松田 哲氏 「ドル円ユーロタクティクス」

2007年09月 の記事

第92回 「さい狼(=やまいぬとおおかみ)」の目が光っている

FOMC(9/18)の前後になって、急にドル/円が買い気配になった。
 それは、ドル/円レートの値動きを見れば、誰にでもわかることで、それが、分からない方が、(気が付かない方が、)おかしい。
 それは、ドル/円レートが上昇しているのだから、誰にでも、分かることだ。
 そして、それは、当然に、『誰か』が、ドル/円を買っているはずだ。

何のニュースもない、まだ、FOMCには、ずいぶんと時間があるときに、マーケットのみんなは、一様に、FOMCを待っているときに、そういった動きがあれば、『その人』は、FOMCに賭けて出ている(=ギャンブルに出ている)のは、明白ではないか?

 『その人』は、FOMCで、ドル/円が上昇することに賭けて、大量の「ドル買い円売り」を実行した(はずだ)。
 大量(巨額)の資金を使わなければ、相場は動かない。
 『ニュースだけで、相場が動く』と言う人がいるが、それは、『ウソ』だ。
 ニュースに基づいて、大量(巨額)の資金が動くから、為替レートも動くのだ!

現に、FOMCの発表前に、米系大手証券の決算発表で、「サブプライム・ローン」に伴う損失が、思った程でもない(事前予想よりも小さい)ことが発表されて、ドル/円は、上昇気味となった。
そのニュースに伴って、「ドル買い円売り」が実行されたから、ドル/円レートが上昇したのだ。
 そのニュースだけで、相場が動いたのではない。

FOMCの日は、その米系証券の決算発表後に、『対米証券投資』が発表されている。
 事前予想に比べて、とんでもなく悪かったのだが、ドル/円レートは動いていない。
つまり、この日は、『対米証券投資』のニュースがあったのだが、そのニュースに基づいて大量の売買が起きなかったのだ。
 否、この日、『対米証券投資』に基づいて、ドル/円を売った市場参加者は存在した(はずだ)。
 その、「ドル/円の売り」を吸収して、ドル/円レートをサポートした、―――つまり、ドル/円レートが下落しないようにドルを買った、―――市場参加者がいたはずだ。

それは、『その人』と、同一人物(同一チーム?)だった、と考えられる。
 『その人』は、FOMCに賭けて、ギャンブルに出ているのだから、降りる訳にはいかなかったのだろう。
 もう、始めてしまったのだから、途中で降りたら、とんでもない損失になる。だから、降りることも、不可能だった。

たぶん、『その人』は、8月の相場で、巨額の損失を抱えている状態だったのだろう。
 そうでなければ、乾坤一擲の勝負に出ることはない。理屈で考えても、想像が付く。

 結果的に、『その人』(そのチーム?)は、FOMC当日、その前後の勝負には、勝った(だろう)。
 しかし、8月の相場で負けた金額には、全く、遠く、及ばない。
 (もともと、「サブプライム・ローン」で負った巨額の損失を、抱えているのかも、知れない・・・。)

まだ、『その人』(そのチーム?)は、対円絡みで、マーケットにしがみついて、目を光らせている。
 「さいろう(さい狼)=やまいぬとおおかみ」の目が光っている。

第91回 円キャリー・トレード

今月のFOMCで、ドル金利の[0.50%]の引き下げが、実施された。
ドル金利の、大幅な利下げは、
「ドル売り」のニュース(材料)である。

---ドル金利の引き下げは、
米国株価の上昇につながるので、
「株価上昇からドル買い」を唱える声が上がるのは、
あらかじめ理解しているが、
それは、「我田引水」の意見に過ぎない。---

FED(FRB)が、[0.50%]の、
「大幅な」利下げを断行したのは、
「サブプライム・ローン問題」に起因する損失額が、
巨額だと、FED(FRB)は、判断した、ということです。

FED(FRB)が、その損失額を把握しているのか、
していないのか、不明だが、
---FED(FRB)でさえも、その損失額を、
把握出来ていない様子が、うかがえる---
[0.50%]の引き下げを断行する必要が、ある、
と、判断したことが、事実である。

