第175回 既に『夏休みのシーズン』

7月下旬になって、直近の外国為替市場(FXマーケット)は、「夏休み相場」の様相が強い。「夏休み相場」とは、市場参加者が少なくなっている状態を指します。

通常のマーケット(外国為替市場)では、市場参加者が、充分にいるので、マーケットは正規分布しています。マーケットが正規分布している場合は、過去の経験則が有効です。ニュースや事件が起きた場合に、必ず、マーケットのセオリーに従った行動をとる市場参加者が存在するからです。

ところが、「夏休み相場」や「クリスマス相場」のように、毎年、特定の期間になると、多くの人がいっせいに休暇を取ります。その期間は、市場参加者が極端に少なくなります。
すると、そのシーズンには、経験則やらセオリーが利かなくなるケースが起こります。

マーケットには、『休むも相場』という、相場の格言があります。
「相場」に臨むには、「売る」「買う」「休む」の三法があるということです。

「相場」経験が長い方には、「釈迦に説法」でしょうが、「相場」は「売り」「買い」の二法ではありません。「休む」という行為も、「相場に臨んでいる」ことなのです。
 わからないときは休むことも大事なことです。

そう言うと、
「いつも、わからないんですけれど、どうすればよいのでしょうか?」
といった質問をよく受けます。

 そういった意味では、相場は、本当に誰にもわからないのです。
 わかっていたら、誰しもが、とっくの昔に蔵が建って楽隠居しています。
 誰に限らず、「こうなるのではないだろうか」といったイメージや思惑が湧いてくるときがあります。この状態を指して、「わかるとき」なのです。

本当にそのイメージや思惑通りに、ことが運ぶか、運ばないかは、また別の問題です。
時として思惑通りに行くケースもあるでしょう。 しかし、何回か思い通りになったとしても、それが永遠に続くわけではありません。必ず、外れるときが来ます。
 場合によっては、最初から外すこともあります。

 一回だけしかやらないのならば、簡単に「勝ち」「負け」の区別がつきますが、「相場」に臨むということは、一回だけの勝負事ではありません。
 一回こっきりのギャンブルなら、何も「相場」でやる必要はないでしょう。

「相場」に臨むということは、継続的に、何回も取引を行い、一定の期間による結果なのです。

 そういった意味では、負けたことのないディーラー(市場参加者)はいません。
 そして、勝ったことのないディーラー(市場参加者)も、また、いません。
 だから、「わからないときは、手を出さない」勇気が大切なのです。

「こうなるんじゃないか」と思って手を出して、失敗することもあるのです。
 そういった思いもなく、漠然と、なんとなく、手を出して、わざわざ泥沼に はまることはないですよ、そんなことをするくらいなら、来るべき次の相場 に向けて、体力を温存しましょう。
 そういった意味で、「休むも相場」です。

 もちろん、この相場は「売り」だ、とか「買い」だ、といったしっかりとした思惑がある方々の売買を妨げるつもりは全くありません。


現実のマーケットでは、サブプライム・ローン問題に惹起した巨額の損失、特に、フレディマックとファニーメイの経営不安問題やら、その前にあった「洞爺湖サミット」やら、米政府高官(ポールソン米国財務長官、バーナンキFRB議長)の種種の発言やら、結果的に、絶え間無く、何かしらが起きています。

けれども、年間スケジュールで見れば、既に、とっくに、『夏休み』。
突発的、予想外のこともあるでしょう。だから、どうしても、そういったことに、目が向いてしまいますが、既に『夏休みのシーズン』であることを、忘れてはいけない、と考えています。

年間のスケジュールに従えば、米国独立記念日から、『夏休みのシーズン』は始まっています。
目先の相場は、外国為替市場に限らず、オイル市場や、株式市場も、右往左往している状態ではあります。
しかし、個人的には、「もう夏休みでもいいかな・・・?」と、思っています。

乱高下している時は、確かに、チャンスでもあることはわかる。しかし、必ずしも、上手く行くとは限らない。

毎年、7月8月になると、私が、あまりに、「夏休み」を強調するので、毎年毎年、やる気がない、と指摘されます。
しかし、こう反論します。
『何も考えずに、相場に手を出すだけならば、誰にでもできる』
『勇気を持って(モチベーションを維持しながら)、我慢して、相場に手を出さないことの方が、難しい』

