第6回 【安易な「ユーロ売り円買い」は止めた方が良い】

今月の下旬になって、---11月22日(水)から、---ドル/円(USD/JPY)は急落を始めています。11月22日の[118.00]近辺から、今のところ、ドル/円(USD/JPY)の安値は、115円台前半を見ています。

 今回の「ドル安円高」に関しては、『円キャリー・トレードのアンワインド(解消)』が、要因だ、というコメントが多いようです。
 ある程度は正しいのでしょうが、---全く否定する訳ではないが、ある程度は、そういう動きもあったのだろうが、---個人的には、違う、と、考えています。

 『円キャリー・トレードのアンワインド(解消)』が、主要因ならば、『ユーロ/円(EUR/JPY)でのキャリー・トレード』にもアンワインド(解消)が起こり、ユーロ/円(EUR/JPY)は下落するはずです。
 ところが、ユーロ/円(EUR/JPY)は、上昇しています。

 今回の値動きの、主要因は、ユーロ/ドル(EUR/USD)の上昇。
 『ユーロ買いドル売り』の影響で、『連れてドル売り円買い』になった、と考えています。

 ユーロ/ドル(EUR/USD)で、「ユーロ買いドル売り」になると、ドル/円(USD/JPY)には、「ドル売り(円買い)圧力(プレッシャー)」がかかります。
 ドル/円(USD/JPY)が、下落をした理由は、この「圧力(プレッシャー)」が、主な理由だ、と考えています。
 今のところ、ユーロ/ドル(EUR/USD)が、1.32台まで急激に上昇して、「ユーロ高ドル安」の値動きを示しています。
 「ユーロ高ドル安」は、ドル/円(USD/JPY)に「ドル安円高」のバイアスをかけます。
 
 しかし、ユーロ/円(EUR/JPY)を見ると、「ユーロ高円安」の値動きを示しています。
 「ユーロ高円安」は、ドル/円(USD/JPY)に「ドル高円安」の影響を与えます。
 現時点では、ドル/円(USD/JPY)に与える影響としては、両方の力で相殺されている状況です。
 しかし、ユーロ/ドル(EUR/USD)が、もう一段急激に高くなる場合には、ドル/円(USD/JPY)にかかる「ドル売り(円買い)圧力(プレッシャー)」が強くなりますから、その際は要注意です

 動いた要因が、『円キャリー・トレードのアンワインド』であろうと、なかろうと、ドル円(USD/JPY)が下落したことに変わりはありません。

 しかし、『円キャリー・トレードのアンワインドが要因か、否か?』は、ユーロ/円(EUR/JPY)を取引するのに、重要な指針を与える。重要な羅針盤(コンパス)と言っても良いでしょう。結論としては、安易な「値ごろ感」での「ユーロ売り円買い」は止めた方が良い、と考えています。

第5回 【現状のドル/円をどのように考えているか?】

---「115円程度から120円程度」での「持ち合い相場」---

 先週の11月22日(水)のロンドン市場、ニューヨーク市場で、ドル/円(USD/JPY)が、急落した理由は、米国の感謝祭(Thanksgiving Day)&日本の「勤労感謝の日」を前にしたポジション調整と考えています。
 このところ、ドル/円(USD/JPY)は、ユーロ/円(EUR/JPY)などのクロス円の上昇の影響で、「ドル買い円売り」のポジションが積み上がっていたので、11月22日(水)の東京市場でも、休日前に、ポジションを縮小しておこう、といった思惑が働いていました。だから、『117円台前半から116円台後半程度までの下落はあるかな?』と見ていましたが、『予想していたよりも、大きな下落』になっています。
 11月23日(木)は、東京市場と、ニューヨーク市場が休場なので、市場参加者が極端に薄い状態であった、ということです。通常ならば、下がったところで「買い」があるのですが、市場参加者が薄くて、そういった"Buyer(買い手)"もいなかった、ということが推量できます。

 [117.00]を割り込んだあたりからは、---[116.80]アラウンドとか、[116.50]アラウンドには、---ストップ・ロス・オーダー(損切りのドル売り注文)もあったのですが、その「ドル売りオーダー」の金額を、マーケットが薄いために、吸収できず、そのため、11月22日(水)のロンドン市場・ニューヨーク市場では、[116.50]割れまで急落した、と見ています。

 振り返って、マーケットを見ると、このところの、ドル/円(USD/JPY)の高値は、10月中旬の[120.00]アラウンドです。---結局、[120.00]に触ることが出来ませんでしたが・・・・---
 [120.00]にタッチして、120円台ミドル程度は見るだろうと考えていたので、想定していた高値よりも、『思ったより「上値の伸び」が、少なかった』『天井が、思っていたよりも、低かった』印象です。

