第167回 中国株(上海株式)に注目している

中国株(上海株式)に注目している。
具体的な数字では、上海株式の最高値はアバウト6000くらい。昨年(2007年)に高値を付けた。
すでに、今年の4月に3000近くまで下落し、その時点で、高値のおよそ半値を付けている。
4月から5月にかけて、いったんの反発をして、3000台の後半程度に上昇したが、結局4000に届かず。
4000に届かないことを確認したので、再び、高値で買った市場参加者の損切りの売りが主導して、上海株は下落を始めた。
4000を届かないことを確認してからの売りは、歯止めがかからずに、今度は、今月(2008年6月)になって、3000も割り込んだ。
先週末(6月27日)の終値(クローズ)では、2750も割り込んでいる。

上海株は、2006年ころから上昇を始めている。
2006年前半は、1000台の前半程度。だから、2年もかからずに、6000に上昇した。それは、約5倍か6倍程度に上昇したことになる。
だから、3000程度でも、大きな流れで見れば、上昇していることになるし、仮に2000程度まで下落しても、2006年前半から比べれば、約2倍になっていることになる。

今、結果的に言えることは、6000くらいがピークだった、いうこと。
ピークで売れなくてもいいのだけれど、5500とか5000程度は、当然に利食いのゾーンだったということ。
しかし、現実に、みんなが買っているのは、6000とか5000とかで、それが3000まで落ちちゃった、そして3000も割り込んでしまったという事実。

多少の損をしてでも、売り逃げた人は、胸をなでおろしていることでしょう。
困っているのは、含み損を抱えて、持っている人。
売るに売れないのだろうが、こうなると、相場は、当分、上昇しないだろう。
売るに売れない人が、泣く泣く売ると、上昇する可能性も出て来るが、そういったポジションが掃けないと、なかなか相場は上がらない。

しかし、中国経済自体は、株はこうだけれども、それほど大きな影響はないのではないかというような気がしています。
要はいつの時代でも、後から乗っかってきて、高値をつかんで、余計な損失をこうむる人たちがいるわけです。

上海株の場合、例えば、去年の暮れに利食ったのならば、今年、来年くらいは、十分落ちきるまで、2年くらいしばらくほったらかしにしておいて、それからおもむろに買えばよいのだろう。5年10年という時間で見れば、また上昇すると考える。

しかし、上海株を5000で買った人たちは、4000まで落っこちてきた際に、『いや、5000の前半に戻るはずだ』と考える。しかし、戻らない。
そういう人達が切ったら戻る。その人たちは、結局、最終的には処分する(はずです)。その人たちが相場をやめたら、戻る。

そして、結局のところ、基調として中国株は上がっていく、という流れだろうと考える。中国の成長を考えると、そうなるのだろう、と考えるのが順当だろう。

外貨投資(FX投資)にも、こういった、上述の考え方は流用できる。

上述のこととは別に、外国為替市場に与える影響を勘案しても、3000を割り込んだ上海株式に注目している。
上海株価の下落が、リスク回避を呼び込み、為替取引に大きな影響を与える可能性は高い。

