第84回 ドル円の115.00

ドル円が、115.00アラウンドの微妙な水準で、上下動を繰り返している。

ドル円は、115.00より上にいると、上昇するような気分になるし、
115.00よりも、下にあると、さらに下落するような気分になる。

何年か以前に、財務省・日銀が、ドル円レートが、下落しないように、大量の「ドル買い円売り介入」を実施した。

調べるのが、面倒なので、うろ覚えの数字だが、32兆円の大量介入じゃなかったかな?

その際の、ターゲット・レート(サポートを目論んだレート)が、115.00だった。

あれ以来、ドル円の115.00は、常に、意識されるレートになった!

大噴火の跡とか、広島の原爆ドームとか、大災害や大事件(大人災)のモニュメントみたいなものだ。

マーケットは、115.00の値覚えをして、忘れていない、ということだ。

馬鹿げたことやったものだ、と、思っている。

私も、115.00を見る度に、広島・長崎の原爆を思い出すように、大量介入を思い出すのだろう!

金融政策で、対応すべき問題で、安易な介入は、すべきではない、と、思量する。

結局、最終的には、介入が、負けてる。
『無理が通れば、道理が、引っ込む』と、いう訳ではない。

さて、いつまでも、115.00で、止まっているわけは、無かろう。

現在の与件で、ドル円を買うのは嫌だ。
つまり、「ドル買い円売り」のポジションを取る気には、全くならない。

第83回 日銀の政策決定会合前後のマーケット

8月22日(水)のドル/円(USD/JPY)は、朝方のシドニー市場で、[114.00]アラウンドの下値を試す動きも出たが、それ以上の『売り方』の追随も無かった。
シドニー時間のうちに、リバウンド(ドルの買戻し)。

そして、この日(8月22日)の東京市場のドル/円(USD/JPY)は、[114.35-40]レベルでオープン。
東京市場は、日銀の政策決定会合を、翌日の8月23日(木)に控えて、様子見といったところ。

東京市場の夕方になって、BNPパリバ傘下のファンドの資金凍結が、早ければ今週にも解除されるのではないか、といったウワサを材料に、ドル/円(USD/JPY)が買われた。
ドル/円(USD/JPY)は、114円台ミドルから[115.00]アラウンドに上昇した。

8月22日(水)のロンドン市場、そして、ニューヨーク市場では、ドル/円(USD/JPY)は、[115.00]を挟んだ小動きに推移。
翌日、8月23日(木)の日銀政策決定会合の結果待ち、といったところ。ニューヨーク・クローズは、115円台前半程度。

8月23日(木)のシドニー市場で、ドル/円(USD/JPY)は、115円台前半から、115円台後半に上昇した。

サブプライム・ローン問題が落ち着くのではないか、といった思惑から、また、円金利の引き上げは、先送りされるだろう、といった思惑から、ドル/円(USD/JPY)を買う動きとなった。

その流れから、昨日(8月23日)の東京市場のドル/円(USD/JPY)は、115円台後半でオープン。

8月23日(木)の東京市場のドル/円(USD/JPY)は、結果的には、終日、115円台後半から、116円台に乗せたあたりでの小動きとなった。

8月23日(木)の昼過ぎ、日銀は、政策金利の据え置き決定を発表。
円の政策金利は、[0.5%]のまま据え置かれた。


7月下旬の参院選の前から、参院選後の8月には、日銀が円金利引き上げを実施することが確実視されていた。
しかし、7月下旬以降、米国の「サブプライム・ローン問題」から、金融市場では、「クレジット・クランチ(=信用収縮)」が発生。
世界同時株安となった。
米国は、ドルの公定歩合を引き下げる措置を採った。

こういった与件の変化から、『円金利の引き上げは、「先送り」されるだろう』と、マーケットのコンセンサス(合意・お決まりの約束ごと)は変化した。
「全く、何が起こるか、わからないものだ・・・」

直前の予想では、円金利据え置きは、大多数を占めた。
日銀の発表直前のドル/円(USD/JPY)レベルは、[116.00]アラウンド。
円金利据え置きは、事前の予想通り(マーケットの期待通り)であったため、それが発表されても、特段の値動きになっていない。