「サブプライム・ローン問題」が原因の損失額は、
米国経済に、大きく影響を与える程の
巨額である、という判断を、FED(FRB)はした、
ということ。

だから、ユーロドル、ポンドドルは、
ドル金利引き下げ後、
「ドル売り」に、素直に反応して、上昇した。

ドルスイスも、「ドル売り」に反応して、
下落している。

しかし、ドル円だけが、変な反応をしている。

すると、ドル円だけの特殊な要因が、ある筈だ。

それは、円の突出した低金利を利用した
「円キャリー・トレード」しか、考えられない。

金利差享受(いわゆる、スワップ金利)を
狙った取引は、
最終的には、失敗する、と、私は、考えます。


しかし、マーケット(相場)には、一時的に、
金利差を受け取り、利益になる時期(一定の期間)が、
存在します。
それも、事実です。

その場合は、
(「金利差を享受して、利益を得た」場合は、)
最後は、ポジションを閉じて、
マーケットから、逃げないと、
いつまでも、ぐずぐず残っていると、
最終的に、
それまでの利益をも吹き飛ばして、破綻します。

「円キャリー・トレード」の使い方は、
まさに、「もろ刃の剣」と、考える。

私は、最終的に、「円キャリー・トレード」は、
破綻する、と、考えるが、
「円キャリー・トレード」の
拡大している時期(期間)は、
それに棹さす行動も、また、「愚」である、
と、考える。

だから、今しばらくは、
「円キャリー・トレード」をやりたければ、
やればよい、という結論になる。

この夏に、
「円キャリー・トレードのアンワインド(解消)」が、
かなり出たが、
まだ、あの程度では、
「円キャリー・トレード」は、終わっていないし、
破綻でも無い。

(これから、将来に向けて、破綻する時が来る、
と、考えています。)

「円キャリー・トレード」を行う際に、
知っておかねばならないことは、
最終的に、
「金利差を狙った取引」は、破綻すること。

つまり、ポジションを持ち続けると、
必ず、負ける、ということ。

利益を確保することも、
リスク管理の重要なテクニックです。

第90回 結局は、ドルを買う訳にいかない

昨日(9月18日)、FOMCは、FF金利(ドルの政策金利)の[0.5%]引き下げを決めた。
個人的な、感想は、『なーんだ・・・、利下げしちゃうの・・・』。

私は、FEDの毅然とした態度を期待し、『ドル金利据え置き』を予想していたので、ちょっと、失望感。

自己責任で、投資をして、損をした人、つまり、住宅(不動産)投機をした人たち、そして、巨大機関投機家たちの救済措置をする訳ネ・・・。
今後、モラルは、どーなるのかなぁ・・・?

所詮、バーナンキFRB議長も、こんなもんかねー・・・。
(グリーンスパン氏も、1998年10月のLTCMショックの際に、同じようなことをしているから、一概に、非難はしないが・・・)
以上は、個人的な感想。

個人的な感想は、さておき、私の相場に臨むスタンスは、『相場に勝つこと(=相場で利益を得ること)』だから、きれいごとは、どーでも良い。

ですから、さて、ここから。
現在の与件で、昨日(9/18)のFOMCでは、ドル金利の利下げを実施した。
このことは、『予防的利下げ』。

『サブプライム・ローン問題』に端を発する損失額は、---明確な数字は、いまだ不明だが、---金融システムを揺るがす程に、根が深い(=巨額である)、と、FOMCメンバーが、判断したことになる。

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ドル/円(USD/JPY)のマーケットを、俯瞰してみると、現在(9月19日現在)は、6月下旬に付けたこのところの高値124円から、8月中旬の111円台ミドルまで、大きく下落した後の『調整局面(綾戻し・揺り戻し局面)』にある。

さらに、9月初旬の米国失業率(雇用統計)悪化を材料として、115円台から112円台に急落した後の『調整局面(=リバウンド上昇局面)』でもある。

調整局面が時間的に長引けば、反転上昇する可能性もあるが、その場合の時間とは、少なくとも、2ヶ月程度は必要だろう。

現状の与件を考えると、111円台から、117円台程度で2ヶ月程度の「下値持ち合い」上下動が続けば、反転上昇する可能性も出てくる。

しかも、相変わらず、ダウンサイド・リスクの方が数段に大きい。

今、現時点で、すぐに、111円台ミドルに下落するのは、材料が不足だが、なんらかの拍子に、---原因は何でも構わない---111円台ミドルがサポートされずに、下に向かい出すと、[110.50][110.00]が、次のサポートだが、その下のサポート[109.00]を割り込むと、この間の8月のドル/円(USD/JPY)のフリー・フォール状態の再現もあり得る。

