第199回 「介入」は、原則として、しない方が良い

 「介入」は絶対にしてはいけないとは言いませんが、そこには利害関係があるので、安易に「介入」を勧めるのは、納得しかねます。

 日本の場合、財務大臣や財務官などから、(円高を阻止する目的で、)「ファンダメンタルズを考えると、現状の水準は円が強すぎる」とか、「円安傾向を望む」といった発言が、よくあります。

ここで言う「ファンダメンタルズ(Fundamentals)」とは、「経済を構成する根本・基礎」のこと。
 「市場用語」で、よく使われるが、具体的に何を指すのか、よくわからない。漠然と、大きすぎる概念だから、ありとあらゆる「根本的な」、「基本的な」事柄・条件を含むと考えられる。政府や学者、マスコミが、大衆をごまかすために、事柄・事象を、あえて曖昧にするために、用いている言葉のように感じることが多い。
 真摯に考えるのならば、経済に関する基本的な諸条件なのだから、「マネー・サプライ」から、「社会的なインフラ」、「雇用情勢」などなど、あらゆる事柄を含む。

 そのような発言があると、『そのうちドル買い介入をするのではないか・・・・』と、マーケットの一部では、勝手に期待して、普通だったら、ロス・カットしているようなコストの悪いドル・ロング(現状で言えば、短期のポジションなら105円台から110円台程度のコスト。少し長めのポジションなら、110円台から124円台のコスト)も、切りきれず、チャート・ポイント(外国為替相場の節目となる重要なレート)をブレイクした際には、オーバー・シュートし易くなります。

 そもそも、日本の場合、「介入」の判断の根拠が曖昧であるばかりでなく、「介入後」の検証も曖昧のままです。なんだかんだ言っても、「介入の資金」は「国民のお金」です。なくなるわけではなく、「円資金」を「ドル資金」に転換するだけなのですが、「国民の判断」ではなく、「一部の権力者の勝手なスペキュレーション」に委ねて、「為替リスク」にさらすのですから、少なくとも、「介入」の判断の根拠と「介入後」の検証を行うべきでしょう。

 もう少し説明を付け加えると、【「介入」を実施する】、【「介入」を実施しなければならない】といった判断を、何故したのかといった、「介入」の判断の根拠が曖昧なままで、実際に「介入」が行われています。

 「介入」を行った結果、外国為替市場のレートがどのように動き、為替以外の市場(例えば、日本の株式市場、債券市場、商品市場など、同様に海外の各市場など)に、どういった影響をあたえたのか?
 それは、当初に期待していた通りの結果なのか? それとも、予期しない結果となったのか?
そういったことを、ちゃんと「介入実施」の後に調査をして、「国民」にきちんと説明をする義務があるはずです。

 介入直後に発表しろ、とは強弁しません---例えば、法律で、介入から2年後とか、3年後に公表することを、義務付ける、などは国民に対する責務でしょう。

 うがった見方をすれば、介入の判断を行う人間は、「事前に為替オプション取引を購入する」、などをして、選挙資金を捻出するとか、が可能です。

 それに「一部の権力者」の恣意的な感覚に任せて、「介入」すれば、コントロールが効く程度の「外国為替市場」でしょうか?
 「外国為替市場」はもっと壮大な市場で、目先は「介入」の思惑通りになっても、そこに、確固たる根拠と政策などの意思決定が伴わなければ、根本的な流れを変えることは不可能でしょう。

 私は「介入」に対して否定的なのですが、それでも、絶対にしてはいけないとは、考えていません。市場がパニックになるほど乱高下してしまう程、需給が歪んだ時に、「スムージング・オペレーション」を行うことや、「有事」の際に、外為市場を閉鎖することは間違いだとは思いません。しかし、過去の「日本の介入」で、それ程の高邁な理念を感じたことが、残念ながら、一度もありません。

 通常の「ドル買い円売り介入」は、判断の甘かった輸出企業(従来の日本の景気を引っ張ってきた大手企業と言い換えても良いでしょう)に、介入資金を使って、援助しているだけに過ぎないように、私には思えます。極論を言えば、「介入」といった美名のもとに、一部の大手輸出企業に税金を還付しているように、私には思えます。