日銀の、円の政策金利の据え置き発表後、ドル/円(USD/JPY)レベルは、若干、「円高方向」に推移し、115円台後半程度になった。
「織り込み済み」の反応。
『予想で買って、結果で売る』といった反応。しかし、動いた内にも入らない程度の値動き。

8月23日(木)のロンドン市場では、円安が進行した。

特段のニュースや材料があったわけではないが、ドル/円(USD/JPY)では、[116.20-30]を上に抜けたあたりと、[116.50-60]を上に抜けたあたりに、ストップ・ロス・オーダー(損切りのドル買い円売りオーダー)があった様子。

ドル/円(USD/JPY)の上昇に弾みがつき、[117.10]アラウンドまで急上昇となった。
目先で、ドル/円(USD/JPY)を売っていた向きの損切りで動いてしまった印象。

117円台では、待ち構えていたドル売りもあった様子。
一時的に、117円台に乗せると、その後のドル/円(USD/JPY)は、116円台前半にまで、タラタラと下げた。

ドル・ショートの損切りも終わっているし、さりとて、116円台後半、116円台ミドルでは、買う気にもならないので、タラタラと下げた印象。

8月23日(木)のニューヨーク市場は、そういった、タラタラと下げる場面。

ニューヨーク市場の昼前後になって、[116.20-30]を割り込むと、今度は、目先で、ドル/円を買っていた向きのストップ・ロス(損切りのドル売り円買い)を付けて下落。

ドル/円(USD/JPY)は、115円台ミドル程度---[115.60-70]レベル---の安値を見ている。

ニューヨーク市場の午後は、値幅はあるものの、フラクチュエーション(意味のない上下動)といった印象。
115円台後半から、116円台前半程度で推移した。

何だか、マーケット(外国為替市場)が傷付いている、といった感覚。
目先のディーリング(短期売買)は、「買っても、負けるし、売っても、負けている」だろう、といった印象。
何とかしようと、あせって目先の売買にはまっている様子が感じられる。

さりとて、ドル/円(USD/JPY)のロングでつかまっている、本格的なポジション(塩漬けになっているポジション)は、[120.00]よりも上のコストだから、本質的な損切りもままならない。
そこで、目先の売買で、少しでも、利益を狙うのだが、かえって、損失になっている、といった印象。

第82回 マーケット・コメント

 現状のマーケット(金融市場)では、「サブプライム・ローン問題」が、「質への逃避」を引き起こしました。
「質への逃避」の一環として、「円キャリー・トレードのアンワインド(解消)」が惹起されました。
そういった意味では、「サブプライム・ローン問題」が、引鉄(ひきがね)ですが、マーケットは、動き出してしまえば、原因や理由は、さほど問題ではありません。
 「円キャリー・トレードのアンワインド(解消)」そのものが、現在の外国為替市場のテーマになってきています。

現在の「質への逃避」のバロメーター(メルクマール:指標)は、株式市場(各国の株価)になっており、株価の上下動で、為替レートが右往左往しています。
 つまり、株価の動きで、「円キャリー・トレードのアンワインド(解消)」が加速されたり、さらに、その買戻しが起こったりしています。

 もちろん、先週のマーケットは、「大相場」といって良いでしょう。
 『5年に一度程度』の相場つきだ、と考えています。
今週になって、急に、おとなしくなった印象もあります。
それは、激しい値動きを見た直後だからです。

 今週の週明け、月曜日(8月20日)の東京市場は、ドル堅調に推移。「ドルじり高」で、細かい上下動を繰り返しながら、114円台前半から114円台後半に上昇。東京市場の夕方になって、[115.00]を上に抜けています。
 先週大きく「円高」が進んだ「綾戻し」の動きです。
 週明け、月曜日(8月20日)のロンドン市場も、東京市場の流れを引き継ぎ、ドル/円(USD/JPY)は、堅調に推移。ロンドン市場のドル/円(USD/JPY)は、おおむね、[115.00-115.50]程度。
 週明け、月曜日(8月20日)のニューヨーク市場は、ニューヨーク株式が軟調だったことから、ドル/円(USD/JPY)は、115円台前半から、114円台前半に急落。
 ニューヨーク市場の午後になって、ニューヨーク株の買戻しが出ると、それを見て、今度はドル/円(USD/JPY)急騰。114円台前半から、115円台前半に、約1円の急上昇。