そう考えると、引き続き、ドル/円(USD/JPY)を買う気にはまったくならない。

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上述の考え方は、まったく変わっていない。

FOMC前後になって、ドル/円(USD/JPY)は、[115.50]を上に抜けて、リバウンド(上昇)している。
だから、「下値持ち合い」のゾーンが、『112円台から115円台程度』のゾーンから、『111円台から117円台程度』のゾーンに拡大しただけ。

若干、上方にシフトしている感もあるが、FED(FRB)が、『予防的利下げ』を実施したことで、『サブプライム・ローン問題』に端を発する損失額が、巨額であることも確認された、と考えると、下値も、拡大している、と、考えたほうが、無難だ。

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FOMCに関しては、上述の通りに『なーんだ・・・。利下げかぁ。』と、いったところ。
FEDの毅然とした態度を期待して、『据え置き』を予想したが、ドル金利は、引き下げ。

ただ、これで、対応は、『ドル売り』だから、相場への臨み方は、単純。
同じ、『ドル売り』ならば、『ユーロ買いドル売り』が、ポジションを持ちやすい、と、考える。

『ドル売り円買い』『ポンド買いドル売り』よりも、『ユーロ買いドル売り』が、一番、楽だろう。
ユーロは、利上げを控えているし、気分的に楽。

これで、米国は、予防的利下げを実施したことになるが、だとすると、サブプライム・ローン問題は、想像以上に、悪いことになる。

なおかつ、全員一致の決定。
サブプライム・ローン問題は、相当悪い(巨額の損失がある)という証。

結局は、ドルを買う訳にいかない。

(2007年9月19日東京時間20:30記述)

第89回 本日のFOMC

本日(9月18日)は、FOMC(Federal Open Market Committee:連邦公開市場委員会)。
ドルの政策金利(FF金利)の引き下げを予想する声が、増えている。
それは、それで、理解します。

マーケット(短期ドル金利市場)が、利下げを織り込んだ状態を、FED(FRB=Board of Governors of the Federal Reserve System:連邦準備制度理事会)が、追認する形で、ドル金利の利下げを行う。
FEDは、マーケットのせいにできるので、責任が、無い(回避できる)。

それは、それで、シナリオとして、充分考えます。

また、それは、株安回避にも都合の良い選択でしょう。

しかし、FEDが、考えるべきことは、目先の1000ドル、2000ドルのダウ平均の姑息な上下では無いハズ。

サブプライム・ローン問題に端を発するクレジット・クランチ(信用収縮)は、重大問題だが、公定歩合で、借りることは、恥ではない、と、わざわざ発言した。公定歩合で借りなさい、と、うながしている。

また、今回利下げを開始したら、クレジット・クランチが、解消しても、利上げには、向かえない。(朝令暮改は、政策担当者として、正しい行動とは言えない)

サブプライムに起因する緊急事態も、分かるが、今までに、築き上げてきた威厳・尊厳の方が重い。
 FEDが、プライドを捨てるのは、それは、それで、構わないが、FEDが、今月利下げをしたら、信認が揺らぐ。
 もう少し、経済指標を確認して、米国経済が、後退期に入ったので、利下げする、というなら、納得する。
 無形の『信認』という財産を築くのは、何十年もかかり、大変だが、壊すのは、一瞬。
今月利下げを実施する予定なら、もっと、きちんと、広くマーケットと対話するべき、と考える。
バーナンキFRB議長のやり方は、前のグリーンスパン氏とは違う、と、解釈することも可能だが、それも、立派な態度ではない。

だから、今回のFOMCでは、現在の与件ならば、FED(FRB)は、ドル金利(政策金利=FF金利)を据え置く、と、考えている。

しかし、久しぶりに、ドル金利で、読みの難しい場面に遭遇している。

私は、据え置きを予想するが、マーケットは、引き下げを要求している。
マーケットが、FEDを動かす場合が、あるから、油断はしない!

