第142回 「キャリー・トレードは矛盾している」

 金利とは何でしょうか。
 金利は、その国のインフレ率です。
 金利が高いということは、その国のインフレ率が高く、その国の通貨価値は、いずれ下落することを意味しています。
 たとえば、10%の金利が付くということは、100万円が、1年後に110万円になるということです。2年後には121万円に、3年後には133・1万円になります(複利計算をしています)。
 お金は増えているのですが、インフレですから、物価も上昇しています。つまり、こういった状態のときは、インフレが進んでいるということです。
 インフレは、お金(通貨)の価値が下落することですから、その国の中では、その通貨価値は下落しています。
 こういった通貨価値の変動は、日々のマーケット(外国為替市場)で、徐々に調整されればよいのですが、インフレ率ばかりがマーケットの変動要因ではありません。
 インフレ率が高い、つまり、高金利であることが要因になってキャリー・トレードが行われると、その高金利通貨は、「買い」の対象になります。
 繰り返しますが、ある通貨が高金利であるということは、その通貨を発行している国がインフレであるということです。ですから、いずれ、その通貨価値は下落する可能性があります。
 そうであるにもかかわらず、高金利の通貨は、低金利の通貨を売って、高金利の通貨を買うキャリー・トレードのターゲット(買いの対象)になっているのです。
キャリー・トレードが続いて、その規模が拡大増加している間は、インフレ(高金利)であっても、むしろ、その通貨の価値は上昇します。
 現在のマーケットは変動相場制ですから、需給で価格(為替レート)が決まります。キャリー・トレードによって、高金利通貨の需要が高まるので、価格が上昇するのです。
 しかし、インフレが、通貨価値を下落させる可能性が消えることはありません。
 需給による価格変動の陰に隠れて見えにくくなっているだけで、潜在的に存在し続けています。
インフレで、その価値が下落する可能性を含んでいる高金利通貨が、需給関係から買われることで、むしろ、その潜在的な下落リスクは大きくなっているのです。

 人は、世の中が変わらないことを前提に、さまざまな取引をしています。
 しかし、日々の変化は小さくても、それは徐々に矛盾を溜め込み、次の大きな変化のエネルギーとして蓄積されていきます。
 地球上の大陸プレートの移動は、1年ごとに数ミリから数センチ程度で、日々の変化は、人間には感知できないでしょう。
 しかし、プレートは時々刻々と動いています。プレートとプレートの圧力が一定のレベルにまで溜まると、プレートは瞬時に大きく動き、それまでに溜めたエネルギーを放出します。突然の大地震となって修正を行うのです。
 それは、表向きにはよくわからないし、目にも見えないでしょう。火山の地底深くにマグマが溜まり、それが抑えきれなくなると、突然に噴火するのと同じことです。
 マーケットも、矛盾がないわけではなく、不完全なシステム(制度)のもとで運用されています。
日々、少しずつ矛盾が溜まって、いずれ激変を起こします。その激変するときこそが、マーケットの「クラッシュ」と呼べるのかもしれません。
インフレによる通貨価値の下落が、キャリー・トレードによって覆い隠され、一見しても目に見えない状態になっています。
しかし、その矛盾がなくなったわけではなく、蓄積されているのです。
その溜め込んだ矛盾を、一度に放出するときが「クラッシュ」です。
キャリー・トレードが崩れるときのクラッシュは、それまで買われてきた高金利通貨が急落する形で顕在化します。言い換えれば、それまで上昇してきた高金利通貨が大きく下落して、蓄積された矛盾のエネルギーを放出するのがクラッシュです。
それは、「ガス抜きと同じ」と考えてもらえればよいでしょう。つまり、時間の経過とともにガスが溜まるように、クラッシュが小さなもので終われば、同じような小さなクラッシュ=ガス抜きが、繰り返して起こることになるのです。

第141回 「イースター」が明けて、流れは変わらず

3月24日(月)はイースター(復活祭)で、海外市場のほとんどが休場。
基本的に、市場参加者が少なく、積極的な取引にはなっていない。
「閑散に売り無し」のことわざ通りに、東京市場のドル/円(USD/JPY)はじり高気味に推移した。
 3月24日(月)の東京市場のドル/円(USD/JPY)は、99円台ミドルないし、99円台後半程度に推移。
 閑散とした、通常ならば欧州市場の時間帯に、100円台前半に乗せた。
ただし、欧州市場は休場で、市場参加者不在の状況。
100円台に乗せた後は、再度、99円台後半程度に下落。
 3月24日(月)のニューヨーク市場はオープンしている。米国経済指標で、「中古住宅販売」の発表を控えていたので、ニューヨーク市場への注目はあった。