第198回 円キャリー・トレードのバブル崩壊のリスク

このところ、拙著「外貨崩落」からの引用が多いが、今回も、それを御容赦願いたい。
今、現在のマーケット(金融市場全般)で起こっていることは、かなりの部分で、すでに、昨年、この本に書いたことだからです。
昨年のうちに、こういった兆しが出ていた、兆しがあるから(原因があるから)、現在の結果につながっている、ということです。

「外貨崩落」の81ページから、引用します。

●●「円キャリー・トレード」は黄色信号の点灯を始めた

日本の投資家のFX取引(外国為替証拠金取引)や外貨預金に限らず、外国人の投資家も円キャリー・トレードを行っていること、外国の住宅ローンにまで、円キャリー・トレードが深く関与していることなど、実は、さまざまな形で円キャリー・トレードが行われていることを、理解していただけたと思います。
ここで、ヘッジ・ファンドの円キャリー・トレードにも言及しておきましょう。
ヘッジ・ファンドの主流である米国のヘッジ・ファンドの運用資産額は、2006年で、1兆4200億ドル(1ドル=120円で換算すると、約170兆円)にものぼります。
ヘッジ・ファンドは、リスクが高くとも、リターン(利益)が望めるのならば、積極的に投資行動を行います。それがヘッジ・ファンドの主目的なのですから、ファンド運用者にしてみれば、当たり前のことなのです。
ヘッジ・ファンドは、2007年7月の時点でも、積極的に円キャリー・トレードを行っています。2007年7月末からの株価急落に伴い、円キャリー・トレードを解消する動きがでてきましたが、それまでのヘッジ・ファンドは、超低金利の円資金を借りて、その円資金をマーケット(外国為替市場)で高金利通貨に交換して、金利差を享受しています。
ヘッジ・ファンドの行った円キャリー・トレードの規模は、最大で約1兆ドルとも言われています。1ドル=120円で換算すると、約120兆円もの巨費です。
円資金は日本から借りるのですから、こういった円キャリー・トレードが、米国や欧州、オセアニアや多くの新興国の国々の市場を潤してきたことは否定できません。
しかし、2007年の6月には、世界の中央銀行の高官などからも、円キャリー・トレードの拡大を危惧するコメントが発出されています。
つまり、円キャリー・トレードが急拡大していることに対する警戒感が、世界レベルで高まっているのです。

元FRB議長のグリーンスパン氏は、2007年3月初旬に、円キャリー・トレードの勢いは当面強いものの、それもある時点で転換するだろう、と予測しています。
まだ、円キャリー・トレードは継続するだろう。グリーンスパン氏と同じく、私もそう思っていました。
金利差を狙った外国為替取引は、最終的には◆破綻(はたん)することを、グリーンスパン氏は伝えたかったのでしょう。
 世界のヘッジ・ファンド業界の重鎮ジョージ・ソロス氏も、円キャリー・トレードは、すでに「バブル状態」と指摘しています。
私も、円キャリー・トレードは、すでに「バブル」と考えていますが、先ほど述べた通り、もう少し、この状態が継続するだろう、とも考えていました。2007年7月末からの動きで、円キャリー・トレードの解消が始まりました。
 私は、次のように考えています。
 それは、今日明日のことではなくとも、常に、何が起ころうとも対応できるように構えておくこと。
円キャリー・トレードの◆終焉(しゅうえん)は、まだ先のことになる可能性があるが、油断しているときが一番危ない。
 与件を判断すると、円キャリー・トレードが、継続する可能性は残っているが、いつ何時に終焉を迎えても、対応可能の気構えでいたい。

ヘッジ・ファンドだけで、円キャリー・トレードに投じている資金が120兆円にのぼるということも驚きですが、それ以外にも、生損保・信託銀行・投資信託など日本の機関投資家が行っている円キャリー・トレードもあります。
そして、先ほど例示した、韓国やスペインの住宅ローンのように、統計上の数値に表れない円キャリー・トレードもあります。
 米国以外の海外の投資家で、外貨預金を利用して円キャリー・トレードを行っている人も多いことでしょう。中東などのオイル・マネーの運用者は、そういった形で円キャリー・トレードを利用していると想像できます。
 世界的に広がっている円キャリー・トレードのバブル崩壊のリスクを認識する必要がある、ということです。円キャリー・トレードのバブル崩壊のリスクとは、「円高リスク」に他なりません