「利下げか?」「据え置きか?」の事前の判断(予想)は、難しいが、『それへの対応は、簡単』。
 ドル金利引き下げが、実施されたら、ドルを売れば良いだけ。
 据え置きの場合は、若干、ドルは、買われるだろうが、そこは、取りに行かないで、様子を見た方が良い。

ドル金利据え置きの場合、米国株式市場を注目する必要が、あるからだ。
米株が、崩れる場合、結果的に、ドル売りになる可能性が、ある。

今回のFOMCは、最大限の注目をしている。

ただし、『予想をすること』『予想を当てること』は、相場をやる際の目的ではない。
 『相場に勝つこと』『相場で、利益を上げること』が、目的なハズだ!

勘違いしては、いけない。繰り返すが、
『予想を当てることが、目的では無い!』
 『相場に勝つことが、目的だ!』

『予想を当てても、予想を外しても、勝つ』そのための、具体的な典型例が、珍しく、ある、と考えている。

第88回 安倍首相の辞任は、為替相場に関係ない

亜細亜大学で講師をしています。

7月初旬の、参院選のかなり前に、その亜細亜大学の授業で、
『自民党が、負けて、総理大臣が、交代する』
と、予言して、学生に話をした。

みな、一様に、きょとんとしていた。

そのことは、私の配信している、その頃のメールマガジンにも書いた。

本日(9月12日)、安倍首相が辞意を表明した。

しかし、今回の件は、
安倍首相が、本来、参院選直後に、辞めるべきだったのに、
安倍首相自身が、間違った判断をして、続投しただけ。

私にしてみれば、以下のように考えている。

『ほれ見ろ!』
『たったの2ヶ月、ズレただけ』
『安倍さんは、民意・下情が、分からない人柄だ』

そして、相場への影響だが、
安倍首相が、辞めることは、外国為替相場に、影響を与えない、
と考える。

通常ならば、日本の政局不安定から『円売り』になるが、
もともと、日本の政局は不安定なのだから、『織り込み済み』になる。

参院で逆転状態だから、日本の政局不安定は、
今後も、長ければ、衆院選挙まで続く。

衆院解散は、自民党にしてみれば、できる限り避けたいところ。

現状では、前回の衆院選のように大勝できる可能性が無いのだから、
解散総選挙の断を下すわけが無い。

だから、解散総選挙に持ち込まれたら、負けるのがわかっているから、
勝負には出ない。

相場も同じだが、
『負けるのがわかっている勝負に出るのは、単なる愚』
それは
『匹夫の勇』


また、今は、『ドル売り』のニュースには反応するが、
『ドル買い』のニュースには反応しない。

センチメント(市場心理)が、そーいった場合だから、
安倍首相が、辞めることは、外国為替相場に関係無い。
(影響を与えない=あっても軽微)

第87回 舌鋒厳しくあるも、老婆心ながら・・・

現実から、目をそむけてはいけない!それは、非常に危険だ!
このコメントは、舌鋒厳しくあるも、老婆心ながら、真剣に書いています。

先週末の「米国雇用統計」で、NFP(非農業部門雇用者数)が、悪かった。
だから、「ドル売り」。
高値で塩漬けになっている持ち値の悪いドル・ロング(ドルの買い持ち)は、早く損切りをした方が良い。(損切りをしないと、危険だ!)

「ドル売り」とは、ドル円を売るのか、つまり、「ドル売り円買い」をするか、あるいは、ユーロドルを買うか、つまり、「ユーロ買いドル売り」をする、ということ。

「ドルを売るとは、どういうことか?」
「それは、ドル・ストレートを売る」という意味。

 耳に痛いことを、あえて、わざと、言う。
 『楽して儲かる』などということは、現代の、この世の中に無い!!
 『それは、ウソだ!』

『少し、冷静に、まともに、考えれば、それは、ウソだ、そんなことは、有り得無い!』
と、誰だって、分かるハズ。

『どうして、それが、理解できないのか?』
人間、欲がからむと、冷静な判断が、出来なくなるという典型例。
そして、『自分だけは、大丈夫』という、『自分だけは、違う』という、変な勘違い。
「オレオレ詐欺」に、騙された話を聞いて、どうして、騙されるのか、不思議でしょ??
 それは、他人事だから。
人間は、自分の事になると、冷静な判断が、出来なくなる。

