第158回 勝つことが、簡単ではないことを理解すると、初めて勝てる

 「相場の適性があるかどうか」は、実際に売買をやってみないとわかりません。
 しかし、外国為替市場に参加するプロの世界(インターバンク市場)でも、相場の知識のまったくない新人ディーラーに、いきなり相場をやらせるわけにもいきませんから、新たに配属された新人の場合は、まず、アシスタントから始めます。
 ベテラン・ディーラーのお手伝いをする間に、取引の専門用語を覚え、チャート分析の手法や、ファンダメンタルズ(経済を構成する根本基礎、経済の基礎的条件)を勉強します。
 そして、そういった知識を身に付けてから、実際の相場でポジションを取ることになります。
 しかし、実際に始めてみると、なかなかうまくいきません。
 ベテラン・ディーラーが失敗したときに、『オレだったら、もっとうまくやるのに』 と思っていたアシスタント・ディーラーも、実際にポジションを取ると、セルフ・コントロールができずに、青くなったり、赤くなったりしています。

 他の人がポジションを取っているのを見ていることと、自分がポジションを取って行動することはまったく違うことだと、そのときに気付くようです。

 美しい生け花を観賞して、「うまい」とか「へただ」とか、批評をすることは、誰にでもできます。芝居を見て、あの役者は「うまい」だの「へた」だのと、言うことは簡単です。
 しかし、自分で花を生けたり、自ら素晴らしい演技をすることは、実際にやってみると、なかなかできないものです。
 
 ここで、注意しなければいけないのが、相場に対する「向き不向き」です。
 実際の相場には勝てないものの、「相場が好きだ」という人もいます。
 相場には勝てないのですが、「相場の分析能力はすごい」という人もいます。
 彼らは、自分で花を生けることはできないけれど、その鑑賞眼は特筆ものとか、自分で演技はできないけれど、その批評能力は素晴らしい――そうたとえることができるかもしれません。

 たまに、ビギナーズ・ラックの話も聞きますが、逆に、全く、ビギナーズ・ラックが無かった、といった恨みがましい話も聞きます。

 ビギナーズ・ラックが有っても、無くても、不思議なもので、実際の相場で勝つことは、簡単ではないことを理解すると、初めて勝てるようになるようです。

第157回 現実を直視しないと、相場が読めなくなる

 もちろん、常に、米国の金融政策は、今後発表される「米国経済指標」に注目する必要があることに変わりはありません。
 換言すれば、今回の利下げ(直近の4月30日に実施されたドル金利の引き下げ)も、このところ発表された「米国経済指標」で、インフレ懸念がくすぶっているのにもかかわらず、さらなる[0.25%]の引き下げが実行された、ということを忘れるべきではない。

マーケットは、オーバーシュートしやすいので、---過度に流れやすい・調子に乗りやすいので、---今回も、大幅な利下げ([0.5%]の利下げ)を見込む向きや、場合によっては、据え置きになるのではないか、といった思惑を、事前に吹聴する向きもあった。

しかし、今回の利下げのときにも、「経済活動は引き続き弱い」「金融市場は依然として緊迫している」といった旨のコメントを行っている。

金融政策(=金利政策)は、こういった一連の流れを読み取るべきで、毎回、毎回、単発的に、右顧左眄して、右往左往しても、判断を誤るだけだ。
金融政策は、「今度は利上げだ」「今度は利下げだ」とは、もともとならない。

外国為替だけを取引してきた市場参加者は、金利を為替のように考える人も多い。
 上がったのだから、今度は下がるだろう、とか、下がったら上がる、といった感覚が強い。
そういったコメントが、大手を振って、まかり通っている気がする。
 金利と為替は違う。もっと、きちんとした知識が必要だ、と思う。

前回のFOMCのあたりから、今後は、『利下げ or Stay(そのまま)』になるのは分かっていたはずだ。
 要は、米国景気後退(リセッション)の程度の問題と、金融システムの問題。

だから、現状の米国の金融政策は、『「米国経済指標」で、インフレ懸念がくすぶっているのにもかかわらず、米国景気後退(リセッション)に懸念して、さらなるドル金利の引き下げが実行されるのか、否か?』に留意する必要があるのだ。