 現時点では、次のように見ています(月並みですが・・・)。
 現状のドル/円(USD/JPY)は、「115円程度から120円程度」での、「持ち合い相場」を形成しているのではないか、と、個人的には考えています。
 現時点では、『上値が抑えられたので、---結局、[120.00]に触ることが出来なかったので、---下値も、どこか一定の水準に抑えられるのではないか』と考えているからです。

 ただし、高値で持ち合った後ですから、[115.00]を割り込む場合は、要注意です。---さらに重要なポイントは、[114.00]アラウンドにある、と考えていますが・・・---

 ユーロ/ドル(EUR/USD)が、週末金曜日(11月24日)のロンドン市場で[1.3000]を上に突破しています。損切りの「ユーロ買いドル売り」を巻き込み、一時[1.3100]も上に抜けています。
 こういった「ユーロ買いドル売り」が、ドル/円(USD/JPY)での「ドル売り」を促すので、ユーロ/ドル(EUR/USD)が、もう一段急騰する場合には、上述の要注意状態になる可能性があります。
 ただ、週末金曜日(11月24日)のロンドン市場では、「ユーロ/円(EUR/JPY)の買い」も大量に出て、150円台ミドル程度から[151.65-75]レベルまで急騰しています。「ユーロ/円(EUR/JPY)の買い」は、ドル/円(USD/JPY)での「ドル買い円売り」に影響します。
 ですから、『ユーロ/ドル(EUR/USD)が、ドル/円(USD/JPY)に与える「ドル売りプレッシャー」』と、『ユーロ/円(EUR/JPY)が、ドル/円(USD/JPY)に与える「ドル買いプレッシャー」』の綱引き状態を見る必要があります。
---週末金曜日(11月24日)の値動きでも、ユーロ/円(EUR/JPY)が、ドル/円(USD/JPY)に与える「ドル買いプレッシャー」がなければ、ドル/円は、もっと大きく下落していただろう、と考えています。---

 これから、年末のクリスマス・シーズンで、市場参加者は、今後、徐々に少なくなってきます。そういった、「薄いマーケット」になると、「油断禁物」「予断を許さず」ですから、真剣に、マーケットに臨む必要があります。
 あまり、無理をしない方がよいシーズンが、近づいています。

第4回 感謝祭(Thanksgiving Day)&「勤労感謝の日」

 今週のドル/円(USD/JPY)を現時点で、---11月22日東京時間夕方で、---振り返って見ても、[118.00]あたりを中心とした小動きで、目だった展開がありません。
 G20でも、為替はテーマとならず、特段のニュースも、今のところ出ていません。

 毎年11月の第4木曜日---今年は、11月23日(木)---は、アメリカの感謝祭(Thanksgiving Day)です。
 奇しくも、11月23日(木)は、日本も「勤労感謝の日」で東京外国為替市場も休場。重なりました。

 三大市場のうち、二つの休日を控えて、東京市場、ロンドン市場、ニューヨーク市場のいずれの市場参加者も、積極的な売買をしていないセンチメントです。

 目をユーロ/円(EUR/JPY)に移すと、今週初め、月曜の東京市場のユーロ/円(EUR/JPY)は、151円台前半でオープンしています。

 週初の東京市場では、「ユーロ買い円売り」が出ましたが、[151.50]には、オプション取引絡みの「防戦売り」もあって、なかなか[151.50]にタッチせず。「高値持ち合い」の様相を呈していました。

 ロンドン勢が、もう一段の「ユーロ買い円売り」を進めて、[151.50]を上に抜けています。
 [151.50]を抜けた辺りには、ストップ・ロス・オーダー(損切りのユーロ買い円売り注文)もあって、ロンドン市場でのユーロ/円(EUR/JPY)の高値は、[151.65-70]レベルを付けています。これで、オプション取引絡みの「防戦売り」もこなし終わっています。

 しかし、その後のニューヨーク市場では、追随の「ユーロ買い円売り」は出ずに、参加者が薄い中を、ズルズルと下がるような展開。

 結果的に、火曜日(11月21日)以降のユーロ/円(EUR/JPY)も動意が薄れてきています。概して、小動きに転じています。
 「ユーロ/円(EUR/JPY)は、動意があるのではないか?」
と期待していたのですが、感謝祭(Thanksgiving Day)と「勤労感謝の日」には、かなわない、といった印象です。
(11月22日東京時間夕方記述)