第166回 「サブプライム・ローン・ショック」が日本経済に与える影響

 いま大勢の判断は、日本にも、今後、サブプライム・ローン問題の余波が出てくるという読みがあります。
 日本の銀行は、サブプライム・ローン関連に、それほど投資をしてないから、いや偶然にも、日本の銀行にはそういう体力がなかったから、日本経済を粉々にするような影響はでないと読んでいます。
国の借金を返済してないところがほとんどの状態で、言ってみればバブリーな、儲けのチャンスのあるところに投資するマネーがなかった。だから日本は偶然助かったといえます。
 もっと具体的に言うなら、バブル崩壊後に、日本の銀行は、公的資金の借金をしましたが、まだ国から借りたお金の返済が終わっていないところが多かった。要するに、公的資金の返済すら終わっていないのに、そんなところに投資するのかという文句も出てくるでしょうから、投資ができなかったのです。
 さらにいえることは、日本はもう10年以上前に同じような経験をやっているわけです。一度経験している。だから、今回何が起こっているのかということを、日本人は体感的にわかっているのかもしれません。
今回アメリカで起きたサブプライム・ローン・ショックというのは、日本でいう「バブル崩壊」です。たいして変わらない。ただ規模が大きいだけなのです。
 ただし、その違いは、世界経済全体への余波です。アメリカ経済はもうがたがたなので、日本から製品輸出しているようなものが今後売れなくなり、輸入が落ちるでしょうし、さらには、米国が世界中からものを買わなくなりますから、世界中に悪い影響を与えてしまう。そのことが起こる可能性が高い。
 アメリカ経済の弱体化が、世界中の消費に影響する構造が出来上がっている以上、負の連鎖は急速に広がります。グローバリゼーションの負の側面が露呈します。
 総じて、サブプライム・ローンを証券化したものでの実質的な損失額は、日本は大したことはない。けれども、アメリカ経済の冷え込み・停滞が、いろいろな流れで、今後、どんどん噴出してくるだろうというのが正直なところです。

 こうした状況になると、投資家は心が落ち着かないものです。実際にもう投資用の資産が半分ぐらい吹っ飛んだ人もいるはずです。
 サブプライム・ローンのセキュリタイゼーションというのが、世界中で儲かるということになりましたから、情報をかぎつけていたほうが逆に危なかったかもしれない。

 サブプライム・ローンとは、アメリカの不動産価格がまだ上昇しそうだなと思った個人の投資家の人たち、あるいはある程度大きな投機家の人たちが、土地を買って家を買って、1年、2年後に不動産価格が高くなったら売り逃げをする。そういう事態だったわけです。そしてこれはウォール街の金融のスペシャリストたちが商品開発をしたのです。

例えば10万ドルで買ったものが2年後に12万ドルになれば2万ドル儲かる。
だからその2年間だけ、借りればいいのだ、と考える。
こういうような形で個人がサブプライムで借りたわけです。
プライム・ローンではなく、サブプライム・ローンで高金利なものを借りたわけです。高金利でも構わない、2年後に金利が更に上昇しても構わない。売り逃げるつもりだから、分かったうえで、借りたのです。
 そう考えると、一概に、サブプライム・ローン問題を公的資金で救済するのは、理不尽だ、といった正論が出てきます。
 しかし、正論も理解するが、現実に大きなクラッシュが起きても困るので、さまざまな政策が出てきています。しかし、本来ならば、その方が変であることも理解しておきたい、と考えます。
そうでないと、今後の展開に付いていけなくなりそうだからです。

第165回 うまくいっても、いかなくても、謙虚な気持ちで

 1998年に外為法が改正されて以降、個人にも外国為替取引が開放されました。
 最近は、個人向けの外国為替取引(FX取引)は、盛んになっています。ブームと言っても良いでしょう。
 一般に、個人向けの外国為替取引(FX取引)は、「レバレッジ効果」を利用した「ハイリスク・ハイリターン」を狙った取引です。

 このコラムを読んでいる方々には、「釈迦に説法」でしょうが、ここでちょっと、「レバレッジ(Leverage)」について、説明を加えておきましょう。
 借入金などを利用して、自己資金を上回るポジション(外国為替の持ち高)を持つことを「レバレッジを効かせる」と言います。
 高いレバレッジを効かせて取引をすると、わずかな値動きでも、相場を当てれば、大きな利益になります。
 しかし、相場を外して損失になると、その損失も大きなものになります。
 レバレッジ効果は、「諸刃の剣」ということです。
 ですから、外国為替取引(FX取引)で、継続して利益を得るのは容易なことではありません。
 別な言い方をすれば、外国為替相場を読み、それに対応していくことは、決して簡単なことではないのです。

「こんな相場は簡単だ!」と油断したときに限って、往々にして致命的な大損をすることがあります。
 相場をなめると、こっぴどくやられます。うまくいっても、いかなくても、謙虚な気持ちで臨むことが大切なのです。