通常のマーケット(外国為替市場)では、「中古住宅販売」は然程重要な経済指標ではないが、「サブプライム・ローン問題」に注目が集まっている現在の市場では、相対的にその重要性が高まっているからだ。

3月24日(月)のニューヨーク市場で発表された「中古住宅販売」は、マーケットの事前予想よりも良かったために、「ドル買い」となり、ドル/円(USD/JPY)は100円台後半に上昇している。
 イースター(復活祭)で、市場参加者が極端に少ないマーケットで、調整的なドルじり高の値動きだったが、大きな流れでは、「ドル安円高トレンド(ドル売り円買いトレンド)」に、何ら、変化は無い、と考えている。

「サブプライム・ローン問題」に伴う諸問題も、何ら、解決されていない。
 だから、今後、「サブプライム・ローン問題」に関連して、倒産する米国の企業(それは、金融機関とは限らない)や、米国以外にも倒産する企業が、顕在化するだろう、と予測している。

すでに、『ベア・スターンズ証券の事実上の倒産』で、「サブプライム・ローン問題」に関連した倒産は、その第一号を出した。今後も、そういった企業が出てくるだろうと考えている。

経済指標を観察すると、米国の景気後退も、目に見える状況になりつつある。個人的には、米国経済は、景気後退局面にすでに入っている、と考えている。
大きな流れは変わっていない。

3月25日(火)の東京市場のドル/円(USD/JPY)は、100円台後半レベルでの寄り付き(オープン)。
東京市場の午前中に、一時、[101.00]アラウンドに上昇するも、101円台にしっかり乗せることが出来ず。
ドルの上値が重かったことから、「ドル売り」を誘い、100円台前半に下落した。
 その後の東京市場は、概して、100円台前半ないし100円台ミドル程度で持ち合い。

3月25日(火)のロンドン市場は、引き続き、100円台ミドル程度で持ち合い。

ニューヨーク市場の午前中に、[100.00]を下に割り込み、99円台ミドル程度まで緩んでいる。
 3月25日(火)のニューヨーク市場の午後は、100円台前半を回復し、その後は、[100.00]前後での持ち合い。

3月26日(水)の東京市場のドル/円(USD/JPY)は、終日、[100.00]を挟んでの持ち合い小動き。次の材料待ちといったところ。

3月26日(水)のロンドン市場では、イースター明けで、徐々に市場参加者が戻って来た印象。
米国で発表された「新築住宅販売」は予想を上回る結果だったが、内容としては悪いものだった。そのため、ドルの上値が重いことを確認した格好。
基本的には、ドル安傾向に、変化が見られない、と考える。
(2008年3月27日東京時間1:30記述)

第140回 「イースター」が3月にある場合は、小休止を入れます

 市場参加者の極端に少ない薄いマーケットでは、ギャンブル性が高くなります。

 しかし、そういったときには、あえてやる必要がないし、のんびりと構えていたいものです。マーケットが事実上、開店休業状態のときには、そういったことを理解しておくことです。

 市場参加者の極端に少ない薄いマーケットで、為替レートが乱高下する場合がありますが、それを、事前に察知することは不可能ですし、そういったことを狙ってポジションを張るのは、単なるギャンブルです。
 所詮、相場はギャンブルだ、といった考え方もありますが、そうはいっても、サイコロ賭博や宝くじとは、おのずと違う、と考えています。

 突如とした値動きを、タイミングよく、直前に察知することは不可能なのですから、「市場参加者の極端に少ない薄いマーケットで、為替相場をやっているヤツは、負けているヤツ」と思って、泰然と眺めていましょう。

外国為替市場オリジナルの年間スケジュールがあります。

 外国為替市場は、1月から「よーいドン!」で始まります。
 ですから、「年間スケジュール」は、1月になってからではなく、12月のうちに考えておくことなのです。
 相場は、私たちの都合を聞いてはくれません。
 しかし、毎年、決まりきったパターンがあります。
 ですから、「12月のうちに考えておくこと」ではあるけれど、一度、覚えてしまえば、毎年の年間スケジュールは、ほぼ同じです(イースターの時期が違うのですが、それも大差がありません)。
 外国為替市場の年間スケジュールを見てみましょう。