 まだ、落ち着きを取り戻していない、先週の余波が残っているのが、この値動きからわかります。

こういった流れを受けて、8月21日(火)の東京市場のドル/円(USD/JPY)は、114円台後半程度でオープン。
8月21日(火)の東京市場のドル/円(USD/JPY)は、114円台後半から、115円台に乗せたあたりでの小動き。
東京市場の夕方、欧州勢が参加してくると、ドル/円(USD/JPY)は、114円台前半に下落。
安値は、[113.95-05]レベル。
 ロンドン市場は、114円台前半から、リバウンドし、再度、114円台後半程度---[114.70-80]レベル---に上昇した。

8月21日(火)のニューヨーク市場のドル/円(USD/JPY)は、114円台ミドルでのフラクチュエーション(意味の無い上下動)。
---それなりに、株価とかの影響はあるのだろうが、大勢に影響が無い、と思料。---

 それなりに、振幅はあるとも言えるが、このところの「大相場」を見てしまうと、この程度の動きは、動いていない、と感じてしまう。多くの市場参加者が、同じ気持ちだろう、と考えます。

日銀の政策決定会合を8月23日(木)に控えて、様子見といったところ。

日銀も、現在の与件から、この状況では、円金利を据え置く公算が強い、と考えます。
---市場は、すでに、円金利が据え置きの方が多数派になっている。---

8月22日(水)の東京市場も、日銀の政策決定会合を、明日8月23日(木)に控えて、
様子見が続いています。
 まだ、波乱を含んでいます。
リスクが高いことを理解して、マーケットに臨む必要があります。
(2007年8月22日東京時間15:00記述)

第81回 米国公定歩合変更の意味

FED(=FRB:米国連邦準備制度理事会)は、先週末の金曜日、8月17日に、臨時のFOMC(連邦公開市場委員会)を開き、公定歩合を6.25%から0.5%引き下げ、5.75%とする緊急利下げを決めた。
サブプライム・ローン問題に起因する、金融市場の混乱に対応する措置。
政策金利(FF金利)は、5.25%に据え置いた。

このFED(FRB)の意義(メッセージ)を、読み解く必要がある。テレビも、新聞も、アテにならないし・・・。
(自分が、充分に、目を通していないだけかも知れませんが・・・。)

このことに関して、大半のコメントは、次のような程度。
(困ったものだ・・・、と思っていますが・・・)

『米国公定歩合が、引き下げられたので、金融緩和』
『だから、ドル金利は、下がる可能性が、出て来た』
『それで(公定歩合の変更で)、先週末の米国株価が、上昇したので、日本株価も上昇するだろう』
『株価下落が、円高を招いていたので、来週(8月20日の週)は、ドル円やクロス円は、上昇するだろう』

それは、それで、間違いとは言わないのですが・・・。

しかし、
『その程度しか、思い付かないのぉー・・・?』
 『金利の勉強も、少しは、やれよー・・・』
『為替ディーラーは、勉強嫌いだからなー・・・』
が、個人的な感想。

政策金利(FF金利)を変更していないから、実質的には、『本来は、』何も、影響は、無いハズ。
『何故、そんな無意味なことをしたのだろう?』
と、考えるのが、普通。

FEDは、米国の中央銀行ですよ!
日銀と違って、ちゃんと尊敬されている、敬意を払われている中央銀行ですよ!!

公定歩合は、FEDが、金融機関に、貸し出す金利です。
 このところ、FEDが、巨額の緊急資金供給したことを思い起こせば、クレジット・クランチ(銀行間での貸し渋り、インターバンク市場での貸し渋り)が起きて、米国銀行は、マーケットから、資金調達が出来なくなっていることが、分かる。

ECB(欧州中銀)も同じ。
サブプライム・ローン問題で、名前の挙がっている金融機関は、インターバンク市場での資金調達が、不能なのだろう。

『そりゃー、そーだろー』と、誰だって思う。
『倒産の恐れがある銀行には、誰も貸さない』
 『銀行の審査部は、貸し出し枠を絞るに決まっている』
 『銀行なんて、コンサバのカタマリみたいなものだから、そんなところに資金貸し出しの許可は下りない(おろさない)』