第174回 「介入」は、原則として、しない方が良い

 今年になって(2008年6月ころから)、米国のポールソン財務長官やバーナンキFRB議長から、為替介入を示唆する発言が散見されています。それは、いわゆる「口先介入」です。
 米国政府筋の資金が投入されているのではないでしょうから、オフィシャルには「介入」には当たりません。
 しかし、こういった米国の政府高官の発言で、マーケットの資金が動きますから、「一種の介入」と
見てもよいだろう、と考えています。
 場合によっては、そういった情報に基づいて、世界各国の「政府系ファンド」が動いていますから、「事実上の介入」とみなしても良いのだろう、と考えています。

 そこで、「介入」について、私見を・・・・・。

 「介入」は絶対にしてはいけないとは言いませんが、そこには利害関係があるので、安易に「介入」
を勧めるのは、納得しかねます。

 過去の日本でも、財務大臣や、財務官から、(円高を阻止する目的で、)「ファンダメンタルズを考えると、現状の水準は円が強すぎる」とか、「円安傾向を望む」発言が、よくありました。
 そういった傾向は、現在の日本でも、残っています。

 ファンダメンタルズ(Fundamentals)について考えてみましょう。

 それは、経済を構成する根本・基礎のこと。また、その条件を指すこともある。
 しかし、「市場用語」で、よく使われるが、具体的に何を指すのか、よくわからない。
 漠然と、大きすぎる概念だから、ありとあらゆる「根本的な」、「基本的な」事柄・条件を含むと考えられる。
 政府や学者、マスコミが、衆愚をごまかすために、事柄・事象を、あえて曖昧にするために、用いて
いる言葉のように感じることが多い。

 真摯に考えるのならば、経済に関する基本的な諸条件なのだから、「マネー・サプライ」から、「社
会的なインフラ」、「雇用情勢」などなど、あらゆる事柄を含む。

 日本のケースでも、今回の米国の場合でも、そのように、口先介入をしていると、『そのうちドル買い介入をするのではないか・・・・』と期待して、普通だったら、ロス・カットしているようなコストの悪いドル・ロングも、切りきれず、チャート・ポイント(外国為替相場の節目となる重要なレート)をブレイクした際には、オーバー・シュートし易くなります。

 そもそも、日本の場合でも、米国の場合でも、「介入」を行う場合は、「判断の根拠」と「介入後の検証」を明示するべきだ、と考えます。
 「介入の資金」は「国民のお金」です。なくなるわけではなく、資金を他の通貨に転換するだけなのですが、「国民の判断」ではなく、「一部の権力者の勝手なスペキュレーション」に委ねて、「為替リスク」にさらすのですから、少なくとも、その説明責任はあって当然でしょう。

 「介入」を行った結果、外国為替市場のレートがどのように動き、為替以外の市場(例えば、株式市
場、債券市場、商品市場など、同様に海外の各市場など)に、どういった影響をあたえたのか?
 それは、当初に期待していた通りの結果なのか?
 それとも、予期しない結果となったのか?
 そういったことを、ちゃんと「介入実施」の後に調査をして、「国民」にきちんと説明をする義務があるはずです。

 介入直後に発表しろ、とは強弁しません---例えば、法律で、介入から2年後とか、3年後に公表することを、義務付ける、などは国民に対する責務でしょう。

 うがった見方をすれば、介入の判断を行う人間は、「事前に為替オプション取引を購入する」、などをして、選挙資金を捻出するとか、が可能です。
 不正の温床となる可能性のあることには、きちんとした説明責任が付随するのが当然です。

 それに「一部の権力者」の恣意的な感覚に任せて、「介入」すれば、コントロールが効く程度の「外国為替市場」でしょうか?
 「外国為替市場」はもっと壮大な市場で、目先は「介入」の思惑通りになっても、そこに、確固たる
根拠と政策などの意思決定が伴わなければ、根本的な流れを変えることは不可能でしょう。

 私は「介入」に対して否定的なのですが、それでも、絶対にしてはいけないとは、考えていません。
市場がパニックになるほど乱高下してしまう程、需給が歪んだ時に、「スムージング・オペレーション」を行うことや、「有事」の際に、外為市場を閉鎖することは間違いだとは思いません。
 現在の米国が、そういった行為をしているのは、それほどに危機的な状況(市場がパニックになること)を、米国が危惧していることの表れなのかも知れない、と推察しています。

