第183回 「通貨の表記」と、ちょっとした「うんちく」

 外国為替市場で取引される場合、「米ドル」の表記は「$」も使われるが、「USD」の方が、外国為替相場の市場参加者にとっては一般的である。

 「USD」は「United State Dollar」「U.S. Dollar」の省略である。
 「USD」の読み方だが、そのまま「ユー・エス・ディー」でも良いし、「ユー・エス・ダラー」と読むことも多い。

 同じように、「日本円」の表記には「¥」も使われるが、「JPY」の方が一般的である。
 「JPY」の「JP」は「Japanese」の省略であり、「JPY」の「Y」は「Yen」の省略である。
 「JPY」の読み方はそのまま「ジェイ・ピー・ワイ」も使われるし、「ジャパニーズ・イェン」でも通用する。

 「YEN」も使われるが、最近の外国為替市場での慣行では「JPY」の表記の使用頻度が高い。

 ついでに、「YEN」の読み方だが、日本人は「エン」と発音している。
 日本人にとって、「YEN=円」のイメージがすでに定着していると思う。

 しかし、日本人以外は、大概が「YEN」を「イェン」と発音する。

 最近の市場では、「¥」を、中国のお金の人民元(中国元)として使うこともある。
 人民元(中国元)の「元」は、中国語の発音ではユアン(Yuan)なので、日本円(Yen)と同じく、「Y」に「=」を組み合わせた記号で、人民元(中国元)通貨を意味する。

ちなみに、「日本円」は、中国語で、「日元」と書く。
発音は「リー・ユアン(ri yuan)」。

 ヨーロッパ通貨の表記についても触れておこう。
「英国ポンド」は「GBP」と表示される。「Great Britain Pound」を省略しているのだろう。
 あえて、「だろう」と述べた。
 実際に話す英語では、「英国」を「Great Britain」と呼ぶが、「Great Britain Pound」とは使わない。
 通貨の「ポンド」は、「British Pound」と使う。あるいは、「Sterling Pound」と使う。

 「英国ポンド」は「STG」とも表記するが、それは、「Sterling」の省略形だ。
 「ポンド」を「スターリング(Sterling)」と呼ぶ人も多い。

 「ポンド」の「ニックネーム(愛称)」は「ケーブル」という。

 「ケーブル」は「cable」のことで、「海底電話回線」のことだと聞いたことがある。

 イギリスとアメリカ間で直接の電話回線がつながる前の時代では、ロンドン市場の午後とニューヨーク市場の午前の時間帯は、オーバーラップしているにもかかわらず、別々の市場として、それぞれの異なるプライスで「ポンド/ドル」(GBP/USD)が取引されていた。

 大西洋を横断する「海底電話回線(ケーブル)」がつながった際に、一般の市場参加者がそこに「利鞘」があることに気が付かないうちに、ロンドン市場とニューヨーク市場間での「価格差」を利用して、「ポンド/ドル取引(GBP/USD Deal)」で、アービトラージ(裁定取引)を行い、大儲けをした投資家がいたそうだ。

 それ以来、「ポンド」の「ニックネーム」が「ケーブル」になった、と聞いている。

 「本当かなぁ・・・・・?」
 その真偽は、知らない・・・・・。
(無責任ではなく、若いころに、ニューヨーク市場で、市場関係者から、そのように教わりました。本当にそうなのか、真偽の程は不明です。)

第182回 ユーロ/ドル(EUR/USD)

前回は、ユーロ/円(EUR/JPY)について記述した。
8月に入ってユーロ/円(EUR/JPY)は大きく下落したが、それは、ユーロ/ドル(EUR/USD)が下落した要因が大きい。
そこで、今回はユーロ/ドル(EUR/USD)について記述します。

ユーロ/ドル(EUR/USD)は、約5ヵ月の間、―――今年(2008年)の3月以降、8月上旬まで、―――おおよそ[1.5300〜1.6000]の「ボックス相場」を継続していた。
 8月上旬に、―――正確には、8月8日(金)の東京市場で、―――ユーロ/ドル(EUR/USD)は、[1.5300]を下に割り込み、長く続いた[1.5300〜1.6000]の「ボックス相場」を下に放たれた。