 だから、プレミアムを払って、(通常より、高い金利を払って、)資金調達をするしかない。
 信用収縮とは、そういうことだ。

FEDは、
『米国金融機関が資金調達不能で、倒産するリスクを、回避したかったのかなぁ』
と、推測できる。

さらに、金融市場の混乱が、酷くなれば、FF金利を変更する可能性を否定は、しない。
今後、サブプライム・ローン問題で、何が、出て来るか、わからない・・・。

しかし、FEDは、現在、FF金利を変更したくないから、こうしたのだ。

つまり、FEDは、まだインフレ懸念を持っていることが、分かる。
 FEDは、まだ、金融緩和をしたくないのだ。

 FEDは、サブプライム・ローン問題ばかりでなく、米国全体の経済に責任を持たねばならない。サブプライム・ローン問題で、株が安くなったからといって、安易に、ドル金利を動かすことが出来ない。
 良識がある、と拍手を送りたい。がんばれバーナンキ議長!!
 それに対して、日銀は、どうするのだろう・・・・?
矜持を保てるのだろうか?
個人的には、信用しきれない・・・。残念ですが・・・。

第80回 各国中央銀行の協調資金供給

先週8月9日のFED(米国の中央銀行システム)のオペレーション(資金供給)は、
240億ドル(約2兆9000億円)。

ECB(欧州中央銀行)が、950億ユーロ(15兆4000億円)の資金供給。

8月10日の日銀の資金供給が、1兆円。

緊急の資金供給としては、September11の時より多いらしい。

株価の急落は、問題だが、そんなに重大問題なのか?
何だか、訳が、わからないから、余計に不安になる。

各国の中央銀行は、当然に、ある程度の数字を
つかんでいるのだろう(と、誰でも考える)。

つかんでいなかったら、その方が問題が大きくないか?(「か?」は反語)

そう考えると、
『世界の金融システムが、震撼する程の損失が、
「サブプライム・ローン問題」で、積み上がっているということか?』
といった疑念が湧き上がる。

各国の中央銀行が、明確な説明をしないと、かえって、
リスク回避(質への逃避=Fry to Quality)を惹起(=引き起こす)する。

今週になっても、各国中央銀行の資金供給は続いている。

そのため、『米国の利下げ(ドル金利引下げ)』や、
『日銀の利上げ回避(円金利の据え置き)』が話題に上っている。

あくまでも、現時点での、与件での判断だが、
この状況で、米国が、早期利下げ(ドル金利引下げ)を実施したら、
日米金利差縮小を理由に、かえって、
「円キャリー・トレードのアンワインド(解消・巻き戻し)」は、
強まることになるでしょう!

ただし、米国は、年内は、ドル金利を据え置く、と、考えていますが。
(ドル金利引き下げが、あっても、年末と、考えます。)

現在のマーケットでは、
「サブプライム・ローン問題」が、
「質への逃避」を惹起し、
「質への逃避」の一環として、
「円キャリー・トレードのアンワインド(解消)」となっている。
「円キャリー・トレード」を止めれば、
為替リスクは、ゼロになる(無くなる)からだ。

現時点では、ドル金利の絶対水準は、無関係に、
「円キャリー・トレードのアンワインド(解消)」
が、起きています。

こういう状況で、ドル金利が、引き下げられれば、
「円キャリー・トレードのアンワインド」は、
加速する方向に、ベクトルは、働きます。
つまり、多くの人が、望まない(嫌がる)方向には、
力は、増幅される、ということです。

マーケットは、多くの人が、困る方向に、力が働くと、加速・増幅するが、
逆方向に、力が働く場合は、 ほとんど話題にならない、という状況になる。

現実問題としては、以下のように考えます。

まあ、ドル金利の変更は、目先は、無い!
だから、資金供給を実施した。
ドル金利を動かす考えが、無いことの証が、今回の資金供給。

ドル金利引き下げの意図があれば、資金供給をしないで、
緊急利下げを実施する。
(セプテンバー11の際は、そうした。)