第173回 マーケットにおいては、クラッシュはつきものです

昨今の外貨投資ブームの背景には、長引く超低金利時代における、個人投資家たちの「正当な利息を得たい」という金利への飢餓感があります。
また日本はこの2年ほど実質的にはインフレ傾向にありますから、資産を円でもっているだけでは、資産が目減りするリスクすらあるわけです。大きな資産をもっている方ほど、漠然とした不安を抱えているはずです。
 個人投資家の多くは、外貨に投資すれば、金利を得られることに気づいたのです。まさに「気づいた」という表現が最適です。円金利は現時点で0.50%ですが、外貨は、それ以上の金利です。
この日本円の低い金利を利用して、その他通貨との金利差を狙って利益をあげようという取引手法が、世界中でブームになった「円キャリー・トリード」です。
 もちろん、金利差をそのまま享受することはできません。手数料がかかりますし、為替変動リスクもあります。そこで、より有利な外貨投資の手段として、外貨投信やFXなど、外貨建ての金融商品を探し始めたというわけです。
 
 しかし、ここに大きな落とし穴があります。たしかに、ここ数年の外国為替市場では、昨年までは円安傾向が続いていました。
ところが、世界的に見ればドル安です。日本人は為替レートを対円でしか考えない傾向にありますから、勘違いしがちです。
実際には、ドルはかなり安くなっていて、それ以上に円が安くなっていただけのことなのです。
 奇妙な「ドル高円安」の原因は、円の異常な低金利にあります。
超低金利政策は、バブル経済崩壊の緊急避難的措置でした。いわばゼロ金利政策は、劇薬に等しい存在です。経済を活性化させるためには、いたしかたない。これが当時の共通認識でした。しかし、それから15年が経ち、このゼロ金利は特殊であり、異常なのだという意識が薄れつつあります。
この通常ならざる低金利は、さまざまなところに"歪み"をもたらしました。
 超低金利政策によって、バブル崩壊時に本来なら淘汰されるはずの企業が生き残ってしまったところに大きな問題があります。その結果、日本の国際競争力が落ちてしまった。それがゆえの昨今の円安傾向なのだろう、と考えています。
 為替レートの変動要因は、株価と同様、最先端の金融理論においても、はっきりとはわかっていませんが、日本の異常低金利、競争力低下が円安の原因の一つであると言えることは確かでしょう。
 異常な現状からの脱却を目指す日銀はいずれ、政策金利の引き上げに踏み切るはずです。マーケットも、この異常な状態が長く続くとは考えていません。そこでどのような事態が起こるのかを考えなければなりません。
 今後、円金利の上昇にともない、「円キャリー・トレード」の拡大が終焉を迎えた場合、その巻き戻しの動きが起こるはずです。
 マーケットにおいては、クラッシュはつきものです。クラッシュとは、マーケットにたまった矛盾の"調整"です。いわば地震と同じ構造です。プレートの歪みが解消され安定されるまで、大規模な地震が発生するか、小規模なものが頻発するはずです。
昨年7月から8月にかけてのサブプライムローン・ショック(まだ正式な名前ではありませんが、おそろくはこのように呼ばれるはずです)のようなことが、再度起こるのだろう、と予想されます。

第172回 「口先介入」

【外為用語の基礎知識】
http://smatt.hp.infoseek.co.jp/
より、引用します。

この内容は、日本の財務省、日銀を意識して記述したものですが、今年(2008年)の半ばになって、米国財務省長官のポールソン氏、FRB議長のバーナンキ氏の行った発言は、まさに、往年の日本の行った「口先介入」と同一の行動です。

往年の日本の「口先介入」に対して、最も批判的だった国は、米国なのですが、自分の都合が悪くなれば、手のひらを返したように、「口先介入」を行う米国に、失笑を禁じえません。

個人的な感覚では、
『ブルータスよ、お前もか?!』
といった印象です。

現在の米国に、手の打ちようが無いことの表れだと感じています。

バーナンキ氏にしてみれば、本来ならば、金融政策で、対応することがFRB(連邦準備制度理事会)の本務ではある、と理解しているはずです。
その程度のことは、バーナンキ氏は充分に理解している人物です。

