第118回 欧州通貨の雑感

ヨーロッパ通貨が統合されて、ユーロ(EUR)が誕生してから、通貨の組み合わせがずいぶんと少なくなった。
統合によって、なくなった通貨は、「ドイツ・マルク(DEM)」や「フレンチ・フラン(FFR)」、「イタリア・リラ(ITL)」など他にも数種類ある。
最近のマーケットを眺めていて、そういった通貨の組み合わせの「外国為替市場」がなくなって、ずいぶんと時間が経ったのだなぁ・・・、とつくづく思う。
統合によってわかりやすくなったメリットもあるのだろう、そんなことも、つくづくと感じる。

通貨統合に参加しなかった昔からある通貨の値動きを眺めていて、ふと、「ガンバレよGBP(ケーブル・英国ポンド)!」とか、「いやぁ、今日もCHF(スイス)が元気だなぁ・・・」とつぶやいてしまうことがあります・・・。

注:【ケーブル】(Cable)GBP・STGは、英国ポンドのこと。
 英国ポンドのニックネーム。
 スターリング・ポンド(Sterling Pound)のこと。

 【GBP】は、「英国ポンド」のこと。British Poundsのこと。
 ニックネームは「ケーブル」、 「スターリング」。
 【STG】(Sterling)とも表示する。

通常は、【British Pounds】、ないしは、【UK Sterling】 と呼ぶ。
【British Sterling】とか、【UK Pounds】は、間違いではなかろうが、あまり聞かない。

ブリティッシュ・ポンドを省略して表すのなら、本来は【BP】とするべきであろうが、【GBP】と表示するのは、スウィフト(Swift:外国為替の送金・決済のシステム)が、勝手にそういうコード(Code)を決めたから、そこから派生したものと思われる。

【G】は、Great なのだろうが、Great British Pounds とは言わない。
英国人も、さすがに自国通貨にGreatという敬称をつけるのは、恥ずかしかったのかな?

外為市場で、英国ポンドは【GBP】と表記する。これは、日本円を【JPY】と表記するのと同じこと。
Japanese Yen を省略するのなら、【JY】と表記するべきであろうが、3文字でコンピューターにインプットするコードを作りたかったので、【JPY】にした、というのと同じ。
 【JPY】の【P】に殊更の意味はない。

スターリング(Sterling)と呼ぶのは、イギリスが、もともと、銀本位制だったことの名残。
因みに、BOE(Bank of England)は、イギリスの『銀座』(もともとは、Wiltshire地方だったと記憶)、が、発展的に統合されてできたもの。
この場合の『銀座』は、駅前の商店街によくある銀座通りの銀座にあらず、織田信長、ハンザ同盟などの『座』、同業者組合。


 【CHF】
 「スイス・フラン」のこと。 Swiss Franc
 ニックネームは、「スウィスィ」。
 【SFR】とも表す。

第117回 『休むも相場』という、相場の格言

『休むも相場』という、相場の格言がある。「相場」に臨むには、「売る」「買う」「休む」の三法があるということだ。
「相場」経験が長い方や、それを職業にしている人には、「釈迦に説法」だろうが、「相場」は「売り」「買い」の二法ではない。「休む」という行為も、「相場に臨んでいる」ことなのである。
わからないときは休むことも大事なことだ。
 そういうと、
「いつも、わからないんですけれど、どうすればよいのでしょうか?」
 といった質問をよく受けます。

 そういった意味では、相場は、本当に誰にもわからないのです。わかっていたら、誰しもが、とっくの昔に蔵が建って楽隠居しています。
 誰に限らず、「こうなるのではないだろうか」といったイメージや思惑が湧いてくるときがあります。この状態を指して、「わかるとき」なのです。

 本当にそのイメージや思惑通りに、ことが運ぶか、運ばないかは、また別の問題です。
時として思惑通りに行くケースもあるでしょう。 しかし、何回か思い通りになったとしても、それが永遠に続くわけではありません。必ず、外れるときが来ます。
 場合によっては、最初から外すこともあります。

 一回だけしかやらないのならば、簡単に「勝ち」「負け」の区別がつきますが、「相場」に臨むということは、一回だけの勝負事ではありません。
 一回こっきりのギャンブルなら、何も「相場」でやる必要はないでしょう。

