由は、、シティバンク、AIGの倒産・破綻を認めると、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)関連で、連鎖倒産の恐れがあるからだ。

そのために、結果的に、ドルを擁護するような結論に至っているのだろう、と推察している。

しかしながら、理不尽は、いつまでも続かない。
 正しいものは、正しいし、間違っているものは、間違っている。

米国政府が認めようと、認めまいと、(バーナンキFRB議長が、詭弁を弄しようと、しまいと、)シティバンクは、事実上の破綻であり、だから、事実上の国有化だ、かつ、AIGも事実上の破綻であり、事実上の国有化だ、と、私は、判断している。

今後、米政府は、どこまで、シティバンクやAIGの拡大化する損失の補填を続けるのだろう?

シティバンクやAIGの保有しているバッド・ローン(不良資産・腐って評価不能の資産)は、今後、さらにその巨額損失を拡大させるだろう、と推測できる。

もちろん、不良資産の価値が、ゼロになれば、それ以上は損が出ない。
 不良資産の評価額は、実際は、ゼロにはならないだろうが、現在の不良資産の額がわかれば、当面の最大限の損失額も推定できる。

怖いのは、今、不良資産に計上されていない資産が、不良資産に転化することだ。

シティバンク、AIGの倒産・破綻を認めると、現時点で、不良資産に計上されていない資産が、不良資産に転化する。


現時点で、不良資産に計上されていない資産で、不良資産化するものは、現在の米国にある金融資産に限らない。
欧州や、世界中にばらまかれていることが推察できる。

 こういった理不尽な状況下で、市場参加者は、狂気の動きを繰り返している。
 狂気であろうと、正気であろうと、現在のマーケットが、マーケットである。

投資家は、その規模の大小にかかわらず(投下資本の大小に関係なく)、「不用意な損失」や、「不測の巨額の損失」を避けるように、細心の注意が必要なステージだ。

マーケットが落ち着くのは、いつになることか、わかりかねるが、もっと、気分的にも楽に、利益を追求できるマーケット(相場)は、必ず、いずれやってくる(はずだ)。
それまでは、難しい対応を迫られるのだろうが、しのいでいきたい。

第229回 円キャリー・トレードのポジションは淘汰された

このところの外国為替市場で、それぞれの通貨ペア全体の値動きを総合的に見ると、昨年(2008年)までの値動きとは、少し違っている。

昨年(2008年)までの値動きでは、金融危機(信用不安)が起こると、「ドル/円の売り」と「クロス円の売り」となった。

それは、換言すれば、金融危機(信用不安)が起こると、「円キャリー・トレード」で作られたポジションの巻き戻し(解消)が出ていた、と言える。

くどいようだが、「円キャリー・トレード」は、円金利の超低金利を利用して、金利の高い通貨を買い、その金利差を享受しようとする取引手法。

ご存知の通りに、ドルにしても、ユーロにしても、ポンドにしても、その他の通貨にしても、軒並み、金利引き下げが行われ、現在の通貨市場では、「金利差を狙ったキャリー・トレード」は、ほとんど利用価値が無くなった。

原理・原則を述べておきたい。

金融危機(信用不安)が起こると、「質への逃避」(Fly to quality)が起こる。
 つまり、リスクのある(リスクの高い)金融資産を持っている場合は、リスクの無い(リスクのより低い)金融資産に、シフト(移動)しようとする。

このことを、外国為替市場にあてはめると、外国為替のポジション(海外投資)を持っている場合は、国内投資に戻そうとする、ということだ。

このところの米国での金融不安(シティバンク・AIG)の際に、ドル回帰が起こっているのは、米国から、海外投資(米国以外の国々への投資)が行われている場合に、「質への逃避」(Fly
to quality)が起こり、為替リスクを回避するために、自国(この場合は米国)へ、資金が回帰している、と言えるのではないか、そう考えている。

あまり、屁理屈をこね回すつもりはない。

ただ、このところの値動きは、昨年(2008年)までの思考では、説明が付かない。
 また、「円キャリー・トレード」は、ほぼ、淘汰されたと考える方が、現在の値動きを説明しやすい。

第228回 通貨取引は、物とお金の取引と違う

 変動相場制が採択され、制度が移行した当時、変動相場制は各国間の貿易不均衡を自動的に調整する機能を持つ、と考えられていました。

 たとえば、米国の対日貿易赤字が拡大すると、それは、日本の輸出額が増大していることですから、日本からの「ドル(USD)を売って円(JPY)を買う」といったニーズが強くなります。

「ドル売り円買い」が増えるのですから、結果として「ドル安円高」の圧力が強くなって、ドル/円(USD/JPY)の為替レートが下落します。
そして、「ドル安」になれば、米国製品の輸出が増加し、「円高」によって日本製品の輸出が減少して、米国の対日貿易赤字は解消されるだろう、といった理屈です。
 しかし、現実の世界経済では、こうした自動調整機能はうまく働きませんでした。

つまり、各国通貨間の為替レートは、必ずしも、貿易収支を均衡させる機能を果たしていない、ということです。

各国通貨間の金利差が外国為替相場に大きな影響を与えるなど、さまざまな為替変動要因が複雑に働いているため、為替レートが予想以上に不安定になることがあります。
 しかし、そういった欠点を抱えながらも、主要通貨間の変動相場制は、現在まで維持されています。

外国為替取引が、他の取引と比べて特徴的なことは、「通貨」と「通貨」の交換取引(Currencies Exchange Deal)であるということです。
「通貨」と「通貨」の交換取引であるということは、つまり、「対価」対「対価」の取引になる、ということを述べました。
ドル(USD)と円(JPY)の取引を例に取ります。
ドルの価格上昇は、すなわち、円の価格下落になります。
ドルの価格下落は、すなわち、円の価格上昇になります。
 ですから、外国為替取引では、一方の通貨の価格変動は、必ず、もう一方の通貨の反対の(逆の)価値変動になっているのです。

「通貨」と「通貨」の交換取引ではなく、「もの」と「通貨」の売買取引で考えてみましょう。「もの」と「通貨」の取引の方が、むしろ普通の取引でしょう。

「もの」は通貨以外の何でもよいのですが、BSE問題で話題になり、その際に価格が大きく上下した牛肉を例に挙げます。
 BSE問題で需要が大きく減った際に、牛肉の価格は大きく下落しました。
この場合、BSE問題で牛肉の価格は下落しましたが、それが、円の価格(価値)の上昇になるわけではありません。
 その後、BSE問題が一段落すると、牛肉価格は上昇しますが、このことが、円の価格(価値)の下落になるわけでもありません。

 外国為替取引(通貨間取引)ではない取引の場合は、一方の価格(価値)の上昇が、もう一方の価格(価値)の下落になるわけではない、ということです。

 こういった事は、通貨取引が、物との取引と違う具体例になります。



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