第79回 「サブプライム・ローン問題」でECB、FRBが資金供給オペレーション

先週後半、8月9日(木)の東京市場のドル/円(USD/JPY)は、119円台ミドル程度を維持していたが、東京市場の夕方になって、[119.00]アラウンドに急落。8月9日(木)のロンドン市場のドル/円(USD/JPY)は、下げ足を加速して、118円台ミドルに下落した。
原因は、BNPパリバ(フランスの大手金融機関)の、傘下の、3つのファンドが資金を凍結したこと。「サブプライム・ローン問題」が、原因となって、世界的に損失が拡大している、といった認識が広がった。そのため、"Fly to Quality"(質への逃避)の意識が広がり、「円キャリー・トレードのアンワインド(解消・巻き戻し)」が起きた。

ECB、FRBが資金供給オペレーションを行い、ブッシュ大統領が住宅問題に対して、強気なコメントを発表した。しかし、マーケットの、「リスク回避」の動きは収拾せず、8月9日(木)のニューヨーク市場のドル/円(USD/JPY)は、118円台前半で、安値引けとなった。
8月9日のFED(米国の中央銀行システム)のオペレーション(資金供給)は、240億ドル(約2兆9000億円)。
 8月9日のECB(欧州中央銀行)が、950億ユーロ(15兆4000億円)の資金供給。
 大量の資金供給(資金放出)は、「かえって不安心理をあおる」結果となった。

事態が、よくわからない、かつ、明確な説明も無いのだから、マーケット(金融市場)が、そういった反応を示すのは、当然の帰結、と考える。

 8月10日(金)のシドニー市場で、ドル/円(USD/JPY)は、[118.00]を割り込み、もう一段、下落した。
 8月10日(金)の東京市場のドル/円(USD/JPY)は、117円台後半---[117.85-90]レベル---でオープン。
8月10日(金)の東京市場は、緊張感のある中、[118.00]を挟んで、小動きに終始した。

8月10日(金)に日銀は、1兆円の資金供給を実施。

8月10日(金)のロンドン市場では、ドル/円(USD/JPY)は、もう一段、下落。
[117.20]アラウンドの安値を付けた。

要因は、「円キャリー・トレードのアンワインド(解消・巻き戻し)」。
「サブプライム・ローン問題」が、原因となって、リスク回避が起きている。
8月9日の時点で、ECBの資金供給が、950億ユーロ(15兆4000億円)と、突出して大きい。
 『BNPパリバ(欧州の巨大金融グループ)の損失額が、異常に大きいのではないか?』
 『欧州経済に、影響を与えるほどの損失額なのか?』
 『米国では、メリルリンチやゴールドマンサックスの名前が挙がっているが、欧州でも、巨大金融機関が潰れる(破綻する)可能性もあるのか?』
といった、疑心暗鬼を引き起こした。

 8月10日(金)の朝方のニューヨーク市場は、117円台前半ないし117円台ミドル程度であった。
結果的に、8月10日(金)のニューヨーク市場午後のドル/円(USD/JPY)は、[118.00]を回復し、一時、[118.50]も上に抜けて上昇した。
急騰(ドル円のリバウンド上昇)の原因は、FED(米連邦準備理事会=FRB)が、8月9日に引き続き、市場安定化のために、追加の資金供給を実施すると発表したこと。

そのため、リスク回避(質への逃避=Fry to Quality)が一時的に沈静化。
ニューヨーク株式市場が上昇し、前日比プラスに転じるとドル/円(USD/JPY)は、高値[118.65-75]レベルを付けた。
 理由・原因は、何であれ、典型的な「夏休みの薄い中の乱高下相場」となった。
また、米国で有名なファンドの損失が報道されると、再び、乱高下の様相を呈した。
ドル/円(USD/JPY)のニューヨーク・クローズは、118円台ミドル程度。

通常は、各国の中央銀行(中央銀行システム)は、市場の安定化を主目的として行動する。しかし、今回のドタバタを見ると、株価急落を懸念して、各国の中央銀行(中央銀行システム)が、引っ掻き回しているように、感じるのは、私だけだろうか?(「か?」は強い反語)