 わずか1週間後の8月15日(金)のニューヨーク市場では、ユーロ/ドル(EUR/USD)は、1.46台ミドル程度にまで下落している。
 8月18日(月)のマーケットでは、ユーロ/ドル(EUR/USD)は、反発して、1.47台ミドルに上昇したが、その後再度、1.46台前半に下落。
 そして、8月19日(火)のニューヨーク市場では、ユーロ/ドル(EUR/USD)は、またまた、1.46台前半から1.47台後半に急騰している。
8月20日(水)の東京市場朝方のマーケットでは、ユーロ/ドル(EUR/USD)は、1.47台後半アラウンドだったが、この日のニューヨーク市場では、再び、1.46台ミドルに下落。

 要するに、1.46台から1.4800アラウンドのゾーンで、激しく上下動を繰り返した印象だ。

 短時間で1.46台前半(ないしは、1.46台ミドル程度)から1.47台後半への急騰は、あるいは、1.47台後半から、1.46台への急落は、100ポイントを超える上下動なのだから、通常ならば、決して、小さな動きではない。
しかし、この相場が、おおよそ[1.5300〜1.6000]の「ボックス相場」を下に抜けて下落を始めていることを考えれば、相対的に小さな上下動と呼ぶ必要がある。

 今回の大きな急落が始まる直前の高値(1.53から1.60のボックス相場を形成していた際の高値)は、7月中旬(7月15日)につけた1.60台前半なので、俯瞰して見れば、1.60から1.46まで大きく下落していることになる。
 その立場から見れば、7月中旬から8月中旬の1ヵ月で、1400ポイントの急落である。
 この1400ポイントの下落と比較すると、1.46台前半から1.47台後半への急騰は、相対的に小さい。

 8月21日(木)のニューヨーク市場では、1.46台まで下落した後で形成していた「下値持ち合い相場」、すなわち、[1.4600〜1.4800]程度のボックス相場の上値を抜けて、[1.4900]アラウンドまで急騰している。
 しかし、8月22日(金)の東京市場は、「夏休みの週末」の雰囲気。
東京市場のユーロ/ドル(EUR/USD)は、1.48台後半程度で、動きが無かった。
しかし、先週末8月22日(金)のロンドン市場、ニューヨーク市場では、再び、1.48台後半から[1.4800]を割り込み、1.47台ミドル程度にまで下落してニューヨーク・クローズを迎えている。

 このところの、こういった急反発も、急落の値動きも、『相場が大きく下に放れた後の下値持ち合い』の一環で、「ポジション調整」の動きに過ぎない、と考えている。
 つまり、上値で作られた―――ユーロ/ドル(EUR/USD)の、このところの高値である[1.5300〜1.6000]のボックス圏内で作られた―――ユーロ/ドル(EUR/USD)のポジションの調整が行われている。


 高値で買った向きは、急落したらば、損切りを余儀なくされる。
 そういった損切り(ストップ・ロス)を狙って、ユーロ/ドル(EUR/USD)の売りを仕掛けた向きが、1.46台で買い戻しを入れると、「ショート・スクイズ」を起こし、今度は売りを仕掛けた向きの損切り(ストップ・ロス)が付いてしまう、といったことが繰り返されている。

 当然のことながら、ユーロ/ドル(EUR/USD)が下落した理由には、このところ急騰していた原油価格が急落したことが挙げられる。
 しかし、こういった大きな激しい振幅の際には、理由など考えていても相場には間に合わない。
 目先のユーロ/ドル(EUR/USD)は、「下値持ち合い」と見ている。
その「下値持ち合い」の間は、それに見合った対応をすればよいが、[1.4600]を完璧に下に抜けて放れる相場つきになった場合には最大限の注意を払いたい。

第181回 ユーロ/円(EUR/JPY)