1月【頑張る月】
 まずは、リハビリ(12月は、のんびりしているので)。
 トレンドを調べる、チャートを調べる、12月中のニュースを紐解くなど、確認の作業から始めます。

2月【もっと、頑張る月】
3月【もっと、もっと、頑張る月】
※「イースター」が3月にある場合は、小休止を入れます。

4月【後半のゴールデン・ウィークに備える月】
 ゴールデン・ウィークはポジションを取らずに、いったん休憩。
※「イースター」が4月にある場合は、そこも休憩します。

5月【ゴールデン・ウィーク明けから頑張る月】
 まずは、リハビリ(ゴールデン・ウィーク中は、のんびりしているので)。
 1月と同じように、確認の作業から始めます。

6月【しっかり、頑張る月】

7月【夏休み(サマー・バケーション・シーズン)】
 夏休みのスタートは、米国の「独立記念日」(7月4日)から。
8月【夏休み(サマー・バケーション・シーズン)】
 夏休みの終了は、ロンドンの「レイト・サマー・ホリデー」(8月の最終週の月曜日。サマー・バンク・ホリデーとも言う)まで。
 7月〜8月の夏休みは、年によって、そのスタートが遅れる場合があります。しかし、夏休みの終了は、「レイト・サマー・ホリデー」までで、だいたい不変です。

9月【頑張る月】
10月【もっと、頑張る月】

11月【12月に、ちゃんと休めるように、もっと、もっと、頑張る月】
12月【クリスマス・シーズン=何もしない月】
「こんな時期に相場をやっているヤツは、負けたヤツ」と、横目で眺めていればOKです。


※今年は、「イースター」が3月にある場合でした。
だから、この期間は、小休止を入れるべきときです。

第139回 ドル安円高の流れ(トレンド)に変化無し

 ドル/円(USD/JPY)は、先週の後半に[100.00]を割れて、99円台を示現した。
 しかし、ドル/円(USD/JPY)は、リバウンド(上昇)して、先週末(3月14日金曜日)のニューヨーク市場の朝方に、再び、また101円台に乗せた。

 しかし、この日のニューヨーク市場の朝方には、101円台に乗せたレベルから、一気に、[100.00]割れレベルまでの急落を見ている。
 当然のことながら、これは、『大量のドル売り円買い』が炸裂したからだ。

「ベア・スターンズの格付け」問題などを材料視している。
マーケット(市場)は、米国大手証券会社の倒産を連想したからだろう。
サブプライム・ローン問題で、いつ何時、米国の大手企業が倒産に追い込まれても不思議ではない。
 そういったセンチメント(市場心理・市場の雰囲気)が、広まっていることに留意するべきだ。

ただし、現時点での相場を考えるのならば、個人的には、『そんな理由など、どうでも良い』と考える。

大量のドルを売らなければ、101円台に乗せたレベルから、一気に、[100.00]割れレベルまでの急落は起こらない。

100億ドル規模のドル売りが無ければ、短時間で、1円以上の急落は起こらない。

先週末のニューヨーク市場では、それ程のことが起こっていた、ということだ。

先週末のニューヨーク市場の昼頃は、[100.00]アラウンドでの持ち合いとなった。

100億ドル規模のドル売りが炸裂して、ドルの買い持ち(ドル・ロング)をつかまされた市場参加者が、苦しみながらも、耐え忍んでいた時間が、その[100.00]アラウンドでの持ち合いをしていた時間だ。

ニューヨーク市場の午後になって、100億ドル規模のドルの買い持ち(ドル・ロング)をつかまされた市場参加者が、のた打ち回りながら、損切りのドル売りを敢行した。

だから、ニューヨーク市場の午後になって、[100.00]アラウンドから[99.00]アラウンドまで急落している。

重要なことは、まだ、ドルの買い持ち(ドル・ロング)を、投げ終わっていない(損切りは終了していない)、ということ。

ということは、月曜日(3月17日)のウェリントン・シドニー市場は、大きな『窓』を開けて、急落する可能性があるということ。

東京市場のオープン(寄り付き)は、98円台だろうと予測するが、97円台で寄り付いても驚きはしない。

1998年10月の『LTCMショック』以来の、『10年に一度の大相場』が、明日(3月17日)の月曜日に起こっても、全く不思議ではない。

明日(3月17日)の月曜日は、わくわくしている!!