 もうひとつ、耳に痛いこと。

よくある質問。
 「120円で、買ったドル円が、あるのですが、どうすれば良いでしょうか?」
 「今すぐ、損切りして下さい!」
 「いや、それでは、損をしてしまうので、切れません・・・。」
 「・・・・。」

「そうではなくて、120円で、買ってしまったのですが、今、大きく下落して、含み損になっています。何とかする方法は、ないでしょうか?」
 「無いですね。相場に『魔法』や『手品』は、無いですから。」

「どこで売れば良いとか、ないのですか?」
 「だから、最初に、今すぐ、損切りをして下さい、と、言ったじゃないですか。
いったん損切りをして、上昇すると考えるなら、改めて買えばいい。いったん損切りをして、冷静になって、改めて、売りだ、と、判断するならば、売ればいい。
一番悪いのは、切ることも出来ずに、ただ、待っていること。それは、座して死を待っているだけです。稀に、運が良ければ助かることもありますが、大半は、もっと損が、膨らみますヨ。
 外国為替は、お金とお金の売買だから、含み損と実際の損は、同じですヨ。」

「いや、含み損は、損切りをしなければ、実現損ではない、と思いますが。」
 「ゴーギャンやルノアールの絵画のように、いつでも自由に売買できる訳ではない、そして、評価する人によって、価格が、大きく違う場合は、含み損益を考えることに、意義があります。
 しかし、外国為替は、お金とお金の取引だから、誰が評価をしても同じです。世界中、何処に行っても、誰と取引をしても、損失額は、同じです。
外国為替取引は、換金は、常に可能だから、含み損益と実現損益を区別するのは無意味ですよ。」
 「いや、含み損は、まだ、損ではない・・・」
 「気持ちは、理解します。でも、売っても買っても、どちらも現金なんですよ。」
 「いや、認められません!」

「・・・・。」

何度でも、繰り返す!耳に痛かろうと、あえて、わざと、言う。それが、真実だから。
『楽して儲かることは、無い!』
『それは、ウソだ!』

そして、高値で塩漬けになっている持ち値の悪いドル・ロング(ドルの買い持ち)は、早く損切りをした方が良い。(損切りをしないと、危険だ!)

第86回 FRBのスタンス

特段のコメントでもなく、このところのコメントの焼き直しになります。
念のため、補足しておきます。マーケットの与件に変化が無い、ということです。
逆に、コロコロと、意見・考え方、スタンスが変わる方が、変です。日替わりで、意見が変化するのは、筋が通っていない証左です。
 しかし、マーケットの与件が変化した場合は、『己が豹変する勇気』が無ければ、「殺されます」。
 例えば、現状のマーケットでは、『ドル金利(FFレート)に関して、利下げ期待』が広まっています。それ(マーケットの思惑・期待)は、わかります(理解しています)。

しかし、FED(FRB)が、ドルの公定歩合を0.5%引き下げた際に、政策金利(FF金利)を引き下げなかったのだから、基本的には、FEDは、インフレ懸念を継続して持っていることが、わかる(明白に、推測できる)。

そのことは、米国公定歩合変更のすぐ後で記述しました。
第81回 2007年8月20日米国公定歩合変更の意味

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FED(=FRB:米国連邦準備制度理事会)は、先週末の金曜日、8月17日に、臨時のFOMC(連邦公開市場委員会)を開き、公定歩合を6.25%から0.5%引き下げ、5.75%とする緊急利下げを決めた。
サブプライム・ローン問題に起因する、金融市場の混乱に対応する措置。
政策金利(FF金利)は、5.25%に据え置いた。

このFED(FRB)の意義(メッセージ)を、読み解く必要がある。テレビも、新聞も、アテにならないし・・・。(自分が、充分に、目を通していないだけかも知れませんが・・・。)

このことに関して、大半のコメントは、次のような程度。(困ったものだ・・・、と思っていますが・・・)