『米国景気は後退期にあるが、心配無い』とか、『「リセッション(景気後退)」という言葉を意図的に使わないようにする』、そういったコメントが多くなっている。

『「サブプライム・ローン問題」は、峠を越した』といったコメントも多い。
いたずらにマーケット(金融市場)を刺激しないように配慮しているのは理解する。

しかし、米国経済指標を見れば、米国は、現在、「リセッション期(景気後退期)」である。
にもかかわらず、オイル価格や、貴金属価格や、さまざまな原材料価格、農産物価格を見れば、インフレ懸念が無いはずが無い。
はっきり言えば、軽い「スタグフレーション」の状態だ。
いたずらにペスミスティック(悲観的・厭世的)になる必要もないし、あおるつもりもさらさら無いが、現実を直視しないと、相場が読めなくなることだけは確かだ。

現実を直視したならば、以下の点を確認しておく必要がある。
・原油や原材料、農産物などの価格上昇で、インフレ状態である
・それにもかかわらず、ドル金利は下降局面(引き下げ局面)である。
・ドル金利の利下げをするのは、米国は、現在、「リセッション期(景気後退期)」であるからだ。
・サブプライム・ローン問題に伴う新たなニュースは無くなってきたが、その損失は損失のまま、存続している。(その巨額の損失は、借金で、とりあえず補填して、倒産を免れた)
・サブプライム・ローン問題に伴う巨額の損失が、景気後退(リセッション)を助長しないようにするために、そのためにも、ドル金利の利下げをしている感も否めない。

第156回 「通貨(お金)の表示機能」の使い方

 前回には、一般的なお金の機能(効能)として、「表示機能」について記述しました。今回は、その続きです。通貨取引をするのならば、こういったことも知っておきたいもの、と考えるからです。
 この「表示機能」の利点は、まったく異なるものの価値の比較ができることです。

 通貨(お金)を統一すれば、どんな通貨(お金)で表示しても、どちらの方が、価値が大きいのか、簡単に比較できます。地球上には、本当にさまざまな通貨(お金)があります(発行されています)。聞いたこともないような通貨(マイナー・カレンシー)であっても、「表示機能」は有効です。

しかし、普段使っていない通貨(お金)で言われても、それが、どれ程の価値なのかはピンと来ません。
 例えば、「つぼ」と「ゴッホの絵」を比較する場合に、フランス人に説明をするとしましょう。
 もちろん、その場合でも、古い美術品の「つぼ」は1000万円で、「ゴッホの絵」が10億円とそのフランス人に伝えれば、価値の大小はすぐに理解してくれるでしょう。
 しかし、その場合は、「つぼ」は10万ドル(100,000ドル)で、「ゴッホの絵」が1000万ドル(10,000,000ドル)と説明をした方が親切です。
 それは、ドルが基軸通貨だからです。
 フランスやドイツのように、「ユーロ(EUR)」を使う国の人々には、「ユーロ(EUR)」に換算して伝えれば、より親切でしょうが、「ドル(USD)」は、現在の基軸通貨ですから、「ドル(USD)」で表示しても失礼にはなりません。
 だから、中東や南米の人たちに、こういった説明をするのならば、「円(JPY)」でも、「ユーロ(EUR)」でもなく、現在の基軸通貨「ドル(USD)」で表示して伝えるべきでしょう。

 「通貨の表示機能」で、もうひとつ、別の例を挙げます。
 公共事業をする際に、ダムを作るならば、3000億円の費用がかかるとしましょう。
 そのダムを作ることによって、「どういった効果・効能が得られるのか」を金額で試算すれば、費用対効果が明らかになります。
 ダム建設ではなくて、トンネルを掘ったり、巨大な橋を架けて道路を作るならば、もっと建設コストが高くて、1兆円の費用がかかるとしましょう。
 ダムならば3000億円の費用で済みますが、道路だと1兆円かかります。どちらの方が、費用が高いのかは一目瞭然です。
 「通貨の表示機能」を使って比較考量すると、道路の方がダムよりも価値が高いことになります。

 しかし、その道路によって、どういった利点があるのかを金銭で表示すれば、道路建設事業の方が、費用対効果を考慮すると、本当は価値が低いことになるかも知れません。

 「通貨(お金)の表示機能」にも使い方がある、ということです。

 ただし、こういったケースを考える場合でも、「お金」は万能ではないこと、「お金」では計量できないものがあることも、忘れてはいけない、と考えていますが......。
 具体的に述べてきましたが、つまり、「お金(通貨)」は、「もの」や「サービス」の価値を表示している、ということです。
 これを「通貨の表示機能」といいます。

