松田 哲氏 「ドル円ユーロタクティクス」

2008年12月 の記事

第212回 I wish you a Merry Christmas and a Happy New Year

さすがに、本日はクリスマスの当日ですから、外国為替市場も動かないだろう、と予想しています。
ドル/円(USD/JPY)は、90円台です・・・。

88円台程度、ないしは、89円台程度で、落ち着くかな・・・??
などと、思っていたのですが・・・。

『相場は、分からないものです。本当に。』

12月は、早々に、私は、「クリスマス体制」を取りましたので、あまり、興味はありませんが・・・・。
 ただし、誰よりも、丁寧に、『ふ~ん・・・。あっそう。』と、眺めています・・・・。

『それって、興味があるんじゃないの???』
って、言われそうですけど・・・・

来週は、クリスマス明けの週ですが、今週同様に、市場参加者が薄くなります。
それが、分かっているのに、『わざわざ何かしよう』と考えるのは、「変なこと」「不可思議なこと」「おかしなこと」です。

『今月の不測の値動きで負けてしまったので、なんとか少しでも、取り返したい・・・・』
そんな風に考えるのは、自分だけの都合に過ぎないことです。

薄いマーケット(市場参加者の少ないマーケット)でも、自分だけは、上手くやれる、
と、考えたから、手を出したのでしょう?

12月は、マーケットが薄くなるので、不測の事態が起こり易いのです。

負けて、命懸けで、勝負に出ているビッグ・プレーヤーが、いつものように、今年も、また、いることでしょう。
 それは、毎年、同じことが繰り返される、決まりきった年中行事なのです。

だから、来年の12月にも、同じことが繰り返されるはずです。

そんなことに、巻き込まれないように、自分を守るのは、大切です。

だから、それを見越して、『12月は、最初から、やらない方が良い』と、考えているのです。

果たして、来年の今頃に、今年の経験を生かすことが出来る人は、どれくらい残ることでしょう・・・?

もう、今年は、マーケット(相場)が、大きく、勝手に、動こうとも、あるいは、全く動かなくとも、やらない方が良いことを理解して、のんびりと、休みましょう!!!

負けて、悔しい人は、その悔しさを、来年までとっておきましょう!!!

来年も、マーケットは、あります。

メリー・クリスマス!!!

~♪♪~ I wish you a Merry Christmas,
~♪♪~ I wish you a Merry Christmas,
~♪♪~ I wish you a Merry Christmas and a Happy New Year. ~♪♪~

第211回 謙虚な気持ちを忘れずに

11月の下旬からお正月明けまでは、「クリスマス相場」。そのことは、このところのコメントで、詳しく記述しました。だから、この期間に相場をやらないことも、『素敵な戦術』。
 まさに、今週は、クリスマスの週だから、恋人とのんびりとする、家族とゆっくり過ごす、それも戦略。特に、今週は、やる必要が無い、と考えています。
 謙虚に、平素から思っていることを、拙著『FXで稼ぐ人はなぜ「1勝9敗」でも勝つのか?』から、少し修正して、引用します。

●相場をなめてはいけない。謙虚な気持ちを忘れずに

 1998年に外為法が改正されて以降、個人にも外国為替取引が開放されました。最近は、個人向けの外国為替取引も盛んになっています。
 一般に、個人向けの外国為替取引は、「レバレッジ効果」を利用した「ハイリスク・ハイリターン」を狙った取引です。

ここでちょっと、「レバレッジ(Leverage)」について、説明を加えておきましょう。
借入金などを利用して、自己資金を上回るポジション(外国為替の持ち高)を持つことを「レバレッジを効かせる」と言います。
高いレバレッジを効かせて取引をすると、わずかな値動きでも、相場を当てれば、大きな利益になります。
しかし、相場を外して損失になると、その損失も大きなものになります。
 レバレッジ効果は、「諸刃の剣」ということです。
 ですから、外国為替取引で、継続して利益を得るのは容易なことではありません。
 別な言い方をすれば、外国為替相場を読み、それに対応していくことは、決して簡単なことではないのです。
「こんな相場は簡単だ!」と油断したときに限って、往々にして致命的な大損をすることがあります。
 相場をなめると、こっぴどくやられます。うまくいっても、いかなくても、謙虚な気持ちで臨むことが大切なのです。