 実際のマーケットで、予想に反した値動きがあった際に、
「オレの予想は絶対に合っているはずだ!」
「相場が間違っているんだ! 相場がおかしい!」
といった声を聞くことがあります。
 しかし、それはかっこ悪いただの言い訳です。
 マーケットには、「ポジション・トーク(Position Talk) 」という言葉があります。
 ドル・ロング(ドルの買い持ち)にしていると、ドルが強くなって欲しいので、他の人にも「ドルが強くなるよ」とわざわざ言ってみたりする。
 あるいは、「ドルが強い」ことを示す相場の材料をわざわざ探したりする。
 逆のことを他の人が言うと、ムキになって否定したり、「ドルは強いんだ」と強弁したり、攻撃的になったりする。
 ドル・ショート(ドルの売り持ち)にしていると、ドルが弱くなって欲しいので、他の人に「ドルは弱いよ」と言ってみたりする。
 こういった、こうあって欲しい、こうなって欲しいという願望を含んだ会話・言い回し・態度を「ポジション・トーク」というわけです。

 よく、「オレはポジション・トークをしないよ」という人がいますが、それこそがポジション・トークでしょう。
 ポジション・トークをしない人間はいません。
「オレの予想は絶対に合っている。相場が間違っている」という態度は、ポジション・トークの最たるものです。

第164回 「介入」は、原則として、しない方が良い

 「独断と偏見」で、「介入」についての私見。

 「介入」は絶対にしてはいけないとは言いませんが、そこには利害関係があるので、安易に「介入」を勧めるのは、納得しかねます。

 最近では、今月(6月)初旬に、ポールソン米国財務長官が、介入を示唆しました。

 ファンダメンタルズ(Fundamentals)を考えると、為替水準がどうのこうの、といったコメントをよく見かけますが、何だか、よくわからない内容が多いものです。

 こういった場合のファンダメンタルズ(Fundamentals)とは、経済を構成する根本・基礎。また、その条件を指すこともある。
 「市場用語」で、よく使われるが、具体的に何を指すのか、よくわからない。
 漠然と、大きすぎる概念だから、ありとあらゆる「根本的な」、「基本的な」事柄・条件を含むと考えられる。
 政府や学者、マスコミが、衆愚をごまかすために、事柄・事象を、あえて曖昧にするために、用いている言葉のように感じることが多い。

 真摯に考えるのならば、経済に関する基本的な諸条件なのだから、「マネー・サプライ」から、「社会的なインフラ」、「雇用情勢」などなど、あらゆる事柄を含む。

 そのように、口先介入をしていると、マーケットの需給を歪めて、最終的には、為替レートの値動きがオーバー・シュートし易くなります。

 このところの日本の場合、最近では「介入」が行われることが無かったのですが、過去の介入を考察してみると、「介入」の判断の根拠が曖昧であるばかりでなく、「介入後」の検証も曖昧のままです。
なんだかんだ言っても、「介入の資金」は「国民のお金」です。なくなるわけではなく、「円資金」を「ドル資金」に転換するだけなのですが、「国民の判断」ではなく、「一部の権力者の勝手なスペキュレーション」に委ねて、「為替リスク」にさらすのですから、少なくとも、「介入」の判断の根拠と「介入後」の検証を行うべきでしょう。

(注):「介入」が「ドル買い円売り介入」の場合は、「円資金」を「ドル資金」に転換することになります。
 「ドル売り円買い介入」を実施する場合は、財務省が保有している「ドル資金」を「円資金」に転換することになります。


 もう少し説明を付け加えると、【「介入」を実施する】、【「介入」を実施しなければならない】といった判断を、何故したのかといった、「介入」の判断の根拠が曖昧なままで、実際に「介入」が行われています。

 「介入」を行った結果、外国為替市場のレートがどのように動き、為替以外の市場(例えば、日本の株式市場、債券市場、商品市場など、同様に海外の各市場など)に、どういった影響をあたえたのか?
 それは、当初に期待していた通りの結果なのか? それとも、予期しない結果となったのか? そういったことを、ちゃんと「介入実施」の後に調査をして、「国民」にきちんと説明をする義務があるはずです。