8月の初旬(8月7日)には、169円台ミドル程度にあったユーロ/円(EUR/JPY)は、8月13日(水)に、161円台前半にまで、8円以上も、大きく急落した。
 わずか一週間で8円以上の下落は、激しい値動きだ。
ユーロ/円(EUR/JPY)は、8月13日(水)のニューヨーク市場午後になって、突如として、急反発。161円台ミドル程度から、一気に、[163.85-90]レベルまで、2円以上も急騰している。
この反発は、いわゆる「ショート・スクイズ」と考えている。
この2円以上の急騰は、特段の材料があった訳ではなく、このところのユーロ/円(EUR/JPY)の下落が急激で、値幅も大きかったために、調整のリバウンドが起きた、と考えている。

この時点で、ユーロ/円(EUR/JPY)の下落が急激で、値幅も大きかったので、目先は調整だと考えていたが、[161.50]アラウンドを、完璧に下に抜けると、再度、下に放れる形になる。
 その場合は、フリー・フォール状態になる可能性があると危惧していた。

8月19日(火)の東京市場で、[161.50]を下に割り込み、さらに、この日のニューヨーク市場朝方には、[161.00]を割り込んで、160円台後半を見たが、損切りが損切りを呼ぶ展開にはならなかった。
そのため、再度、「ショート・スクイズ」が起こり、162円台前半に急反発している。

今回の値動きで、---8月になって以降のユーロ/円(EUR/JPY)の値動きで、---最も、注目するべきところは、[169.50]程度から[161.00]程度まで、8円以上の大きな値幅を、短期間で、急落したこと。

 8円以上の大きな値幅を、急落した後なのだから、2円、3円の急反発調整は、あるのが当たり前。無い方が不自然。こういった値動きは、調整のリバウンド(急上昇)に過ぎない。

この調整が、時間的に長く継続して、結果的に、ユーロ/円(EUR/JPY)が上昇していく可能性が、無いわけではないが、それを期待するべきではない、と考えている。

持ち値の悪いユーロ/円(EUR/JPY)のロング・ポジションは、損切りを敢行する方が良い、と考える。

現在のユーロ/円(EUR/JPY)は、大きく急落した後の、いわゆる「下値持ち合い」を形成している、と考えている。
現在は、8月19日に付けた160円台後半の安値が「下値持ち合い」の下限となっているが、下値を割り込んで下落する場合には、再度、「下に放れる相場つき」になる可能性も高い。
目先、持ち合いだが、下値リスクに要注意、と考えている。

第180回 『クロス円』をテーマに

今週は、『クロス円』が、話題に上りそうな雰囲気です。それで、それをテーマに選びます。

 外為市場の相場参加者が、『クロス円が強い、弱い』と言った場合の『クロス円』は、誤解を恐れず
に言うならば、『ユーロ/円レート(EUR/JPY)』『ポンド/円レート(GBP/JPY)』『スイス・フラン/円
レート(CHF/JPY)』『オーストラリア・ドル/円レート(AUD/JPY)』を指しています。

 なおかつ、『クロス円が強い』と言った場合は、『クロス円レートで、【円安】』を意味します。
 これは、クロス通貨【ユーロ(EUR)】【ポンド(GBP)】【スイス・フラン(CHF)】【オーストラリ
ア・ドル(AUD)】が、対円で強いということです。

 逆に、『クロス円が弱い』と言った場合は、『クロス円レートで、【円高】』を意味します。
 これは、クロス通貨【ユーロ(EUR)】【ポンド(GBP)】【スイス・フラン(CHF)】【オーストラリ
ア・ドル(AUD)】が、対円で弱いということです。

 『クロス円が強い、弱い』といった表現は、特殊なマーケット用語とでも言えるでしょう。

 こういったことは、わかり難いことなのです。
 長いこと専門に取引している人でも、新人の頃に、一生懸命に「丸暗記」しただけで、いつの間にか
、当たり前のことになってしまい、よく考えたことがない市場参加者も、たくさんいると感じます。