「相場」に臨むということは、継続的に、何回も取引を行い、一定の期間による結果なのです。

 そういった意味では、負けたことのないディーラーはいません。
 そして、勝ったことのないディーラーも、また、いません。
 だから、「わからないときは、手を出さない」勇気が大切なのです。

「こうなるんじゃないか」と思って手を出して、失敗することもあるのです。
 そういった思いもなく、漠然と、なんとなく、手を出して、わざわざ泥沼にはまることはないですよ、そんなことをするくらいなら、来るべき次の相場に向けて、体力を温存しましょう。
 そういった意味で、「休むも相場」です。

 もちろん、この相場は「売り」だ、とか「買い」だ、といったしっかりとした思惑がある方々の売買を妨げるつもりは全くありません。

 今週の外国為替市場は、「クリスマス・モード」になっています。
 市場参加者の少ないときは、不測の事態が起こった場合に、展開が読みきれないものです。
 市場参加者が多いときは、それなりに過去の経験則やら、データが通用するのですが、市場参加者の少ない場合は当てはまらなくなるのです。

 もう少し、具体例を挙げましょう。
 ランダムに、1000人がいた場合に、お昼ご飯を食べる時間は、ほぼ正午前後に集中します。
 しかし、それでも、何人かは「私は、ダイエットで昼食は抜きです」とか、「仕事が忙しくって、昼飯が4時になっちゃった」とか、「昼はミーティングがあるので、今日は10時半にブランチだった」とか、「子供が熱を出して、病院に行っていたので、食べられなかった」とか、必ず、標準偏差から外れる人がいるのです。
 でも、1000人いれば、その大半は、お昼ご飯を正午アラウンドに とっているでしょう。
 しかし、サンプルが少ない場合、たとえば、10人のサンプルの場合、上述のような都合の人がいた場合に、偏差に与える影響は大きくなります サンプルが5人になったら、全員が正午アラウンド以外の時間に昼食を とっているケースもありえるでしょう。

 外為市場にも、同じことが言えます。
 だから、市場参加者が少ないときは、過去の経験則が当てはまらない、不測の事が起こりやすいのです。
 それを理解して、さらに、それをも読んで、相場に臨む、臨みたい人を止めるつもりはありませんが・・・。

第116回 I wish you a Merry Christmas!

この原稿がアップされるのは、12月20日(木)ですから、クリスマス・イブまであと4日です。
 今年は、祝日の「天皇誕生日」が日曜日ですから、クリスマス・イブの12月24日の月曜日は、東京市場はお休みになります。
 その翌日のクリスマス当日(12月25日)は、東京市場を除いて、世界のほぼ全ての外国為替市場は休場になります。

 長いこと外国為替市場にかかわってきて、この季節になると、毎回、同じ事を考えます。

 外国為替市場は、東京、ロンドン、ニューヨークが三大市場と言われるのですが、このうちの、ひとつでも祝祭日などで休場だと、市場参加者がガクンと減ります。

 いつもではありませんが、そういった参加者の薄くなったマーケットでは、プライスの連続性が無くなったり、極端に値が飛んだり、といったことが起こります。

 市場参加者が少ないときに、『大量の売買』を行えば、通常ならば何でもない金額でも、マーケットで吸収しきれずに、相場が乱高下を起こすことがあるからです。

 『大量の売買』の原因は、大手機関投資家やヘッジ・ファンドの「損切り」であったり、取引が複雑になってきている最近のマーケット環境では、大口のオプション取引のカバー・ディールであったりします。
 場合によっては、負けが込んだディーラーやファンド・マネージャー達が、相場を動かそうとして、意図的に『大量の売買』を仕掛けていたりします。

 そういえば、すっと以前には、ロンドンやニューヨークが休場で、市場参加者が極端に少ない時を、狙いすまして、日本の当局が「介入」を仕掛けたこともありました。

 クリスマス・イブ(12月24日)は、ロンドンやニューヨークは閑散ながらもオープンしていますが、クリスマス当日(12月25日)に開いているのは東京市場だけです。
 こういった日に、何か突発的なニュースがあったり、『意図的な大量の売買』を仕掛ける投機的な輩がいると、外国為替市場は不必要な乱高下をします。