 介入直後に発表しろ、とは強弁しません---例えば、法律で、介入から2年後とか、3年後に公表することを、義務付ける、などは国民に対する責務でしょう。

 うがった見方をすれば、介入の判断を行う人間は、「事前に為替オプション取引を購入する」、などをして、選挙資金を捻出するとか、が可能です。

 現在の「介入資金」の使い方に、「外務省機密費」と同じような、「独善性」を感じます。どうして、マスコミは、そういった点を取り上げないのでしょうか?
 政府筋周辺のマスコミにも、疑惑の目がいってしまいます。政府筋と、その周辺のマスコミとに、癒着した関係があるからなのだろうと、推察しています。

第163回 G8では、何も無かった

2008年06月16日(月) ドル円ユーロ投資戦略
タイトル:G8では、何も無かった

この週末に行われたG8では、為替に関して、具体的な目新しい合意はありませんでした。注目のイベントでは、何も無かった、といった印象です。

あい矛盾する事柄をより高い次元で、どちらも生かすことを、哲学用語で、アウフヘーベン(止揚:しよう)と言います。
矛盾する諸要素をより高い段階で、発展的に統合することです。

そういった、あい矛盾する事柄をアウフヘーベン(止揚)していかないと、結局は、相場で生き残れないことに気が付きます。
アウフヘーベンをしないと理解できない事柄が、相場の世界にはたくさんあるからです。

 たとえば、「金利とは何か?」という問い。
 それは、「その通貨を発行する国のインフレ率」です。
 そして、インフレ率の高い国の通貨は、いずれ下落します。

しかし、現在の外国為替市場のテーマは、高い金利の通貨を買い、低い金利の通貨を売ること。そうすれば、目先の金利差を享受できるからです。つまり、「キャリー・トレード」がテーマなのですが、その傾向(嗜好)は、現在でも続いています。

 そして、現在のマーケットでは、その需給から、インフレ率の高い通貨の価値(価格)は、上昇する傾向にあります。

 こういった、一見すると、あい矛盾するように見える2つの命題(テーマ)も、実は矛盾しているのではなく、それぞれ独立してワークしている(効果を発揮している)のだ、と考えられます。
つまり、アウフヘーベンをすれば、矛盾していないのです。

 もう一度繰り返しますが、現在のマーケットでは、その需給で、高金利通貨が買われ、その価値(価格)は、上昇する傾向があります。しかし、いずれインフレ率の高い国の通貨は、下落するのです。
 最終的に、『インフレ率の高い国の通貨は、下落する』、それもまた、真実なのです。

先週は、バーナンキFRB議長の発言をきっかけに、ドル高傾向に動いています。
バーナンキFRB議長のコメントはインフレ懸念。インフレ懸念ならばと、ドル金利の引き上げを連想させています。
『インフレ懸念ならば、通貨価値の下落』なのですが、今のマーケット(外国為替市場)は、その思考パターンになっていません。アウフヘーベン(止揚)が必要なところです。

前回までのFOMC(連邦公開市場委員会)では、サブプライム・ローン問題に伴う景気後退を懸念して、わざわざドル金利を引き下げたのだから、それを反転させて、ドル金利の引き上げをすることは、最後のドル金利引き下げは、間違いだった、と認めることになります。
FRB(連邦準備制度理事会)にも体裁はあるでしょうから、当面のところ、FRBはドル金利を据え置き、景気後退とインフレ懸念とのバランスで、金利政策をどう舵取りして行くのか、改めて考えることになるのだろう、と思量します。

そう考えると、今年の年末にかけて、ドル金利引き上げの可能性も高くなります。
マーケット(外国為替市場)は、そういった点を先読みしてドル買いに動いたのですが、この傾向がいつまで続くのかに注目しています。