第197回 インフレと通貨

 もちろん、今の外国為替市場は、大きく動いているのですが、このところのコメントで、「円キャリー・トレード」が崩壊しつつある旨、記述しました。
 このところの相場の説明はしています。
 今回は、もっと根源的な(プリミティブ、初歩的な)ところを述べましょう。

「通貨とは、いったい何でしょうか?」
通貨は、もちろん、お金もことです。お金は誰でも使ったことがあるでしょう。
FX取引をしている方ならば、通貨を取引したことがあるはずです。
では、
「お金って、何だろう?」
と考えたことがありますか?
 毎日使っていると、空気や水のように、あるのが当たり前になって、深く考えてみる機会は、なかなかないのではないでしょうか。

ここで、「お金って、何だろう?」について考えてみましょう。
まず、「ものを買うときに、対価として支払うもの」と誰でも思いつくことでしょう。
 これは、「決済機能」とか「交換機能」という、お金の働き(お金の機能)を表しています。

 お金(通貨)は、他にも重要な役割を果たしています。それは、価値を保存することです。蓄えて、取っておく働きです。
 たとえば、100万円のお金があったとします。
 銀行に預けておけば、その100万円は、1年後でも2年後でも、100万円として戻ってきます。
 日本が超低金利政策を採って長い期間が経っていますから、「預けておけば利子が付きます」とは、この時世では言いにくいのですが、通常は、お金を元本保証の金融商品に預けた場合は、元本の価値を保存して、利息を受け取ることができます。
 こういった、お金(通貨)の働きを、「保存機能」とか「ストック機能」と呼びます。

ここで、ちょっと余談です。
「ハイパー・インフレ状態」のときは、預けていたお金(通貨)の価値は、インフレ率以上の金利が付かなければ、元利を合計しても、実質的価値は目減り(減少)していることになります。
 しかし、それでも、表面上(額面上)は預けていた金額の100万円は、100万円として戻ってきます。
 こういった実質的価値の変化は、インフレの問題(テーマ)であって、「通貨の保存機能」の問題ではありません。
 しかしながら、こういった事柄は、切っても切り離せない部分がありますから、一緒に考えるべき、とも言えます。
気を付けるべき点は、インフレの問題と「通貨の保存機能」を混同してはいけない、ということです。

こういったことを、事前に、ちゃんと考えておけば、「円キャリー・トレード」で、不測の損失を受けることは、無くなります。
こういったことを、知っておけば、ハイパー・インフレ通貨に投資をすると、元本が半分以下になるリスク(可能性)がある、と、事前に気が付きます。

こういった知識は、マーケットが荒れてから、あわてて調べるのでは、その知識・情報は役に立ちません。
平素から、真面目に勉強する姿勢がないと、なかなか上手く行かないのは当たり前のことなのです。
マーケットが荒れて、付け焼刃で勉強をしても、あせってしまい、なかなか頭に入ってきません。そして、荒れ相場が治まってしまうと、また、勉強することを忘れてしまいます。
それでは、次回に、また、同じようなことが起こっても、何も変わっていないことになります。
それでは、前回と全く同じように、(同じ手口に、)負けてしまうことになります。
マーケットが静かになったら、真面目に勉強をしましょう!
(今は、荒れています・・・)

第196回 株式相場と為替相場の関係

「株式相場と為替相場の関係がどうなっているのか?」
と、よくご質問を頂きます。

 誤解を恐れずに、スパッと言えば、
「株式相場と為替相場は、基本的に、直接の関係は無い」
と考えています。
 その時々で、株式が下落しても、為替は上がったり下がったりします。
だから、1年か、2年程度の期間で、その期間に限って有効な関係を知っておくことが重要です。

 現在のマーケットには、しばらくの間、有効である以下の関係があります。

 現在(2008年10月)のマーケット(金融市場)では、米国株式が売られると(米国株価が下落すると)、ドル/円(USD/JPY)が売られたり、クロス円が下落する傾向があります。

 では、「これは、いつもそうなのでしょうか?」
 答えは、「いつもそうではなく、現在の傾向に過ぎない」となります。
 その点には、注意しておくことが必要です。

 もう少し、詳述しておきましょう。
現在のマーケットでは、米国株式が売られると(米国株価が下落すると)、金融不安が広がり、「質への逃避(Fly to Quality)」が起こります。
 つまり、米国株価が下落すると、多くの市場参加者が、リスクを減らす(リスクを回避する)投資行動に出ます。