第155回 通貨の表示機能

 外国為替取引は、お金とお金の交換取引です。そこで、今回は、一般的なお金の機能(効能)のお話。
お金には、種種の機能(効能・効果)がありますが、その中のひとつに、「表示機能」があります。この、お金の機能の利点は、まったく異なるものの価値の比較ができることです。
 たとえば、美術館に、古い美術品の「つぼ」があったとします。
それが、高価であることはわかるのですが、古美術の鑑定は誰にでもできるわけではありませんから、具体的にどれほどの価値なのかは、簡単にはわかりません。
 一方、その美術館には「ゴッホの絵」が展示されています。
 果たして、先ほどの「つぼ」と「ゴッホの絵」とでは、どちらの価値が大きいのでしょうか。
「つぼ」と「絵」を、単純に比較しても、答えは出てきません。
 しかし、この「つぼ」の鑑定された値段が1000万円で、「ゴッホの絵」が10億円ならば、誰でも簡単に、「ゴッホの絵」の方が価値が大きいとわかります。
 もちろん、こういった美術品は、個人の好みがありますから、「それでも、私にはつぼの方が価値がある」と考える人もいるでしょう。
 ここでお話しているのは、あくまでも一般常識で、経済的にどちらの価格的価値が大きいかを客観的に比べることです。そういった場合、比較するものを、それぞれ金銭価値で表示すれば、まったく異なるものであっても、その価値を簡単に比べることができるようになります。
 ここで、気を付けなければいけないことは、ものの価値を金銭で表示して比較する場合には、同じ通貨(お金)を用いる必要があるということです。
 どういうことかと言うと、先ほどの例で、古い美術品の「つぼ」が1000万円で、「ゴッホの絵」が1000万ドルと表示されると、通貨(お金)が違うので、すぐには比較できなくなります。
こういった場合は、両方を円(JPY)で表示してもよいし、それぞれをドル(USD)で表示して比較してもよいのですが、いずれにしても、表示する通貨(お金)を統一しておかないと、その価値を直感的に比べることができません。
 ここでは、通貨を円(JPY)で表示する場合と、ドル(USD)で表示する場合を引き合いに出しましたが、日本人にとっては当然、円(JPY)で表示する方が、イメージしやすいでしょう。
 通貨を統一すれば、どんな通貨で表示しても、どちらの方が価値が大きいのか簡単に比較できますが、普段使っていない通貨で言われても、それが、どれほどの価値なのかはピンと来ません。
 では、この「つぼ」と「ゴッホの絵」の比較について、フランス人に説明することを考えてみましょう。
 もちろん、その場合でも、古い美術品の「つぼ」は1000万円で、「ゴッホの絵」は10億円とフランス人に伝えれば、価値の大小はすぐに理解してくれるでしょう。
 しかし、その場合は、「つぼ」は10万ドル(100,000ドル)で、「ゴッホの絵」は1000万ドル(10,000,000ドル)と説明した方が親切です。
 それは、ドルが「基軸通貨」だからです。
 フランスやドイツのように、ユーロ(EUR)を使う国の人々には、ユーロ(EUR)に換算して伝えれば、より親切でしょうが、ドル(USD)は現在の基軸通貨ですから、ドル(USD)で表示しても失礼にはなりません。
 例えば、南米の人たちに、こういった説明をするのならば、円(JPY)でも、ユーロ(EUR)でもなく、ドル(USD)で表示して伝えるべきでしょう。