(2008年3月16日東京時間23:00記述)

第138回 五つの中央銀行(米、欧、英、加、スイス)の新流動性供給プラン

 大きな流れでは、「ドル安円高トレンド(ドル売り円買いトレンド)」に、何ら、変化は無い、と考えている。
 「サブプライム・ローン問題」に伴う諸問題も、何ら、解決されていない。
 今後、「サブプライム・ローン問題」に関連して、倒産する米国の企業(それは、金融機関とは限らない)や、米国以外にも倒産する企業が、顕在化するだろう、と予測している。
 経済指標を観察すると、米国の景気後退も、目に見える状況になりつつある。
 個人的には、米国経済は、景気後退局面にすでに入っている、と考えている。

 今週の前半のドル/円(USD/JPY)は、「ドルの安値圏(円の高値圏)」で推移していた。
 3月11日(火)の東京市場のドル/円(USD/JPY)は、円高水準に対する警戒感から、ドルの買い戻し気味に推移した。3月11日(火)のロンドン市場のドル/円(USD/JPY)は、[102.00]アラウンドでの持ち合い、小動き。

ニューヨーク市場になって、五つの中央銀行(米、欧、英、加、スイス)が、流動性を供給するための新しい方式を発表した。
 この新流動性供給プランで、資金供給の担保に、住宅ローン担保証券(MBS)が含まれていたことから、マーケット(為替市場)では「目先のドル買い材料」とされた。
そのため、ドル/円(USD/JPY)は、[102.00]アラウンドから[103.00]アラウンドまで急騰。
 3月11日(火)のニューヨーク市場中は、[103.00]を挟んでの乱高下といった印象。高値は、103円台ミドル([103.50]レベル)を付けた。

 そのため、昨日、3月12日(水)の東京市場のドル/円(USD/JPY)は、概して、[103.00]を挟んでの小動き。

新流動性供給プランを「ドル買い材料」とする向きと、それは、流動性を確保するだけで、「サブプライム・ローン問題」の抜本的解決策にならない、と考える向きが、対立する格好となった。

個人的には、(私見では、)新流動性供給プランは、金融市場の流動性を確保するだけで、
「サブプライム・ローン」に伴う損失は不変だから、金融市場の目先の混乱を鎮めるだけの効果しかない、と考える。
 「サブプライム・ローン問題」で生じる損失を解消しないのだから、それは、根本的解決策にならない。
ゆえに、新流動性供給プランは、ことさらに「ドル買い材料」という訳ではない、と考える。

3月12日(水)のロンドン市場になると、新流動性供給プランが、ことさらに「ドル買い材料」という訳ではない、と考える向きが優勢になり、ドル/円(USD/JPY)は、[103.00]アラウンドからズルズルと下落を始めた。
ロンドン市場で102円台ミドルに下落。

3月12日(水)のニューヨーク市場では、ズルズルとしたドル下落が続き、ニューヨーク市場の午後には、[102.00]アラウンドまで下落。さらに、ニューヨーク市場の夕方にむけては、[102.00]を割り込み、101円台ミドルに下落した。

本日(3月13日)のシドニー市場では、101円台ミドルに急落し、このところのドル/円(USD/JPY)の安値を更新すると、ストップ・ロス(損切りの「ドル売り円買い」)を誘発し、101円台前半を示現した。安値は、[101.05-15]レベル。

目先の101円台前半にあったストップ・ロス(損切りの「ドル売り円買い」)を付け終わると、東京市場のオープン前に、101円台ミドルに若干のリバウンドを見ている。

本日、3月13日(木)の東京市場寄り付き後の動きは、若干のドル買い気配で推移しているが、文頭に述べた通りに、大きな流れでは、「ドル安円高トレンド(ドル売り円買いトレンド)」に、何ら、変化は無い、と考えている。