 だから、米国株式が売られると(米国株価が下落すると)、海外の投資家は、日本株を売る(=保有している株を売れば、リスクが無くなる)という行動を取ります。

 米系ヘッジ・ファンドは、金利差享受を目的に、この数年にわたり、「円キャリー・トレード」を行ってきました。彼らは、まだ、「円売り外貨買いのポジション」を持っています。

 「質への逃避(Fly to Quality)」は、「リスクを避けるという意味」ですから、彼らは「為替リスク」を避けるために、「円売り外貨買いのポジション」を解消します。つまり、「外貨売り円買い」が起こります。

 だから、米国株式が売られると(米国株価が下落すると)、「外貨売り円買い」が起こるのです。
 ただし、今現在は、まだ、その傾向があります。

 しかし、こういた動きが、いつまでも続くとは限りません。世界規模で、保有されている「円キャリー・トレード」のポジション(=円売り外貨買いのポジション)が、十分に減少すれば、こういった連動性は弱くなります。

 また、現在は、米系ヘッジ・ファンドが、倒産(破たん)したり、あるいは、米系ヘッジ・ファンドが、顧客からの解約に備えて、現金化する場合に、日本の株売りが起こっている、と考えます。

 だから、米国株式でも、日本株式でも、株が下落すると、「円キャリー・トレード」が、盛んにおこなわれていた、ユーロ円、ポンド円、豪ドル円、などのクロス円が売られることになります。

 クロス円が、売られると、需給面から、ドル円に売り圧力がかかるので、ドル円が、最後に(遅れ気味に)下落することになります。

第195回 『外貨崩落』より引用

拙著『外貨崩落』は、昨年(2007年)10月に上梓された本です。
その当時に、これからマーケット(FX市場)で起こるだろう、と予測したことを書いています。
そして、この本は、現在のマーケット(FX市場)で起こっていることが、書いてあります。
 そこで、前回に引き続き、『外貨崩落』から引用します。
(●■▲は、太字にする、強調するなどの、編集の記号です)


『外貨崩落』(228頁)
●●「円キャリー・トレード」崩壊時に取るべき手段は2つある

もう一度、資産と負債という観点から、外国為替取引を見てみましょう。
 たとえば、ドル/円(USD/JPY)を■買った■とします。
 この場合は、取引の相手方からドルを受け取る代わりに、取引の相手方に円を支払うことになります。
ドルを受け取るということは、ドルという財産(通貨=お金)を相手方からもらうことであり、ドルという財産を保有することです。つまり、ドル資産を持つことになります。
 ドル/円を■買った■場合は、ドルを受け取ると同時に、円を支払うことですから、円という財産(通貨=お金)を相手方に渡すということです。つまり、円の負債を持つことになります。
 この状態が、円キャリー・トレードを行っている状態です。外貨を保有し、円を売っています。
 こういった「外貨買い円売り」では、外貨金利が円金利よりも高ければ、その金利差を享受できます。
 そして、為替レートに変動がなければ、キャピタル・ゲイン(為替差益)とキャピタル・ロス(為替差損)は発生せずに、その金利差だけを享受している状態になります。
 為替レートが「外貨高円安」になれば、キャピタル・ゲインと、その金利差を両方とも享受できます。
 為替レートが「外貨安円高」になれば、その金利差を享受することはできますが、キャピタル・ロスが発生します。そのキャピタル・ロスが、金利差で得た利益よりも大きければ、トータルの損益はマイナスになってしまいます。