●相場では「絶対がないこと」が絶対

「絶対に[90.00]を割れることはない!」
 こういった意見(コメント)を耳にすることがあります。
 しかし、こういったコメントは、根拠があるようで、実はまったくない、ただの希望的観測に過ぎません。
 こういった、相場に対してさまざまな考えを持つことを、「思惑(おもわく)」と言います。
つまり、理由は何でもいいのですが、ドルが上がるだろうとか、下がるだろうとか考えることを「思惑」と言うのです。
ですから、何かしらのことを理由に、先行きの相場の見通しを立てることを「思惑を持つ」と言います。

残念なことに、なかなか相場は思惑通りに動いてはくれないものです。これは不思議なのですが、誰にとっても思惑通りには、ならないものなのです。
 相場で「買い方」が外れたら、「売り方」が勝っている、と誰でも考えることでしょう。ところが、資金管理がうまくいかなくて、「売り方」も負けていた、といったことが往々にして起こっています。
こういったときに、まったく相場は思惑通りにはならないものだ、と発見します。
 そういった意味で、相場に絶対はないのですが、いい加減な売買では絶対に勝てないことも真実なのです。
 本当に、いつ、何が起きても不思議ではないのが相場です。

第210回 「クリスマス相場」の真っ最中です

 11月末(2008年11月27日)に、サンクス・ギビング・デイ(Thanks Giving
Day、感謝祭)から、ニューヨーク市場では、クリスマス・シーズンの始まりであることを述べました。
 クリスマス・シーズンには、ニューヨークの外国為替ディーラーたちは、いっせいに休暇を取ります。
12月はイヤー・エンドですから、1月から11月までの11ヶ月間で、バジェット(収益目標)を達成しているディーラーは、まるまる一ヶ月休暇を取ります。せっかくバジェット(収益目標)を達成しているのに、わざわざ会社に来て、相場の動きに巻き込まれるリスクを取るのは馬鹿げているからです。

 今年の相場は、難しかったので、イヤー・エンドやらクリスマスなど関係ない、と奮闘しているディーラーや、会社の存続問題で、相場どころではない市場参加者も多いのでしょう。それも、分かりますが・・・。
相場は、いつも毎年難しいのですが、サブプライム・ローン問題での巨額損失に端を発した金融不安、リーマン・ブラザースの倒産、現在の米国自動車企業(ビッグ・スリー)の破綻危機などなど、大問題が山積みで、特に、今年の相場は難しい。そう感じます。

相場は必ず勝てるとは限りません。特に、余裕がないときは『欲』がでますから失敗する可能性が高くなります。
『あと少し・・・・』
『ここまで来たら・・・・』
『為替レートが、○○○円になったら・・・・』
 そう思ったときに、届かずに大失敗した経験は、誰にでもあるのではないでしょうか?

『欲』は、こうあってほしいという『願望』であり、『思惑』に過ぎません。
そういった気持ちが強い時は、冷静な判断ができずに、アゲインストのポジションを持たされたまま、相場に持っていかれることが多いのです。
『失敗したくない』『負けたくない』といった気持ちが強い時は、『損切り(ロス・カット)』が遅れがちになります。無理をすると、余計な負担が増えるだけです。

 多くのディーラー達が、イヤー・エンド休暇を取っているのですから、ニューヨークの外国為替市場は参加者が少なくなります。すると、取引量も少なくなりますから、マーケットは薄くなって、値が飛びやすくなります。
 『リクイディティ』が少なくなっているマーケットは、不測の動きになることもしばしばです。

今年の成績がある程度満足できる状態のディーラーは休暇を取っていますから、12月のマーケットに残っているディーラーは、はっきり言えば、負けたディーラーだけになります。
先週のマーケットを見ていると、そういった雰囲気が伝わってきます。

 為替レートが動く理由がなくとも、「大量のドル売り」や「大量のドル買い」を仕掛ければ、マーケットは動きます。
だから、クリスマス・シーズンの、薄いマーケットを狙って、「大量のドル売り」や「大量のドル買い」を仕掛ける人が出てきます。
 通常のマーケットを考えると、為替レートが動く理由・原因があっても、売り手と買い手がぶつかり合って、売買が均衡している場合は、緊張感を持ちながらも、レートは動きません。しかし、売買が積み上がって、均衡が崩れた途端にレートが走り出すのです。
レートが大きく動く時は、水面下で必ず大量の売買が行われています。
為替レートが大きく動く場合は、大量の売買を伴っています。
『プライス』だけを見ると、出会いも無くレートが飛んでいるように見えますが、水面下で、必ず大量の取引が行われています。取引を伴わずにレートだけが動く、といったことはありません。
 動いてしまえば、『それがマーケット』ということになります。