 世界のそれぞれの当局や市場関係者で計って、クリスマス(12月25日)の東京外国為替市場を休場にした方が、世界的には利点も多いのではないかと考えます。

 別に、日本の銀行業務を休みにするのではなく、東京外国為替市場だけを休みにすれば良いのです。

 毎年この季節になると、この事を思い出します。
(2007年12月18日東京時間16:30記述)

第115回 協調して流動性を供給

12月12日(水)、FRB、ECBなど5つの中央銀行が、協調して流動性を供給した。
金利に関しての「介入」(『為替介入ではない』ことに留意すること)が行われた。

●FRB、ECBなど(5つの中央銀行)は、流動性供給で協調。
●追加的な流動性供給策を発表。入札方式で資金供給。
●400億ドルのターム物ファシリティ供給へ。
●初回は17日に200億ドル。
●2回目は20日に200億ドル。
※5つの中央銀行=米、英、欧、加、スイス

これ(この情報)を聞いて、ドルの資金供給が行われたことがわかったが、どうして、「ファシリティ」などと、言うのだろう・・・?
『「ターム・フェド・ファンド」と言えばいいじゃないか?』と、感じた。
また、『どうせ、「年末越えの資金供給」をしただけ』と、考えた。

普通は、資金の注入は、オーバーナイト(一日間の貸し借り)で実施する。
年末越え(12月末から正月明け)の資金供給を行いたかったので、タームもの(期間もの)の資金供給を実施したのだろう。

この場合、ドルの資金供給だったならば、『ターム・フェド・ファンド』と呼ぶ。
ドルだけならば、『ターム・フェド・ファンド』でいいけれど、米国以外の国のお金は、『フェド・ファンド』と言わない。
だから、『ファシリティ』という言葉を使った。

年末越えで、資金調達できないと困るから(市場が混乱するから)、そういったことにならないように、なおかつ、マーケットのそういった不安心理を除くように、タームもの(年末越え資金)を供給したのだろう、と考えている。

FEDも、どこまで問題の根(サブプライム・ローンの損失)が張っているのか、わからないのだろう、と考える。

持っているペーパー(サブプライム・ローン関連の証券)の価格が、下落したら、困るから、ペーパーを持っている金融機関は、売りたい。
しかし、パニックで売ったら、どこまで下落するかわからない。
『売りたい金融機関』ばかりで、『買いたい金融機関』がいないのだから、パニック売りが出たら、『紙クズ』になるかも知れない。

だから、パニックにならないように、中央銀行が金融機関にお金を貸してあげます、と申し出た。
中央銀行は、パニックを避けたかったのだろう。
とりあえず、年末越えの資金が調達できれば、調達不能(資金不足)から来る破綻は心配ないのだから、ペーパー(サブプライム・ローン関連の証券)をあわてて売ることもない。
そうすることで、目先の動揺を回避しようとした、と考えている。

逆に、このことから、『(通常の)マーケットでは、(信用リスクが原因で、)資金調達できないところ(金融機関)が、あったのではないか?』と、推測できる。

それは、その五つの国の金融機関に、信用リスクがあった、と推測できる。
だから、日本は協調しなかった。つまり、日本の金融機関で、資金調達不能は無かった。
そういったところだろう。

どこの金融機関だか、発表はしないだろう。
パニックを避けるのが目的なのに、それを発表したら、かえってパニックになる。

『資金調達ができなくて、金融機関が破綻するリスク』はありませんよ、そう、FEDがアナウンスした、と、考えればよいだろう。

第114回 FOMCで[0.25%]の利下げ

12月11日(火)のニューヨーク市場のFOMCで、---事実上は、東京時間では、12月12日(水)の明け方4時過ぎに、---ドルの政策金利は、[0.25%]の引き下げとなった。

現状のドルの政策金利は、[4.25%]に引き下げられた。
今年の夏まで、ついこの間まで、ドル金利は、[5.25%]だったのだから、3〜4ヶ月で、すでに[1.00%]の引き下げが実施されたことになる。
初回[0.5%]。2回目、3回目で[0.25%]ずつ、『今のところ』合計で[1.00%]の利下げ。

今回のFOMCでは、[0.5%]の利下げを期待する向きも多かったので、米国株式市場は『失望感』から、下落した。

しかし、ドル金利引き下げが発表されたばかりだが、また次回のFOMCで、あるいは、その次のFOMCで、ドル金利引き下げの思惑・期待は強くなるのだろう、と、考えている。
だから、たいして変わらない、大差が無い、と考えている。