 為替レートが変動しなかったり、「外貨高円安」になる場合は問題ありません。
では、為替レートが「外貨安円高」になる場合には、どうすればよいのでしょうか。
 ここまで読み進めてくださったみなさんなら、もう、答えはわかっていることでしょう。
 たとえば、外貨がドルであるなら、ドル/円を売ればよいのです。
 ドル/円を■売った■場合は、ドルの負債を持つことであり、同時に円の資産を持つことです。
 ドル/円を■売った■状態ならば、ドルの価値が下落して円の価値が高くなると、▲――為替レートの変動で言えば、「ドル安円高」になると▲――持っている資産価値が上昇して、負債の価値が下落するのですから、利益になります。
 円キャリー・トレードが崩れて、為替レートが「外貨安円高」に振れるときにリスクを回避するには、保有している外国為替のポジションを解消して、スクエア(ポジションのない状態)にすればよいだけです。
 さらに、踏み込んで、円キャリー・トレードが崩壊するときにも、利益をあげたいのならば、外貨を売って円を買えばよいのです。
 従来は、個人投資家が一般的に購入できる外貨建ての商品は、「外貨買い円売り」の金融商品がほとんどでした。自分の思い通りに「外貨売り円買い」をしかけることはできなかったのですが、今はFX取引(外国為替証拠金取引)という新しい金融商品が開発されています。

円キャリー・トレードが崩落する際に、「リスクを避けるだけ」ならば、ポジションをスクエアにする。つまり、ポジションを閉じる。たとえ、損切りになろうとも、反対売買を敢行し、ポジションがない状態にします。
円キャリー・トレードが崩壊する際にも、積極的に、利益を追求したいのならば、勇気を持って■売り■で戦うことです。
ただし、売りの戦い方は、買いの戦い方とは違います。
売り相場の値動きのスピードは、買い相場のスピードに比べて数段に速くなりますから、そこにはリスクがあるということを、きちんと認識して臨む必要があります。

第194回 外貨崩落

昨年(2007年)秋に、「外貨崩落」を上梓した。
『今年の、夏から、今現在、ユーロ/円や豪ドル/円などのクロス円が暴落している』が、「外貨崩落」は、この値動き(暴落)が起こることを、予言して、事前に警鐘を鳴らしたことに他ならない。
【外国為替取引で、『金利差享受』を狙った取引は、絶対に、必ず、破綻する】
タイミングはわからないが、起こるべきことは、歴史を見れば、必ず、起こる。

今、下がっているのは、ユーロ/円(EUR/JPY)を代表とするクロス円全般。
 結論から言えば、今回のケースでも、『金利差を目的とした外国為替取引は、破綻した』ということ。

それが、また、検証された。
相場で、新しいものは、何も無い。歴史が繰り返していることと同様だ。

昨年上梓した『外貨崩落』には、そのことが書いてある。
マーケットの値動きよりも、早すぎるタイミングで書いた、ということか・・・。
タイミングは難しい。タイミングは分からないが、起こるべきことは、歴史を見れば、必ず、起こる。

 相場の大きさを「当て推量」してはいけない。そんなものは、ちゃんと相場が、教えてくれる

 金利差を目的とした外国為替取引は、絶対に、必ず、破綻する。
 相場に、絶対は、無いが、金利差享受を目的とした外国為替取引が、最終的に、うまくいったためしは無い。

目先、2、3年は、うまく行くときがある。
 その程度のことは、過去にも、腐る程あった。
しかし、その腐る程あったことの後で、必ず、破綻している。

今回に限り、そんなことは無い、ということは、有り得ない!
 それが歴史だ。

相場に、全く同じことは、起こらないが、同じようなことは、繰り返し、起こる。

だから、相場に絶対は、無いが、相場に、必然は、必ず、起こる。

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拙著「外貨崩落」の43頁より、引用します。

●●キャリー・トレードは矛盾している

 金利とは何でしょうか。
 金利は、その国のインフレ率です。
金利が高いということは、その国のインフレ率が高く、その国の通貨価値は、いずれ下落することを意味しています。
 たとえば、10%の金利が付くということは、100万円が、1年後に110万円になるということです。2年後には121万円に、3年後には133・1万円になります(複利計算をしています)。
 お金は増えているのですが、インフレですから、物価も上昇しています。つまり、こういった状態のときは、インフレが進んでいるということです。
 インフレは、お金(通貨)の価値が下落することですから、その国の中では、その通貨価値は下落しています。
 こういった通貨価値の変動は、日々のマーケット(外国為替市場)で、徐々に調整されればよいのですが、インフレ率ばかりがマーケットの変動要因ではありません。
 インフレ率が高い、つまり、高金利であることが要因になってキャリー・トレードが行われると、その高金利通貨は、「買い」の対象になります。
 繰り返しますが、ある通貨が高金利であるということは、その通貨を発行している国がインフレであるということです。ですから、いずれ、その通貨価値は下落する可能性があります。
 そうであるにもかかわらず、高金利の通貨は、低金利の通貨を売って、高金利の通貨を買うキャリー・トレードのターゲット(買いの対象)になっているのです。
キャリー・トレードが続いて、その規模が拡大増加している間は、インフレ(高金利)であっても、むしろ、その通貨の価値は上昇します。
 現在のマーケットは変動相場制ですから、需給で価格(為替レート)が決まります。キャリー・トレードによって、高金利通貨の需要が高まるので、価格が上昇するのです。
 しかし、インフレが、通貨価値を下落させる可能性が消えることはありません。
 需給による価格変動の陰に隠れて見えにくくなっているだけで、潜在的に存在し続けています。
インフレで、その価値が下落する可能性を含んでいる高金利通貨が、需給関係から買われることで、むしろ、その潜在的な下落リスクは大きくなっているのです。