 個人的には、『12月は、できればマーケットに参加しないようにしたいもの』と常々思っています。市場参加者の少ないときは、不測の事態が起こった場合に、展開が読みきれないものだからです。
市場参加者が多いときは、それなりに過去の経験則やら、データが通用するのですが、市場参加者の少ない場合は当てはまらなくなります。
どうしても、何かするのならば、それを理解したうえで参加するべきでしょう。

余裕のある人は、「12月にやってるヤツは、負けたヤツ」と思って、のんびりしましょう。来年もマーケットはあります。
個人的には、「12月にポジションを取る必要なし、休むがベスト」と考えています。

日本では、12月は、師走であわただしい季節なのですが、海外市場はクリスマス・シーズンです。
外国為替市場は、東京市場、ロンドン市場、ニューヨーク市場が三大市場ですが、日本の慣行をロンドン市場やニューヨーク市場に押し付けるのは間違いです。むしろ、外国為替取引をするのならば、世界の市場慣行に合わせるのが当然です。

第209回 金利は、その国のインフレ率です

日本人は、もともと日本円を持っているので、外貨投資をする際に、低金利の円を利用して儲けようとする傾向がありました。
しかし、そういった金利差を利用する取引は、もともと円資金を保有していなくても、取引をすることが可能です。
 円資金を持っていなければ、円を借りてくればよいのです。
 日本円の金利は、長い間超低金利でしたから、低い金利で円を借りてきて、その円資金をドルに交換して、ドルで運用すれば、その金利差を享受できました。
 2008年12月現在は、ドル金利も1%程度と超低金利になり、日本円と比較しても大差がなくなりましたが、2007年までは、明らかに、日米金利差を享受しようとする動きがありました。
 円の低金利を利用して、高金利通貨との金利差で儲けようとする取引手法(トレード・テクニック)を「円キャリー・トレード」と言います。
 金利差を狙って儲けようとするのならば、低金利の通貨と高金利の通貨を組み合わせればよいのです。それは、その通りです。
 この10年以上にわたって、円金利が群を抜いて低かったので、「円キャリー・トレード」という言葉は、世界のマーケット(外国為替市場)で、流行語になりました。
 円金利が相対的に高かった1990年代前半ごろには、スイスフラン(CHF)金利が相対的に低い時期がありました。そのころには、「スイスフラン・キャリー・トレード」という言葉も使われました。
 この過去数年でも、スイスフラン金利は相対的に低かったので、「スイスフラン・キャリー・トレード」を行う市場参加者がいました。
 しかし、日銀がゼロ金利政策を採ったように、円金利の低さはスイスフランのそれを上回っていました。ですから、「円キャリー・トレード」は「スイスフラン・キャリー・トレード」以上に注目されて、世界中でブームになったのです。

しかし、「円キャリー・トレード」は、もともと矛盾しているのです。
 金利とは何でしょうか。
 金利は、その国のインフレ率です。
金利が高いということは、その国のインフレ率が高く、その国の通貨価値は、いずれ下落することを意味しています。
 たとえば、10%の金利が付くということは、100万円が、1年後に110万円になるということです。2年後には121万円に、3年後には133・1万円になります(複利計算をしています)。
 お金は増えているのですが、インフレですから、物価も上昇しています。つまり、こういった状態のときは、インフレが進んでいるということです。
 インフレは、お金(通貨)の価値が下落することですから、その国の中では、その通貨価値は下落しています。
 こういった通貨価値の変動は、日々のマーケット(外国為替市場)で、徐々に調整されればよいのですが、インフレ率ばかりがマーケットの変動要因ではありません。
 インフレ率が高い、つまり、高金利であることが要因になってキャリー・トレードが行われると、その高金利通貨は、「買い」の対象になります。
 繰り返しますが、ある通貨が高金利であるということは、その通貨を発行している国がインフレであるということです。ですから、いずれ、その通貨価値は下落する可能性があります。
 そうであるにもかかわらず、高金利の通貨は、低金利の通貨を売って、高金利の通貨を買うキャリー・トレードのターゲット(買いの対象)になっていたのです。
キャリー・トレードが続いて、その規模が拡大増加している間は、インフレ(高金利)であっても、むしろ、その通貨の価値は上昇します。
 現在のマーケットは変動相場制ですから、需給で価格(為替レート)が決まります。キャリー・トレードによって、高金利通貨の需要が高まるので、価格が上昇したのです。
 しかし、インフレが、通貨価値を下落させる可能性が消えることはありません。
 需給による価格変動の陰に隠れて見えにくくなっているだけで、潜在的に存在し続けています。
インフレで、その価値が下落する可能性を含んでいる高金利通貨が、需給関係から買われることで、むしろ、その潜在的な下落リスクは大きくなっているのです。