しかし、バーナンキ氏でさえも、そうすることが出来ない程、対応策が無いのだ、と考えます。

別な言い方をすれば、FRB(連邦準備制度理事会)は、ドル金利を引き上げることで、インフレやドル安に対抗したいのですが、サブプライム・ローン問題が原因となって米国が景気後退(リセッション)に陥っているので、ドル金利を引き上げることが出来ない、といったジレンマにある、と推量します。


【口先介入】
http://smatt.hp.infoseek.co.jp/sub008ku.htm#kuchisaki_kainyuu

 実際に市場介入を行うのではなく、財務省の高官などが、為替の水準が一定の方向に動いて欲しいといった願望を、市場参加者に向けてアナウンスする行為を指して「口先介入」と呼ぶ。

 外国為替市場は、変動相場制(フロート制)をとっているのだから、本来は、通常のマーケットで、政府関係者や、中央銀行の関係者が、特定の水準に言及することはないことが原則。

 日本では、こういった原則よりも、例外が頻繁にある。

 政府筋の政策として、ドル高円安が好ましい場合などに、
 「ファンダメンタルズを考えると、円が強すぎるのは問題だ」
 といったようなコメントを出す。

 こういった場合の、ファンダメンタルズが何を指しているのか、よくわからない。
 だから、本当のことを言えば、何を根拠に、そういった判断をしているのか、意味不明だ。
 せめて、もう少し、具体的に判断の根拠を示すべきと考えるが、過去にそういったケースは無かった。

 あるいは、
 「市場の動きを注視し、必要なときに必要な対応を取る」
 といったように、もっと直接的に、「介入実施」を示唆するコメントを出すこともある。

 市場参加者は、そういった日本の政府筋のコメントに留意しているから、一定の効果がある場合もある。

 しかし、実際に介入が行われているわけではないので、市場は介入警戒感を持つが、必ずしも、日本の政府筋の思惑通りに相場が動くわけでもない。

 介入資金を使わないで、―――つまり、実弾をセーブして(節約して)―――相場水準を、一定に保ちたい場合などに、日本では、頻繁に行われる。

第171回 米政府系住宅金融2社(ファニーメイとフレディマック)に異例の対応

 6月末に[105.00]を付けたドル/円(USD/JPY)は、7月上旬になると、ドル堅調に推移して、107円台後半---[107.70-80]レベル---にまで上昇した。

 7月上旬には、G8サミットを控えていたことから、『「G8サミット」で、ドル安防衛の発言や合意が、何かしらあるのではないか?』といった思惑からドルの買い戻しが先行した、と考えている。

 「G8サミット」では、『お題目的な、強いドルを望む』といったコメントは散見されたものの、いつもと同じように、具体策は示されなかった。

 そういったことから、マーケット(外国為替市場)の関心は、『米国株安の影響』『サブプライムローン問題に伴う損失の影響』『原油価格がもう一段と高騰した影響』などに移っている。
 「G8サミット」は、その終了と同時に、マーケット(外国為替市場)は無視をした印象だ。

先週末(7月11日金曜日)になって、ドルは弱含みに推移していた。
 この日(7月11日金曜日)に発表された重要な米国経済指標、「5月の米国貿易収支」の結果は、事前の予想よりも良かった。
 そのことから、ドルの下落は、いったん留まるかに見えたが、米政府系住宅金融2社(ファニーメイとフレディマック)に対する米国政府高官の発言を材料に、ドル/円(USD/JPY)は、[106.00]を割り込み、[105.60-70]レベルの安値を付けた。

 政府高官の発言で、最安値の[105.60-70]レベルまで急落し、その後は約1円の急反発と乱高下の様相を呈した。

 週末(7月13日日曜日)には、ポールソン米国財務長官が、米政府系住宅金融2社(ファニーメイとフレディマック)に対しての救済に関してのコメントを発表するなど、異例の行動を行っている。
 サブプライムローン関連の巨額の損失は、根が深く、米国政府がそういった異例の対応をせざるを得ないほど、ひどい状況が続いており、まだ、予断を許さないことを示している。
 今週と来週は、シティバンクなどの米国大手銀行の決算が発表される。サブプライムローン関連の巨額の損失が拡大しているのではないか、あるいは、隠蔽していた損失があぶり出されるのではないか、と危惧している。

第170回 相場持ち合いとなれば、同数の取り合いなり。逆向かいを可とする。

 外国為替相場の過去の経験則にしても、データ分析にしても、いくつかのパターンに分類されるだけですから、その時々の状況で、かなり過去のケースに当てはまることがあります。