 マスコミのこういった言葉の概念は、かなりいい加減です。ですから、こういった言葉を使っている
人たち自身も、きちんと説明できないことが、多いのです。

 日本では、『為替レート』と一般的に言う場合は、暗に『ドル/円レート』を指す場合がありますが、
本来『為替レート』と言った場合は、様々な通貨の組み合わせがありますので、2種類の通貨を、ちゃ
んと呼称するべきでしょう。
そうしないと、わかりにくいですから。
 『ドル円為替レート』のように表示した方が、誤解がありません。

 「クロス円」の説明をしましょう。
 『ドル/円レート以外の、対円の為替レートのこと』を「クロス円レート」と呼びます。

 ですから、『クロス円レート』といった場合には、『ユーロ/円レート(EUR/JPY)』『ポンド/円レー
ト(GBP/JPY)』『スイス・フラン/円レート(CHF/JPY)』『オーストラリア・ドル/円レート(AUD/JP
Y)』『ニュージーランド・ドル/円レート(NZD/JPY)』『カナダ・ドル/円レート(CAD/JPY)』『韓国
ウォン/円レート(KRW/JPY)』『中国元(人民元)/円レート(CNY/JPY)』・・・・

 と、本来の意味ならば、無限に(米ドルを除く通貨の数だけ)存在します。

 『ドル/円レート(USD/JPY)』は基軸通貨である米国ドルに対する円レートですから、『ドル/円(U
SD/JPY)』の市場レートが自立してあります。

 それに対して、『クロス円レート』は、基軸通貨である米ドルに対して成り立っている、それぞれの
通貨のレート---例えば、『ユーロ/ドル(EUR/USD)』『ポンド/ドル(GBP/USD)』『ドル/スイス・フ
ラン(USD/CHF)』などのレート---から、計算して導かれるレートのことです。

 通貨取引(外国為替取引)は、『通貨と通貨の交換取引(契約)』ですから、『対価と対価のやり取
りであり』ややっこしいところがあります。
 わかりにくいのですが、最終的には慣れるしかありません。

第179回 このところのマーケット

このところのマーケットを振り返ってみよう。
8月6日(水)のロンドン市場では、このところのドル/円(USD/JPY)の上値の壁となっていた[108.50]を上に抜けて「ドル高円安」が進んだ。

豪ドル/ドル(AUD/USD)で「豪ドル売りドル買い」が進んだことや、ユーロ/ドル(EUR/USD)で「ユーロ売りドル買い」が進んだことで、ドル/円(USD/JPY)でも連れて「ドル買い」となり、[108.50]を買う動きとなった。

この時のドル/円(USD/JPY)の値動きは、[108.50]を上に抜けると、ストップ・ロス(損切りのドル買い円売り)を巻き込み、急上昇となっている。
 8月6日(水)のニューヨーク市場の朝方に、[109.00]を上に抜けると、断続的に、さらなるストップ・ロス(損切りのドル買い円売り)を巻き込み、109円台後半にまでジリジリと上昇を続けた。

8月7日(木)の外国為替市場では、東京、ロンドン、ニューヨークと、終日、109円台での高値持ち合いとなった。

8月8日(金)の東京市場では、109円台での高値持ち合いが継続。
 8月8日(金)のロンドン市場では、110円台をトライする動きとなった。
 8月8日(金)のニューヨーク市場の朝方に、[110.00]を完璧に上に抜けて上昇し、高値[110.35-40]レベルを付けた。
 8月8日(金)のニューヨーク市場クローズは、[110.15-20]レベル。ニューヨーク・クローズの時点で、110円台をキープした。

この時点で、以下のように考えている。
 個人的な思惑では、このドル/円(USD/JPY)高値を追いかけて、ドル買いで付いていくのは危険だと考えている。
 [110.00]を壁に、「目先のドル売り」をしていた向きは、[110.20-30]レベルで、いったんのストップ・ロス(損切りのドル買い円売り)を余儀なくされた。
 それゆえに、目先のドル・ショート(ドルの売り持ちポジション)は、いくぶん、少なくなっていたと考える。