日々、少しずつ矛盾が溜まって、いずれ激変を起こします。その激変するときこそが、マーケットの「クラッシュ」と呼べるのかもしれません。
インフレによる通貨価値の下落が、キャリー・トレードによって覆い隠され、一見しても目に見えない状態になっていました。
しかし、その矛盾がなくなったわけではなく、蓄積されていたのです。
その溜め込んだ矛盾を、一度に放出するときが「クラッシュ」です。
キャリー・トレードが崩れるときのクラッシュは、それまで買われてきた高金利通貨が急落する形で顕在化します。言い換えれば、それまで上昇してきた高金利通貨が大きく下落して、蓄積された矛盾のエネルギーを放出するのがクラッシュです。
それは、「ガス抜きと同じ」と考えてもらえればよいでしょう。つまり、時間の経過とともにガスが溜まるように、クラッシュが小さなもので終われば、同じような小さなクラッシュ=ガス抜きが、繰り返して起こることになるのです。
それは、いずれこのクラッシュが来ることは、事前にわかっていたことなのです。必ず起こるべくして起こったことなのです。

第208回 昨年の年の瀬と、今年の年の瀬

年の瀬となって、昨年(2007年)の暮を思い起こした。

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調べてみると、マネージャパン(角川SSコミュニケーションズ)に頼まれた原稿が出てきた。

●発売号:2007年11月21日発売(2008年1月号)

●コーナー:第1特集「2008年・儲かる投資先はココだ!」(仮)

●企画趣旨:混迷が続く世界経済。グローバルなマネーフローが細る恐れが指摘されるなか、個人投資家はどう考え、いかに行動すればいいのか?
世界のお金の流れを正しく理解した上で、2008年の投資戦略を考える。

●ページ構成:第1部 世界のマネーフローはこうなる!
~2008年の株式、債券、商品、不動産、為替はどうなる?
第2部 儲かる投資先はここだ!
~2008年の2大テーマ(新興国、商品)プラスα(環境)に投資できる
投信、ETF、ADR大カタログ

●お願いしたい内容:
「2008年のFX投資戦略」(第1部「為替」の中のコラムとして)
~どのポジションで、どう攻めれば儲かるのか?

●文字数:200字程度

●締め切り:11月7日(水)でいかがでしょうか?

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提出した原稿は以下の通り。

●文字数:200字程度

2007年夏以降、「サブプライム・ローン問題」は、米国の金融不安を惹起し、それは「株売り」&「ドル売り」に結びついた。そして、この問題は、ドル金利(FF金利)引き下げの引鉄(ひきがね)となった。
「サブプライム・ローン問題」が本格的にトラブルとなるのは2008年が明けてから。外国為替市場では、これを材料に「ドル売り」となろう。
また、ドル金利の引き下げは、日米金利差縮小で「ドル売り材料」。こういったことが、相互に連鎖し、「ドル売りトレンド」が鮮明になっていくだろう、と考える。

※(注釈)200字よりも多いのですが、適宜、調整して構いません。
(200字は、ちょっと、きつい・・・です。)

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おおむね、正解だった、と考えます。(自画自賛?)

『さて、では、来年は?』と、考えると、
『昨年(2007年)の暮と、同じだなぁ・・・』となる。

進歩が無いのではなく、情勢・状況に変化が無いだけ。
むしろ、米国金融不安はさらに悪化している。
米国大手自動車企業(ビッグ・スリー)は、倒産に瀕する状態。

この状況では、昨年(2007年)の原稿が、今年(2008年)の暮の原稿にそのまま使えそうだ。

第207回 Q&A

以前に、取材を受けました。その際に、たくさんの質問を受けたのですが、その中から、いくつかを抜粋して引用します。

【Q】:「円高」ではなく、「ドル安」ということを強調したほうがいいでしょうか?その点につき思われることをお教えください。

【A】:元来、外国為替は、2国間の通貨価値を表したもの。だから、ドル円レートは、日米の国家間の通貨価値を示しています。
この2国間だけの関係を表すならば、「円高」と「ドル安」は、全く同じことを意味します。
しかし、「ドル」「円」だけではなく、「ユーロ」「ポンド」「豪ドル」などとの通貨価値比較を含めると、「円高」と「ドル安」は、意味が違うことになります。