 もちろん、マーケットはいつもフレッシュであり、一回として全く同じ相場はありませんし、起こり得ません。
 しかし、外国為替市場で起こっていることは、今も昔も変わらない。言い換えれば、今、新たに起こっていることに、新しいことは何もない、とも言えるでしょう。
 太陽の下、新しいことは何もないのかも知れません。

 持ち合い相場が続くと、市場参加者の考えが、ブル・ベア均衡してくる。

 ブル派(相場が上がると考えている人達)は、価格が上昇すると、さらに買う行動に出る。
 思っていた通りの、いかにも強い相場つきに見えるので、買いでついて行きたくなるのだ。
 しかし、そこは逆向かって、売っても良いですよ。

 ベア派(相場が下落すると考えている人達)は価格が下がると、
 「ほれ、見たことか!」といわんばかりに売る。
 しかし、そこは逆向かって、買っても良いですよ。

 そういった意味。

 だけれども、相場の動きは、普通は結果として、「持ち合い相場」と気がつくのであり、いつ何時、「持ち合い相場」を放れるのかは、誰にもわからない。

 別な言い方をすれば、この相場はまだ「持ち合い相場」が続くのだ、と自ら判断した場合にのみ通用する格言なのです。

 相場の格言は、正しいことが多いのですが、まず、前提条件がそろわないと当てはまらない。

 だから、この格言は『逆向かいを可とする』といった表現をしている。
 『やりたければ、そのようにやっても良いですよ。』といったニュアンスなのだ。
 言外に、『やらなくても良い(場合によっては、いつ何時放れるかわからないから、やらない方が良い)』といった意味合いが含まれている。

 『このようなときには、このように対応しなさい』といった強いニュアンスの場合には、『逆向かいをするべし』とか、『逆向かうべし』といった表現になるはずなのです。

 「膠着(こうちゃく)相場」というか、「Box相場」というか、そのような値動きをしている時にも、利益を追求しなければならない場合のアドバイス(格言)だと思います。

 相場そのものを商売にしている人達に向けての言葉でしょう。

 しかし、「逆向かいを可とする」相場で、実際に「逆張りオペレーション」を行った場合には、最後に、どちらかに放れるところで、必ず、「損切り(負け)」になります。
 ですから、「逆張り」で何往復とれるのかが、損益の分かれ目になってしまいます。

 オプション・プレイヤーがストライク・プライスを中心に、売買を繰り返すオペレーション(リボルビング・オペレーション)を良くやっていますが、その技法も、この格言にのっとったものです。

 ですから、本当は値幅の小さい「膠着(こうちゃく)相場」「Box相場」の場合には、「休むも相場」と考えて、パスした方が良いのでしょう。

 でも、こんな相場が続いてしまうと、「休んでばかり」になってしまいそうです・・・・・。

第169回 「洞爺湖サミット」

日本の北海道で、「洞爺湖サミット」が開催されます。

サミット(主要国首脳会議/Group of Seven and Russia)とは、マーケット(外国為替市場)が注目する国際的なイベント(行事)です。
それは、定期的に、開催される経済に関連する出来事です。

従来は、G7と欧州連合によりサミット(先進国首脳会議)が開催されていましたが、これに、1997年よりロシアが参加するようになり、G8となっています。

サミットでは、日本、米国、ドイツ、英国、フランス、イタリア、カナダ、ロシアの各国首脳(および国際機関の代表)が年1回集まり、国際的な経済、政治課題について討議します。

ロシアが参加する前は、先進国首脳会議と呼ばれていました。G8とも言います。


『「洞爺湖サミット」で為替についてのコメントがでるのか、どうか?』に、一応は注目しておきます。

しかし、『今回のサミットで、わざわざ、「為替に関してのコメント」がサミットの合意としてオフィシャルに表明されるのか?』と言うと、答えは『ノー』だろう、と考えています。

(サミットの前にこの文章を書いています。)

今回のサミットの主要テーマは、決して「為替レート」ではないからです。

『原油価格の高騰』に対する懸念、すなわち、それは、『世界同時インフレ』に対する懸念の表明なのですが、そのことは、大きなテーマになるでしょう。

また、『地球温暖化に伴う、二酸化炭素の問題』は、最大のテーマです。

しかし、「洞爺湖サミット」の開催が決まったころの感覚では、『CO2問題(二酸化炭素の問題)』が、最重要テーマだったのですが、ここにきて、原油価格の高騰の方が、重要になってきた(きている)と考えます。