第154回 クラッシュが起こるメカニズム

 前回で述べたように、水面下で、さまざまなことが起こって、市場規模は徐々に拡大したり、縮小したりします。

 マーケット(外国為替市場)の規模が拡大する場合には、価格は上下動を繰り返しながら、ゆるやかに上昇することが多いでしょう。
その理由は、このあたりにもある、と考えています。つまり、大口の参加者は、なるべくマーケットに影響を与えないように、静かに参入してくる、ということです。
 マーケットの規模が拡大し、市場価格(市場レート)が堅調な値動きを見せると、新たな市場参加者の参入意欲を刺激して、小口の市場参加者は増加の一途をたどります。
 こういった連鎖は、別の新たな大口の参加者を呼び込みます。
 マーケットが拡大して、市場規模が大きくなっている場合には、無数の小口の市場参加者と、ひとにぎりの、巨額の資金を持つ大口の市場参加者が混在しています。
 小口の市場参加者の取引は、市場規模が拡大していますから、ますますその影響力は小さくなっていきます。
 一方、巨額の資金を持つ大口の市場参加者が、何らかの都合で、マーケットから退場する場合には、「クラッシュ」が起こります。
 前回のコメントでは、当初10兆円規模のマーケットに、1兆円の大口の投資家が参入する例を挙げました。
 この大口の投資家が1兆円を投下し終え、小口の投資家も無数に増加して、市場規模が12兆円に拡大している、としましょう。
 このときに、1兆円の大口の投資家が、何らかの都合で、資金が必要になったとします。
 この大口の投資家は、マーケットの都合に配慮するようなことはありません。すぐさまに、1兆円の投下資本を回収します。つまり、すぐに1兆円を売ります。
 いくら市場規模が拡大していても、巨額の売りが一度に出てくれば、マーケットは「クラッシュ」します。
 マーケットでそういったクラッシュが起きても、再び、この大口の投資家がマーケットに戻ってくれば、あるいは、大口の投資家に匹敵するほどの、別の大口の新規参入者がいれば、このクラッシュは急激に回復します。

 急落の度合いが壊滅的ではないクラッシュを、「ミニ・クラッシュ」と呼ぶことにします。「ミニ・クラッシュ」が起きた場合には、大口の新規参入者がいなくても、小口の市場参加者が増加していれば、徐々に回復します。
 しかし、その場合は、通常、回復に時間がかかります。
 マーケットの規模は、「それぞれの金額×参加者数」といった総和であることを考えれば、これは自明のことです。
「ミニ・クラッシュ」よりも重度の、壊滅的な「大クラッシュ」は、何らかの都合で、大口の市場参加者が一人抜けたことによって価格が下落を始め、その価格下落が引鉄(ひきがね)となって、他の大口の市場参加者が撤退する場合に起こります。
 この場合は、大口の参加者が一人抜け、二人抜けする間に、マーケットが下落して歯止めがかからない状態、つまり、フリーフォール状態になります。
 下落は「売り」を呼び、その「売り」は下落に拍車をかけますから、まさに、「売りが売りを呼ぶ状態」になります。

 クラッシュが起きた場合、それがミニ・クラッシュになるのか、大クラッシュになるのかは、それが起きた時点ではわかりません。
 それは、市場に参加している多くの人々の行動によって変化するので、事前にはわからないのです。
 誰にもわからないのですから、クラッシュが起きた場合には、謙虚に対応することが大切です。つまり、「これは、本格的なクラッシュかもしれない」と畏れる気持ちを持つことです。
 言い換えれば、予断を持たずに、本格的なクラッシュが起きた場合とまったく同じように対処することです。

第153回 水面下で起きていること

 実際のマーケット(外国為替市場)は、そのものが、拡大と縮小をしています。
 このことは、あまり触れられることがありません。
マーケットの値動きを考える際には、一定の条件のもとで、市場参加者の行動や経済指標などの影響を考察します。その際には、市場参加者の数や市場規模が変化しないことを前提にするのが一般的です。
 しかし、マーケットそのものが変化しているのは事実なのです。
 具体的に、話を進めましょう。
 10兆円規模のマーケットがあったとします。
 その市場には、1兆円とか数千億円を保有している、ごく少数の大口の市場参加者と、数万円〜数千万円程度を保有している小口の市場参加者が存在します。
この小口の市場参加者は、数えきれないほどたくさんいます。そして、小口の市場参加者は、絶えず出たり入ったり――退場や新規参入――を繰り返しています。
 大口の市場参加者も、通常は、保有している全額を一度に取引することはありません。保有している一部を、適宜売買している状態です。
 こういった状態は、マーケットとして安定している状態と言えます。
 
次に、「このマーケットは儲かる」といった評判が立ち、市場参加者が増加したとしましょう。
まず、小口の参加者がランダムに参入してきます。彼らは、マーケットに影響を与えない程度の金額しか持っていませんから、何も考える必要はありません。ただ単に、市場参加者の数が増えるだけです。
 小口の市場参加者が参入してきても、1回あたりの取引金額は少額です。ですから、すぐには市場価格(市場レート)に目立った変化はありません。
 しかし、小口の市場参加者の増加数が大きくなるにしたがって、全体の需給から、じわりと影響が出てきます。
市場価格は、徐々に上昇することになります。