株価急落を懸念して、その対応を行っているのはわかるが、それ以上に、実態がわからないから、不安になり、市場参加者が右往左往する。
 もっと、具体的な、数字を示しての説明が行われれば、市場は、落ち着く。
 換言すれば、
 『BNPパリバの具体的損失額は、いくらなのか?』
 『メリルリンチやゴールドマンサックスの具体的損失額はいくらなのか?』
 『サブプライム・ローン問題に伴う具体的損失額は、いくらなのか?』
を発表(公表)するべきだ、と考える。
それを発表(公表)したら、もっと、驚愕して、不安になってしまうのかも知れませんが・・・。それに関しては、何とも、言いようが、ありません・・・。

第78回 【『絶対水準で、戦うのか?』『値動きを切り取るのか?』】

前回(8月6日)のコメントで、このところのユーロ/円(EUR/JPY)の値動きを述べた。
現在のところ、ユーロ/円(EUR/JPY)は、高値から急落した後の、典型的な「揺り戻し局面」(=高値から急落した後の「下値持ち合い」)にある。
まだ、下値リスクは、収まっていない。

 外国為替取引を行う際の「戦い方(手法)」には、『絶対水準で、戦う』『値動きを切り取る』といった2パターンがある。
 その2パターンを、厳密に、区別することも、また難しいが、考え方、相場への臨み方という意味で、理解していただければありがたい。

「絶対値(絶対水準=絶対レベル)で、戦うのか?」

それならば、---絶対水準で戦うのならば、---ユーロ/円(EUR/JPY)は、169円から、(正確には、高値は、168.90-95だが、それは、169円と、言って良い)160円台まで下落しているのだから、現時点で、ユーロ/円(EUR/JPY)のロング(買い持ち=ユーロ買い円売り)を持っているのは、誤り、と言える。
つまり、絶対水準で戦うのならば、ユーロ/円(EUR/JPY)を、"BUY AND HOLD" するのは(しているのは)、間違いと、言える。

絶対水準で、戦うのではなく、『値動きを切り取る』戦い方をするのならば、160円台を買って、163円台、164円台を売る行動は、正しい、と、言える。
---現状の、ごく目先の値動きで言うならば、162円程度を買って、163円、164円を売る行動と言う方が、わかりやすいかも知れない。---

しかし、その場合は、スクエア(ポジションの無い状態)から、始める行動。

高値でのロング・ポジションを抱えて、取る行動では無い。---それは、『値動きを切り取る』戦い方でも無い。---

つまり、絶対水準で、戦うならば、ユーロ/円(EUR/JPY)が、[165.00]を割り込んだ時に、ユーロ/円(EUR/JPY)のロングは、損切りを敢行するべき。

絶対水準で、戦うのではなく、『値動きを切り取る』戦い方をするならば、スクエアが、基本の状態だから、
---スタート時点での、持ち高は、スクエア(ポジションの無い状態)のはずだから、---
高値でのロング・ポジションが残っているのは、おかしい。
つまり、「それは変だ」ということ。戦い方に整合性がない。戦い方に齟齬があるということ。

第77回 このところのユーロ/円(EUR/JPY)

6月中旬に、ユーロ/円は、「ユーロ統合以来の最高値」を更新して、[165.00]を上に抜けた。
 6月下旬に、一時、[165.00]を割り込む局面も見られたが、俯瞰(ふかん)して見るならば、6月中旬以降の、ユーロ/円は、概して、165円台よりも高い水準を維持し、「ユーロ統合以来の最高値」を何度も更新して、上昇を続けている。
 通常は、クロス円の上昇相場は、上下動(ジグザグ運動)を繰り返しながら上昇して行く。典型的な、上昇波動に乗った値動きだった、と言える。

そういった、典型的な、上昇波動に乗った値動きは、7月中旬まで続いた。
 7月の中旬には、168円台後半---「168.90-95」レベル---の「ユーロ統合以来の最高値」を付けている。

7月20日(金)の東京市場のユーロ/円は、[168.50-55]レベルでオープン。
 7月20日(金)の東京市場のユーロ/円は、更なる「ユーロ統合以来の最高値」をトライする雰囲気も広がっていた。
 しかし、東京市場午後の高値は、[168.80-85]アラウンドで、「ユーロ統合以来の最高値」水準の、「168.90-95」レベルに届かず。
 東京市場クローズ(東京時間17:00)は、168円台ミドルに垂れ下がった。
7月20日(金)のロンドン市場のユーロ/円は、168円台ミドルで小動き。
 7月20日(金)のニューヨーク市場になって、サブプライム・ローン問題を材料に、ドル売りが広がった。
 ドル/円(USD/JPY)は、[122.00]を割り込むと、121円台後半から、121円台ミドルに、急落。
 サブプライム・ローン問題は、「米国へ投資されている資金の引き上げ」を促している。
 リスクを回避する、つまり、ヘッジ(Hedge)の意識を高めている。