8月11日(月)のウェリントン・シドニー市場では、ユーロ/ドル(EUR/USD)、ユーロ/円(EUR/JPY)が、「窓(Gap)」を開けて、急落しているにもかかわらず、ドル/円(USD/JPY)は、まだ、動いていない。
 ドル/円(USD/JPY)は先週末のNYクローズと同じ水準の110円台前半程度であった。

しかし、ドル/円(USD/JPY)は、まだ、動きだしていないだけで、「ユーロ/円(EUR/JPY)での売り(ユーロ売り円買い)」の影響から、ドル/円(USD/JPY)には、「円買い圧力」がかかる、と考える。


「お盆休み」のシーズンで、市場参加者が極端に少ない状態になるだろう、と考える。
つまり、薄いマーケットの中で、非常識な値動きになる(経験則の働かない値動きになる)可能性がある。

マーケットでの最大の注目は、『ユーロ/ドル(EUR/USD)の[1.5000]を割り込んでの急落』であり、『豪ドル/ドル(AUD/USD)の[0.8900]を割り込んでの急落』であった。
 換言すれば、「他通貨の売り、米ドルの買い」になっている。ここに着目する人は、この値動きを「ドル円の買い材料」と考えるだろう。
 しかし、私は、その説を採れない。

『ユーロ/ドル(EUR/USD)の急落』『豪ドル/ドル(AUD/USD)の急落』という現象を、『クロス円の急落』ととらえるならば、この事象は、「他通貨の売り、円の買い」となり、「ドル円の売り材料」である、と考える。

一昨日、8月12日(火)のニューヨーク市場午後あたりから、昨日8月13日(水)の東京市場、ロンドン市場の値動きで、上記の考え方が正しそうであることが、確認されつつある、と考えていたが、昨日8月13日(水)のニューヨーク市場午後に、クロス円の急激な反発が起きている。
「夏休み相場」の市場参加者の少ない中、マーケット(外国為替市場)は、乱高下をし易い状態になっていることに、最大限の注意を払いたい。

第178回 山高ければ、谷深し

『山高ければ、谷深し』という相場の格言があります。

 「大きく上進(上昇)した相場、値が吹き上がった相場が、下落する際には、その反動で、その下落の幅も深い。大きく急落する。」といった諺(ことわざ)です。

 外国為替相場の事例ではないのですが、最近では、オイル価格(原油市場)の値動きに、その典型例が見られます。

 相場が大きく上進している場合に、それを追いかけて「買う」のですから、買う値段は、更なる新値
に切り上がっています。
 まさに値が吹き上がるような動きになります。
 値が吹いているものですから、ますます強い相場に見えます。さらに上進するのではないかと思えるものです。

 相場は上がれば上がるほど強気になって、買いたくなります。
 上がれば上がるほど、ここまできたら売ろうと思っていても、まだもっと上があるのではないかと思って売りが引きます。
 逆に、相場が下がれば下がるほど弱気になって、売りたくなるのです。急落している場合には、買いが逃げます。

 そういったときは、誰しもが、雰囲気に飲み込まれ易くなっています。
 今買わないと、もう買えないような、もう買うチャンスが永遠に来ないような、今買っておかないと、ものすごく損をしたような、そんな気持ちに追い込まれるものです。

 そういった吹き上がった値段で買ってしまうと、相場が落ち着きを取り戻して、じりじりと下がりだしても、その事実をなかなか認めたくなくて直ぐに損切りをしません。なんとか同じ値段くらいに、せめてもう一度くらい吹き上がるときもあるのではないだろうか、と夢を見てしまうのです。
 こういった心理状態のときには、実際に一度くらい吹き上がって、ワン・チャンスの売り場があっても、その時はまた、強気になってブルブル(Bullish)なものですから、売りを引っ込めてしまいます。


 吹き上がった相場を追いかけて買う場合には、わずかの利益でいいから、売り逃げることが鉄則です。
 吹き上がった相場が、二段三段と吹くことも稀にありますが、いつもそうなるわけではありません。