第162回 米国失業率の悪化とバーナンキFRB議長発言

今週の月曜日(6月9日)のコメントで、以下のように述べた。

米国失業率(雇用統計)の場合は、基本的には、「失業率」と「NFP(非農業者雇用者数)」の二つに注目する。

米国失業率が、事前予想値よりも悪ければ、「ドル売りの材料」になる。
米国失業率が、事前予想値よりも良ければ、「ドル買いの材料」になる。

NFP(非農業者雇用者数)が、事前予想値よりも多ければ、「ドル買いの材料」になる。
NFP(非農業者雇用者数)が、事前予想値よりも少なければ、「ドル売りの材料」になる。

 今回、6月上旬に発表された米国失業率(雇用統計)は、『大幅に悪化するのではないか?』とか、『前回のNFP(非農業者雇用者数)で、大幅な下方修正があるのではないか?』といったウワサが5月中に流布していた。さて、どういった数値になるのか、と、素直に注目していたが、発表された数値は、かなり悪いものだった。

5月の失業率の事前予想が[5.1%]に対して、発表された数値は[5.5%]。
事前予想よりも、[0.4%]も悪かった場合は、過去に記憶が無い。個人的な記憶に過ぎないが、1984年以降から現在にいたるまで、無かった。圧倒的に、事前予想よりも悪い数値。

 総じて、米国失業率(雇用統計)は、悪いものだった。
 ドル売りに反応したが、その反応も、数字が悪いのと比べて、ドル売りの加速度が弱い。

 米国のリセッション(景気後退)が、明らかになった印象。
 もともと米国のリセッションは明瞭だが、それを捻じ曲げて、来年は良くなる、といったコメントが多い。そういった、言葉の遊びのようなまねは、止めて欲しいものだ、と個人的には感じている。米国は、現在、景気後退局面(リセッション状態)にある、と考えている。

 今回の米国失業率(雇用統計)の数字は、「ドル売り」の材料にしかならない。

ところが、今週になって、状況が変化している。
バーナンキFRB議長の発言で、ドル高傾向に動いているのだ。
他にも、ブッシュ大統領や政府高官からもドル安に対する懸念が示された。

バーナンキFRB議長のコメントは米国のインフレ懸念。
インフレ懸念ならばと、ドル金利の引き上げを連想させた。

しかし、ドル金利に関しては、「次回の」FOMCでの利上げには結びつかない、と考えている。
前回のFOMCまでは、サブプライム・ローン問題に伴う景気後退を懸念して、わざわざドル金利を引き下げたのだから、それを反転させて、ドル金利の引き上げをするのは、最後のドル金利引き下げは、間違いだった、と認めることになるからだ。
当面は、ドル金利を据え置き、景気後退とインフレ懸念とのバランスで、金利政策をどう舵取りして行くのか、改めて考えることになるのだろう。
そう考えると、今年の年末にかけて、ドル金利引き上げの可能性も高くなる。
マーケット(外国為替市場)は、そういった点を先読みしてドル買いに動いた。

バーナンキFRB議長の発言は、非常に気になるところだが、先週末の米国失業率の大幅な悪化や、米国経済指標を見ると、FRB(米国連邦準備制度理事会)は、事前にこういったデータを察知して、懸念をしているのではないか、とも推量できる。

現時点で、ドル高にトレンド転換したのか、というと、まだ、明瞭なシグナルが出ていない。
しかし、現時点では、米国の政策が、どうなっているのか、に注目する必要がある。
つまり、バーナンキFRB議長に注目する必要がある、と考えている。

第161回 今回の米国失業率(米国雇用統計)

 米国の経済指標は、その数(種類)がたくさんある。とても、全てを隈なく網羅して注目することは、事実上、不可能だと考えている。
 そういったあまたある米国経済指標の中で、注目すべきものは、次の5つと考えている。

・米国失業率(雇用統計)
・米国貿易収支
・米国GDPフラッシュ(速報値)
・CPI(米国消費者物価指数)
・PPI(米国生産者物価指数)

 これらの米国経済指標は、注目度が高い。そして、これらの数値が発表される前に、その事前予想が出回る。
事前予想を発表するのは、主に大手金融機関のシンクタンクやエコノミスト。大手情報会社(ロイター通信社、ブルーンバーグ社などの情報配信会社)は、それらの平均値を発表する。
 マーケットは、そうした事前予想値と実際に発表された数値を比較考量して、予想値よりもよかったのか、悪かったのを、売買の判断基準にする。