第3回 米国住宅市況は、米国景気の鈍化を示唆

先週末(11月17日)の金曜日のニューヨーク市場で発表された米国経済指標は、米国住宅着工件数(10月)と米国建設許可件数(10月)。予想よりも悪い数値の発表となっています。
 住宅市場の低迷が米国景気の鈍化を示唆していることから、マーケット(外国為替市場)は、素直に「ドル売り」に反応しています。

 米国景気の鈍化といった観測から、今後もドル金利は据え置きが継続するであろう、といった思惑(観測)につながり、その結果、『日米金利差は広がらない』、場合によっては、日銀が円金利を引き上げるのならば、『日米金利差は若干ながら縮まる可能性がある』とマーケット(外国為替市場)は、考えたようです。

 この住宅関連の米国経済指標を材料に、ドル/円(USD/JPY)は、[118.40]アラウンドから[117.50]アラウンドまで、1円近くの急落を見ています。
 ニューヨーク・クローズにかけて、117円台後半に小戻ししていますが、それも、週末のポジション調整的な値動きで、ドル急落の印象が残ります。

 しかし、そうは言っても、このところのドル/円(USD/JPY)レートの水準は、古い流行語大賞になってしまいますが「想定内」の値動きに過ぎません・・・。

 ドル/円(USD/JPY)レートで、115円〜120円程度のゾーンは、見慣れた印象です。ズバリ言うなら、市場参加者にとって、「目新しさの無い」「見飽きた」レートです。

 もちろん、マーケット(相場)に臨む際には、「油断禁物」ですし、「予断を許さず」といった態度が大切ですなのが、この115円〜120円程度のゾーンにある間は、特段のニュースが出るまで、
『マーケット(市場)のセンチメントは盛り上がらないのではないか?』
と、心配しています。
 マーケット(市場)は、活発・活況の方が良い、と考えているので、私はこのような言い回しになってしまいますが・・・・。

 日本の政策サイドから見れば、先週末の値動きは、
『少し、ホッとしているのではないか?』
と推量しています。
 まだ、大きな声ではありませんが、米国の自動車業界からは、「円安」に対する不満が漏れてきますし、日本サイド(財務省筋)の発言から、そういった不満の矢面には立ちたくない、と考えている様子がうかがえるからです。

第2回 「ユーロ円(EUR/JPY)」

今回は、このところのユーロ/円(EUR/JPY)について。
 先週の木曜日(11月9日)の海外市場では、このところ一番気になっていたユーロ/円(EUR/JPY)のチャート・ポイント[150.70]を、完璧に、上に抜けています。
 チャートに従うならば、これは、「ユーロ買い円売り」のシグナルです。
 個人的には、セオリー通りに、「ユーロ買い円売り」で、ついて行くところ、と考えています。

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 10月下旬(10月27日金曜日)の東京市場では、ユーロ/円(EUR/JPY)は、[150.50]を越えて、最高値の[150.70]を付けています。
 この[150.70]は、従来の最高値であり、マーケットは再度の高値更新を試みていた状況です。
 その際に、チャート・ポイントである[150.70]を完璧に、上に抜けていく場合には、断続的に、ストップ・ロス・オーダー(損切りのユーロ買い円売り注文)があることが巷間ウワサされていました。

 もちろん、ユーロ統合以来の最高値を更新する訳ですから、そういったレベル(水準)に、ストップ・ロス・オーダー(損切りのユーロ買い円売り注文)があることは当然でしょうし、実際の先週木曜日(11月9日)の海外市場でのユーロ/円(EUR/JPY)の値動きを見れば、そこにストップ・ロス・オーダー(損切りのユーロ買い円売り注文)があったことは明白です。そのウワサが真実であったことが証明された、と考えています。

 10月27日金曜日の場合は、東京市場のオープン(寄り付き)前---東京時間朝8:30---に、日本の経済指標が発表されています。9月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合・コアCPI)[総務省発表]です。
 事前の予想よりも[コアCPI]が低かったことから、円金利の引き上げが、年内に実施される、といった思惑は後退し、円金利引き上げの時期が、来年に持ち越されるのではないか、といった観測が強まりました。
 この日本の経済指標が発表される直前の、ユーロ/円(EUR/JPY)は、[150.20]程度だったのですが、発表を受けて、[150.70]に急上昇して、東京オープンとなっています。

 こういった状況下で、10月27日金曜日の東京市場午前中は、「再度、ユーロ/円(EUR/JPY)は、上値をトライするのではないか?」といったセンチメントでした。

 ところが、この日(10月27日)の東京市場の午後、財務省の渡辺博史財務官のコメントが報道されました。
「日本経済の現状からみれば、これ以上円安になることはない」
「円キャリートレードは為替市場の規模に比べて小さく、為替市場を振り回すとは思っていない」
 この発言を受けて、ユーロ/円(EUR/JPY)は、150円台ミドルから150円台前半に下落しています。