第137回 相場の適性

 「相場の適性があるかどうか」は、実際に売買をやってみないとわかりません。
しかし、外国為替市場に参加するプロの世界(インターバンク市場)でも、相場の知識のまったくない新人ディーラーに、いきなり相場をやらせるわけにもいきませんから、新たに配属された新人の場合は、まず、アシスタントから始めます。
 ベテラン・ディーラーのお手伝いをする間に、取引の用語(テクニカル・ターム)を覚えたり、チャート分析の手法(テクニック)や、ファンダメンタルズ(経済を構成する根本基礎、経済の基礎的条件)を勉強します。
 そして、そういった知識を身に付けてから、相場にデビューすることになります。
 しかし、実際にポジションを取ってみると、なかなかうまくいきません。
 ベテラン・ディーラーが失敗したときに、
 「あーあ、失敗している......」
 「オレだったら、もっとうまくやるのに」
 「自分だったら、勝てるのに」
 と思っていたアシスタント・ディーラーも、実際にポジションを取ると、セルフ・コントロールができずに、青くなったり、赤くなったりしています。
 他者がポジションを取っているのを見ていることと、自分がポジションを取って行動することはまったく違うことだと、そのときに気付くようです。

 美しい生け花を観賞して、「うまい」とか「へただ」とか、批評をすることは、誰にでもできます。芝居を見て、あの役者は「うまい」だの「へた」だのと、言うことは簡単です。
 しかし、自分で花を生けたり、自ら素晴らしい演技をすることは、実際にやってみると、なかなかできないものです。
 新人ディーラーは、実際にポジションを取って、研鑽(けんさん)を積んでいきます。
 それでも、勝つ人は半数以下でしょう。
 だいたい、次のように分布します。
 しっかり勝つ人が2割程度。
 しっかり勝ったとは言えないが、結果としてはプラスの人が3割。
 負け(才能がない)と断定するのは気の毒ですが、結果としてはマイナスの人が3割。
しっかり負けてしまい、これ以上、相場に臨むと危険な人が2割。
 ここで、注意しなければいけないのが、相場に対する「向き不向き」です。
 実際の相場には勝てないものの、「相場が好きだ」という人もいます。
 相場には勝てないのですが、「相場の分析能力はすごい」という人もいます。
 彼らは、自分で花を生けることはできないけれど、その鑑賞眼は特筆ものとか、自分で演技はできないけれど、その批評能力は素晴らしい――そうたとえることができるかもしれません。

第136回 「ドル安円高トレンド」は、継続中

「ドル安円高トレンド」は、継続中。
何も変わっていない。

しかし、目先の「下値の目処(めど)」と言える[101円台ミドル]が近づいた。
[101円台ミドル]が目先の「下値の目処(めど)」と考えるならば、このステージで下落する場合のターゲットは、[102.00]アラウンドとも言い換えることが出来る。

昨年の12月にはチャート・ポイントだった[109.00]を割り込んだにもかかわらず、いったん114円台まで大きく反発したが、「ドル安円高トレンド」には、変化が無く、「ドル売り円買い」でポジションを取るべきだ、と、言い続けた。

いよいよ、目先の「下値の目処(めど)」(ターゲット)の[102.00]が近づいた。

[102.00]にこだわる必要は無い。102円台ならば、いったんの利食いをしても構わない、と考える。
 102円台で、ドル・ショートを買い戻すならば、充分な利益確保。『頭と尻尾はくれてやれ』とは、そういった意味合い。

個人的には、この今週前半で[102.00]のターゲットは達成した、と考えている。
(まだ、実際には[102.00]には届いていないが、それは、誤差のうち、と考えている)

文頭に記述の通りに、「ドル安円高トレンド」は、継続中で、何も変わっていない。
 だから、[102.00]は、いずれ付けるだろうし、[102.00]にはさほど興味も無い。

このステージでは、もう、むしろ、『チャートポイントである[101.50][101.00]を付けるか、否か?』に興味は向かう。

[101.50][101.00]を付けなければ、いったんの調整(リバウンド)があるだろうから、再度、ドルを売るところを探す。だから、102円台は、いったんの利食いをするところ、と、考えている。

 [105.00]を完璧に下に割り込んだことで、すでに、マーケット(ドル円レート)は動き出した、と、思っています。
目先は、101円台から104円台程度での「下値持ち合い」と考えます。