「洞爺湖サミット」に関しては、正直なところ、全く、たいしたことがないのだろう、画期的な合意や、予想外の声明は、無いだろう、と、個人的には考えています。
それが個人的な事前予想です。

しかし、念のために、何が起こるかわかりませんから、敬意を払って、注目する必要があります。

(2008年7月7日東京時間01:30記述)

第168回 円高とインフレが同時進行するとどういうことになるか

「投資で浮かぶ人、沈む人」(PHP研究所)の中から、一部抜粋のうえ、少し修正して引用します。

 インフレはインフレ、円高は円高で、インフレだから円高になるなどということはなくて、同時に並行することがあるわけです。だから正確には「インフレかつ円高」です。
 ちなみに、そうなると札束の価値はどんどん自国内でも弱まっていきます。けれども対海外のものでは、円の通貨価値は上昇していくことになる。単純な事実ですがこれが意外とわかりにくいものです。そして、超円高になっていくと、輸入規制がない限りにおいては庶民の生活はより楽になるのです。
ところが、輸出で儲けている企業は実際やはり利益が減ります。そういう意味でいくと、大手メーカーが儲からなくなり、だから結果的に景気が悪くなる、という脅し文句はある程度は正しいわけです。給料がカットされ、リストラされて、ということで回り回って生活できなくなるということもあるでしょう。
でもそれはワンクッションをおいた話です。
大企業に勤めている人は、全人口の5%未満です。95%の大半の人には、直接的には関係ないわけです。ある種の詭弁であるということに早く気がつくべきです。でも、その詭弁であるということに気がついている人たちは、大半がそういった言ってみれば有識者層であって、それをみなに伝える必要はないわけです。自分が不利益な立場になるから、基本的に言わないようにしているわけです。
 ところがこの詭弁も自然な流れの中でいずれ通用しなくなるでしょう。アメリカ以外の輸出先、つまり中国などの新興国がどんどん出てきていますから、その構図がじつはかなり崩れてきているのです。極端に言えば、円高ドル安のほうがいい上場企業もでてきた。しかし、まだまだアメリカに消費を大部分頼る構図は崩れない。その消費大国としての構図が完全に崩れたときに、日本はこのままではいけないということに国民全体も気づくはずですが、もちろんそれではもう遅いのです。
 ただそうなる過程で、やはり大手企業はまたリストラをするでしょう。潰れないだろうけど、リストラという名のクビ切りをします。そして海外に本社移転もありうるでしょう。税金がないところへいけば日本国内にいるよりもっと利益を上げることができるなどというやわらかな脅しを、実際に大企業がしています。そういう方向になると、国力としては俄然弱まります。
 やはり技術大国日本ということが、日本のプレゼンスを保つ上で最も必要なわけですから、そうした企業へのバックアップを国家がいかにしていくかは、さらに重要なことになっていくと思われます。
 ちなみに、アメリカがドル凋落に対してなにか手を打てば、ドルが復活するということがあると思いますか?答えはノーです。
 例えばいま中国に対して、中国元を強くしてドル安中国元高にすれば、米中の貿易のアンバランスは改善されます。もちろんそれは中国の安価な労働力のおかげなのですが、しかしアメリカ人たちが、本来だったら自分たちが働いて作ればいいものを中国で作って、彼らの賃金が安いから我々の仕事を奪っていると考えて、製造業に回帰してうまくいくと思いますか。さほど働かず、消費することに慣れきった国民性がそれを実現できるでしょうか。
 中国が元高になれば、彼らの生活もよくなるし、製品が高くなって売れなくなるから、それならばアメリカで物を作れば、アメリカの雇用があがるという図式はたしかに説明はできるけれども、実際には、そうならないのです。やはりアメリカは勝ち残れない。
 そしてそうしたことを考えると、日本でしかつくれないものをつねにつくっているかどうか、それが日本の生き残りを左右することだとわかります。企業経営にたとえて言うのなら、コアコンピタンスが、日本の場合は「抜群の技術力」なのです。
 どうですか?「円高とインフレはやばい」という頭の中の図式を組み立てなおすことはできましたか?



 >   >  2008年07月