ドル金利が引き下げられて、米国株価が上昇気味に推移したり、米国の景気が浮揚するだけならば、それは、良いことだろうし、歓迎する。

しかし、私が気になるのは、それほど「サブプライム・ローン問題」が深刻なのだ、ということ。

すでに、今年(2007年)になって、[1.00%]の利下げを実施した。
さらに、来年になれば、さらに、まだ、利下げをするのだろう。
来年になれば、またドル金利の引き下げが、かまびすしいことだろう。

今後も考えると、金融政策で、[1.00%]以上の利下げをしなければならない、それ程に大きく影響を与えるほど、「サブプライム・ローン問題」に伴う損失が大きい、と考える。

今、現在の「コンセンサス(お決まりのマーケットの行動)」は、米株が買われると、ドル円が上昇し、米株が売られると、ドル円が下落する。

それは、今回のFOMCでもそうだった。

それは、リスク許容度によって、巨大機関投資家たちが、そのような行動を取っているからなので、まだ、しばらくは、『そんな愚行』(失礼!)が続くのだろう。

しかし、『パブロフの犬』のような、条件反射のみでは、いつまでも、通用しない。
そのことも覚えておく必要、意識しておく必要がある。
そのことに、あらかじめ気が付いておいて、そのことを、よく知った上で、行動をとる必要がある。

現在の「コンセンサス(お決まりのマーケットの行動)」となっている、『米株が買われると、ドル円が上昇し、米株が売られると、ドル円が下落する』というアノマリーは、時間の問題で通用しなくなる。
しかし、通用する間は、それはそれで構わない。それを利用すればよいだけのこと。

季節限定で売っている商品は、その売っている期間だけ楽しめば良い。
「月見バーガー」とか「グラコロ・バーガー」のようなものだ。

第113回 相場に臨むに際して、謙虚であることは大事なのですが・・・

「相場に対しては、常々、謙虚でなければいけない」と思ってはいます。
そういった事柄に関する質問を、いろいろな方からよく訊かれます。
「どういった『心構え』で、相場に臨むべきでしょうか?」といった内容です。

その時には、一番適切な表現は、まさに「相場に臨むには、謙虚さが必要です」とお答えします。
あるいは、「謙虚な態度で臨むべきです」とお答えします。
しかし、正直にお話すると、それは、「本質的には、非常に難しいことだ」とも考えています。なぜなら、「本質的に、謙虚な人は、相場には向いていない」からです。

もともと相場はわからないものです。
時々、先が読めることがありますが、常に読めるわけではありません。
なおかつ、その、「先が読める場合(先が読めた、と判断した場合)」でも、予想外に動いてしまい、相場の読みを外すことがあります。
ということは、その場合は、先が読めた(先が読める)と判断したことが間違っていることになります。

相場の先が読めるときは、多くの市場参加者の心理状態や、世界中の市場参加者のポジションの状態が、経験則から、読み取ることができる場合です。
 そういった経験則からの判断は、的中精度が高くなっても、70%から80%程度しか当たらないのです。100%には絶対になりません。
別な言い方をすれば、どんなに真剣に、相場に臨んでも、20%から30%は、必ず、読みを外す、ということです。

謙虚でなければ、相場の読みを外した場合に、自分の判断の誤りを認めることができずに、ポジションを引っ張ることになります。
『そのポジションが致命傷になるか?ならないか?』
は、単純に、その人の「運」に過ぎません。
「運」が良ければ、多少、長持ちするし、「運」が悪ければ、短命に終わるだけです。
それは、遅かれ早かれ、結果は同じことだ、と考えています。

だから、本質的に謙虚な人は、
「相場は、難しいし、わからないものだ」
と判断をくだして、相場から撤退することになります。
 「その判断は、相場の本質を考えるならば、的確で正しい」
と、私も考えています。

しかし、それでは相場に携わる人はいなくなってしまいますし、新たな参入者もいなくなってしまいます。
 だから、相場に対する本質的な適性は、「謙虚であること」ではないのです。
いや、むしろ、「傲慢であること」が必要でしょう。