今後の展開とすれば、101円台が底堅ければ、いったん105円台ないし107円台程度にリバウンドの可能性もあります。

しかし、目先は、101円台から104円台程度での「下値持ち合い」の後で、101円台を下に抜けると、95円程度までの急落を見る可能性があります。

ただし、現時点で、『101円台が、守られるか、破られるか?』については、神でもない人間には、誰にもわからないし、かつまた、わかる必要も無い、と考えます。

それは、これからの値動きを、丁寧に見ることで、これから、判断するべきことと考えます。

第135回 拙著「外貨崩落」から、抜粋引用します

 キャリー・トレードには決定的な矛盾がある

 金利とは何でしょうか。
 金利は、その国のインフレ率です。
金利が高いということは、その国のインフレ率が高く、その国の通貨価値は、いずれ下落することを意味しています。
 たとえば、10%の金利が付くということは、100万円が、1年後に110万円になるということです。2年後には121万円に、3年後には133・1万円になります(複利計算をしています)。
 お金は増えているのですが、インフレですから、物価も上昇しています。つまり、こういった状態のときは、インフレが進んでいるということです。
 インフレは、お金(通貨)の価値が下落することですから、その国の中では、その通貨価値は下落しています。
 こういった通貨価値の変動は、日々のマーケット(外国為替市場)で、徐々に調整されればよいのですが、インフレ率ばかりがマーケットの変動要因ではありません。
 インフレ率が高い、つまり、高金利であることが要因になってキャリー・トレードが行われると、その高金利通貨は、買いの対象になります。
 繰り返しますが、ある通貨が高金利であるということは、その通貨を発行している国がインフレであるということです。ですから、いずれ、その通貨価値は下落する可能性があります。
 そうであるにもかかわらず、高金利の通貨は、低金利の通貨を売って、高金利の通貨を買うキャリー・トレードのターゲット(買いの対象)になっているのです。
キャリー・トレードが続いて、その規模が拡大増加している間は、インフレ(高金利)であっても、むしろ、その通貨の価値は上昇します。
 現在のマーケットは変動相場制ですから、需給で価格(為替レート)が決まります。キャリー・トレードによって、高金利通貨の需要が高まるので、価格が上昇するのです。
 しかし、インフレが、通貨価値を下落させる可能性が消えることはありません。
 需給による価格変動の陰に隠れて見えにくくなっているだけで、潜在的に存在し続けています。
インフレで、その価値が下落する可能性を含んでいる高金利通貨が、需給関係から買われることで、むしろ、その潜在的な下落リスクは大きくなっているのです。

 人は、世の中が変わらないことを前提に、さまざまな取引をしています。
 しかし、日々の変化は小さくても、それは徐々に矛盾を溜め込み、次の大きな変化のエネルギーとして蓄積されていきます。
 地球上の大陸プレートの移動は、1年ごとに数ミリから数センチ程度で、日々の変化は、人間には感知できないでしょう。
 しかし、プレートは時々刻々と動いています。プレートとプレートの圧力が一定のレベルにまで溜まると、プレートは瞬時に大きく動き、それまでに溜めたエネルギーを放出します。突然の大地震となって修正を行うのです。
 それは、表向きにはよくわからないし、目にも見えないでしょう。火山の地底深くにマグマが溜まり、それが抑えきれなくなると、突然に噴火するのと同じことです。
 マーケットも、矛盾がないわけではなく、不完全なシステム(制度)のもとで運用されています。
日々、少しずつ矛盾が溜まって、いずれ激変を起こします。その激変するときこそが、マーケットの「クラッシュ」と呼べるのかもしれません。
インフレによる通貨価値の下落が、キャリー・トレードによって覆い隠され、一見しても目に見えない状態になっています。
しかし、その矛盾がなくなったわけではなく、蓄積されているのです。
その溜め込んだ矛盾を、一度に放出するときが「クラッシュ」です。
キャリー・トレードが崩れるときのクラッシュは、それまで買われてきた高金利通貨が急落する形で顕在化します。言い換えれば、それまで上昇してきた高金利通貨が大きく下落して、蓄積された矛盾のエネルギーを放出するのがクラッシュです。
それは、「ガス抜きと同じ」と考えてもらえればよいでしょう。つまり、時間の経過とともにガスが溜まるように、クラッシュが小さなもので終われば、同じような小さなクラッシュ=ガス抜きが、繰り返して起こることになるのです。



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