 さらに、これらの中で、注目度が最も高い米国経済指標「米国雇用統計(米国失業率)」が先週末(6月6日金曜日)に発表された。

米国失業率(雇用統計)の場合は、基本的には、「失業率」と「NFP(非農業者雇用者数)」の二つに注目する。

米国失業率が、事前予想値よりも悪ければ、「ドル売りの材料」になる。
米国失業率が、事前予想値よりも良ければ、「ドル買いの材料」になる。

NFP(非農業者雇用者数)が、事前予想値よりも多ければ、「ドル買いの材料」になる。
NFP(非農業者雇用者数)が、事前予想値よりも少なければ、「ドル売りの材料」になる。

 今回の米国失業率(雇用統計)は、『大幅に悪化するのではないか?』とか、『前回のNFP(非農業者雇用者数)で、大幅な下方修正があるのではないか?』といったウワサが5月中に流布していた。

 さて、どういった数値になるのか、と、素直に注目していたが、発表された数値は、かなり悪いものだった。

5月の失業率の事前予想が[5.1%]に対して、発表された数値は[5.5%]。
事前予想よりも、[0.4%]も悪かった場合は、過去に記憶が無い。個人的な記憶に過ぎないが、1984年以降から現在にいたるまで、無かった。圧倒的に、事前予想よりも悪い数値。

NFP(非農業者雇用者数)の、事前予想値は[マイナス60,000人]。そして、発表された数値は[マイナス49,000人]。
事前予想よりも、若干、良い数値だった。

今回は、リバイス(前回の修正)にも注目があった。前回の修正は、以下の通り。
 NFP(非農業者雇用者数)は、[マイナス20,000人]から[マイナス28,000人]に下方修正。

 総じて、悪いものだった。
 ドル売りに反応したが、その反応も、数字が悪いのと比べて、ドル売りの加速度が弱い。

 米国のリセッション(景気後退)が、明らかになった印象。
 もともと米国のリセッションは明瞭だが、それを捻じ曲げて、来年は良くなる、といったコメントが多い。そういった、言葉の遊びのようなまねは、止めて欲しいものだ、と個人的には感じている。米国は、現在、景気後退局面(リセッション状態)にある、と考えている。

 今回の米国失業率(雇用統計)の数字は、「ドル売り」の材料にしかならない。

第160回 なぜ、上昇はゆっくりで、下落は速いのか?

 相場の値動きは、上昇はゆっくりで、下落は速い、といった傾向があります。
 ドル円レートの値動きは、その典型例だと考えています。

では、なぜ、上昇はゆっくりで、下落は速いのでしょうか?

 物を売るときに、まず、人はどこかでその品物を仕入れてきます。そして、それを買いたいという人に、利益を乗せて売るでしょう。
 この発想は、誰でも思いつくことです。
 しかし、商品がなければ、それに利潤を乗せて売る、ということは思いつかないでしょう。
 現在、手元にない品物を人に売りつけて、それから、その品物を仕入れにいく――そういう行動パターンは、一般的ではありません。
 そこには、リスクがあるからです。
 その品物が手に入らないかもしれない。なおかつ、その品物を売りつけた値段よりも安く仕入れなければ、自分が損をしてしまいます。
 そんなリスクは、誰も負いたくないですから、仕入れてから、その仕入れ値に利益を上乗せして売ろうとするのです。