『米国公定歩合が、引き下げられたので、金融緩和』
『だから、ドル金利は、下がる可能性が、出て来た』
『それで(公定歩合の変更で)、先週末の米国株価が、上昇したので、日本株価も上昇するだろう』
『株価下落が、円高を招いていたので、来週(8月20日の週)は、ドル円やクロス円は、上昇するだろう』

それは、それで、間違いとは言わないのですが・・・。

しかし、
『その程度しか、思い付かないのぉー・・・?』
 『金利の勉強も、少しは、やれよー・・・』
『為替ディーラーは、勉強嫌いだからなー・・・』
が、個人的な感想。

政策金利(FF金利)を変更していないから、実質的には、『本来は、』何も、影響は、無いハズ。
『何故、そんな無意味なことをしたのだろう?』
と、考えるのが、普通。

FEDは、米国の中央銀行ですよ!
日銀と違って、ちゃんと尊敬されている、敬意を払われている中央銀行ですよ!!

公定歩合は、FEDが、金融機関に、貸し出す金利です。
 このところ、FEDが、巨額の緊急資金供給したことを思い起こせば、クレジット・クランチ(銀行間での貸し渋り、インターバンク市場での貸し渋り)が起きて、米国銀行は、マーケットから、資金調達が出来なくなっていることが、分かる。

ECB(欧州中銀)も同じ。
サブプライム・ローン問題で、名前の挙がっている金融機関は、インターバンク市場での資金調達が、不能なのだろう。

『そりゃー、そーだろー』と、誰だって思う。
『倒産の恐れがある銀行には、誰も貸さない』
 『銀行の審査部は、貸し出し枠を絞るに決まっている』
 『銀行なんて、コンサバのカタマリみたいなものだから、そんなところに資金貸し出しの許可は下りない(おろさない)』

 だから、プレミアムを払って、(通常より、高い金利を払って、)資金調達をするしかない。
 信用収縮とは、そういうことだ。

FEDは、『米国金融機関が資金調達不能で、倒産するリスクを、回避したかったのかなぁ』と、推測できる。
さらに、金融市場の混乱が、酷くなれば、FF金利を変更する可能性を否定は、しない。
今後、サブプライム・ローン問題で、何が、出て来るか、わからない・・・。
しかし、FEDは、現在、FF金利を変更したくないから、こうしたのだ。
つまり、FEDは、まだインフレ懸念を持っていることが、分かる。
 FEDは、まだ、金融緩和をしたくないのだ。

 FEDは、サブプライム・ローン問題ばかりでなく、米国全体の経済に責任を持たねばならない。サブプライム・ローン問題で、株が安くなったからといって、安易に、ドル金利を動かすことが出来ない。
 良識がある、と拍手を送りたい。がんばれバーナンキ議長!!
 それに対して、日銀は、どうするのだろう・・・・?
矜持を保てるのだろうか?
個人的には、信用しきれない・・・。残念ですが・・・。

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

ここで、長文にもかかわらず、引用したのは、先週末のバーナンキFRB議長のコメントと、比較して欲しいからだ。
 先週末のバーナンキFRB議長のコメントは、上述のコメントの、焼き直しそのものではないか!?
 きちんと、勉強すれば、金利は、かなりの精度で読める。
 先週末(8月31日)のバーナンキFRB議長のコメントは、8月17日の公定歩合引き下げの直後に、予見できるという証左ではないか?

しかしながら・・・。(ここからも重要)
それにもかかわらず、ドルの政策金利(FFレート)引き下げの思惑(期待感)は強い。

それは、マーケットが、---この場合の「マーケット」は、漠然と多くの市場参加者の気持ちを指している---
『FEDが、利下げに追い込まれるのではないか?』
と、考えているからだ。

つまり、「サブプライム・ローン問題」を起因とした、金融システム不安から、クレジット・クランチ(信用収縮)状態が、継続していることに対する不安が、ぬぐい切れないからだ。

目先の、FEDのスタンスは、読むことができるかも知れないが、マーケットの示唆している(予期している)『FEDが、利下げに追い込まれる』という状況が、無いとは言えない。

このあたりは、『きちんと勉強しても、誰にもわからない部分』。
金利でも、為替でも、マーケットには、『誰にもわからない部分』が、必ず、ある。
だから、「リスク」があるのであり、「リスク」があるから、「キャピタル・ゲイン」がある。(もちろん、「キャピタル・ロス」もある)
 「リスク」が無いと、「キャピタル・ゲイン」も「キャピタル・ロス」も無い。