このところ、活発に、拡大していた円キャリー・トレードのアンワインド(買戻し)が出て、「円買い」は加速した。この「円買い」の影響から、ユーロ/円(EUR/JPY)は、168円台ミドルから167円台ミドルに、1円以上の急落となった。

 7月23日(月)のシドニー市場で、ユーロ/円は、167円台ミドル程度から、168円台ミドル程度に急騰。しかし、シドニー市場で投機的に「ユーロ買い円売り」を仕掛けた様子。シドニー市場の時間帯のうちに、167円台後半に戻している。
---どこかの投機筋が『売りたいから、買いを仕掛けたのではないか?』と考えています。---

7月23日(月)の東京市場では、ユーロ/円は、167円台後半で---[167.80-85]レベル---で寄り付いた。
 東京市場が始まると、すぐに167円台ミドルに下落した。その後は、概して、167円台ミドルないし、167円台前半程度。

 【Fly to quality:質への逃避】が、7月下旬以降のキーワードとなった。
 【Fly to quality:質への逃避】は、当然に、「為替リスクの回避」も惹起する。
『自国通貨へ回帰すれば、為替リスクは無くなる』『「円キャリー・トレード」を止めれば、為替リスクは無くなる』といったロジックだ。そのため、「円キャリー・トレードのアンワインド(解消)」もでる。

7月25日(水)のニューヨーク市場で、ユーロ/円は[165.00]を割り込んだ。
 明確に、下抜けを確認できるのは、7月26日(木)のロンドン市場であるが、【Fly to quality:質への逃避】による、「円キャリー・トレードのアンワインド(解消)」が継続していることを考えれば、ユーロ/円の、更なる下落リスクが大きいことは、明白であった。

7月26日(木)のロンドン市場で、『明確に』、[165.00]を割り込むと、ユーロ/円は、162円台にまで急落。
7月27日(金)の東京市場で、[164.00]アラウンドまでのリバウンド(綾戻し)を見る局面もあったが、7月30日(月)のシドニー市場では、160円台ミドル---[160.55-65]レベル---まで急落する。

7月末から、この8月上旬(8月3日)までのところは、160円台ミドルから、163円台後半程度のレンジの中で、乱高下している印象もあるが、要するに、高値から急落した後の「下値持ち合い」を形成している。
 典型的な「揺り戻し局面」(=高値から急落した後の「下値持ち合い」)に、ユーロ/円は、突入している。

このまま、まだ、「持ち合い相場」(=高値から急落した後の「下値持ち合い」)が続くのか、「円キャリー・トレード」が復活するのか、今の時点では、判断が付かない。

「下値持ち合い」が、もうしばらく続き、下値が固まってくれば、「円キャリー・トレード」が復活する可能性も否定しないが、「下値持ち合い」が、始まったのが、7月27日(金)であることを考えると、この8月いっぱいくらいまで「下値持ち合い」が、継続しないと、
『底値固め』とは、呼びにくい。

仮に、事前の予想通りに、(予定通りに、)円の政策金利の、[0.25%]引き上げが実施されても、[0.75%]に過ぎず、その絶対値が低金利である。
だから、「円キャリー・トレード」が復活する可能性も否定しない。

しかし、『今後、円金利引き上げは、断続的に引き上げが実施されることになる』(と、予測する)。

まだ、そうはならないだろうと考えているが、マーケットの注目(関心)が、『円金利の変化(今後もさらに上昇していく)』に向かうと、「円キャリー・トレード」は復活するのではなく、「円キャリー・トレードのアンワインド(解消・巻き戻し)」が、継続することになる。

もっと、わかりやすく、為替レートで換言するならば、
『ユーロ/円(EUR/JPY)が、[160.00]を下に割り込むのか?』
『ユーロ/円(EUR/JPY)の、[160.00]がサポートされるのか?』
が、ポイントになる。