 ですから、普通は「品物を買ってから売る」という行動になります。
 人間の発想に素直に従っているわけですから、無理がありません。
 はっきり言えば、「買うということ」は、難しい行為ではありません。
 人間本来の行動に根差しているのですから。
 品物を仕入れてみたものの、何らかの理由で、それが仕入れ値よりも高く売ることができない場合、一般的に、人は仕入れ値よりも高く売れるまで待とうとします。
 損をしてまで売ろうとは思わないからです。
 短い時間でも、時の経過とともに価値(価格)の下がってしまう品物――青果や鮮魚など――の場合は、泣く泣く多少の損をしてでも売ろうとするのでしょうが、時間に左右されない商品の場合は、あわてて売らずに、価値が仕入れ値よりも高くなるまで待つ、あるいは、高く買ってくれる人を探そうとするわけです。
 ところが、「売り」から入るという行為は、「無い物」を売るのですから、発想の転換が必要です。
 なおかつ、「(品物がなくて)買えないかもしれない」「売値よりも安く仕入れることができないかもしれない」といったリスクがありますから、人は躊躇します。
 ですから、まず、人は「仕入れる(買う)」という行動を取ろうとするのです。
「買う」という行為は、人間本来の本能的な行動だと思います。
 そう考えると、買い相場(価格が上昇する相場)がジグザグを繰り返し、ジリジリと上がっていくのが、理解できるのではないでしょうか?
 価格(ドル/円レート)が下落する場合に、ジグザグ運動がなく、ストンと落ちるのは、価格が一定の水準を割り込むと、その損失に耐えられなくなって、それまでに「買い」から入った人たちが、いっせいに売る(損切りを行う)からです。

第159回 【揺り戻し】 【修正】【修正局面】(Correction)

5月31日(土)は、インヴァスト証券株式会社主催の『勝つためのFXセミナー』でした。
第一部の『勝つための「FXの教科書」』でお話をいたしました。
あいにくの雨だったのですが、約500人のみなさまに、お越し頂きました。本当にありがとうございました。(緊張して、少し、あがっていました・・・。)
第一部、第二部と終了した後で、直接、お越しくださった皆様とお話する時間をいただいたのですが、最後まで、たくさんの皆様が残ってくださいました。時間の都合で、打ち切りになりましたが、遅くまでお付き合いいただき、ありがとうございました。心より、感謝いたします。


さて、本日のコメントは、言葉の定義から。

【揺り戻し】

 相場がオーバーシュートした後で起こる修正のこと。あるいは、相場が大きく動いた後で起こる、その修正のこと。
 相場が行き過ぎて売られたり、買われたりすると、その後で、その反対の動きが起こる。その動きを指して、「揺り戻し」と言う。
 売られ過ぎて、相場が大きく下落した場合ならば、その後で、急な買い戻しが起こって、相場が急反発する。
 買われ過ぎて、相場が大きく上昇した場合ならば、その後で、頭が重くなり、相場が急落する。
 「揺り戻し」のと呼ぶ場合は、おおもとの流れ(相場の動き)よりも値幅が小さい。
 例えば、相場が売られ過ぎて大きく下落した後で、「揺り戻し」が起こり、反転急反発しても、相場が下落を始めた水準まで戻るわけではない。
 「揺り戻し」が起こると、その水準で、小さな「レンジ相場」を作ることが多い。

【修正】【修正局面】(Correction)

 相場の動きは、上下動を繰り返す習性がある。
 だから、相場が一本調子に上昇したり、一本調子に下落したりした場合に、それまでの値幅よりも小さく、相場がいったん反転して、そこで「レンジ相場」(持ち合い相場)を形成することがある。
 この反転して、小幅な上下動を繰り返す値動きを、修正(Correction)、修正局面と呼ぶ。
 調整、調整局面と同義語。


外国為替市場では、ドル円は、3月に95円台の安値を付けてから、105円台にまでリバウンド上昇している。
しかし、個人的には、ドル/円(USD/JPY)を買う気には、全くならない。
 現在の、ドル円市場は、いわゆる『揺り戻し局面』。まず、言葉の解説を上述しました。

まだ、コストの悪いドル/円(USD/JPY)のロング(買い持ち)が、---昨年来に、上値で買って、まだ、つかまっているロングが、---上値を重くしている印象だ。

3月に付けた、95円台から見れば、この5月に、105円台までよく戻した。
コストの悪いドル/円(USD/JPY)のロング(買い持ち)を、処分するには、良いチャンスだと思っています。



 >   >  2008年06月