 市場参加者が増加傾向となり、市場価格が上昇傾向であることに注目した一人の大口の投資家が、このマーケットに参入する、と決めました。
 この大口の投資家は、1兆円の投資を行います。
 市場規模が10兆円ですから、1兆円は巨額です。
マーケットに影響を与えることは一目瞭然。大口の投資家本人も、そのことは十分に理解しています。ですから、この大口の投資家は、なるべく目立たないように、こっそり、少しずつ参入していきます。
これから大口で投資することを、インフォーム(告知)しながら参入してくる投資家はいません。そんな情報を流したら、市場価格が上昇してしまうからです。
 また、巨額の投資をする場合には、いっぺんに投資をすることもありません。目立つほどの巨額の取引は、市場価格を動かしてしまうからです。
 例えば、この大口の投資家は、1兆円をマーケットに投下するのに、3カ月の時間をかけようと考えます。1カ月の稼働日は、土曜、日曜などの休日がありますから、実働20日としましょう。すると、3カ月は60日です。
1兆円÷60日≒167億円
ですから、1日あたり、160億円〜170億円ほどの取引をすればよいことになります。
 とはいえ、いつも平均に近い額を投下するわけではなく、こういった場合は、その時々で、取引の金額が大きくなったり、少なくなったりします。
 需給に影響を与えるのはわかっているのですから、価格が急上昇している場合には、様子を見て、見送ることもあるでしょう。
 相対的に、価格が安いと判断したときには、いつもより多く取引をすることもあるでしょう。
 場合によっては、価格が急騰しているときには、わざと「売り」を行うかもしれません。そうすることで、マーケットの過熱感を冷ますことができますし、自分自身を、あまり目立たないようにカムフラージュすることもできます。
買ってばかりいると、マーケットには「ウワサ」が立つようになります。
 あるいは、取引先(カウンター・パーティ)は「また、買ってくるのだろう」と読んで、高い値段を提示したりしますから、そういった場合には、たまに軽く売ると、適正価格で取引をしやすくなるといった利点があります。
 大口の投資家が、巨額での参入を決めた場合には、今日も「買い」、明日も「買い」、来週も「買い」で、しばらく「買い続けなければならない」状態になります。
 そういった状態のときには、個人投資家は、価格が急騰しても、あわててはいけません。追いかけて買うと、市場価格はますます加速します。
 こういった場合には、忍耐力が求められます。

 しかしながら、大量に買えば、価格が上昇するとは限りません。上述は、マーケットの拡大・縮小に着眼したコメントです。
 需給で、「買い方」が買い終わった場合は、いくら大量に買ったとしても、それが買い終わったのならば、価格は下落に転じます。

第152回 株取引よりもFX取引のレバレッジの方が大きくなる理由

 マーケット(市場)には、本当にさまざまな種類のマーケット(市場)があります。
 ちょっと考えただけでも、外国為替市場もあれば、株式市場もあります。商品市場もあれば、債券市場もあります。
では、そういったマーケットは、みな同じなのでしょうか?
 たとえば、株式市場(株式相場)と、外国為替市場(外国為替相場)は同じでしょうか?
 外国為替取引をする際に、株式市場(株式相場)と同じだと考えて参入する人が多いようですが、実は、それは大変危険なのです。
 どちらも市場(相場)ですから、同じ部分もあります。
 マーケット(市場)の、そのギャンブル性・不確実性をとらえるならば、同じだ、と言えるでしょう。
そういった同じ部分には、株式市場の経験則や手法(テクニック)を、外国為替市場にも流用することができます。
しかし、その不確実性は同じだけれど、それぞれのマーケット(市場)に臨む場合には、マーケットが違うのですから、当然に、違う部分もあるのです。
 外国為替市場には、それ特有の対応や対処の方法があります。

株のテクニックと為替のテクニックはイコールではありません。
 もちろん、投資の目的は、人それぞれでさまざまですから、違う目的の場合もあるでしょうが、一般に、株式市場は、企業の成長に投資することが目的の市場と言われています。
 企業が成長する場合に、その成長率が素晴らしければ、数年で、その会社の株価が10倍になるケースもあるでしょう。場合によっては、株価が100倍になってもおかしくはありません。