(2007年9月5日東京時間17:30記述)

第85回 ドル/円は「調整局面」

8月下旬の相場は、概して、「調整局面」となっている。

8月30日の東京市場のドル/円(USD/JPY)は、115円台ミドル程度---[115.65-70]レベル---でオープン。この日(8月30日)の東京市場午前中のドル/円(USD/JPY)は、積極的な動き無し。115円台後半程度の持ち合い。
 この日(8月30日)は、東京市場午後になって、また、たらたらと下げて、[115.25-30]レベルの安値を付ける。

「あー調整しているなぁ・・・。典型的な『揺り戻し局面』だなぁ・・・。」といったところ。
このあたりの水準での上下動は、典型的な『揺り戻し』の値動き。下がっているから調整なのではなくて、上昇していても調整局面に違いはない。

現在のドル/円(USD/JPY)は、124円から、111円まで大きく下落した後の「揺り戻し局面」(調整局面)と、考えている。
111円台を見てから、理由は何であれ、リバウンド(上昇)している。
しかし、大きく下落した後の、典型的な値動き(=『揺り戻し』)に過ぎない。
特に、[114.00-117.00]のゾーンは、典型的な『下値持ち合い』を形成している。正確な数値(為替レート)を挙げると、[113.80-117.20]程度のゾーンだが、アバウトで考えれば充分だ。大相場のときには、10銭、20銭を気にしているより、もっと大局を見た方が良い。

この与件では、---現在のさまざまな、マーケットの状況を考えると、---個人的には、ドル/円(USD/JPY)を買う気には、全くならない。

週末が近づくと漠然とした期待感から、ドル円、クロス円は、若干の上昇傾向を示した。
 8月30日のロンドン市場は、概して、115円台後半の小動き。
 8月30日のニューヨーク市場は、若干ドル買い気味に推移し、[116.00]アラウンドまで上昇するが、引き続き、115円台後半から[116.00]アラウンドでの小動き。

そのため、8月末(8月31日)の東京市場のドル/円(USD/JPY)は、115円台後半([116.00]アラウンド)---[115.95-00]レベル---でオープン。しかし、積極的な動意がない。東京市場午前中は動かず。
8月末(8月31日)は、東京市場の午後になって、じりじりと「ドル買い円売り」が進んだ。東京市場の夕方には、[116.45-50]レベルまで上昇。
 8月末(8月31日)のロンドン市場のドル/円(USD/JPY)も、116円台ミドル程度での持ち合い。高値は、[116.55-65]レベル。

この日は、ニューヨーク時間に、ブッシュ米国大統領が「サブプライム・ローン問題」に対し、救済策を発表するのではないか、といった期待感が広がっていた。
 また、バーナンキFRB議長の講演も予定されていたので、漠然とした期待感からドル/円、クロス円が買われていた。
 しかし、バーナンキFRB議長は、流動性を確保するための資金供給には対応するとしたが、利下げについては、目先、否定的な発言だった。
 ブッシュ大統領による「サブプライム・ローン問題」についての会見でも、「投機家を救済するのは政府の役目ではない」とコメントした。
まことにもって、その通りであり、ブッシュ大統領にしては、珍しく、立派なコメントだ、と考えている。

ブッシュ米国大統領の発言とバーナンキFRB議長の発言を材料に、ドル/円(USD/JPY)は、[115.45-50]レベルに下落した。
 ニューヨーク・クローズは、115円台後半程度。

「夏休み相場」も明けたので、---ロンドンのレイト・サマー・ホリデーが明けたので、---この夏に、何があったのか、冷静に、振り返るには、よい時期。
 のんびりと、夏にあったニュースを読み直すとか、チャートを眺めるには、ちょうどよい値動きだ。
 大した動きではない。上述の通りに、典型的な「揺り戻し局面」(調整局面)。
 9月の相場が、このまま、凪いだ相場(おとなしい相場)になるとは、考えていない。
 「忙中閑あり」といったところ。気や、体力を養うには良いかな、と思っている。
 9月は、「がんばる月」と、考えています。



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