 人は、世の中が変わらないことを前提に、さまざまな取引をしています。
 しかし、日々の変化は小さくても、それは徐々に矛盾を溜め込み、次の大きな変化のエネルギーとして蓄積されていきます。
 地球上の大陸プレートの移動は、1年ごとに数ミリから数センチ程度で、日々の変化は、人間には感知できないでしょう。
 しかし、プレートは時々刻々と動いています。プレートとプレートの圧力が一定のレベルにまで溜まると、プレートは瞬時に大きく動き、それまでに溜めたエネルギーを放出します。突然の大地震となって修正を行うのです。
 それは、表向きにはよくわからないし、目にも見えないでしょう。火山の地底深くにマグマが溜まり、それが抑えきれなくなると、突然に噴火するのと同じことです。
 マーケットも、矛盾がないわけではなく、不完全なシステム(制度)のもとで運用されています。
日々、少しずつ矛盾が溜まって、いずれ激変を起こします。その激変するときこそが、マーケットの「クラッシュ」と呼べるのかもしれません。
インフレによる通貨価値の下落が、キャリー・トレードによって覆い隠され、一見しても目に見えない状態になっています。
しかし、その矛盾がなくなったわけではなく、蓄積されているのです。
その溜め込んだ矛盾を、一度に放出するときが「クラッシュ」です。
キャリー・トレードが崩れるときのクラッシュは、それまで買われてきた高金利通貨が急落する形で顕在化します。言い換えれば、それまで上昇してきた高金利通貨が大きく下落して、蓄積された矛盾のエネルギーを放出するのがクラッシュです。
それは、「ガス抜きと同じ」と考えてもらえればよいでしょう。つまり、時間の経過とともにガスが溜まるように、クラッシュが小さなもので終われば、同じような小さなクラッシュ=ガス抜きが、繰り返して起こることになるのです。

第193回 クロス円が下落している理由は、「円キャリー・トレード」の解消(アンワインド)

本日(10月06日)、週明け月曜日の外国為替市場では、ユーロ/ドル(EUR/USD)、ポンド/ドル(GBP/USD)、ドル/スイス(USD/CHF)、オージー/ドル(AUD/USD)、などなど、おおよそ、ドル/円(USD/JPY)を除く、全ての通貨で、米ドルが強くなっている(ドル高になっている)。

換言すれば、円を除く、すべての通貨が、対ドルで弱くなっている(安くなっている)。

ドル/円(USD/JPY)は、先週末ニューヨーク市場と比べると、ウェリントン・シドニー市場では、下に「窓(Gap)」を開けて、本日(10月06日)、週明け月曜日の外国為替市場が始まっている。
ドル/円(USD/JPY)のこの「窓(Gap)」は、ウェリントン・シドニー市場で、東京市場の始まる前に「窓埋め」を完了している。

これは、どういったことだろう。
ドル/円(USD/JPY)では、ドルを買う動きが無いのだろうか?

そうではなく、ドル/円(USD/JPY)でも、ドルを買っている市場参加者は、他の通貨同様に、いる(いるはずだ)。

では、なぜ、ドル/円(USD/JPY)は、上昇しないのだろうか?