現在の為替レートの値動きを考察するならば、「ドル安」ではなく、「円高」といった方が適切です。

このところのマーケットでは、ユーロ/ドルは「ユーロ安ドル高」、ポンド/ドルは「ポンド安ドル高」傾向に動いています。
外国為替市場全体を見渡せば、ドルは決して安くなっているわけではありません。
現在の為替相場の動きは、「円高」と表現できる、と考えます。


【Q】:「ドル=アメリカ」依存体制から脱却するとしたら、どのような方向が具体的に望ましいとお考えですか?

【A】:「全方位外交」。
米国に依存するのではなく、アジアにおける日本の地位を確保しつつ、米国とも親しい関係を保つ。
米国は、既に、アジア外交の中心を、東京から北京にシフトしている。
日本も、その点を踏まえて、中国との外交をうまく対応していく必要がある。


【Q】:日本の輸出依存度はじつは低いといわれています(20%弱程度で、それより低い先進国はアメリカぐらい。英国は20%前後。ドイツは30%代。韓国・中国は40%弱)。とするならば、「円高」において利益損失はたいして影響がない、という認識でもいいのでしょうか?

【A】:日本の場合、大手企業は全て輸出企業ということが原因で、世の常識を捻じ曲げている。
 『「円高」になると、大手企業の利益が減少するから、景気が悪くなる』
 『税収も上がらないし、企業からの献金も少なくなる』
 『大手企業のサラリーマンの収入が上がらないから、消費が落ち込む』
円高のデメリットに、そういったことを理由に挙げる。

しかし、大手の輸入企業は、石油会社や、大手総合商社くらいしか思い付かない。
 「円高メリット」は、輸入品が安く買えるようになること。
 もっと「円高メリット」を、一般消費者が享受できるように、還元することが必要。

 大手輸出企業は、今回の円高で、当然ながら、かなりの打撃を受けている。
しかしながら、大手の輸出企業は、海外で生産するなど、円高リスクに対して、抵抗力を既に持っている。
 「円高」で、もっと重大な打撃を受けるのは、中小企業ではないか、と危惧する。

円高のマイナス面をクローズアップするばかりではなく、円高のプラス面を、もっと利用する必要がある。過去の円高局面では、それが、毎回実行されなかった。今回は、そういった政策に目を向けるべきだ、と考えている。

【Q】:「円安インフレ」というのはよくいわれますが、今回は「円高インフレ」ということになると思うのですが、歴史的に見てそのような事態になった国のケースはありませんでしょうか?

【A】:1985年から1987年ごろは急激な「円高」が進んだ。それは「プラザ合意」による特殊な時期でもあった。当時は、「円高不況」でもあったが、その期間においても、日本経済は「インフレ」が進行していた。
1988年、1989年頃は、「プラザ合意」後の円高水準であったが、日本の株価は高値を更新し、38,000円台の高値を付けたのはその頃であった。
株価の上昇は、基本的に、「インフレ」を示すので、その期間は、「円高インフレ」と言えるのではないか、と考えます。

「円安インフレ」は輸入物価の上昇から、導きやすい原因と結果なのだ、と考えます。
「円高インフレ」も、日本に資本流入が起これば、充分に起こり得ることであり、景気の浮揚を伴うのならば、むしろ、現時点では、望まれる状態ではないか、と考えます。

ただし、現在の与件では、原油価格の暴落から、資源価格の急落、商品価格の下落を見ています。
こういった原材料価格の下落は、インフレの過熱状態を、急激に冷ましました。
現時点では、インフレを懸念するよりも、デフレへの逆戻りを心配する必要が出てきています。

【Q】:「為替レートは市場の総意できまる」という常識についてどう思われますか?

【A】:全く、その通りだと思う。
為替レートの決定要因は、いまだに解明されていない。

しかし、相場もの(代表として株式)の価格の決定要因でさえも、解明されているようで、それも、所詮、漠然と一般論として、受け入れられているに過ぎない。
一種のアノマリーと考える。

さまざまな要因が、複雑に連鎖しているので、価格の決定要因は、未来永劫、明確な答えは出てこないのかも知れない。

そういったことをすべてアウフヘーベン(止揚)して、「為替レートは市場の総意できまる」とまとめるのは、うまい答え方だ、と思う。
決して揶揄しているのではなく、そうとしか答えようがないのではないでしょうか?