 追いかけて飛び乗る場合は、その流れを利用して一儲けしてやれ、といった気持ちで参加しているはずです。
 ところが、一度吹き値で購入してしまうと、欲が出て直ぐに売る算段を忘れてしまいがちになるのです。

 こういった状態の時の気持ちは、「宝くじ」を買った時の気持ちに似ています。
 「宝くじ」を買うと、
『ひょっとしたら当たるかもしれない・・・』
そういった気持ちになります。
 だから、買う人がいるわけです。

 しかし、冷静に考えると、「宝くじ」の確率を考えれば、その『期待値』通りの結果しか出ないのです。
 一等賞が、三億円であろうと、百億円であろうと、販売した金額から手数料や発行主体の利益などを引いて、還元率を計算しているのですから、当たる確率は計算した通りにしかなりません。
 そして、ただ単なる偶然の幸運に恵まれた当選者に賞金が支払われます。

 もちろん、購入しなければ当たる確率はゼロですから、購入した場合と、購入しなかった場合の確率を比較するならば、仮に『期待値』を「0.6」としても、
 [0.6÷0=∞]
で購入した場合は、購入しなかった場合と比較すると、無限大の可能性があるのですが。

 しかし、それでも「宝くじ」の還元率は発売元の発表している『期待値』以外の何ものでもありません。
 購入した場合と、購入しなかった場合とを比較することに何の意義もありません。それを比較したところで『期待値』が変わることもないのですから。

 『相場』と『宝くじ』は違います。

 不確実なものに投資をするという【ギャンブル】と言う意味では、『宝くじ』と『相場』は全く同質です。

 しかし、【単なる偶然だけ】に依存する『宝くじ』と、そこに能動的な【意志】が介在する『相場』は、全く異質のものです。

第177回 中国バブルは、現在調整中だが、中国元(人民元)の通貨価値は、上昇すると考える

 いよいよ明日から北京オリンピックが始まる。
 このところのテレビは、その様子をしきりに放映している。

 北京ではなく、少し前の中国の映像を見ていると、例えば、上海の道路では、日本よりベンツが多く走っている。
 上海で車に乗るときには、駐車料金が別途に申請料が300万円ぐらいかかる。その他にも自家用車を持つには、中国では何かとコストがかかる。
 だから、1000万円のベンツに乗るためには1500万円ぐらいかかるわけです。
 だけど日本より物価は安いはずなのに、給料も安いはずなのに、1500万円もするベンツがたくさん走っている。
 そこには、それだけの富が存在している。
 毛沢東が中国を征服したときに、中国の資産家たちは全部世界中に財産(資金)を飛ばしたわけです。
 それは貴金属かもしれないし、さまざまな形で富が移転した。
 それはカナダに行ったり、オーストラリアに行ったり、さまざまな国に渡った。だから世界中にチャイナタウンがある。
 それはアングラマネーの形で、世界中に中国の金が、華僑の金が飛んでいった。
 だから、上海が復活したときに、資金が回帰した。そういった資金にしてみれば、別に1500万円のベンツなんて安いものなのだろう。
 不動産に投資する場合には、そういった資金は、ビルごと買う。
それ(お金)がどこにあったのかといったら、中国の華僑の金という、世界中にばらまかれていた資金なのだ。アンダーグラウンドに隠してあった金が表に出てきたわけです。そういった資金(財産)は、「金の延べ棒」で持っていたのかもしれない。
 しかもいまどんどん伸びて、金価格も上昇して、中国経済自体もおいしいところは彼らが取っている。
 だから、金持ちはますます金持ちになる。
 一方、貧乏な人たちは、本当に、月給それこそ何百円という中で、一食20〜30円程度で食べている。それが普通なんです。
 アメリカと同じです。超二極化。もっとひどいかもしれない。だからアメリカ人の発想と中国人の発想って近いのかもしれない。

 中国バブルは、現在調整中。中国株式の下落は、現在起きている。
 北京オリンピック後に、調整を想定していた向きが多いが、北京オリンピックを前に、調整下落は起きた。
 しかし、大きな目で見れば、数年前から比べれば、中国株価は上昇している。最近の高値で購入した向きが大きな損を出しているだけ。
 つまり、バブルの部分が消滅しているだけ。
 そう考えると、中国元(人民元)の通貨価値は、上昇すると考える。