それは、クロス円での売り(=円買い需要)が、起こっているので、他の通貨同様に、ドルを買っている市場参加者の「円売り需要」を、打ち消しているからだ。

ユーロ/円(EUR/JPY)を筆頭とするクロス円の下落が激しい。
クロス円が売られる場合には、ドル/円(USD/JPY)に売り圧力がかかる。

クロス円が下落している理由は、「円キャリー・トレード」の解消(アンワインド)が起こっているからだ。

この2〜3年の間に、積み上がった金利差享受を目的とした「円キャリー・トレード」で、「円売りポジション」が大量に残っている。その解消をするために、『円を買う』動きになっている。

結果的に、ドル/円(USD/JPY)だけが、対ドルでの値動きで、他の通貨とは、逆の値動きになっている。

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10月3日(金)に、米下院で金融安定化法案の修正案が承認された。
しかし、個人的には、「米下院での金融安定化法案」は、もう、どうでも良い。

個人的には、もともと、この「金融安定化法案」では、米国の金融不安を解消できない、と考えているからだ。

「サブプライム・ローン問題」に端を発する巨額損失を補填するには、75兆円では、足りないだろう、と考えているからだ。

75兆円は、無いよりはましだろうから、混乱を一時的に治める効果はあるだろう。

しかし、根本的に、何もかもが、バラ色に変わるような方法は無い。
つまり、「金融安定化法案」が米下院を通過しても、たいして変わらない、と考えている。

また、10月3日(金)に発表された米国失業率(雇用統計)は、かなり悪いものだった。
「金融安定化法案」が米下院を通過しても、米国の経済がリセッション(景気後退)であり、現在のインフレ状態をかんがえると、スタグフレーション状態にあることに、何ら変わりがない。

そして、この週末に、G7会合があるようだ。
期待感はあるのだろうから、さまざまな憶測や、相場の乱高下の原因にはなるだろう。
しかし、G7会合では、何も、決められないし、あまり役に立たないだろう、と考えている。

(10月06日東京時間10:10記述)

第192回 米上院の結果を待つ

『米下院本会議 金融安定化法案を否決』のニュースが流れたのは、9月30日(火)東京時間02:45ころ。それは、ニューヨーク市場で考えれば、9月29日(月)のことだ。

 それまで、つまり、『米下院本会議 金融安定化法案を否決』のニュースが流れる直前まで、まずは、金融安定化策(75兆円の公的資金投入)は、議会を通過するだろう、と考えていた。

9月下旬の段階で、金融安定化法案が議会で承認されることを前提に、マーケット(金融市場=株式市場、外国為替市場を含む金融市場全般)は、行動していた。
 マスコミの論調も、金融安定化法案が可決されるであろうことを報道していた。
すなわち、マーケットは、金融安定化法案が米議会で承認されることを織り込んだ状態であった。

しかし、米下院本会議で、金融安定化法案が否決された。

 マーケットは、混乱し、米株のダウは777ドルと、記録的な急落となった。
 為替も、ドル/円は103円台ミドルにまで下落している。

リスク回避(=Fly to Quality:[和訳]質への逃避)の行動を、市場参加者の多くが取ることになり、ユーロ円を代表とする、クロス円の売りも加速された。
この動き(行動)は、円キャリー・トレードのアンワインド(解消・巻き戻し)が、あぶり出された、ということ。

しかし、その後の米国の対応では、上院での可決に向けて、修正案やら、ロビー活動が伝えられている。
下院での再可決に向けても、明確な報道はないが、そういった活動が伝えられてくる。

 マーケットは、そういった可能性(金融安定化法案が米議会で承認されること)を期待して、米株式も反発し、ドル/円も106円台ミドルにまで反発した。

 その後は、上院での結果を待つ状態になっている。

 マーケットでは、この法案の行方を見なければ、次の展開に進めない。ゆえに、まず、その結果を待っている。

 個人的には、75兆円もの巨額の政策を、簡単に、取り決めてよいわけでもないし、『税金で、民間企業の失敗を補填することは、間違い』と考えるので、米議会にも、そう考える議員がいるのだ、と新たな発見。
米国民の70%以上が反対していることも、報道されている。

相場の値動きを考えるのならば、そういった感想、感情よりも、事実と、その事実によって、多くの人が、市場参加者が、どのようにこうどうするのか、に注目する方が早い。
まずは、上院の報道を聞きたい。

(10月02日東京時間10:10記述)



 >   >  2008年10月