現在のところ、ユーロ/円(EUR/JPY)は、高値から急落した後の、典型的な「揺り戻し局面」(=高値から急落した後の「下値持ち合い」)にある。
 下値リスクは、収まっていない。
「夏休み相場」でもあるし、ユーロ/円(EUR/JPY)は、しばらく、様子見で良い、と考えている。

第76回 リスク回避(質への逃避=フライ・トゥ・クオリティ)のテーマ変わらず

このところ、注目を集めていたニューヨーク・ダウは、先週末金曜日(7月27日)にも、最終的には200ドル以上の大幅下落となった。
そのため、先週末金曜日(7月27日)のドル/円も118台ミドルで、ニューヨーク・クローズ。ユーロ/円も161円台で、下落傾向にて、ニューヨーク・クローズとなった。

その流れから、週明け月曜日(7月30日)のウェリントン市場・シドニー市場では、ドル/円は急落。一時、[118.00]を割り込み、117円台後半を示現している。

しかし、週明け月曜日の東京市場は、比較的静かな展開。118円台ミドル程度で、様子見となった。東京市場の引けにかけて、ドル/円は、[119.00]近辺まで上昇している。

週明け月曜日のロンドン市場では、[119.00]アラウンドから、118円台前半に急落する場面もあったが、[118.00]を割り込むことがなかったことから、つまり、ウェリントン市場・シドニー市場で付けた安値を更新しなかったので、その後のロンドン市場で、ジワジワと、ドル買い戻しとなった。
7月30日のロンドン市場、ニューヨーク市場は、概して、118円台での推移となった。

7月31日のシドニー市場では、もう一段の「ドル買戻し」となり、ドル/円は、119円台前半に、再び乗せた。

そういった流れから7月31日の東京市場のドル/円は、119円台前半で寄り付き、東京市場の時間帯は、[119.00]を挟んだあたりでの上下動小動きに落ち着いてきた。

7月31日のロンドン市場、および、ニューヨーク市場の昼過ぎまでは、ドル/円も、概して、穏やかに、119円台前半程度で持ち合った。
 このところ、不穏な値動きが続いていたが、少し、安心感が広がっていた。

 ところが、ニューヨーク市場の午後から夕方に、ニューヨーク株式が、下落したことから、リスク回避(Fly to quality:質への逃避)に、センチメント(マーケットの雰囲気)は一変した。

前回のコメントでも触れたが、【Fly to quality:質への逃避】が、現在のマーケット(外国為替市場を含む金融市場)のメイン・テーマ。
【Fly to quality:質への逃避】は、株式から債券への資金シフトを惹起(じゃっき)する。---リスクの高いものから、リスクの低いものへの動き---
 そのため、「米国国債(T-Bond)の買い」となり、米国国債利回り(=長期金利)は低下した。

【Fly to quality:質への逃避】は、当然に、「為替リスクの回避」も惹起する。---自国通貨へ回帰すれば、為替リスクは無くなる。「円キャリー・トレード」を止めれば、為替リスクは無くなる。---
 そのため、「円キャリー・トレードのアンワインド(解消)」もでる。

米国長期金利も下落気味ということは、日米金利差縮小であり、「円キャリー・トレードのアンワインド(解消)」は、ますます出ることになる。

こういったことから、7月31日のニューヨーク市場の午後から夕方に、ドル/円は、[118.40]アラウンドまで下落した。

8月1日のシドニー市場、および、東京市場の午前中のドル/円は、[118.50]を挟んでの小動きだったが、東京市場の午後になって、日本株式の下落、アジア株の下落を材料に、「円キャリー・トレードのアンワインド(解消)」の動きが広がり、ドル/円は、[118.00]を割り込んで急落。
安値は、今のところ、[117.55-65]レベルで、117円台ミドル。

週明け月曜日(7月30日)のウェリントン市場・シドニー市場で付けた、ドル/円の安値117円台後半を割り込んだ[117.80]アラウンドには、ストップ・ロス(損切りのドル売り円買い)もあった様子。

まだ、【Fly to quality:質への逃避】が、現在のマーケット(外国為替市場を含む金融市場)のメイン・テーマである状況に変化がない。
(2007年8月1日東京時間18:30記述)



 >   >  2007年08月