第176回 水面下で動いているものの存在を意識する

サブプライム・ローン問題で、すでに公表された損失は、シティバンクが3兆円を超える、それからメリルリンチが2兆円を超える。
普通の会社で2兆円損をしたり3兆円も損をしたら、当然に倒産する。
これは、もう本当に推測の域にすぎないし、証拠もないのだけれども、だから、これが潰れないというのは、明らかにアメリカのガバメントサイド、ホワイトハウスでもいいしブッシュ政権でもいいし、要するに、そこらへんの力がかかっているはずです。
そうでなければ、2兆円損しました、3兆円損しましたという企業が生き残るはずがない。
存続が許されないのが常識。当然これは破綻するべきものなのです。
なおかつ、ブッシュ政権は公的資金を入れないと宣言しているわけです。
宣言している以上は、これは公約違反をしたら当然駄目です。今年は大統領選挙ですし、宣言をひるがえすことはやりにくいでしょう。
どのみち、最終的には、公的資金を入れるということになるだろう、と個人的には、推測していますが、そうなると、結果的に、日本のバブル崩壊後に、金融機関を助けるために公的資金を注入して助けたことと同じ。

もともとの日本の前例も矛盾を起こしたわけです。
例えば山一証券を潰した。北海道拓殖銀行を潰した。長銀も潰した、日債銀も潰した。
だけれども、現在残っているメガバンクは、公的資金を注入する形で残した。
まだ、公的資金を返済しきっていない銀行も日本には残っている。
じゃあ公的資金を入れたところは助けたのだが、公的資金を入れないところは倒産を余儀なくされた。
なにはともあれ、幾つかは潰したし、幾つかは公的資金を入れて生き残らせた。

第三者から見れば、国民の目から見れば、非常に恣意的で不公平だ。
じゃあ、例えば、中小企業で損しました。その際に、理由は何であれ、「公的資金を入れて、借金で助けてくれ」と言っても、「いつかまたいい時が来るんだから」と言っても、そんなものは通用しない。
かたや一方で、あんまりストレートにここまで言うかどうかは別にしてだけれど、日本のメガバンクは、言ってみれば税金で、事実上は、税金を貸し付ける形によって生き残らせました。
非常に不公平だ。
当然のことながら、だから、そういう不公平感を出さないためにブッシュ政権は、「今回のサブプライム・ローン問題でも公的資金は使わないよ」というふうに、いちおうオフィシャルには言っているわけです。
 と言っておきながら、だけれども、例えば公定歩合を下げたり、そして、その公定歩合で貸出を行いいますよ、と言っている。
あるいは、例えば不動産がらみのいわゆるサブプライム証券を担保にしてお金を貸し出したりもする。
これは、債権を担保にした資金の貸出で、買い戻し条件付きだから、必ず買い戻さなければいけないのだけれども、要するにお金が足りないときは、それを担保に差し出すと現金を貸してくれるわけだ。つまり、中央銀行が援助している。
サブプライム証券の現在価値が幾らであるのかというのは、いまだに不明な点もある。
額面の価値は無いことは誰にでもわかる。価値が、下がっている状態だけれども、本当はいくらなのか、よくわからない。
例えば、額面が仮に1000億あるとしましょう。だけど、マーケットレートで半値になっていたら500億円しか貸出が行えないわけだ。だけども、これに対して、色をつけて、本当は500億しか借りられないのに700〜800億円貸してくれたり、そういうことが起こってるのだろう、と推量する。
 だから、要は中央銀行が手を貸して、はっきり言えば損失の飛ばし、あるいは損失の隠しをしている。
握りつぶしているというか、お化粧しているというか、そういうような状態になっているのだろう、と推測できる。

今回のサブプライム・ローン問題を考える際には、水面下で動いているものの存在を意識する必要を感じている。



 >   >  2008年08月