「わからないこと(=相場)」に、立ち向かうには、傲慢に近い自信が無ければ、精神的にくじけてしまいます。
だから、相場をやろうとする人たちは、「他の人は、いざ知らず、自分は勝つ、勝てるはずだ」と信じられる、うぬぼれた精神の持ち主なはずです。

相場をやるのならば、必ず、壁にぶち当たります。
その際に、謙虚でないと、生き残れないことに気が付きます。
さりとて、謙虚なだけでは、ポジションが取れなくなります。
失敗すること(負けること)が恐くなるからです。
そういった経験をふまえれば、若いうちは「生意気」でも、嫌でも自然に謙虚になっていきます。
 だから、相場に対して謙虚であることは、「必要な条件」ではなくて、「結果」だと考えているのです。

第112回 外貨投資をしている方から、質問をいただきました

外貨投資をしている方から、質問をいただきました。
以下は、その方にお答えしたお返事です。(一部加筆修正しています)

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11月になって、ドル円レートは、このところのサポートだった(2007年8月以降のサポートだった)111円台ミドルを下に割り込み、107円台の安値を見ています。

107円台の安値を見てから、リバウンド(上昇)し、111円台にまで戻しましたが、その後は、110円前後での持ち合いになっています。
ドル円レートが、現状レベル(110円程度)で、持ち合いを続けるのなら、外貨投資の運用も良いのですが・・・。

現在の為替(ドル円)が、何らかの「きっかけ」で、[107.00]を割り込むと、非常に危険な状況です。その場合は、もう一段の急激な円高になる可能性があります。

ドル円レートは、今年(2007年)の6月に、124円の高値をつけています。この11月の安値は107円ですから、5ヶ月で、すでに17円下落しています。この値動きが、加速しないとは言えない状況なのです。

また、来週のFOMC(12月11日)には、ドル金利の引き下げが予測されています。

0.25%なのか、0.50%なのか、わかりませんが、ドル金利引き下げには変わりなしです。
また、その予想(予測)通りに、ドル金利は引き下げになるでしょう。

現在の、ドル金利引き下げは、コンセンサス(市場のお決まりの行動)として、「ドル売り材料」です。

本来は、ドル金利の引き下げが、必ずしも「ドル売り材料」とは限らないのですが、現在のマーケットでは、そういったコンセンサスです。

私は、FOMC関連で、ドル売りが進みそうだと、考えていますが、マーケットは、先読みをしますから、FOMCを前に、動き出してしまう可能性を恐れます。

また、12月の中旬以降は、市場参加者が極端に少なくなります。
12月の薄い中を、誰も、どうにもできないような乱高下になる可能性を残しています。
その場合は、相当に怖い相場になるかも知れない、と畏怖しています。
利が乗っているものは、利益をいったん収めて、ポジションを軽くしておくことが、セオリーだと、考えます。

第111回 「サブプライムローン問題」と「ドル金利の変動」は『今年の特殊要因』

いよいよ、クリスマス・シーズンが近付いて来ました。
 日本の11月下旬の「勤労感謝の日」が終わりました。アメリカの、サンクス・ギビング・デイ(感謝祭)も終わりました。今年も、もう、事実上、残り2週間程度しかありません。

そう言うと、『まだ、1ヶ月あるじゃない!』と、思う読者の方々も、多いことでしょう。
 しかし、『12月は、やらない』『やらない方が良い』と考えているので、それを、早めに、インフォームしておきましょう。
 『12月に、為替相場をやっているヤツは、負けたヤツ』と、眺めていれば良いのです。

今年は、サブプライムローン問題が、潜在的に年越しの課題で残ることでしょう。
 また、ドル金利の引き下げが、この12月に予測されていますから、いわゆる『クリスマス相場』に、すぐに突入するわけでもないでしょう。それは、『今年の特殊要因』に過ぎません。休める人は、休んで構わないのです。