 では、外国為替市場の場合はどうでしょう。
 たとえば、ドル/円レートが、10倍になったり、100倍になったりすることがあるでしょうか?
 先に答えを言ってしまいますが、通貨の値段が、10倍になったり、100倍になったりすることはありません。
 可能性として、「絶対にない」とは言いませんが、そうなるときは、日本とアメリカのどちらかが、つぶれる(崩壊する)ケースです。
 5年、10年といった単位の(ほったらかしの)長期投資を行うのならば、外貨投資(外国為替取引)は不向きです。
 外国為替は通貨の交換取引ですから、5倍、10倍になることは、まずありません。
 そういう状態は、ロシアの通貨危機(ロシアン・ルーブル危機)とか、ブラジルの通貨危機(ブラジル・レアル危機)のように、国家が(すなわち通貨が)つぶれるときです。
 通貨の変動は、通常、年間で20%〜30%程度でしょう。――この通常も、いつ何時変化するのか、誰にも予想はつきませんが......。――
 別な言い方をすれば、通常は20%〜30%だけれども、50%のこともありうるわけです。

 だから、外国為替取引(FX取引)では、レバレッジを使うことが多く、かつ、通常は、株式市場よりも、外国為替取引(FX取引)のレバレッジの方が大きなケースが多くなります。

第151回 ゴールデン・ウィーク真っ最中

今週は、ゴールデン・ウィーク。
今年のゴールデン・ウィークは、前半と後半の真っ二つに分かれているので、何かと動きが取りづらい。
 カレンダー通りの休暇しか取れない人も多いでしょうが、大手のメーカーなどでは、カレンダー上の連休の谷間も休みにして、10日以上の大型連休にしているところも多いことでしょう。

しかし、相場に関して言えば、ゆっくりとした休暇が取りやすいか、否かは、関係なく、
『ゴールデン・ウィーク中に、わざわざ、相場をやる必要はない』
と考えています。
 それは、今年に限らず、毎年、そう考えることです。
 外国為替市場において、東京市場は、ロンドン市場、ニューヨーク市場と並ぶ、三大市場のひとつです。
 三大市場のひとつが休みの場合は、市場参加者が極端に少なくなります。
 それは、世界中の市場参加者が、東京市場は、ロンドン市場、ニューヨーク市場の、いずれかの休みに合わせて休暇を取るからです。

例えば、東京市場の参加者にしても、
『どうせ休むならば、ニューヨーク市場が休みの日にしよう』
とか、考えるものです。
 外国為替を職業としているサラリーマンは、ロンドン市場が休みだから、とか、ニューヨーク市場が休みだから、とか、理由を付けた方が、休暇届を出しやすいところがあります。
 銀行のバンク・ディーラーは、特に、そういったところがあります。

同じような理由で、ロンドン市場の参加者や、ニューヨーク市場の参加者は、東京市場が休みの日に合わせて、休暇を取りやすいものです。

 そうはいっても、今週は、4月30日(水)にFOMC―――このコメントがアップされる頃には、もう、その結果が出ている時間ですが、この文章を書いている、これから、FOMCの発表です―――、そして、5月2日(金)には米国失業率(雇用統計)と、最重要イベントを控えています。

今回のFOMCの事前予想では、[0.25%]のドル金利の引き下げが、多くを占めています。
 しかし、まさに直前になって、ドル金利の据え置きを予想する声も上がっています。
また、[0.5%]の大幅利下げの可能性を主張する声も、まったくないわけではありません。

 あくまでも、大方の予想は[0.25%]のドル金利の引き下げですが、実際に発表される結果がどうなるのか注目しています。

 また、声明に、『利下げの打ち止めを示唆するコメントが盛り込まれるかどうか』にも注目が集まっています。

 個人的には、今回のFOMCで、ドル金利の利下げを打ち止めることはなく、「今後の米国経済指標を見守りたい」といった内容のコメントがつくだけだろう、と考えています。

 さて、これから発表を待ちます。
 しかし、ゴールデン・ウィーク中に、わざわざ相場をやる必要は無い、と考えているのは、最初に述べた通りです。
 わざわざ相場をやる必要は無くとも、ゴールデン・ウィークが明けたなら、ゴールデン・ウィーク中に何があったのか、調べるのは当然のことです。

 直接見るに越したことは無いので、発表まで、あと1時間くらいですから、直接見ておこう、と考えて、夜中に起きています。

※【2008年5月1日(木)東京時間2:25記述】



 >   >  2008年05月