 さらに、この日は、その後のニューヨーク市場で発表された「第3四半期の米国内総生産(GDP)速報値」を受けて、ドル/円(USD/JPY)が急落したことから、ユーロ/円(EUR/JPY)も149円台ミドルに急落しています。

 この際には、次のように考えていました。
『この一連の値動きで、ユーロ/円(EUR/JPY)のトレンドが変わった訳ではない。
 しかし、「水を差された印象」は否めない。
 いずれまた、上値トライをする局面があるだろう、が、若干、時間的に、先送りをしたように感じる。』

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 個人的には、思惑通りに、先週の木曜日(11月9日)の海外市場で、上値をトライし、そして、チャート・ポイント[150.70]も、完璧に、上に抜けました。

 繰り返しますが、チャートに従うならば、これは、「ユーロ買い円売り」のシグナルであり、個人的には、セオリー通りに、「ユーロ買い円売り」で、ついて行くところ、と考えています。

 注意すべき点は、財務官の発言通りに、日本サイドとしては、「ユーロ高円安」を望んでいる訳ではないこと。
 もっとはっきりと言うならば、欧州諸国に対する配慮から、ユーロ/円(EUR/JPY)の150円を越えた水準は、好ましくないと、日本サイドは考えているだろう、と推測されます。
 また、福井日銀総裁のコメントから、年内に円金利の引き上げの可能性が残っていること。年内に円金利の引き上げが実施される場合は、「円の買戻し」から、ユーロ/円(EUR/JPY)が急落するリスクを内包していることを忘れてはいけません。

第1回 外国為替取引をするということは・・

みなさん、初めまして。このコラムを担当することになりました。よろしくお願いします。
 コラムを書くにあたって、日ごろ考えていることを、少し披露したいと思います。

 「外国為替取引をする」ということは、当然に、外貨に投資をすることです。
 日本に住んでいる場合は、当然に、日本円(JPY)を持っていますから、その日本円(JPY)を支払って、ドル(USD)やユーロ(EUR)といった「外貨を買うこと(外貨購入)」は、「外貨投資」になります。

 例えば、通常の、外国為替取引で、「ドル/円(USD/JPY)を買う」という行為は、「ドル(USD)」を買って、「日本円(JPY)」を売る、ということです。
 また、「ユーロ/円(EUR/JPY)を買う」という行為は、「ユーロ(EUR)」を買って、「日本円(JPY)」を売る、ということになります。

 しかし、「外国為替取引をする」ということは、外貨に投資するばかりでなく、結果的に、日本円(JPY)に投資を行っている場合もあります。

 例えば、通常の、外国為替取引で、「ドル/円(USD/JPY)を売る」という行為は、「ドル(USD)」を売って、「日本円(JPY)」を買う、ということです。
 また、もうひとつの例で、「ユーロ/円(EUR/JPY)を売る」という行為は、「ユーロ(EUR)」を売って、「日本円(JPY)」を買う、ということになります。

 つまり、「ドル/円(USD/JPY)を売る」とか、「ユーロ/円(EUR/JPY)を売る」ということは、結果的に、日本円(JPY)に投資を行っているのと同じことになります。

 『なぜ、タイトルを【ドル円ユーロ投資戦略(タクティクス)】としたのか?』をお伝えしたかったので、こんなことを書いたのですが、あまり、小難しく考えて、外国為替取引を行うのも面白くないでしょうから、この件はこれくらいにしておきましょう。

 さて、マーケット(外国為替市場)を読むに際しては、現状を分析することが大変重要です。現状分析に基づいて、次を推し進めるのですから、その基がしっかりしていなければ、そこから生まれる結果は押して知るべし、となるからです。

 この原稿を書いている時点(2006年11月9日の時点)では、「米国中間選挙」というイベントが終わり、マーケットのセンチメントがガクッと落ちているところです。
 注目された「米国中間選挙」の結果は、民主党の勝利でしたが、それは、事前予想の通りで、外国為替市場にとっては、いわゆる「織り込み済み」といった印象でした。
 特に、このところのドル/円市場は、すでに何度も上下動を繰り返した、見慣れたレートでの取引が続いており、膠着感(こうちゃくかん)というか、見飽きた印象が漂っています。
 マーケット(外国為替市場)は、次のテーマ(材料)を探している雰囲気です。

 このコラムがそういった次のテーマ(材料)の「羅針盤(コンパス)」「道しるべ」になれるようにがんばりたい、と考えています。
(2006年11月9日午後記述)



 >   >  2006年11月