第206回 大きなトレンドは、「ドル安円高」で変わらず

ドル/円(USD/JPY)の大きなトレンドは、「ドル安円高」なので、ドル・ロング(ドル/円買い持ち)にしてはいけない、と考えています。

 しかし、ドル・ショート派は、今週にドル/円(USD/JPY)の下落があれば、いったん『利食い』を行って、次のチャンスを待つことも、『戦術』だと、考えています。

これは、いったん『利益確定のドル売り』を行うことを推奨しているだけです。

『利益確定のドル買い』を行う場合でも、全部を売らないで、一部、ドル・ショート(ドル/円の売り持ち)を残すことは、可です。

そして、『利益確定のドル/円の買い』を行った後で、次に取るべきオペレーションは、『ドル/円を売ること』です。

ロング(買い持ち)でも、ショート(売り持ち)でも、両方ともで、勝つ必要はありません。それを狙うと、かえって負けることが多いものです。
 売りでも買いでも勝とうとすると、かえって混乱して、うまくいかないのは、どんなベテランでも一緒です。

たまに、つぼにはまったように、売りでも買いでも利益になる場合もあるのですが、常に、それ(売りでも買いでも勝とうとすること)を狙うと、失敗するケースが多くなります。

どちらか一方を狙うと、つまり、「売りで勝つのか」「買いで勝つのか」、一方に絞ると、判断は単純になります。判断が単純になれば、勝ち易くなります。

 それで、まず、文頭に、ドル/円(USD/JPY)の大きなトレンドは、「ドル安円高」なので、ドル・ロング(ドル/円買い持ち)にしてはいけない、と考えていることを述べました。

ドル/円(USD/JPY)は、昨年(2007年)6月に124円台の高値を付けて、2008年10月には、90円台まで大きく下落しているのですから、トレンドは、「ドル安円高」と明白です。
 トレンドに従うのならば、「ドル売り円買い」で戦うべきでしょう。

現在の与件では、2008年10月の90円台が、底値となる可能性は、かなり低い、と考えます。
 現在の金融不安の状況や、米国自動車業界の混乱、そして、米国が明白にリセッション(景気後退)におちいっていることを踏まえると、目先で、ドル/円(USD/JPY)が大底を付けたと考えることが出来ません。

現状のドル/円(USD/JPY)は、2008年8月に付けた「戻り高値110円台」から、10月の90円台まで大きく下落した後の、リバウンド(調整反発)の最中にあります。

そういったリバウンド(調整反発)の場合は、「下値持ち合い」を形成することが多いのですが、まさに、その典型例を示しています。

「下値持ち合い」は、別な言い方をすれば、下値圏で作る「ボックス相場」です。
現状を見れば、この「ボックス相場」は、「90円台から100円台」と、約10円の値幅を持っています。

通常の「ボックス相場」と比較すると、10円の値幅は、かなり大きいもので、時間軸の短いチャート(例えば、1時間足のチャート)では発見し難いものです。
しかし、4時間足のチャートや、8時間足のチャートを見れば、現在が、「90円台から100円台」の約10円の値幅の「ボックス相場」であると、誰でも認識できます。

もちろん、日足のドル/円チャートならば、当然に、「ボックス相場」を確認できます。

この約10円の値幅の「ボックス相場」が、現在、収斂(しゅうれん)に向かい、「三角持ち合い(ウェッジ)」を形成しています。

「三角持ち合い(ウェッジ)」は、時間の問題で、必ず、どちらかに放れます。
それも、この「三角持ち合い(ウェッジ)」は、かなり煮詰まっていますから、近い将来に、放れる、と考えます。
断定はできませんが、今日明日なのか、あるいは今週中に、放れるのだろう、と考えています。
(来週程度になる可能性も残っていますから、断定できない状態です)

 上に放れる場合でも、「ボックス相場」の上限のあたりで、ドル/円を売ることを考えれば良い、と考えます。

下に放れる場合は、もともとの想定通り、と考えます。
 それで、この文章の初めに、ドル・ショート派は、今週にドル/円(USD/JPY)の下落があれば、いったん『利食い』を行って、次のチャンスを待つことも、『戦術』だと、考えていることを記述したのです。

 ドル/円(USD/JPY)のオペレーションでは、新しいポジションを作る場合は、基本的に、ドル・ショート(ドル/円の売り持ち)にすることだけを考えれば良い、と思量します。



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