ニューヨーク市場では、いつもなら、このサンクス・ギビング・デイ(Thanks Giving Day、感謝祭)が、クリスマス・シーズンの始まりです。
ニューヨークの外国為替ディーラーたちは、いっせいに休暇を取ります。12月はイヤー・エンドですから、1月から11月までの11ヶ月間で、バジェット(収益目標)を達成しているディーラーは、まるまる一ヶ月休暇を取ります。
せっかくバジェット(収益目標)を達成しているのに、わざわざ会社に来て、相場の動きに巻き込まれるリスクを取るのは馬鹿げているからです。
 バジェット(収益目標)を達成しているのならば、少しくらいバジェット(収益目標)を超えて、利益を出したところで、その評価は変わりません。損をして、達成しているバジェット(収益目標)を減らしてしまい、未達になるのはもっと馬鹿馬鹿しいことです。
 バジェット(収益目標)を達成していなくとも、8割程度達成しているのならば、同じように、休暇を取ってしまいます。

「残り一ヶ月で、もう少しで、達成できるじゃないか?」と思う方も多いのでしょうが、相場は必ず勝てるとは限りません。特に、余裕がないときは『欲』がでますから失敗する可能性が高くなります。
 『あと少し・・・・』『ここまで来たら・・・・』『為替レートが、○○○円になったら・・・・』
 そう思ったときに、届かずに大失敗した経験は、誰にでもあるのではないでしょうか?

『欲』は、こうあってほしいという『願望』であり、『思惑』に過ぎません。
そういった気持ちが強い時は、冷静な判断ができずに、アゲインストのポジションを持たされたまま、相場に持っていかれることが多いのです。
 『失敗したくない』『負けたくない』といった気持ちが強い時は、『損切り(ロス・カット)』が遅れがちになります。無理をすると、余計な負担が増えるだけです。だから、バジェット(収益目標)を達成していなくとも、8割程度達成しているのならば、同じように、休暇を取ってしまうのです。

「休まなくたって、ポジションを取らないで、会社に来ていればいいじゃないか?」と思う方もいることでしょう。しかし、ディーラーにとっては、ちゃんと休暇を取って、会社に来ないことが大事なのです。
ディーラー気質は、目の前で、マーケットが動けば、何かしたくなります。基本的に、ディーラーはリスク・ラバー(リスクを好む性格)が多いですから、手を出したくなり、結局、『少しくらいなら・・・・』と、ポジションを取ってしまうのです。
また、ディーリング・ルームにいると、顧客からの電話や、取引は必ずありますから、しかたなく、取りたくもないポジションを持たされることもあります。
 多くのディーラー達が、イヤー・エンド休暇を取っているのですから、ニューヨークの外国為替市場は参加者が少なくなります。すると、取引量も少なくなりますから、マーケットは薄くなって、値が飛びやすくなります。
 『リクイディティ』が少なくなっているマーケットは、不測の動きになることもしばしばです。

もちろん、全員がいなくなっては業務ができなくなりますから、若手や最小限の『お当番』が留守番をしているのですが、上述のように、今年の成績がある程度満足できる状態のディーラーはいなくなりますから、12月のマーケットに残っているディーラーは、はっきり言えば、負けたディーラーだけになります。
 しかし、それも場合によっては、負けたディーラーにとってチャンスなのです。
参加者が少なくなって、薄くなったマーケットは、いつもより少ない『アマウント』で、相場を動かすことができますから、仕掛けやすいのです。
 負けてクビになりそうなディーラーは、勝負に出てきます。
だから、12月のマーケットは、理由なく突如としてレートが飛ぶようなことが起こります。
 為替レートが動く理由がなくとも、「大量のドル売り」や「大量のドル買い」を仕掛ければ、マーケットは動くからです。
クリスマス・シーズンの、薄いマーケットで、売買も少ない場合は、センチメント(雰囲気)には緊張感も無く、レートも動いていません。そういった状況の時に、突如として、「大量のドル売り」や「大量のドル買い」を仕掛けるのです。
 通常のマーケットを考えると、為替レートが動く理由・原因があっても、売り手と買い手がぶつかり合って、売買が均衡している場合は、緊張感を持ちながらも、レートは動きません。
しかし、売買が積み上がって、均衡が崩れた途端にレートが走り出すのです。
レートが大きく動く時は、水面下で必ず大量の売買が行われています。
いずれの場合も、為替レートが大きく動く場合は、大量の売買を伴っています。
『プライス』だけを見ると、出会いも無くレートが飛んでいるように見えますが、水面下で、必ず大量の取引が行われています。
 取引を伴わずにレートだけが動く、といったことはありません。
12月に、理由なく突如としてレートが飛ぶような場合は、そういったことが起こっているのです。



 >   >  2007年12月